P6/ディラン・フェイデン

登録日:2024/01/03 Mon 15:50:00
更新日:2025/08/11 Mon 14:57:05
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ディラン・フェイデンは「レメディー・コネクテッド・ユニバース」に登場するキャラクターである。
コードネーム「P6」で呼ばれることもある。

演者:ショーン・ダリー



▼概要▲

超常的な力を持つ物体「パワーオブジェクト」に接触し、その力を得た超能力者「超常的ユーティリタリアン」の1人。
その中でも非常に強力な力を持っている。

幼少期からアメリカ政府の機密機関「FBC:Federal Bureau of Control(連邦操作局)」の管理下にあり、局長の第一候補6番「 P6 」のコードネームを与えられていたが、後に「旧P6」となった。

2019年10月29日にFBC局長となったジェシー・フェイデンの一つ年下の弟。

  • 人物像
中肉中背の白人男性。髪の色は黒。瞳の色は青。
1992年生まれ。メイン州オーディナリー出身。

幼少期は姉といつも一緒で、しょっちゅう遊んでいたことやいじめられっこを遊びに誘ったりしているため普通の心優しい少年だった。
しかしFBCにより誘拐された後は監禁され非人道的な扱いを受けた影響で荒み、短気で暴力的になってしまった。

強力な超能力を持っているため、感情が高まることが死亡事故に繋がりやすい。

  • 来歴
1992年にメイン州オーディナリー(「平凡」の意味)で誕生。
幼少時代は一歳年上のジェシーと共に地元のごみ集積所でしょっちゅう遊んでおり、苛められっ子の学校の同級生であるニール*1・ホーゼンバーグと友達だった。

2002年8月30日、オーディナリーAWE(AWE-24)の当事者となった。
当時10歳だったディランは姉ジェシーと共にゴミ集積所で遊んでいたところでスライドプロジェクター(OOP15-UE)*1 を発見し、プロジェクターで写し出した映像が異次元空間の入り口になっていることに気付いた。
複数存在したスライド*2の内、人形がたくさん置かれた異次元空間『ハウス』を姉弟の秘密基地にしていた。

その後、姉弟はニールを誘ってゴミ集積所へ連れ出したが、ニールは マリファナが大量に生えた世界 に繋がるスライド『牧草地』に夢中になり、頻繁にそこを訪れる様になってしまった。
それが仇となり、ニールを虐めていたトム・バーロウ、ヒューゴ、フレドリック・バートウェルらにスライドプロジェクターの存在を知られ、奪われてしまった。

その後、フェイデン姉弟は数学教師のチェスター先生と共にトム達を追跡し、スレッドヒル洞窟をアジトにしていることを突き止めるが時既に遅し。
トム達はコンクリートで構成された倉庫やシェルターの様な世界『寺院』のスライドを再生しており、その世界の中で、 母ならざる者 という超常現象生命体からミルクを与えられ、 汚い猿 と呼ばれる怪物に変貌していた。

チェスター先生は彼らを説得しようと試みるも、直ぐに足を折られ頭を割られ殺害されてしまった。

大人達は異変に気付いて警察に通報し、トム達は警察に連行されていった。
そして次の日、 オーディナリーの全ての大人が消失した。

全てはスライドプロジェクターが引き起こしたことだと悟ったフェイデン姉弟は町の子供達を率いて『寺院』の中に入り「汚い猿」達を追跡してスライドプロジェクターを奪還して逃亡するが、それに気付いた汚い猿達に追われ追い詰められてしまう。
ディランが転んで膝を痛めてしまい、絶体絶命かと思われたその時、 犬の怪物になってしまったニール が駆けつけ汚い猿達を足止めしたことで助かったのだった。

