ユリアン(ウルトラマン80)

登録日:2020/05/09 Sat 00:00:02
更新日:2023/06/13 Tue 00:56:43
所要時間:約 6 分で読めます





ユリアン!!



ユリアンとは、円谷プロダクション制作の特撮テレビドラマ『ウルトラマン80』で初登場したウルトラウーマン。

身長:47m
体重:36000t
出身:M78星雲・光の国
人間体:星涼子

演:萩原佐代子

ウルトラマン80の幼馴染で、ウルトラの国の王女。
全体的なシルエットはオーソドックスなレッド族である一方、顔立ちはウルトラの母よりも更に女性的なものとなっており、口元は人間の唇を思わせる形になっている。
トサカ部分は赤くて太く、トサカから後頭部と両耳にかけて赤い、首元にはブローチのような意匠、腹部には80と同じウルトラバックルなど、80よりも更に細かい部分が個性的なデザインになっている。
王女でありながら戦士の一員らしいが、カラータイマーはない。

星涼子という人間の姿でUGMの隊員として地球に滞在しており、戦闘時には右腕に着用している「ブライトブレスレット」を使用してウルトラウーマンとしての姿に戻る。
4クール目のみであったが、レギュラー格というかヒロインとして登場した初のウルトラウーマンである。
ただし、普段は80こと矢的猛のサポート役としての活動が殆どであり、劇中で変身したのはわずか2回(うち1回は顔出し)。


【劇中での活躍】

初登場は第43話で、ガルタン大王が自分と80の命を狙っていることを知り、80に危機を知らせるべく、危険を冒しつつ宇宙船に乗って地球へやってきた。
このときガルタン大王の手下であるガラガラ星人に宇宙船を撃墜され、負傷して記憶を一時的に喪失していたところをUGMに保護される。
記憶喪失により自分の名前さえも分からなかったため、オオヤマキャップに星涼子という名前を与えられ、以降はこの名前を名乗ることになった。

記憶喪失の状態でUGMに保護されていた際、世話をしてくれた城野エミ隊員と打ち解け、友情の証としてブレスレットを譲った。
この行為は思わぬ悲劇を生み、城野隊員はユリアンと間違われてガラガラ星人に捕らわれ、やがて命を落とすことになってしまう。
そして城野隊員から今際の際に「UGMの隊員になってほしい」と告げられ、以降はUGMの隊員として活動することになる。
UGM入隊後は猛が主に指導役となったこともあり、日常から作戦行動時まで共に活動していた。
もっとも共に行動していた理由は猛に恋をしていたという部分もあるようで、猛が他の女性と仲良くしていると露骨に嫉妬する様子が見られた。


記憶を取り戻した後の素顔は、王女ということもあってか世間知らずのお嬢様で、非常にお転婆なところがある。
特に入隊当初は地球人としての暮らしに慣れておらず、ウルトラ族としての超能力を安易に行使する、超人的な身体能力を人前で見せる、ウルトラの国の道具を気軽に使うなどといったことがあり、それを度々猛に咎められていた。
「郷に入っては郷に従えといってだな…」と言われて、「郷ひろみならテレビで見たわ」と答えた事も……。
猛が指導役でなければあっさりと正体がバレてしまっていたことだろう。
幸いにして猛の言うことに対しては従順だったので、安易な能力行使は徐々に減っていき、大人しくなっていった……かに見えた。



基本的に猛が80が変身して戦いに出る姿を見守るのがお約束となっており、時には苦戦する80を見かねて加勢しようとしたところ、「自分が戦死したら君が地球が守れ」と制止された事も。
しかし、第49話では80が合体怪獣プラズマとマイナズマとの戦闘で絶体絶命に陥った際に再度お転婆ぶりを発揮し、自らの意思で80の助っ人として戦うことを決意。

「80!しっかり!今、あたしが助けに行くわ!」
「いけない、君まで変身してはダメだ!」
「どうして!?」
「今僕がやられても、君が新しいウルトラの戦士として戦うことができる。万一、2人ともやられたら、地球はおしまいだ。
僕のことはかまうな。いいか!」
「80…あなたって人は…」
「地球を頼む!頼むぞ…!」
「80ー!!」


