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AC6
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世界観考察(全般)
AC6/世界観考察(全般)
非常に多くのネタバレが含まれるため閲覧注意。
※このページには、公式設定ではない情報、推測、想像が含まれています
考察は考察と割り切ってお楽しみください。
AC6/世界観考察(全般)
世界観
基礎的な設定
星系における「ISB-2262 開発惑星ルビコン3」の位置付け
この世界の建築技術・テクノロジーについて
ルビコン3における自然環境について
ルビコン3における生活・文化について
アーマード・コア
本作における「アーマード・コア」
本作における「強化人間」
コーラル
コーラルとは何か
動力としてのコーラル
活性と不活性
Cパルス変異波形
コーラルリリース
「アイビスの火」
「アイビスの火」とは
コメント
世界観
以下仮置き。ひとまずテーマを分け、事実と推測を分類。見出しによっては推測をさらに説①、説②と分割する。
基礎的な設定
「アーマード・コア」のタイトルを冠したナンバリング作品だが、イベントやインタビューにおける開発スタッフのスタンスは「
過去作の世界との連続性は無い
」という形になっている。
ACのメインシリーズは「ナンバリングのメインタイトル+サブタイトル」という形で明確に世界設定を共有・継続している連作と、「ナンバリングに合わせて世界設定を刷新する」という形が繰り返されていて、今作AC6は刷新の節目に当たる。
(VDでのfAとのつながりの示唆をストーリーの連続とみなすと)基本的にナンバーふたつとサブタイトルで合わせて4,5作品程度で一つの世界のつながったストーリーとする傾向にある。が、3系と4系の間にN系と呼ばれるシリーズがあるため「1+2系」「3+N系」「4+V系」のストーリーは完結しており、6はV系の続きではない。
「実は6も含めてすべての作品が繋がっている」という飛躍した空想が存在するが、公式で否定されている。今作に過去作とのつながりを示唆するメカや設定や人物は存在せず、一部旧作を想起させる名前やセリフはあくまでファンサービスに過ぎない。
6は1~N系以と異なるコーラル由来の強化人間技術から、過去作と違い明確に別ナンバリングとは別世界であることが作中でも示されている。
4系は(技術力や物理法則はともかく)明確に現実世界の延長線上にある近未来である一方、1~N系は地球や火星などの現実の天体の呼称は存在しているものの地形などで現実のそれと完全一致していると明示される場面はない。6を除いてもシリーズ全てが同一世界での出来事とする考察自体がそもそも有力な仮説ではない。
トレイラー映像で紹介されたように、アーマードコア6の舞台は、恒星間航行が一般化した遠未来的な人類社会である。
ヒトが星から星を跨ぐ旅が可能であり、「
星外企業
」「
惑星封鎖
」など、作中の随所にそんな世界を象徴するような用語も多く登場する。
多くのSFがそうであるように、言語や文化や価値観などは現実のプレイヤーがすんなり入り込めるレベルだが、歴史や物理法則などが現実とどのぐらい繋がっているかなどは明らかではない。
スペースオペラではない本作において他星系の惑星という要素は飽くまで舞台装置なため、この種のSFでは定番の「恒星間航行を一般化させた要因」についても明確に描かれていない。いわゆるワープのような時間や距離を一足飛びに埋めてしまえるような技術は映像演出では皆無で、宇宙航行の工程や、かかる時間なども描かれていない。
星系における「ISB-2262 開発惑星ルビコン3」の位置付け
ルビコン3は、新物質「
コーラル
」の発見によって大きな発展を遂げるも、50年前に突如発生した大災害「
アイビスの火
」によって焼き尽くされた過去を持つ、灰に覆われ荒廃した惑星である。〈ゲーム紹介トレイラー〉
ルビコン3が属する星系の具体的な位置は表現されていない。劇中では「日系移民文化」なる文化が伝播していることが確認されている。
常識的に考えれば地球の日本の文化がなんらかの形で伝播していることにはなるが、太陽系第三惑星の地球や日本という国家が作中世界に存在するのか/していたのかは明示されない。
子供時代に木星戦争を目撃した人物が成人して現役であったり、アイビスの火が起きる際の子供の避難先に木星を選んだりなど、常識的な時間の範囲内でヒトがルビコン3と木星を移動できる様子が描写されている。すくなくとも50年前の時点で相互の交流は成立していることは明らかであるが、作中の時代における交流の実相などさらなる詳細は明らかではない。
上記や後述の自然環境から、ルビコン3は恒星などからのエネルギーがちょうどよく届き、生命にとって熱すぎも冷えすぎもしない「ハビタブルゾーン」にある惑星であろうと推測されている。
惑星環境は少々どころではないレベルで【試され過ぎた大地】ではあるのだが、実際の所宇宙規模で見れば『液体の水』が確保可能な時点で恵まれた環境扱いなのである。
「開発惑星」とのことだが、この「開発」という分類の意味するところや、ヒトの入植にあたりどの程度のテラフォーミングなどを行ったかは定かではない。
この世界の建築技術・テクノロジーについて
強襲艦や飛行メカ、さらには一都市規模のザイレム等、
超巨大重量の物体を安定して宙に浮かべる
という、地味に凄まじい技術が実現している。一方で、ステージ内に見られるようにグリッドや工廠内では鉄道や自動車といったごく普通の輸送手段が現役で利用されている。
作中の随所で、山々をはるかに超える巨大建造物「
グリッド
」がいくつも登場し、その支柱の下には寒冷化した荒々しい大地が広がる。この組み合わせが、入り組んだ多層機械都市と開けた荒野の入り混じったゲーム世界を作り出している。巨大建築でありながら建造スピードも凄まじく、ごく短期間の内に大気圏外まで伸びる巨大なプラントが増設されていたりする。〈作中ステージ、背景等随所〉
その一方で地上にも要塞状の建物や巨大工廠が作られ、ルビコニアンの多くは地表面で活動している。グリッドに関しては一定高度まで支柱を伸ばし、上空に高層建造物を乗せるという構造が主流。〈作中ステージ、背景等随所〉
採掘艦ストライダーもかなり背が高く作られており、「地表の環境から距離を取りたい、何らかの事情があるのではないか」と推測するプレイヤーもいる。
灰被りと呼ばれる生き残りが存在しているため、アイビスの火によって全てが焼き払われたわけではなく、破壊を免れている建築物も存在するようである。
コーラル関連以外のエネルギー事情については特に描写が無いものの、宇宙規模の文明をざっくり分類するカルダシェフ・スケールに当てはめると、「惑星上のエネルギーを全て利用できる」タイプ1(これでも現代文明より遥かに上)はともかく、恒星ダイソン球などを作って「恒星系のエネルギーを全て利用できる」タイプ2文明には手もかかっていない様子。
衛星砲や大気圏外まで伸びるプラントなどが登場しており、惑星規模の物体なら平然と建造できるレベルには到達している。ルビコン星内か星外かは不明だが、この量の建材をどこかから切り出しても問題ない資源量を確保し、現実的なレベルの投資で宇宙空間を運搬して組み立てることが可能な輸送力も実現している。
本作における企業たちも、何かと建造に関わりを持っていることが多い。過去作の企業もプラント建造や地域開発を行っている描写はあったが、バスキュラープラント級の物を1社グループのみの独断で建てられる今作は桁違いである。
宇宙規模の建造能力はもちろん、ACやMTといった規模での機械・電子・材料工学といったものもかなり進歩している。このレベルの機械を「土木用」や「輸送用」に気軽に使えている世界であり、こうした技術があればこそ巨大建造物が可能になったのではと想像するプレイヤーも。
過去作にはMTは本来は建築用に開発された機械であるという設定があり、今作にもこの設定が存在しているなら、過去作よりもMTがはるかに発達している今作の建築が、過去作よりも大規模であることも頷ける。
一方追い込まれていたとはいえ、「物量による制圧」をコンセプトに掲げるベイラムグループの全力出撃はMT50機程度。ゲーム的な表現と言えばそれまでだが、各ミッションにおいて展開される兵力は大抵これを大きく下回る規模となる。また、ベイラム、アーキバスともにどこかの誰かのせいで幹部搭乗員が次々と戦死していくがこれの補充もない。企業勢力が投入しうる資材および人的資源の総量には限界があったと考えるべきで、バスキュラープラントをはじめとした大規模建造物の建築は「かなり無理をしていた」可能性はありえるし、宇宙のエネルギー事情を一変させる大ビジネスともなればその価値は十分にあったことだろう。
ルビコン3における自然環境について
本作の舞台となる"辺境の惑星"で、「汚染され寒冷化した大地」である。〈ゲーム紹介トレイラー〉
砂漠、雪原、液体の海など環境は多岐に渡り、樹木なども生えている。〈作中ステージ随所〉
寒冷化により凍結した土地が比較的多いが、これがコーラル汚染によるものか、他の要因なのかは不明。
熱帯雨林や草原のような自然豊かな土地は全く見られない。呼吸可能な大気には植物による光合成が必須であるはずだが、どこかに緑化した領域でもあるのだろうか?