ジェシーはプロジェクターを切ろうとしたが出来なかったため、『手』*3と呼ばれるスライドに切り替え、ディランと共にその世界へ避難した。
そこにいた超常現象生命体EID-19929(通称:ポラリス)はジェシーに憑依して超自然的な力を与え、プロジェクターの切り方を教えた。
ジェシーがプロジェクターを切ると汚い猿達や母ならざる者は消滅した。
全てが終わったあと、ジェシーは『手』以外の全てのスライドを燃やした。

9月14日、当時のFBC局長ザカライア・トレンチキャスパー・ダーリング博士に先導されたレンジャー部隊によってジェシーやスライドプロジェクターもろとも発見されるもジェシーは逃亡。
ディランだけが収容されることとなった。

ディランはFBC本部オールデスト・ハウスに収容された。
そこでの調査により、ディランはパワーオブジェクト*4との接触によりその力が結合され、強力な超常的ユーティリタリアンになっていたことが判明し、局長の第一候補「 P6 」のコードネームが与えられ教育を受けることになる。

はじめの内はFBCに協力的であり『スレッショルドキッズ』*5を観てFBCの業務について学んだりしていたが、教育を任されていたダーリング博士はFBC捜査部門から内部調査されるほどにディランを実験用ラットの如く非人道的に扱った
その結果、精神が不安定になっていったことで力を制御出来なくなり、 FBC職員のロバートを誤って殺してしまった(事件45-HQ-121)。
この事件を機に局長候補から外されてしまい、ダーリングの助手であるカーラ・ボーン博士によりディランの今後の処遇を左右する最終評価のための心理テストが実施された。

カーラ:ディラン・フェイデン、旧P6の年次評価、カーラ・ボーン博士実施。ここで行われた質問は、5度目のガナーズ心理査定の反復に該当するものとする。ディラン、準備はいい?
ディラン:[無言]
カーラ:じゃあ続けましょう。あなたの周りの世界に起きていることを一言で表してみて。
ディラン:キャスパーはどこだ?
カーラ:今日ダーリング博士は、この建物にいないわ。
ディラン:彼がこの建物にいないことはない。彼はここに来たくなかったんだろう?ロバートの件があってから、奴は一度もここに来ていない。ダーリング博士には、あれは俺のせいじゃなかったと伝えてくれ。制御できなかったんだ。だけど、今ならできる。学んだんだ。彼に伝えてくれるか?
カーラ:あなたの周りの世界に起きていることを一言で表してみて。
ディラン:牢獄。冷たく、空っぽの牢獄。ポスター1枚すら壁に掛かっていない*6
カーラ:この後に続く数字はなに?3、6、9、12、15の後は?
ディラン:18。
カーラ:今日は何曜日?
ディラン:そんなこと、どうやったら俺に分かるって言うんだ?カレンダーをもらってるわけでもない。
カーラ:あなたは森でウサギを見つける。息はしているけど、動いてはいない。流血もしていない。あなたならどうする?
ディラン:そのままにしておく。
カーラ:もう少し詳しく言って。
ディラン:無駄だ。そのウサギは現実には存在しない。どれも本物ではないんだ。
カーラ:今日は何曜日?
ディラン:人が答えられない質問をして回るのが好きなのか?それが楽しみで毎朝起きているのか?怯えて、バカな女の子だった頃から、こういうことをするのが夢だったのか?
カーラ:犬がどういうものか、私に説明してみて。
ディラン:オーディナリーで、ある友達がいたんだ。鼻血のニール。全てが狂い始めた時、俺の言っていることが分かるだろう?鼻血のニールが犬に変身した。というか、犬のような何かに変身したんだ。
カーラ:明日は何曜日?
ディラン:消えろ!知るか!カレンダー、が、ない、んだ!そんなことどうやったら俺に分かるって言うんだ?
カーラ:ディラン、落ち着いて…
ディラン:クソ野郎!お前もクソ野郎!キャスパーもクソ野郎だ!お前はこれを見てるんだろ、この老いぼれクソ野郎!!お前は俺を怖がって、このクソ女を俺のところに送り込んできたのか?!キャスパーはどこだ?!
カーラ:セキュリティ、ここにチームを送って!救援が必…
[爆発音]