「ユリアン!!」


80からは制止されたものの、やはり絶体絶命の彼を放って置けず、涼子は遂にユリアンの姿へと変身したのであった。


画像出典:ウルトラマン80(1980年4月2日~1981年3月25日)
第43話「80最大のピンチ! 変身! 女ウルトラマン」スチールショットより
@円谷プロ

ユリアンは1人で果敢に怪獣2体に立ち向かい奮戦。
怪獣の連携プレーによって一度は劣勢に追い込まれるが、80が力を振り絞って加勢すると形勢は逆転する。
兄弟怪獣は状況不利と見て合体してくるが、ユリアンと80は2人の力を合わせることで兄弟怪獣を倒すのであった。


結果的に連携プレーで事なきを得たとはいえ、後から言いつけを守らなかったことを咎められ、涼子は「私、地球人に生まれたかった!」と涙を流しながら去り、猛はその場に立ちすくんで涙を流した。
確かに兄弟怪獣を相打ち覚悟で倒すことができればその後をユリアンに託すというのは一理ある選択かもしれないが、兄弟怪獣にはサクシウム光線もバックルビームも全く効かず、打つ手なしという状況であった。
スチールショットでは80のカラータイマーが青いが、本編ではユリアンが変身を決意した時点で既に80のカラータイマーは点滅がかなり早くなっており、兄弟怪獣を倒した後には疲労のあまり膝を突いてしまっている。
エネルギーが限界に近く殆ど動けなかった80がどういう形で怪獣を倒してユリアンに後を託そうとしていたのかは不明である。


最終話ではオオヤマキャップによって80共々行動を牽制され、UGMが自力で怪獣マーゴドンを倒す様子を基地から見届けた。
そしてUGMの皆に別れを告げた後、一日だけ地球を満喫してから80と共に地球を旅立ち、ウルトラの国へと帰っていった。

ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀

声:戸松遥

Chapter1では『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』に登場した惑星カノンを訪問し、戦神イザナと会談を行うという王族らしい活動の一端を見せた。
この際、正装としてなのかマントを着用していた。
会談後にルーゴサイトの襲撃を受けるも、付き人のソラと待機していた80に守られたため戦闘はしていない。
光の国はともかく、公務先で戦って負傷されたら国家間の問題になりかねないからだろうか。

Chapter3では公務へ向かう最中に乗っていた宇宙船を襲撃され、宇宙恐魔人ゼット率いる複製ゼットン軍団に襲われるが、光の国から救援に駆けつけたウルトラマンメビウスらにより身の安全が確保され、遅れてウルトラマンゼロ率いるウルトラリーグも到着。
ウルトラリーグ到着後は同じウルトラウーマンであるウルトラウーマングリージョと共闘し、新技セレニティショットを使用した。
その後、不意に現れたアブソリュートタルタロスに連れていかれそうになり、一度はゼロの手により事なきを得るも、ゼロに粘り勝ちしたタルタロスに拘束され、ザ・キングダムへと連れていかれてしまった。
そして、その先で拘束された謎のウルトラ戦士を目撃し……?

ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突

『大いなる陰謀』から引き続きアブソリューティアン人質として囚われている。
その中で前述の拘束されていたウルトラ戦士=ウルトラマンレグロスにエネルギーを送って対話を試みていた。

その後ユリアン王女レスキュー部隊がザ・キングダムに侵入してきた為、人質としての価値がなくなった事でアブソリュートディアボロに襲われるが、アストラとレグロスに助けられ、無事光の国に帰還した。
ユリアン自身は危ない目に会ったもののアブソリューティアン側の事情が事情なだけに完全に敵対視することもできなかったようで、彼らと和平を結べないかと提案しているが、
肝心のアブソリューティアン側がそのような姿勢でなかったこともあり、その選択肢も視野に入れつつタルタロスが話したアブソリューティアンの指導者の出方次第という方針に落ち着いた。