衛星軌道をぶっちぎる高度のバスキュラープラントや都市単位のグリッドを平然と建造運用できる恒星間文明の技術レベルであるため、植物に頼らず呼吸用大気を人工的に生成したり、気圧を制御したりする施設が作れるとも考えられる。
マップによっては地球のものと同じような針葉樹の森のようなものは確認できる。成長具合や時間的にアイビスの火を生き残ったものとも考えられるが、原生植物なのか、テラフォーミングなど何らかの用途で地球などの他星から持ち込まれた外来種なのかは不明。
屋外に乗用車や階段、ドアなどもついているので、人間が呼吸可能な大気成分、大気圧、1Gに近い重力がある様子。
海は広大だが、水没していたザイレムがほとんど錆びておらず、また藻類やフジツボのような付着性生物の痕跡も見られない。ザイレムが特殊な加工をされていた可能性もあるが、海水中のミネラル分や生物の気配がまるで無いと言える。
出自が明確になっていないミールワームを除き、動物や鳥や魚といった野生生物の存在も窺えない。これがもともと生物のいない惑星をテラフォーミングしたからなのか、アイビスの火で絶滅したのかは定かではない。ミールワームを原生生物と考えた場合は、昆虫レベルの生き物が出現する程度の生態系はあったことになるが…。
+
「コーラルにより自然環境が汚染された」説
「コーラルにより自然環境が汚染された」説
これらの『枯れた環境』がコーラル汚染によるものだとすれば、肥沃な土壌を支える地衣類に致命的な影響があるのかもしれない。
コーラルは「ルビコン3の地中から湧出している」が、地球の地下には微生物や細菌による巨大な生物圏が存在しているとされる。地球の地表で誕生した生態系がこの地下生物圏の影響を大なり小なり受けているとすれば、地下で急激に増殖する(アイビスの火により惑星規模で燃えてから「たったの50年で」再度の破綻が起きるレベルまで回復している)コーラルという物質がルビコンの地表生態系にどれほどの破壊的影響を及ぼすかは言うまでもない。
更に言うとコーラルは生物を変異させる可能性が高い。ミールワームの異常な巨大化や自爆による攻撃を行う生態など、真っ当な進化とは言い難い特性から、生物の肉体に直截的な影響を及ぼすことは想像に難くない。 ともすれば「大事故」と表現され、本編に一切登場しない5、6世代強化人間はそういう変異を起こしたのかもしれない。
ルビコン3における生活・文化について
物語序盤では「汚染市街」と呼ばれる街を訪れることになる。現在は半ば水没し人も住んでいないようだが、団地のような集合住宅が数多く建てられ、かつての人口の多さを物語る。〈作中ステージ随所〉
言語や文化は地球由来のものが数多く移入されており、劇中に「ルビコン語」のような表現は見られない。画稿データを見る限り、服装や髪型もさほど奇抜なものには見えず、かなり地球文明と地続きになっている。六文銭みたいな勘違い異文化マニアもいたりするが、逆に言えば地球の古い異文化を愛でられるほどに情報の交流がある。
上記のようなテクノロジーがありながら、各種アーカイブを見ると現地の主な食糧はよりにもよってコーラルで育てたワーム。〈アーカイブ「通信記録:ドーザーの妄言」、「文書データ:枯れゆく井戸」〉
ミールワームの育成設備は封鎖されていた未踏領域マップにも存在するため、「アイビスの火」以前からルビコン3では工業的に家畜化されていて、災害後に仕方なく食べ始めたものではない事が判る。
品質はともかく、フィーカ(コーヒー)のような嗜好品を輸入するか合成し、部外者に振舞ってやる程度の余裕が画稿ログで描写されているため、少なくとも企業側は保存食や携帯軍用食ぐらいの食事を維持できている。
オキーフが「味気ないレーションを食い、泥水のようなフィーカをすする、うんざりするが…それこそが人間だ」と
食糧事情の悪さ
を例に出しているため、良い食い物に価値があるのは確かな様子。
ルビコニアン側は「ミールワームが育たないと子供が飢える」とあるように、自給率上のワームへの依存度が命に関わるレベルで高い。他に代替手段があればこのような事態にはならないため、食文化の問題で能動的にワー厶を選んでいるのではなく、農畜産による多様な食料生産が成り立っていない可能性が高い。
高層建造物グリッドに住み着いているドーザー連中は何を食っているのだろうか…。
右側のインジケーターを見ると、グリッドなどの高度は大体3000~4000m位であると思われる。ルビコン3の大気圧が地球と近似しているとすれば、この程度の高度への定住はアンデス山脈などの実例があるので、高度が原因で食糧生産が不可能という事はなさそう。頻繁に地表面との移動を繰り返すなら高山病対策が必要になるが、少なくとも大気環境面で言えば、生身の人が定住することは不可能ではない。
+
「食料問題はもはや過酷な自然環境により解決しようがない」説
「食料問題はもはや過酷な自然環境により解決しようがない」説
ドルマヤンの随想録でルビコン3が「痩せた大地」と表現されている。テラフォーミングと惑星規模の巨大建造物をもってしても、入植した人類の胃袋を支える「食料源」となる生態系がなければ人口を増やせないため栄えようがない。
これらの説を採る場合、恒星間文明を作り上げるレベルの世界でありながらルビコン3では屋内型の植物工場や合成タンパク質といった技術が実用化されていないか、有効利用されていない(できない)なんらかの理由が存在することになるが、明示的な情報は無い。
+
「食料配給が公平でない・食料工場が既に機能していない」説
「食料配給が公平でない・食料工場が既に機能していない」説
様々な重工業施設がガンガン稼働し、少ないながらも樹木があるため、植物工場運営に必要なエネルギーや土壌資源が欠乏しているとは考えにくい。上記のコーヒーの描写から、少なくともアーキバスには嗜好品を扱う程度の余力がある。
情報ログには「企業がコーラルを掠め取る」からミールワームに供給できないとあり、単にエネルギーの争奪戦に負けているだけ、あるいはガリア多重ダムが攻撃されているように、企業側がライフラインを破壊しているため解放戦線が困窮しているという可能性もある。
アーマード・コア
本作における「アーマード・コア」
過去作でのACは戦場における最強の兵器という位置づけであることが多かったのだが、本作は少し様子が違う。あくまで多くの選択肢がある機動兵器の中の1つであり、4系のネクストのように兵器体系を根底から変えてしまった存在という訳ではないようだ。
耐久性で遥かに劣るBAWS軽MTに乗った兵士ですら、多くはACが相手でも臆することなく迎撃に向かってくるし、4脚MT辺りを倒すだけでもかなり驚愕される。ランカーであるG4ヴォルタですら非AC戦力に撃墜されており、プレイヤー(621)や上位陣の一部が突出した強さを発揮しているだけの様子。
二脚MTはゲームバランスの都合で弱くなっているだけで、実際にはもっと強いという解釈も存在する。一方で四脚MTはゲーム内でもAC並みの攻撃力や耐久性を備えている。もちろん機動力は劣るが。
同じ系統のパーツが一式で供給されているため、工業製品として見たACは「簡単にパーツ交換修理ができる高級量産型のМT」と同義である。そこに「パーツ交換でカスタムも可能」「ごく一握りのパイロットはカスタムがハマって大戦果を挙げている」ぐらいの立て付けになっている。
封鎖機構のように、一切ACを運用しない組織も存在する。彼らからすればACは「既存パーツの寄せ集め」であるようで、この発言が本作におけるACの立ち位置を如実に表している。
規格が同じというだけでコンセプトやスペックにも差があるパーツを組み合わせたACと所詮民間人に過ぎない独立傭兵より、最初から一式セットで設計された完成度の高いLC/HC機体+正規の訓練+高性能AIのバックアップを受けた封鎖機構の戦力の方が優れている、と考えるのは当然と言える。ACとパイロットの組合せによってごく稀にとんでもないイレギュラーが生まれてしまう事を除けば…
「映像記録:部品性能試験」によれば、ACが無人機の時代を終わらせたらしい。AI制御のACも多数存在するが、エース級の有人機よりも格が落ちる存在であるようだ。
現に一線級のパーツばかりのヴェスパー部隊のコピー無人機はウォルターとカーラの二人相手に相当数が撃破されているらしき描写がある。V.Ⅰフロイト相手だとチャティが一瞬で撃破されるなど、有人機の優位性は各所で描写されている。
いくつかのパーツの説明文では、ACの設計思想の中心に「コア理論」というものがあることが見て取れる。ハンドガン「HG-003 COQUILLETT」の説明によればコア理論から派生する戦闘スタイルは近接至上主義であり、本作においてスナイパーライフル等にカテゴライズされる遠距離武器パーツが登場しないことや、長距離型FCS「VE-21A」がコア理論に対する揺り戻し=AC以前の時代の戦闘スタイルであるとみなされていることからもそれが窺える。旧式フレームであるBASHOの腕パーツは飛び抜けて格闘適正が高いため、コア理論で言う「近接戦闘」が銃撃よりさらに内側に踏み込んでの格闘だったことや、世代を経るにつれてそれが緩和され銃撃とバランスを取る方向に調整されていった事がうかがえる。