──ディランの評価
(ボイスログ書き起こし)

心理テストの最中に暴走して更に大勢の職員を殺害したため、これが決め手となりディランは変貌アイテムを収容するパノプティコンの「P6独房」と呼ばれる専用の収容装置に幽閉されてしまった。 

+ 余談
結果論とはいえダーリングやカーラら研究部門の面々がディランを「人間」として扱っていれば防げた事態であり、このことから捜査部門は研究部門と対立していた。
しかし映像ログにて、ディランの暴走を知ったダーリングは後悔する様子を見せていた。

ちなみに『CONTROL』の元ネタの一つであるSCP Foundationでも、このような「被験者を非人道的に扱ったせいで事態が悪化した事件」は度々描写されている。 


やがて、孤独や監禁のストレスによって苦しみ、次第に 姉やポラリスに見捨てられた という思いが強くなっていった。

カーラ:よし、今日はこれ以上あなたの時間を割くことはしないわ、ディラン。あなたに伝えた通り、私はジェシーについての話がしたいの、あなたのお姉さんのね。
ディラン:彼女についての何を話したいって言うんだ?
カーラ:あなたの見解を理解したいだけよ。彼女のことはどう思っているの?彼女はどんな人?そういったことよ。
ディラン:姉さんのことは大切にしていたよ。小さかった頃はね。オーディナリーにいた時のことだ。
カーラ:今はもう大切にしていないの?
ディラン:ここに来たばかりの頃は、まだ大切に思っていた。姉さんもここに来てくれたらいいのに、とずっと思っていたよ。俺を見つけに来てくれたらってね。家に連れ戻すために。俺たちはどこへ行くにも常に一緒だった。だから、これだけ例外になる理由なんてないだろ?キャスパーは、彼女が望むのであれば、操作局に来ていいと言った。彼女が望むのであれば。だけど、姉さんは来なかった。
カーラ:なぜそう思うの?
ディラン:姉さんは俺のことなんて、どうでも良いと思ってるんだよ。彼女はいつも、一人で世界を見たいと思っていたんだ。いつもそう言ってた。願いが叶ったってことさ。
カーラ:そうなのね。彼女は世界を見たいと思ってたのね。彼女は、どこか特定の場所について話したことはなかった?
ディラン:何故だ?
カーラ:ここに関することは何でも知りたいのよ、それは分かっているでしょう。どこか、特定の都市、街や風景、そんなことを言葉にしたことは?
ディラン:覚えていない。
カーラ:家族ぐるみの友人なんかは?オーディナリー外に住んでいる、近しい人はいた?
ディラン:この質問はもう沢山だ。キャスパーに、今日の昼飯はピザがいいと伝えてくれ。
カーラ:ディラン、待って、まだ終わってな…
[ガタンという音]
カーラ:セッション終了だ。

──ディランの尋問
(ボイスログ書き起こし)

その後、ジェシーと会話させようとするポラリスからのテレパシーを度々受け取っていたが、見捨てられたという思いから拒絶していた。

連邦操作局

ダーリング博士による審査用会話記録
(被験者:ディラン・フェイデン)

--部外秘--

注記:取り乱した際、被験者は一人だった。

フェイデン(17:52:16)-またアンタか。俺にかまうなと言ったはずだ。

フェイデン(17:52:22)-なぜそれを見せてくる?俺にはできない。ここがどこだか分からないのか?さっさとここから出してくれたらどうなんだ?アンタはいつ来ても、俺にはどうしょうもないものを見せてきやがる。

フェイデン(17:52:36)-その女と会わせるのを、やめろ!もうどうだっていいんだ!アンタなんて、知ったこっちゃねえ!アンタら二人揃って俺を、ここでのたれ死にさせる気だろう!

フェイデン(17:52:46)-さっさと消えやがれ!アンタを消し去れるんだったら、自分の脳ミソだって掘り出してやるぞ!だからいなくなってくれ!いい加減、分かれってんだ!