【戦闘能力】

戦闘向きの能力が多く、超能力による索敵から格闘戦まで幅広くこなせる。
王女でありながらウルトラの戦士というのも伊達ではないというか、むしろお転婆にもほどがある。

  • 変身解除能力
第43話で人間態で使用。指を鳴らしてガラガラ星人の変身を暴いた。

  • 脳波探知
テレパシー能力の一種。44話で町を破壊して暴れ回るウルトラセブン本物のウルトラ星人でないことを探知した。

  • プリンセスレイ
第47話にて人間態で使用。赤外線のビームらしいが、グロブスクを過度に刺激することに繋がり、怪獣を巨大化させてしまった。

  • 宇宙光線の探知
第46話で人間態の時に使用。
バルタン星人が使用していた宇宙バリアα光線を探知した他、異次元空間の出口を探知し、そのエネルギーに気分を悪くした。
第47話でも人間態で使用、80が捕捉できなかったグロブスクの位置を探しだした。

  • ユリアンチョップ・ユリアンキック・ユリアン投げ
第49話で変身した際に行使した格闘技。
兄弟怪獣の双方を相手にしたときは2匹の連携に翻弄されていたが、80が加勢に入ってマイナズマを引き離すと、プラズマの羽交い締めをあっさりと振りほどいて投げ飛ばしていた。

  • ダブルパワー
第49話で使った80との合体技。80とフォーメーションを組んで横に回転しながら体当たりを食らわせる。
プラズマ・マイナズマへのトドメ技として使われた。
また、漫画『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス ジャッカル軍団大逆襲!!』ではメビウスと共に繰り出した。

  • ウルティメイトブレード
こちらも『メビウス外伝 アーマードダークネス ジャッカル軍団大逆襲!!』で使用。

  • セレニティショット
『大いなる陰謀』で使用。
80のサクシウム光線と同じポーズから放つ(超全集では「十字に組む」と記載)光線で、ゼットン二代目を倒した。
実は映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』の未公開シーンでも、ダークロプス軍団を迎撃したシーンで使用している。
ちなみにセレニティは英語で「静けさ」「落ち着き」などを意味する。
お転婆とも言える『80』当時ではなく光の国の代表として公務が出来るだけの落ち着きが出てきた後に名付けたのか、それともフルムーンレクトのような鎮静光線としても使える技なのだろうか。

【余談】

演じた萩原佐代子氏は『80』放送当時高校3年生*1であったという。
第43話という中途半端なタイミングでの登場だが、これは城野エミ役の石田えり氏が「『ウルトラシリーズ』に最後まで出演した女優は大成しない」というジンクスを聞いて「降板させてほしい」と申し出た都合によるもの。
そしてエミの代役を登場させるにあたって萩原氏が選ばれることとなった。
新体操選手のように華麗な身体能力を発揮するシーンを撮影したときは、事前に千葉真一氏らが所属するジャパンアクションクラブ(現・ジャパンアクションエンタープライズ)に入門して、実際にトランポリンなどを練習したという。
UGMの新入り隊員にしてお転婆なウルトラの国の王女という設定はおそらく没個性化しないためのテコ入れ要素であろう。
登場エピソードが少ない割には矢的役の長谷川初範氏と一緒に映るシーンが多く、最後に満を持して変身したため、視聴者に強烈な印象を残すに至った。
萩原氏本人も、ウルトラ戦士の一員になれたこと自体は思い入れ深かった模様。

昭和ウルトラシリーズでウルトラ戦士の人間態を演じた役者としては文句なしの最年少記録であり、変身するウルトラヒロインの先駆けである。
人間態からの変身シーンを披露した味方側のウルトラウーマンも今のところ唯一無二の存在である。
なお、ウルトラウーマンの人間態役の最年少記録は平成ウルトラシリーズ最後の作品である『ウルトラマンR/B』でグリージョを演じた其原有沙氏によって1歳だけ更新された。

放送終了後、萩原氏が星涼子として再登場したことはないが、2010年の映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』にユリアンの声役で再出演を果たしている。



追記・修正は郷に従ってお願いします。

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最終更新:2023年06月13日 00:56
添付ファイル

*1 放送期間中に18歳の誕生日を迎えた。