近接至上主義からコア理論が生まれたのではなくコア理論から派生する、つまりコア理論に基づいて作られた兵器であるACを活用した戦い方が近接至上主義であると考えられる。すなわちコア理論の軸となるものは「コアを中心にパーツを組み替える兵器としたことで実現可能になった何か」あるいは「何かを実現するために、新兵器はコアを中心としてパーツを組み替える機動兵器という形態をとった」という思想ではないだろうか。
上記「コア理論」と関連にあると思われるのがACS(姿勢制御システム、Attitude Control System)の存在である。AC以外にも作業用のMTや、ACとは規格が異なる封鎖機構のLC/HC機体、果ては技研製の各種C兵器まで、作中で登場するほぼ全てのメカに搭載されていることから、機体を動かす際には殆ど必須レベルの基盤技術の一種と考えられる。
「衝撃」「負荷限界」「直撃」といった作中の用語から推測するに、外部からの衝撃に対してシステムが自動で機体の入射角を調整することでダメージを「弾く・いなす」ような仕組みだと考えられる。スタッガーに関しては、短時間で大量の衝撃が加わることで制御処理が追い付かず、システムが一時的にフリーズしてしまう…といった所だろうか。
中々致命的な欠陥を孕んでいるように思えるが、「軽量さと高防御の両立」が叶うと考えれば、軍事的にはそのような弱点を考慮してなお喉から手が出るものだろう。戦略レベルの話に限定しても、軽ければ戦地への移動と輸送の手間やコストを減らせるし、燃費も良くなる。また、足回りへの負担が軽減されて整備の手間が減り、野戦的な修理も行いやすくなるなど莫大なメリットがある。
ACSが正常に作動している間はほとんどの射撃が有効打にならず、これを破るには絶え間なく負荷を与え続け、更にスタッガー中にも追撃を行う必要がある。ACSの普及により狙撃戦術の優位性が薄れ(単発高衝撃の射撃だけでは、スタッガーさせる事はできても追撃ができない)、そこから「接近戦に持ち込み、手数を活かした継続的な火力投射を加える」コア理論が生まれた…と考えることはできないだろうか。
「交換ができる」「ハードポイントに様々なものをつけられる」という要素から、戦闘ではなく作業や調査に用いられる事もあるようだ。621が密航時に乗り込んでいた初期機体「LOADER4」は各パーツのフレーバーテキストを見るに「惑星探査用のAC」で、ブルートゥのミルクトゥースのベースになった「WRECKER」はフレーバーにて「土建や工事用AC」が元である事を示唆している。
RaDが開発・改造しているパーツは一部の戦闘用ワンオフを除けば作業用がメインらしく、逆関節脚部「SPRING CHICKEN」もその軽快な跳躍力と余裕のある積載量を活かした輸送機として使う事を本来の目的としているようだ。
PVや作中ムービーでも背中にコンテナを背負い、ゴミ漁りをするACの姿が見られる。頑丈な四肢と色々なものを掴めるマニピュレータを持つACは、戦闘以外にも活用されているのかもしれない。
過去作でも、ある特定分野に特化したタイプのMTに性能で凌駕されたり圧倒的な物量の前には苦戦を強いられる場面がありあくまでも絶対的な兵器ではないという描写はあった。AC6の世界観では更にそのような戦法が煮詰まって既にACの持つアドバンテージはコア機能による汎用性くらいなのかもしれない。
ただし、機動性に関しては作中に登場する兵器の中でも総合的に見てかなり高い部類に族する。見てくれだけなら陸戦用としか思えない機動兵器が時速300km以上の速度で、しかも追加装備も無しに空中を巡航するような真似は、封鎖機構の運用する機動兵器を除けばACくらいにしか出来ない事である。この辺が、ACがMTに淘汰されず残っている理由の一つかもしれない。
このアドバンテージを活かすとすれば、例えば「小規模精鋭部隊による敵重要拠点・施設・後方部隊への奇襲攻撃」などはACの得意分野だろう。現実世界では空挺部隊やゲリラコマンドなどといった軽歩兵部隊が主に担当する任務だが、AC6の世界ではそれがより大規模な形で実行できていると考えられる。ゲーム中でも何度かそのような作戦が実行されている事もそれを補強する。
ACシリーズでは珍しく、「宇宙空間での運用」を前提にしたパーツが存在する。過去作 (初代・2) にも宇宙ステーションの開口部で活動するミッションや月面らしき対戦ステージは存在するため、環境適応という意味でACは宇宙対応だったのだが、設定と設計段階で触れられたのは初めてである。
もっとも、「大気圏外運用も視野に入れた設計」は技研の試作ブースターIB-C03Bだけが言及される特徴であり、他のAC用ブースターは大気圏内で使う前提ということである。初期機体が「惑星表面探査用」だったり、シュナイダーACが空力を重視していたり、アーキバス重二脚がホバー走行だったりするため、基本的には大気圏内・重力下用の兵器として作られている。
条件によって差が出るが、宇宙空間とは「自重を支える揚力が得られないほど空気が薄い」高度のことで、そこに設定されるのがAC6のブリーフィング中にも出てくる「カーマンライン」である。元から揚力をガン無視して飛んでいるACやザイレムなどにとって厳密な意味のある条件ではないが、「イレギュラーの翼」について何度も言及される今作の重要な分岐点は「翼で飛べなくなる境界線」を舞台にすることになる。
ストーリーおよびゲーム性上の都合と言えばそれまでだが、企業勢力が保有ACを全て単一の作戦に出撃させることは作中ない。それどころか、ベイラムによる総攻撃を迎撃する、という超重要ミッションと思われる事態においてもアーキバスはAC単機でこれに対処しようとする。ACの整備および維持の負担はかなり大きく、巨大な組織体力を持つ企業勢力であっても、せいぜい3機程度のACを出してしまえばそれで全力出撃、ということになるのであろう。
+
余談
ACは凄い汎用性を持つ兵器だが、現実世界の軍事兵器開発においても、汎用性を持たせようとする→器用貧乏になるので諦めて特化型兵器を何種類も作る→製造ラインや整備やパイロット訓練が複雑化→技術が進歩して汎用兵器が作れるようになり統合…というパターンは様々な分野で起きてきた事である。
例えば戦闘機の汎用化(マルチロール化)は、飛行機本体の性能が増してさまざまな物を積めるようになり、爆撃用の爆弾と空戦用のミサイルを積み替えられるようになったことで達成されたし、同じ車体をベースに戦闘装甲車、輸送車、ミサイル車に「アセンブル」できる車両などもある。武器も脚も腕もFCSも規格品として取り替えられるACは、この汎用思想を段違いの技術レベルで、さらに幅広く実現した存在である。
こうした現実世界の兵器とACの違いは、兵器のユーザーが独立傭兵及び、独立傭兵と同等の戦闘任務を実施する企業陣営のACパイロット達であるという点だろう。オーダメイドほど複雑高価ではないが、それに近いカスタマイズができる点が、封鎖機構のように完全規格化された反面機種の多い兵器群との差別化点となっている。その封鎖機構ですら、МTを組み込めるカタフラクトを作るなど汎用性を軽視している訳では無い。
技量や特性の異なる個人が、各々の得意な戦闘スタイルやミッションに求められるニーズに合わせてパーツを組み替えられるという個性は、兵器としての遂行能力を「個人に適合させられる」というACの優位性と言える。人間が兵器に合わせるのではなく、兵器を人間に合わせられるというアドバンテージを活かそうという思想は、アプローチの仕方こそ違うもののAC6における星外企業製AC・ルビコニアン製ACそれぞれに見られる。
というか、一部でもパーツを変えてしまえばそれは最早別の機体になるのと同じであり、まして「ミッションに応じて武器やフレームパーツや内装を次々換装」などという真似は並の人間には極めて困難なのは想像に難くない(だからこその“強化人間”である。また、V.Iフロイトは強化人間でないからこそ汎用性を意識した機体構成を大きく変えられないのでは、という考察も存在する)。本来はそれが出来る事が大きな強味ではあるのだろうが、実情は「個人のパイロット適性に合致した特化機を容易に作り出せる」という点の方が上述の要素と強力な噛み合いを見せているとも考えられる。
「生死が自身の操縦1つに懸かっているので、独立傭兵にとってはACは手足同然でなくてはならない(意訳)」というゲーム中に見られる文言からして、ACはアセンブルによる拡張性こそが扱う側にとって最重要事項なのだと捉える事も出来る。であれば、汎用性という特徴は「人が扱う為に人の形を取る兵器」を追及する内に自然に獲得した副産物、という見方も出来るかもしれない。