被験者は17:53に鎮静剤で落ち着くまで、「消え失せろ」という言葉を何度も繰り返した。

──ディランがポラリスのテレパシーを受け取る様子
(ディラン・フェイデンに関する記録より)

2019年10月29日、ザカライア・トレンチが「スライドプロジェクター(OOP15-UE)」に「焼けたスライド」をセットしたことにより未知のスレッショルドが出現し、侵略的な共鳴体「ヒス」をオールデスト・ハウス内に呼び込んでしまった。
ディランは侵入してきたヒスと交渉して自らヒスを受け入れ、 自我を保った最強のヒス生物 となった。

●ヒスにより腐敗したディラン●

ヒス共鳴体に晒され、変貌したディラン。

他のヒス生物とは異なり人間の姿を完全に保っており、理性や本人の自我も維持しているが、ヒスの洗脳による思考誘導はされており、「閉じ込められていた自分に手を差しのべてくれた仲間」であるヒスの拡散を目的に行動する。
ヒス生物の特徴として 全ての体毛が抜け落ちる というものがあるが、ディランもスキンヘッドになり、髭も一切無くなっている。

ヒスの発生源であるスライドプロジェクターと結合していたことが原因か、ヒス生物を統率したりヒスを次元を超えて拡散したりと引っかき女ミスター・スクラッチと同じように実体を持たない存在であるヒスそのものの顕現であるかの様に振る舞う
そしてそれを表すかのように、自分のことを「ディラン」や「彼」と呼ぶ。

ジェシーやポラリスに対する「見捨てられた」という思いはヒスにより増幅され、憎悪や憤怒と化している。

ヒスにより腐敗したディランの能力は以下の通り。
元から強力な超常的ユーティリタリアンだったが、ヒスと共生を果たしたことでその力は更に強化された。

  • ☆空中浮遊
元からの能力かヒスに汚染されたことで得た能力かは不明。

  • ☆念力
元々相手に触れずに人体をねじ曲げ殺害する程度の力は持っていたが、ヒスに汚染されたことでFBCの収容装置を破壊できるほどの力を得た。
因みに後にエミル・ハートマンやミスター・スクラッチも同じことをやってのけているため、収容装置の信頼性が危うい。

  • ☆ヒスの拡散
「ヒスの呪文」によってヒスを拡散する。
また、呪文を唱えずとも遠隔で洗脳できるかの様な描写もある。

  • ☆洗脳
ヒスに汚染した相手の精神世界に入り込み ネチネチとした 精神攻撃を与える。

  • ☆ヒス生物の操作
前述の通り、スライドプロジェクターと結合したためかヒス生物達を遠隔で操って統率したり、任意のエリアに召喚できる。

  • ☆次元間移動
「夢」を介して様々な異世界を渡り歩けることが示唆されており、「作家」や警官ミスター・ドアと出会ったとされる。
また、自分の半生を歌ったミュージカルや、自分がゲームキャラクターに過ぎない世界オフィスでジェシーが新人としてこき使われる世界等を体験したと語っていた。


●ヒスにより腐敗したディランの動向●

  • 本編以前
頑丈な収容装置を破壊して自由の身となり、ヒスに汚染された職員=ヒス生物たちを率いてオールデスト・ハウスを練り歩き、通信部リーダーのアルベルト・トマッシ、セキュリティリーダーのリン・サルバドールといった重要人物を次々とヒス生物に汚染していった。
サルバドールから奪ったカードキーでオールデスト・ハウス内部を調査する内に自分たち姉弟の資料を発見したり姉がFBCによって監視され続けており、自分に代わり第一候補P7とされていたこと等を知り憤っていた。

その過程でダーリング博士が開発した「 ヘドロン共鳴体増幅器(HRAs) 」を身に付けた職員はヒスに汚染されないことを知り、彼らを守る力の根源である超常現象生命体 ヘドロン の抹殺を考えるが、ヘドロン収容ユニットの入り口は巨大なHRAsで塞がれており、侵入できずにいた。


ヘドロンとポラリスの導きによりジェシーがオールデスト・ハウスに辿り着き、 色々あって局長に就任した ことを察知すると、ジェシーに「巨大HRAs」を外させることを思いつき、警戒心を解くために 自らFBCに投降しエグゼクティブ・セクターに置かれた収容装置に入った。

その後ジェシーを言葉で誘導し、彼女が巨大HRAsを外してヘドロンと対面したその時、テレパシーでそれを察知して 遠隔でヒス生物の大群を差し向けヘドロンを攻撃させる
ジェシーの奮闘も空しくヘドロンはヒス生物の総攻撃により殺害され、 遂にディランは天下を取る
HRAsは最早機能せず、ジェシーを含む多数の職員がヒスに汚染され精神支配を受けることとなった。

今や神に等しい力を手に入れたディランだったが、そんな彼の望みは夢で見た異世界の一つである「 姉がFBCの新人OLとして同僚からコソコソ陰口を言われて馬鹿にされぞんざいに扱われながら延々と雑用をさせられるのをニタニタ笑いながら眺めている(という姉に逆らえない小学生の弟の妄想みたいな)世界 」であった……。ネチネチ、ネチネチ……。

そんなディランの小学生の妄想が具現化した精神世界で、他の職員達から陰口を言われながらコピー用紙を準備したりコーヒーカップを片付けたり書類を配ったりさせられていたジェシーだったが、アーティ(生命体A-001)の助言により「ヒスは敵」だと思い出し、ダーリング博士の誘導で次元の交差点である「オーシャンビュー・モーテルとカジノ」に辿り着き、その宿泊部屋にいたポラリスの助けを借りて正気を取り戻す。

一方のディランはノスタルジアセクターでスライドプロジェクターと接触したことでパワーオブジェクトと繋がっている余剰次元「アストラル・プレーン」に侵入を果たし、そこにヒスを拡散させ汚染に成功するが、そこにアストラル・プレーンの支配者である「ボード」のバフを受けたジェシーが到着し、遂に最終決戦となる。

  • ラスボス戦
まず、 ディランとの直接対決は無い
そもそもジェシーの目的は弟をヒスから救い出すことなのである意味当然である。

ディランはアストラル・プレーンのピラミッドの様な足場の上に浮かんでヒスの呪文を唱え続けているため、そこまで辿り着いてポラリスの力でヒスを浄化しなければならないが、その道中にディランが呼び込んだヒス生物の大群が現れる。3つのエリアのヒス生物を殲滅すると、ようやくディランのいる場所へ通じる足場が現れる。
つまり雑魚ラッシュ である。
前述の通りこの際ジェシーはボードにより能力が強化されており殆どの敵を一撃で葬れるため、実質的にイベント戦と言える。
しかし本作は(というよりレメディー社作品全般に言えることだが)ボスより雑魚の方が強く、更にラッシュも非常に激しく一度に大量に(しかも四方から)出現してくるため、油断してるとあっさり死ぬことになるので注意が必要。

因みに3つ目のエリアに辿り着くと、ディランがいるピラミッド状の足場が巨大な隔壁に一瞬の内に覆われる。
アストラル・プレーンを汚染したことでこの空間を自由に操れるようにり、自身をジェシー及びポラリスから守るために出現させたと思われる。

3つ目のエリアの敵を殲滅するとディランを守る隔壁が消滅し、ディランの元へ辿り着くとポラリスの力で浄化できる。

あっけなく思えるが、上位存在らしきアーティ、余剰次元生命体と化したダーリング博士、ヒスの天敵ポラリス、アストラル・プレーンの支配者ボードといくつもの超常現象生命体がジェシーに力を貸してようやく鎮静化できたことを思えば、ヒスを宿したディランがどれほど危険な存在だったかが分かるだろう。