更に言えば、維持費云々に関しても独立傭兵ならば個人負担なので、欲張りなパラメータのパーツやニーズがニッチなパーツ等も研究開発しやすく、そしてそれはAC関連の技術進歩のペースを早める事にも繋がるだろう。
優秀な個人であればパーツの開発や販売を手がける企業にとって重要な顧客となりうるし、機体を維持・グレードアップさせられなければ自然淘汰されるだけである。
また、現実の特殊部隊ではコスパを度外視した特殊装備が支給されていたり、装備選択に関して隊員に比較的大きな裁量が与えられていたりする。ゲーム中に登場する企業所属のAC部隊は基本的に精鋭部隊と位置付けられているものばかりな為、恐らくはそうした方向の需要も見込んでいるのだろう。
そう考えると、アーマード・コアの世界では、企業的にはACパーツで一定以上のシェアを獲得する事が自動的に儲かる仕組みを作るために重要であるとも言える。パーツが売れれば利益が上がり、高性能なACを駆る傭兵が増えれば、それらを雇って企業間の武力競争でも優位に立てる。そういう意味でもACという兵器と傭兵という職業は切っても切れない関係と言えよう。
企業専属のAC部隊等は、現在はともかくその発足自体は案外「企業と専属契約した元独立傭兵による部隊」だったりしたのかもしれない。
作中においてはレッドガンが構成員は現地調達・現場の指揮官に採用権限が持たされており、雰囲気はたたき上げの軍隊風だが正規軍における堅苦しさや融通の利かなさは関じられないので、正にそういった経緯で出来上がった部隊の一つではないだろうか。
本作における「強化人間」
大きく分けて2種類が存在し、第1~第6世代がコーラル技術によるもの、第7~第10世代がコーラル代替技術によるものである。
その区分けは脳深部にコーラル管理デバイスを埋め込むか否かだと思われる。
機体との神経接続という言及がある事、STVの画稿からV.VI メーテルリンクと思われる人物の腰部に接続端子がある事から、過去作の強化人間と同じく機体と人体の知覚神経の接続をおこなっているようである。
強化手術の成功率は「実験」と呼ばれるほど劣悪だが、実験を積み重ねるほどに成功率は高まるため、安全性を確保したうえで何度も再手術を繰り返す者も、中にはいる。
「青少年の健全育成」を理由に7年間レッドガンで過ごしたイグアスが第4世代強化手術を受けているので、旧世代型の手術を受けているから老兵、というわけでもないらしい。何らかの目的あるいは理由から、あえて旧世代型の手術が行われることもあるのだろう。
コーラル代替技術を用いた第7世代以降の手術を受けていると作中で明言されているのはアーキバス所属のパイロットのみである。後述する第5・第6世代に関する考察が前提となるが、第7世代以降の手術は企業のような資本力・技術力のある組織でなければ施術出来ず、それ以外の場所で一定の成功率と成果が見込めるのが第4世代だったという可能性はないだろうか。
新世代の手術を受けているのはアーキバス系パイロットばかりで、スネイルのアリーナ解説には、彼の強化手術を新世代にアップデートするため多くの強化人間を犠牲にしたという記述がある。ここから、新型の強化手術は実験を繰り返したアーキバス系企業の独占技術で、競合のベイラムには供与されていないとも考えられる。
「再手術をして普通の生活に戻る」ことも不可能ではないようだが、どういった施術なのかは不明。
V.III オキーフは、再手術で強化世代を更新し、脳内に焼き付いたコーラルを取り除いたという。つまりコーラル使用型の機器などを取り外したり置き換えたりすることは可能な模様。おそらく旧世代型の強化人間にはよく見られる「幻聴」などの症状もなくなるのだろう。不安定化した人格なども緩和できるのかは明確でない。
強化世代の更新とは別口の、完全に強化人間としての能力を除去して悪影響を解消する手術が存在するという可能性もある。ウォルターが621に向けた「普通の人生」を送ってほしいという願いを思えば、こちらなのかもしれないが…真偽は不明である。
ナガイ教授の口述筆記によると第一助手はCパルスで人間の知覚を増幅することに執心していたようだ。これが強化人間の発端であろう。
ストーリートレーラーでハンドラーウォルターが621を起動する際、621の首元からは、赤い液体が流れているチューブと複数の柔らかい光ファイバーのような外見ものが抜け出ている。第4世代の時点でも脳や神経に機械を埋め込む外科的処置と考えられ、第1世代の成功率が10%と言われるのも無理はない。
物語のオープニングや、「賽は投げられた」ルートで休眠していた621を覚醒する際、「脳深部コーラル管理デバイス」を起動させていた。これだけでも脳に異物を埋め込むという、星間航行も行える時代にありながら困難を極める手術であることは明白であり、スウィンバーンなどが成否の知れない手術で猜疑に満ちた矮小な性格に歪んだとなっても仕方のないものだったとわかる。
この「脳深部コーラル管理デバイス」を埋め込む旧世代強化人間だったからこそ、Cパルス変異波形と交信が行えたとも考えられるが、帥父ドルマヤンは作中に特に強化人間であるという描写が無いにもかかわらず、セリアとの交信を成功させている。コーラルを過剰に摂取すればいいという話であれば、コーラルを常用するルビコニアンやドーザーたちも交信が行えているはずだが、そうした描写はない。
621やドルマヤンは特に耐性が高く彼らほど多量摂取できた人間が他にいない、変異波形との相性など、単なる過剰摂取以外になにか条件があるとも考えられるが、明らかになっていない。
「脳みそパチパチ弾けて幸せだぜ」とあるように、コーラルドラッグには酩酊効果があるため、第三者にはヤク中による妄想なのかコーラル変異波形との交信が行えているかは判断できない。強化人間に関しても感情喪失や人格の不安定化、耳鳴りなどの諸問題が起こるため、過去に交信した者がいても発見・認定されてこなかったという可能性もある。
第1世代強化人間の生き残りであるスッラは「アイビスの火が起きる前から」ルビコン星系周辺で活動していたとされ、おそらくは技研によるコーラルを使った強化手術の最初期成功例。
坑道調査ミッションでエアも技研のデータに接触した際、強化人間がコーラル技術の産物であることを仄めかしている。つまりは技研の「山のように生み出された狂った成果」によって強化人間技術は発展しており、ウォルターが621、というより強化人間に入れ込む要因の一つになっていると思われる。
V.V ホーキンスのアリーナ紹介文に「狭間の世代で起きた凄惨な事故」という記載があり、第5・第6世代の強化人間技術には何らかの致命的問題があった可能性がある。もしそうならオールマインドの特別な強化人間リストになぜか条件の内にあるであろう第5、6世代の提示がない(同時に該当人物もいない)のにもなんとなく説明がつくかもしれない。
コーラル仕様強化人間は「Cパルスによる(おそらく脳神経細胞の)知覚増強」が基礎技術なので、アイビスの火以降はコーラル抜きで脳細胞を刺激して機能増強するような手法が模索されたと思われる。人権などガン無視で利益追求するメガコーポが開発してる以上、ヤバい薬物とか後遺症が残るような処置などが多用され大量の犠牲を出してコーラル代替技術が確立した可能性は高い。
コーラル
コーラルとは何か
ルビコン3で見つかった新物質。本作を考察する上で決して欠かせない存在だが、何かと謎の多い物質。
なにより、
粒子状の赤い光をはじめ、水面にうっすらと浮かびながら淡く赤い光を放つ液体・液体を撒いたかのように飛び散る炎といった不定形な物体として描写されているものの、物質の三態としては具体的にどのような形態なのかも判然としない。
企業が取り合うほどのエネルギー物質であり、情報導体でもあり、なんらかの汚染性を持ち、鳥や魚のように群れる性質を持ち、向精神薬となる性質を持ち、情報機器類に干渉し、ミールワームを育み、ニューロンのように経験を記憶として蓄積でき、知性と意思を持って人と交信し、星系を焼き尽くすほどに燃えたりもする。
あまりにも要素を詰め込みすぎている存在である。
コーラルの汚染とはどういった物なのか説明はないが、ゲーム紹介トレーラーによると
寒冷化
が起こっているようである。
ウォルターはコーラルが宇宙へと爆発的に拡散することを「汚染」と表現する他、撃破したアイスワームがコーラルを漏洩しながら崩れ落ちる際に「爆発の余波が周囲を汚染する」と明確に汚染源として扱っているため、汚染の危険性を確信しうる情報は持っている模様。
アイスワーム初出現時に遠隔分析したエアも「コーラル反応が高いので有人ではありえない」と言っている。つまり、コーラルは濃度が高い、あるいは強く活性化した状態だと人間には耐えられないほどの悪影響を起こすと、他ならぬコーラルそのものであるエアが判断している。閾値はともかく有毒物質として扱うべき物なのはほぼ確定だが、その閾値がどのぐらいかと、短期的な影響と長期的な影響といった具体的な描写はない。