<浄化された後の動向>

  • 『Control』エンディング後
2019年10月29日、ジェシーとポラリスによりヒスを浄化されたディランは昏睡状態となり、収容装置での監視が続けられる。
ヒスが浄化されたことで髭や髪が正常に伸びるようになった。

  • 『The Foundation』
2019年10月29日、アストラル・プレーンとオールデスト・ハウスを繋ぐ導管の役割を担う「ネイル」と呼ばれる物体が破損し、アストラル・プレーンがオールデスト・ハウスの基盤セクターに流入する事件が発生。

ディランはこの事件に関与しないが、条件を満たすと精神世界でジェシーに未来のビジョンを見せる。

なお、ビジョンの内容はワシントン州ウォータリーのものであり、Alan Wake Ⅱ』への布石となっている。

  • 『レイクハウス』
2023年9月14日、ミスター・スクラッチ率いる闇の軍勢がコールドロンレイク・スレッショルドから出現しワシントン州ブライトフォールズ及びウォータリーにて変貌世界事象が引き起こされる。

それと同時に、コールドロンレイク付近に建設されたFBCの研究施設「レイクハウス」もマーモント博士とマーモント博士*7が呼び込んだ闇の軍勢に侵略されたため、ブライトフォールズに滞在して活動していたFBC捜査部門のエージェント、キラン・エステベスが調査することになった。

エステベスはレイクハウスを調査中に「オーシャンビューモーテルとカジノ」を介して 未知の異次元空間 の扉を開き、そこで収容装置に閉じ込められたディランと遭遇する。

ディランは何故か「マーモント博士がAIによって自動生成させた出鱈目な文章」を延々と呟き続けていたが、エステベスがやってきたことに気付くと彼女に対し「ジェシーに伝えてくれ 努力したと」と告げて彼女をレイクハウスに送り返した。
因みにディランと遭遇した時に解除される実績名は「殺人犯と被害者」。

少なくとも姉やポラリスに対する恨みはもう無く、改心したことが伺える。


<余談>

ディランが言及した「別の世界」

ディランと会話すると彼が見た別の世界のビジョンである「夢」について以下のように語ってくれる。
  • 「作家」が書いた「警官」が別の世界にいた。
→「作家」は『Alan Wake』シリーズの主人公アラン・ウェイク、「警官」は『MAX PAYNE』シリーズの主人公マックス・ペインだと思われる。
アランはアレックス・ケイシーというマックス・ペインに酷似したキャラクターを主人公とする本を書いていた。

  • 「暗い場所」にいる「ミスター・ドア」
→「暗い場所」は「dark place」の翻訳であり『Alan Wake』シリーズでは「闇の底/闇の世界」と訳される 異次元空間である
また、「ミスター・ドア」は『Alan Wake Ⅱ』に実際に登場する。

  • 様々な世界を自由に行き来できるミスター・ドア
→『QUANTUM BREAK』には同じく次元や時間を飛び越える ミスター・ハッチ というキャラクターが登場する。
フルネームもWarlin DoorMartin Hatchでスペルが酷似しており、本来は同じ俳優が演じる予定であった*8ことを鑑みると、 同一人物である可能性が高い

  • 『Alan Wake Ⅱ』に登場するティム・ブレーカーも別の世界で別の人生を歩む夢を見ていたことが描写されており、ティムと全く同じ顔と声の主人公が活躍する*9『QUANTUM BREAK』の内容について言及する場面がある。
これらのことから、RCUに含まれない作品も アラン・ウェイクの草稿から生まれた別世界 として大まかには含まれているようである。


・『QUANTUM BREAK』との繋がり

ディランを演じたショーン・ダリーは『QUANTUM BREAK』にてニック・マスターズを演じている。
また、ジェシーを演じたコートニー・ホープはベス・ワイルダーとして、前述のティムを演じたショーン・アシュモアは主人公のジャック・ジョイスとして登場している。

これだけなら単に役者被りに過ぎないのだが、作中で伏線とも取れる『Alan Wake』関連の要素が多数盛り込まれており、更に前述の通り本作に登場するミスター・ハッチとミスター・ドアが同一人物であるかのような描写が『Alan Wake Ⅱ』で為され、極めつけにティムは自分の考えをまとめるホワイトボードに以下の様に記している。

事実:
  • 失われた時間
  • 記憶なし
今までは!俺は常にここに辿り着くのか?出た時には忘れてしまうのか?