過去作でも「世界が汚染され地下に避難」「コジマ汚染で余命わずか」といった話はあったが、具体的な毒性は示されてこなかった。それは今作も同様。
寒冷化に関してはアイビスの火によって殆どが燃え、灰が巻き上がった為に起きたと考えることもできる。しかし、アナウンストレーラーを見るとそれ以前からグリッドの様な高層物がひしめいており、元から地上付近は生活に適さない環境だったか、別の目的であった可能性もある。地球型大気なら高度が上がるとともに気温は低下するため、「寒さを避けるため高空に逃れた」という訳ではないだろう。
ナガイ教授の遺した記録によれぼ、コーラル個体群密度によって増殖速度が変動し、「真空状態など」が密度を最大化させやすいとしている。
コーラルがタンクから漏れるといった事故が一件も起きなかったとは考えづらい。惑星外に移送中に僅かでも漏れ出たら爆発的な増殖を引き起こすという訳ではなく、何らかの条件があるようだ。
一般に個体群とは生態・遺伝の面で「同種の生物で、一定の範囲内に住んでいる状態」かつ「他の個体群と分かれている」状態のものを指す。例えば同種のワタリガラスで「島Aに住む群れ」と「島Bに住む群れ」に交流が無い場合、「島A個体群」と「島B個体群」に分けて扱われ、個体群が多いほど遺伝的多様性が高い場合が多い。これに倣うなら、コーラルは「なんらかの条件でひとくくりにできる群れで共有される個性」があり、その密度が増殖性を左右すると考えられる。
ナガイのログでは密度の「増大」を注視しているため、複数の個体群が近い場所に集まるほど増えやすく、空気分子などが集結の邪魔になるのだと思われる。一方で、リリース関連におけるバスキュラープラントへの一極集中、トリガー役の存在、「母集団から離れたものは切り捨てるしかない」というオールマインドの言からは、大量に集めてから同一個体群に統合するのが条件とも取れる。
増殖からの破綻に関わるのが「多数個体群による増大」で、増大からの相変異を経てリリースに必要なのが「単一個体群への統合」であれば矛盾はしないが、このあたりは明確ではない。
621はウォッチポイントで「致死量に近いコーラル」に暴露しているが、何がどう作用して「致死的」になるのかは不明であり、それに621がどうやって持ちこたえたのかも不明。ムービーに入った際のエアの呼びかけで「意識の散逸」前に踏み留まったことが重要だったなら、「ドラッグになりうる物質」の過剰摂取が意識をコーラル群に散逸させてしまうことそのものが「コーラルの汚染性や致死性」なのかもしれない。
ACは宇宙空間や汚染地域で平然と活動できるかなり強固なコクピット与圧機能を持っており、爆発的に吹き出したコーラルがどうやって機体を損傷せず621の体にだけ「浴びせられた」のかはかなりの謎である。
621はエンゲブレト坑道でも励起コーラルの爆発的噴出に巻き込まれているが、なぜかこの時はエアですら「装甲を侵食するから奔流には触れるな」と、機体が直接破壊されることを心配するのみである。より間近で噴出に飲まれたはずのウォッチポイントでは機体より621自身のほうが危険な状態に陥っており、やはり謎が残る。
ウォッチポイント・デルタの一件は、621が「ACの機体と情報的にリンクしている」強化人間であるからこそ、情報導体のコーラルを浴びた機体を通して中の人の意識そのものが惑星規模のコーラル情報ネットワークに希釈拡散されてしまう、という
強化人間限定の事例
だったとも考えられる。その後はエアが常時ファイアーウォールよろしく621の意識拡散を防いでいたのであれば坑道や集積コーラルでは問題が起きなかったことも説明できる。
ただし、強化人間が大量のコーラルに接触した時に同様の事態が起きた例が作中では存在しない。ウォッチポイントで621を下したスッラも逆流に巻き込まれて意識喪失の憂き目に遭っていたのかもしれないが、それはプレイヤーには確認できない事象である。
エンゲブレト坑道の場合、励起したコーラルでダメージを受けるのは、コーラル系武器と同様に指向性のエネルギーの奔流となって坑道内に吹き荒れた可能性がある。
この場合、奔流の直撃を受ければ一瞬で機体が破壊されるし、奔流の余波などでACや封鎖機構がダメージを受け続ける反面、坑道内の設備に極端な破壊がなかった(特に坑道の脇道にある設備は無傷に近い)という説明にもなる。
いくつかの場面や記録で「共振」なる現象が発生しており、劇中ではアイビスシリーズが周辺環境(集積コーラル)からエネルギーを得て再起動したり、リリース可能な状況が整ったバスキュラープラント内のコーラルがこの現象を起こしていた。
振動とは波のことだが、この場合はCパルス変異波形が媒質であるコーラルに作用して起きる現象をひっくるめて共振と表現しているのかもしれない。
+
余談
コーラルがドラッグとして作用する理由については具体的に説明されていないが、コーラルを利用した機器が強化人間の開発に用いられたこと、情報導体にも使えるという設定から、コーラルは人間の神経パルス≒意識を体の外部の電子機械などと翻訳・橋渡しするような効果がある模様。
これをドーザーのように生でイッてしまうと意識が電子機器ではなく空気中のコーラル群知能と接続され、人間とは異なる意識に溶け込む事で感覚や意識がトリップ状態に陥るのではないかと推測する向きもある。
コーラル群の中を神経パルス電流のようなものが走っている光景もこの推測の根拠に挙げられる。「声」や群知能や思考を持つに至るコーラルを「ひとつの巨大神経回路=脳」と見立てた場合、コーラル摂取によってそこへ自分の神経回路を接続した人間が記憶情報や思考力や身体感覚をブーストされるような体験をしたり、自分自身が大きくなったような感覚を得るのが向精神薬物質としてのコーラルなのかもしれない。
これが行き過ぎて「巨大回路の一部」として取り込まれたり、接続したまま戻ってこられなくなるのが621の体験しかけた「意識の散逸」なのだろうか。
コーラルドラッグの服用方法や効果は定かではないが、とあるミッションでエアは「ドーザーたちがコーラル酔いで遅刻するのではないか」と心配していた。摂取すると酩酊に似た効果があるのかもしれない。
散逸した人間の意識がその後どうなるかは謎だが、断片的な情報として回路内に残るなら、それもコーラル群の記憶や声になり、エアら変異波形のありように多少なりとも影響を与えたのかもしれない。
動力としてのコーラル
コーラル内燃型ジェネレーターは「コーラルを燃焼させてエネルギーを得ている」と説明はあるが、膨張や爆発を内燃機関のように物理動力に変換しているのか、核電池やMHD発電のようにコーラル燃焼から生じたもので直接エネルギーが得られるのかは不明。補給に関しても謎で、増殖を利用するなど何らかの回復手段があるのか、作戦後に充填しているかは明確ではない。
ジェネレーターの説明では「
生体物質としてのコーラルの特性を利用したものであり、限界まで燃焼することで急激に回復する
」という記述がある。「密度が低い場所では急増殖する」というコーラルの性質から、燃やし切って密度の下がったジェネレーター内でコーラルが急激に再増殖しているようにも取れるが、だとしたら何だか酷い事をしているものである。
C兵器についてもコーラルを動力としているという言及があるが、シースパイダーのように動力源にしているものと、アイビスのように動力も伝達系もコーラルで作動しているものがある。コーラルジェネレーターは激しく破壊されると赤い火球を生じる爆発を起こすが、その規模は他種のジェネレーターより大きい。
強化人間の項目でも触れている通り、コーラルは兵器の制御にも利用できる。コーラルは機械にも人体にも利用でき、その間を繋ぐような存在としても描かれている。
兵器としての直接利用については、赤いビームとして発射し目標にぶつけるという用法になっている。こうしたコーラル兵器は衝撃残留値が高いという独特の性質を持つ。
坑道調査ミッションでは「励起したコーラルはACの装甲を侵食する」と言われるため、これらの兵器も励起コーラルを叩きつけて装甲を溶かしたり削ったりしているのだと思われる。
コーラルオシレーターなどの説明によると「コーラルの群知能にEN干渉」して光波やビームとして撃ち出しているらしい。オシレーターとは発振機能のある素子や神経の事であるため、要はコーラル群に対してエネルギーを加え、「光波になれ」「ビームになって飛んでいけ」という命令を与えているようだ。飛ばしたその都度コーラルが消費されているのか、命中後に大気中に散っていくのかは明確ではない。
無尽蔵のエネルギー
ミッション「カーマンライン突破」では、
高空に浮遊しているコーラルのおかげでエネルギー供給が無限になる
と述べられる。
コーラルジェネレーター装備でなくても発生するため、大気と一緒にコーラルを吸入してアサルトブーストの燃料にしているということだろうか?
燃料はともかくノズル他の冷却はどうなってんだろう
よく見るとこのミッションでは、画面の両サイドにソースコードのようなものが流れるエフェクトが入る。これはミッション「坑道破壊工作」にてコーラルの逆流現象が発生した時にも適用されており、逆流現象の発生中はAPが減り続ける代わりにEN供給が大幅に上がるという現象が起きている。
これらは恐らく同様の現象であり、大気中のコーラルが何らかの形でACに影響を与えているものと思われる。コーラルは情報導体特性から
機器類に干渉する
とエアからも語られており、実際に停止していたACの残骸などが起動して情報ログを抽出するにまで至っている。
とても単純な考え方をするのであれば、
動かなかった機械を動かしてしまうコーラルは、動いている機械ならさらに動かしてしまう
とも言える。ソースコードの表示がACのCPU部分にまで影響を与えているという表現であれば、その範囲は動力系統だけに限らないだろう。
実際、Cルートエンドでは、安元ボイスのCPUではなくエアが「戦闘モード、起動」と発言して終わる。周囲にある擱座したACが次々に立ち上がる様子も含めて、ACのCPUに慣れたコーラルたちが、手始めにACの制御を乗っ取って立ち上がり始める(コア動力等はコーラルが代替)形で終わる。エネルギーであり、数式データにもなる、様々なものに代替可能な柔軟なエネルギー情報生命体が、コーラルの正体なのかもしれない
活性と不活性
作中においてコーラルは「
活性コーラル
」と「
不活性コーラル
」に区分けされている。
地表に見られるコーラルには活性化したものと不活性なものに区別され、不活性コーラルは「アイビスの火がもたらした余燼」とも表現されている。観測データのログによれば、その比率はベリウス地方でも中央氷原でも不活性が8割で、活性は2割と少ない。
エネルギーなどに利用可能な「燃やせる」状態のコーラルが活性であり、「燃え終わった」不活性なものは利用価値がないか、利用するには効率が悪いのだと思われる。汚染に関しても、活性と不活性で何か差があるのかもしれない。燃やしてしまえば良いという結論からすれば、燃やす前の活性コーラルが有害であり、それが宇宙に拡散増殖するとマズいという事だろう。
ルビコンの大気圏上層に拡散しているコーラル(海越えで見えている赤い層)は大半が不活性コーラルだと考えられるが、その中にも「コーラル達の声」が存在しているらしい。
不活性コーラルの結晶
ミッション「未踏領域探査」では、レーザー障壁にて阻まれていた洞穴のさらに奥に進むことになるのだが、その周囲の壁面には暗い紫色の奇妙な結晶が生えている。この地点にかつて存在した最初期Ver限定セリフとしてウォルター曰く、これは
不活性コーラルの結晶
であるようだ。
「…それが気になるか? 不活性化したコーラルに害はない …死んだ人間と同じだ」
基本的にコーラルが、液体の水や空気中の粒子として表現されることを考えると異質な姿である。不活性化したコーラルは全てこのように結晶化するのだろうか。また作中で確認するに、不活性コーラルの結晶はACと比較できる程度には巨大である。どれだけの量が集まればそれほどの大きさの結晶になるのか。
そんな不活性化したコーラルの結晶だが、作中ではこの洞穴と技研都市でしか確認されていない。仮にコーラルが燃焼を経て結晶化するのであれば、アイビスの火を経験したルビコンの各地で存在しているはずである。
特にべリウス地方と中央氷原ではその8割が不活性コーラルと明言されている。氷原のコーラルの総量がどれほどかにもよるが、結晶はどこにも見当たらないため、目に見えるサイズで固まるには何かしら条件が必要な可能性もある。
Cパルス変異波形
作中のエアやセリアのようにコーラルの情報伝達物質の特性から粒子間に生まれるパルス群が個を形成し人格のようなものを持った存在。それ故に、脳内にコーラル制御装置が埋め込まれた旧世代型強化人間や、コーラルを直接体内に摂取しているドーザーなど、脳がコーラルに汚染されている人間でないと知覚すらできない。
ただしドーザーの中でCパルス変異波形との交信を明言しているのはドルマヤンのみ。旧型強化人間も誰しもが交信できるとは言えないようだ。
信号であるからか電子的な観測は可能なようで、ナガイ教授やオールマインドなどに観測されている。ただし、コーラルを取り込んでいないナガイ教授やオールマインドは観測はできていても当然知覚・交信はできていないはずであり、Cパルス変異波形が具体的にどういったものであると考えていたかまでは不明
エアが長い間誰も自分を知覚できなかったと言う事から昨日今日生まれた存在でないのは確かだが、それがどの程度昔なのか、人類がルビコン3に入植する以前から存在しているのかは定かではない
エアは他のCパルス変異波形の存在について言及せず、交信を行っている様子も無いが、空気中のコーラル群を指して「彼らの声が」と言っている。このため、他のコーラルが発する信号を「見る」ことは日常的に行っている様子。
ただし、それらの「声」がエアと同レベルに高度な知性やヒトに近い人格を得ている「他の変異波形」という意味なのか、変異波形ではあるがエアほど複雑化していない状態なのか、生存欲求や群知能といった本能的レベルのものとして発せられる信号をエアが見守っているという形なのかは定かではない。エアは自分以外の自我を持つ変異波形について全く言及せず様々な行動を起こしているので、彼女やセリアはかなり特殊な存在なのかもしれない。
技研都市廃墟において「集積コーラルを防衛していたアイビスシリーズCEL240」にエアは「コーラルを守る意思」を感じ取っている。そもそも半世紀前のアイビスの火でアイビスシリーズはナガイ教授の手で「コーラルを燃やす」よう指令を受けていたはずなので、このCEL240は災害の後にコーラルによって制御を乗っ取られて防衛にあたっていた可能性が高い。
逆に言えば、機動兵器を操れるレベルのコーラルでさえ「意思を感じさせる」程度で、エアと直接のコミュニケーションを取らないか、取れない、あるいは言語を持つ思考レベルに至っていないという事である。
ナガイ教授の筆記において、コーラルの異常増殖が始まったアイビスの火前後において変異波形発生の兆候を観測していることから、この時に誕生した可能性もある。これだとエアは50年ほどの時間を経験していることになるが、段階的な知的・精神的成長を経て今に至るのか、コーラルの神経的なネットワークからあるていど人格が完成した状態で発生したのかなどは定かではない。
エアがあまりにも人間のように振る舞う点や、アイビスの火以前に第一助手がCパルスを用いた強化人間の研究を行っていた点、助手の妻が何らかの研究の犠牲になったらしき情報などから、変異波形の発生に人間の活動が関連している、人間を模倣していると想像するプレイヤーもいる。
その主体がコーラル粒子と波形パターンどちらにあるのかは不明。コーラルの中にエアをエアという個たらしめる粒子群が存在し、それらが失われるとエアという存在も死ぬのか、波形パターンというデータすら保たれていればコーラルがあればどこにでもエアは存在できるのか
セリアの言葉や賽は投げられたルートを見る限りでは後者の可能性が高いが、逆にレイヴンの火ルートにて撃破されたエアの様子は「死」を感じさせるものである
ほぼ電気信号そのものな存在である事から電子機器を解析する能力に長けているが、かといって好き勝手に機械の中に入り込んで操作するなどはできないようだ。それができるのであれば人類との「交信」を待つ必要などなくコンピューターを通してコンタクトを取ったり、敵対するACや袂を分かった621などを電子的に攻撃できるだろう。例外としてコーラルジェネレーターを利用した兵器ならば彼女も操作が可能で、オールマインド戦ではエフェメラを繰り馳せ参じた。
おそらくだが作中のエアは621に強化手術で埋め込まれた電子インターフェースを通して機器類にアクセスしていると思われる。ミッション中の隔壁解放なども621が直接制御端末にアクセスしないと行えないのもその為だろう。なので作中エアが持ってくるルビコン解放戦線からの依頼も、相手側からすると621が自分で営業をかけてきたようにしか見えない可能性がある。
終盤でエアが単独で封鎖機構や技研の機器にアクセスしているシーンが出てくるが、コーラルの伝達物質としての性質を利用した動力部分を直接操っているか、そこから電子部分に侵入してハッキングしていると思われる。
上記のように解放戦線と依頼の連絡を持ったりネットワーク上にメッセージをバラ撒いたりと、非コーラル系の一般機器を操作して人間とやり取りすることは普通に行っているため、この辺りはやや矛盾した描写となっている。
「賽は投げられた」ルートでは、オールマインドに統合されて、機体を「別の身体」扱いで取り替えるなど情報体のような行動を取るイグアスが耳鳴り=変異波形による交信の不完全受信を訴えている。肉体を放棄せずコーラル交信用のアンテナとして残してあるのかもしれないが、そうでないとしたら変異波形との交信に必要な脳内コーラル自体が物理的に存在しないはずなので謎。
ナガイ教授の口述筆記(1)の
「重要なのは密度効果による『相変異』の兆候を見逃さないことだ」
と、口述筆記(5)の
「変異波形発生の兆候も見られる」
の記述は、実は同じものを指しているのではないだろうか?