  • 誘拐?
宇宙人?ドア?
UFO?多面体

  • 夢!
  • 俺だが、俺じゃない。
俺が知っている者たちだが、彼らも何かが違う?赤毛の女?
『QUANTUM BREAK』を履修済みならわかると思うが、直接的な表現こそ大人の事情で避けているものの間違いなく『QUANTUM BREAK』の内容を指しているのである。
ティムはこの「夢」に関して「 別の現実かもしれない 」と述べており、ディランの「夢」に出てきたドアもまた「様々な別の世界が存在する」と語っている。
彼らの言葉を鵜呑みにするなら、 ディランとニックは並行世界の同一人物 と言えるだろう。


<関連キャラクター>

ディランの姉。ディランを探し続けていた。
その身にポラリスを宿しており、ポラリスとヘドロンの導きでオールデスト・ハウスへ辿り着いた。

詳しくは『Control』及び個別項目参照。

ヒスと同様にスライドスケープ36に存在していた超常現象生命体
詳細は個別項目を参照。

ディランに宿った異世界からの侵略者。
ポラリスやヘドロンとは敵対。
詳しくは個別項目を参照。

前FBC局長。
詳しくは個別項目参照。

FBC前々局長。ディランが現れるまでは歴代最強の超常的ユーティリタリアンだった。
ディラン同様に力を制御できなくなったため局長を辞任し、オールデスト・ハウスの全ての電力を賄う発電所 ノースムーア・サルコファガス・コンテイナー(NSC)発電所 の生きた動力源となった(発電機の内部のサーモグラフィー画像が写し出されたモニターがある)。

ディランの夢に現れたという多元宇宙を渡り歩くビジネススーツを着た黒人男性の姿をした次元間生命体。
『Quantum Break』に登場したマーティン・ハッチの別宇宙の同位体であることが露骨に示唆されている。
詳しくは個別項目参照。

FBC本部オールデスト・ハウスの 家主 とでも言うべき超常現象生命体。
逆さに浮かぶ、巨大で真っ黒なピラミッドの姿をしており、アストラル・プレーンという異次元空間に存在する。
詳しくは個別項目を参照。

フィンランド人の清掃員の姿をした存在。
詳しくは個別項目参照。

FBC研究リーダー。ディランやスライドスケープ36を研究していた。
詳しくは個別項目参照。

FBC捜査部門エージェント。
ワシントン州ブライトフォールズに滞在してコールドロンレイクを監視していた。
Alan Wake Ⅱ』のDLC『レイクハウス』にてディランと遭遇する。
詳しくは個別項目を参照。


追記、修正はヒスに汚染されてブラック労働を楽しんでからお願いします。

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最終更新:2025年08月11日 14:57

*1 翻訳により「ネイル」とも

*2 ジェシーは9枚、ディランは8枚と主張

*3 後にFBCより『SID-36』という名称を与えられる。また、そのスライドで繋がる世界は「スライドスケープ36」と呼ばれる。後述。

*4 前述のスライドプロジェクター

*5 FBC職員ベサニー・ハリントンにより提案され製作された教育用人形劇。

*6 『ショーシャンクの空に』ネタ

*7 翻訳ミスではなく原語版でもほぼ同じ。プライドが高く互いをライバル視する夫婦だったため、部下にこう呼ばせていたと思われる

*8 ハッチを演じたランス・レディックがドアを演じる前に亡くなったため変更された。

*9 演者が同じ