つまり、コーラルが増殖する
→コーラル総量が一定規模を超えると密度の増加により「相変異」を起こす
→
相変異で形質変異したCパルス「変異」波形
は人類と交信可能な知能を持つようになる
→「コーラルの声を見た」連中が増えだしたらコーラルの総量がヤベえ段階に来てるぞ、そこから破綻まで秒読みだから観測し続けろ、最悪の場合は燃やせ、ということだったりするのでは。
こう考えると、観測データ:変異波形反応の
「変異波形反応を確認 やはり生じています」
は、アイビスの火で大量焼失したコーラル総量が半世紀の増殖で戻り、相変異によって変異波形(エア)が生まれている。今ならリリース計画実行できるわー、スッラ差し向けるわー、なのではなかろうか。
ミッション「ザイレム撃墜」で、エアの声を直接確認したハンドラー・ウォルターが「火種を見つけた」と表現していること、また序盤のウォルターとカーラの通信での「それより コーラルをさっさと見つけた方がいい 『友人』たちが危惧していたとおりさ 封鎖機構の相手ばかりしてると ことによっては間に合わなくなるよ」という発言の意図も
「コーラルが相変異を起こすとCパルス変異波形が出現し、変異波形が存在しているのであれば破綻は目前」
という認識をオーバーシアーがナガイ教授から引き継ぎ共有していたと解釈すれば腑に落ちる。
本業が技術者のカーラがなぜドーザーなどというヤク中の群れの中で活動していたかにも一定の説明がつく。好きこのんで脳をコーラル漬けにしているドーザー達は自然の生体アンテナとして機能し、彼らの譫言めいた言動を継続監視すれば「コーラル内に変異波形が発生したかどうか」を観測できるのである。
+
余談
機器の影響説
作中に実際に登場するCパルス変異波形はエアだけなので明確にはできないが、エアの行動から
「Cパルス変異波形の性質は干渉した機器の影響を受けるのではないか」
という考えを持つプレイヤーもいる。
この仮定では、エアが621をサポートしようとするのはACのCOMの影響を色濃く受けたからだとする。エアとの交信はACがコーラル逆流に飲まれた事をきっかけに発生しているため、
エアはACのCOMに宿り、そのまま影響を受けたのではないか
というもの。
エアがCOMに影響を「与えている」
ことは確かなのだが、
「受けている」
という形で逆流や逆転が起きたことを示す情報は存在しないため、余談に格納。
バルテウス戦から621を「交信でサポート」し始めるエアだが、この時はオートパイロットを終えた画面にノイズが走ったあと「
メインシステム、戦闘モード再起動
」と、ACと621を繋ぐ制御システムに明らかに干渉しているうえ、通信回線の遮断などけっこう重要な部分まで好きに操作してしまっている。この説では特に、システムボイス同様の台詞を発したことを「エアがACの制御システムのように振舞っている=エアの思考と制御システムが混在している」と解釈する。
通信回線を遮断した理由は「致死量に近いコーラルを浴びた直後なので戦闘に集中するため」だという。エア曰く致死量のコーラルを浴びると自己意識がコーラルの流れに散逸してしまうとの事だが、少なくとも誰かと会話したり、他人を意識したりするべき状況ではなかったということだろう。
ACの制御システムに関しては、バルテウス戦以降は元のシステムボイスで稼働し続けており、オールマインドの保護下から再起動する際も明らかにエアと別系統で制御されているため、少なくともエアが丸ごと入れ替わる形で乗っ取ったり、不可分に一体化するような形にはなっていない様子。
このあたりはエアがCOMを「オーバーライド的に操作できる証拠」であって、エアがCOMの影響を受けたかどうかとは因果関係が逆。「操作できるなら影響もされるはず」と仮定しても、下記のように「操作された側のCOMに人間をサポートしたいという願望的なものがあると仮定し、その願望的な何かがエアに逆流して支配したとするならば」という、結論のための仮定を三つ重ねることが必要になってしまう。
冒頭の描写などからわかる通り、本作のCOMは621の脳深部コーラル管理デバイスの起動まで制御し、意識の覚醒なども操っている。COMの影響を受ける機器が脳に埋め込まれていることが、エアの交信が621にしか聞こえないことの説明にもなる。
これは「エアの声が621にしか聞こえないこと」の説明にはなるが、エアがCOMの影響を受けたかは上記と同じく上下関係や因果関係が逆になっている。エアが「脳波と同期」したことで対話可能になったのは確かなのだが、それをCOMへの一体化でないと実現できないのかは明言していない。
下記のドルマヤンの状況にも関わるのだが、強化人間やACパイロットではないだろうドーザーたちもコーラルドラッグをキメて意識をおかしくしている描写があるほか、エア自身も「致死量のコーラルを浴びると意識散逸が起こる」と説明しているため、危険性や成功率はともかくコーラルと意識脳波の関係に「COMの介在」が必要条件ではないのが判る。この側面から判断しようとすると、エアが脳波同期とCOM制御を一元的に行わざるを得ないのか、並列別口で行っているのかがポイントになるが、エアと621のみに限定されたシチュエーションであるため、この点は判断がつかない。
エアの様子を「レイヴンをサポートすることに固執・執着している」と拡大解釈するものもいる。
その理由は「ACのCOMに影響された行動原理を持っているから執着するのだ」という循環論法の飛躍に基づくのだが、そもそもACのCOMは別に「人をサポートしたい願望を持つ人格AI」という訳ではない。そのため、COMと執着心が関連しているというスタート地点自体が存在しない。
確かにエアがレイヴンに対して見せる感情には尋常ならざるものがあるのだが、エアの態度を執着や固執だと解釈するとしても「誰にも知覚されなかったエアが唯一交信できるのが621だけだから」など他の理由はいくらでもあり得るため、敢えてCOMの影響に結び付ける理由が存在しないのがネック。
この説から「ドルマヤンと交信していたセリアも何らかの機器に宿っていたのではないか」という飛躍もある。
ドルマヤンが強化人間だったかは明言がないためACのCOMであったとは断定できない。また、ドルマヤンの随想録には「いつものように私の内側で彼女が囁く」と明言があるため、劇中の描写と矛盾してしまう。そのためこちらの説はほぼ否定されていると考えていい。
コーラルリリース
オールマインドが目的としていた、人類に新たな地平を拓く「
コーラルの解放
」。恐らくその最大の目的は、
集積したコーラルを宇宙空間(真空)に解き放つ
ことであると思われる。
ナガイ教授の口述筆記から、「
コーラルは自己増殖し、その増殖速度は密度の影響を受ける
」「
真空状態は密度を最大化する理想的環境のひとつ
」ということがわかっている。これらを組み合わせると「
真空状態に置かれたコーラルは密度が最大化するので増殖速度も最大化する
」ということになる。
口述筆記には「密度効果による相変異の兆候を見逃さない事」ともある。
相変異とは主にバッタなどの群生昆虫に見られる現象で、密度が上がりすぎる(狭い範囲で数が増えすぎる)と生物としての形態そのものが変化してしまう現象を表す。バッタは増えすぎると翅で遠距離まで飛ぶようになり、大群となって移動しながら農作物を食い荒らすという極めて危険な性質に変異してしまう。ナガイ教授は、これと同じことがコーラルでも発生すると考えていたようだ
コーラルリリースにはトリガーが必要で、それを担うことができたのは621とエアの2人だけであったようだ。オールマインドはそのトリガーをも自らで引くことを目的に、621を殺害、取り込もうとしていた。
この「トリガー」とは何なのか、621とエアでなくてはならなかったのは何故なのかは不明。だがエアが「そのトリガーは私たちが引く」と明言していることから、実際コーラルリリースはエアが意図して引き起こしたようだ。
作中での描写から推測する事しかできないが、人類と共存し宇宙中に遍く行き渡るという意思をコーラル全体に伝播させる事ができる存在がコーラルを拡散させる必要があった可能性があり、それが「トリガーを引く」と表現されている事であると思われる。ただコーラルが宇宙全体に行き渡れば良いのであれば、それこそオーバーシアーの言う「破綻」を待てばよいだけでオールマインドがここまでの暗躍をする必要がないからである。
リリースにより、コーラルは621とエアを乗せ星々に伝播し、「いつでも、どこにでも」いる存在へと変化させたのだという。二人の意識波形を乗せたコーラルが宇宙中の空間に遍在する状態になったということだろう。
エアは621とのアリーナ戦ののち「人は人と戦うための形をしている。闘争が人間の本質であり生命進化の鍵で、オールマインドはその先にあるものを目指している」と言っている。本当にこれがコーラルリリースの目的なら、人の意思をコーラルに載せて機械に伝播させ、更なる闘争の時代を築くことがコーラルリリースの目的という事になる。
エアのこの発言は、前作ACVの主任などが持っていた「戦いこそが人の持つ可能性なのかもしれない」という思想をより突き詰めたものであると同時に、本作における「アーマードコアは何故人型なのか」という問いに答えを出してくれている。
闘争を以て人は進化していく、という意思をコーラルの奔流に乗せる事がオールマインドの至上目的であり、やや平和主義的志向のあるエアは不適切と看做していたのであろうが、結果はエンディングラストの例の台詞を見てもわかる通り。
体は闘争を求める
他2ルートと異なり、オールマインドが621をスネイルの策略から逃がしたため、「脱出」ミッション以降にあったウォルターやカーラ、ラスティの真意に触れる機会が失われ、さらにはシミュレートとはいえ621と「自分で戦う」というエアにとっては鮮烈だろう経験により大きく闘争に傾倒するようになったのかもしれない。
ただ殺すことだけを覚えさせたか…
戦争の歴史や動物の縄張り争いを見ると「闘争で進化」はそれらしい論のように見えるが、それが同種の生命体同士の場合「
闘争そのものには何の生産性も無い
」という根本的な問題点がある。縄張り争いや戦争のように負かした相手の財産や領土を奪う、アリーナのように上位の何者かが報酬を払ってくれるならともかく、「闘争の先に得られるもの」がプラスにならなければ、それは
V.Ⅰフロイトみたいな
戦闘狂がエネルギーや物質を無駄に浪費しただけに過ぎないため、いつかは破綻する。「闘争しても得るものが無くなる」のは現実世界における抑止の基本でもあり、動物が得るものの無い喧嘩を避けるのも、第二次大戦以降に全世界規模の戦争が起きづらいのも「闘争のコストに対して収支がプラスになるほどの見返りが存在しない」からである。
しかし、コーラルリリース後の世界で主人公とエアはACのような機械を身体として「いつでも、どこにでもいる」存在になったことを示唆している。対峙する側からすれば全ての機械で無限発生するコンピューターウイルスみたいなものであり、これと闘争してみたところで領土や財産や食料が得られるわけではない。戦えばプラスになるのではなく、戦わないとマイナスになる、つまり「現状維持以上を求めるなら無限に闘争を強要される」ような状況を作り出して人類との闘争を続け、互いに果て無く進化することを狙っているのだろうか。
そうだとしても、闘争でのエネルギー浪費による人類側の疲弊は解決されないわけだが、その辺りは62エアの方で加減してくれるのだろうか?エネルギー源としてのコーラルを餌にするといった対策ぐらいは考えているのかもしれないが⋯後述するオキーフやドルマヤンの反応、ナガイ教授の危惧からしても、コーラルリリースはAC6世界の価値観や常識に照らしたところで
およそはロクな結果を齎さないもの
と見做されているため、一方的な理論で行動する存在が人類に戦いを仕掛け続ける異常事態は、彼らの懸念を具現化した結末ともなっている。
そうした現実的な問題は横において精神的な面で言うなら、アーマードコアシリーズ直近の3作品においては「
正のエネルギー。成長と野心と、新しい戦争の時代だ。
」「
戦いこそが人間の可能性なのかもしれん。
」「
生き延びてみせるさ、俺たちが戦い続ける限り。
」と戦いによって未来が拓かれるというような主旨のセリフで締めくくられており、シリーズのテーマとしては「発展と闘争は不可分なものである」という考え方が色濃い。
そうした、つかみ所のない存在がコントロールする「浪費で破綻しない程度に調整された目的ありきの闘争をやらされる世界」というのは、過去シリーズのAIに支配される閉じた世界の構図の再来と言える。
賽は投げられたルートではコーラルリリースが人とコーラルの共生の切り札であるかのように扱われたり、人類に進化をもたらすといったポジティブな印象で語られることが多いが、これはオールマインドが一方的に発言しているに過ぎず、どこまで信用できるかは怪しい。事実、他の人物からは以下のようにそれに反する発言が見られる。
ALTミッション「無人洋上都市調査」のドルマヤン。「その賽は投げるべからず」「…コーラルを解き放ってはならん」「そこを越えれば 人間世界の悲惨が待つ…」
ミッション「ヴェスパー3排除」のV.Ⅲオキーフ。「お前は自分が何をしようとしているのか 分かっているのか?」「オールマインドと関わるのは… 止めておけ」「リリースに夢を見るのも… 止めておけ」
アーカイブのドルマヤンの随想録(4)(5)にもコーラルリリースに関する技研都市の論文について言及があるが、上記のドルマヤンの発言と同様の随想で締めくくられている。ナガイ教授やカーラ、ウォルターといった面々が一切実行する素振りすら見せなかったことから考えても、技研やオーバーシアーからもコーラルリリースが禁忌として扱われていたであろうことが推測できる。
ただし技研都市の廃墟には「コーラルリリースを起こすことも可能なバスキュラープラントの残骸」が鎮座している。アイビスの火以前にコーラルを星系外に輸出するため建造されたのか、それを名目に(まさにオールマインドが誘導したように)コーラルリリースを目的に作られたのかは定かでないが、リリース寸前の状況が揃えられていたのは間違いない。
賽は投げられたエンドに対する仮説
(各サイトやプレイヤー個々でも多くの解釈があり、劇中での明確な言及もないため、ここでは記載順に番号を振る)
仮説1:ブラックホール化
リリースエンディングでエアが「トリガーを引く」と宣言した直後、バスキュラープラントが内側に向かって潰れ、赤く縁取られた巨大な黒い球体が発生する。集積コーラルは「増殖しながら集まる」性質によって加速度的に高密度・巨大質量となり、高重力を生じて
ブラックホール化した
のではないかとするもの。
このブラックホール化の表現は、SF映画「インターステラー」にて実際の物理学を元に再現されたブラックホールのCGビジュアルによく似ている。また2019年には同様にNASAが物理演算を元にブラックホールの再現映像を公開しており、これまた似ている。同様の表現は同作が発表されて以降、様々なメディアミクス作品で見かけるようになったものであるため、これも同様であると思われる。
ただし重力レンズ効果の屈折などブラックホール特有の現象は表現されておらず、降着円盤の形状もNASAの再現したブラックホールとは微妙に異なっている。
ビジュアル的にはブラックホールに似ているだけの別物である可能性が高い
が、本仮説ではこれをブラックホール的表現であると解釈する。
ブラックホール化説では、コーラルは重力で吸い付けた後の物質が凄まじい勢いで噴き出される「ブラックホールジェット」や「ホーキング放射」で吹き飛ばされ星星に拡散したのではないかと考えられる。この現象では、物質は光速の99.99%に近い速度で宇宙へ放出されていく。ラストシーンの海の惑星ではACの残骸のそばに巨大なクレーターがあるが、これがACへの砲撃痕なのか、コーラルが落下してきた跡なのかは不明。
ただ、ブラックホールジェットで飛ばされたとしてもその影響範囲は
数千光年程度
と言われている。ラストシーンでは明らかに星空にコーラルが伝播しており、その影響範囲は相当な広範囲に及んでいるように見える。宇宙という単位で考えれば数千光年という範囲はごく短いものなので、「いつでも、どこにでもいる」という描写とはかみ合わない。
1段階仮定を挟む事にはなるが、621が目覚めたのが何度かのリリースや拡散を繰り返し、人類の活動圏を超える全宇宙に行き渡った後だとすれば、描写としては成り立つ。飛び散らせる方法はともかく、コーラルは自己増殖できるので、たどり着いた先でまた増えていくのだろう。あるいは、ルビコンのコーラルもこのような形でどこかから飛来したものだったのかもしれない。
そもそもエアの言う「いつでも、どこにでも」が全ての宇宙空間であると断定できる要素は無い。エアの認識している「今現在コーラルで操れるマシンが存在する人類の進出エリア全域」であっても発言は成立する。もちろん、映像表現的には「全宇宙に広がった」と感じ取らせるものであるため、この解釈はやや直観に反する。
重ねてではあるが劇中描写にも見られるように、
そもそもコーラルリリースが生み出したアレが現実の天文学や物理学で言う「ブラックホール」なのかは明確ではない。
ブラックホール(みたいなもの)に変化した相変異コーラルは、ステーションや衛星砲など周囲の物体は引き寄せないまま赤いコーラルの流れだけを吸い込んで行き、白い閃光を放つなど、単純に巨大重力で周りのものを引き込んでいるとは思えない描写でもある。
仮にブラックホール化しているとして、高重力環境下にコーラルが耐えられるのかという問題もある。他の物質同様極めて微小な粒子にまで破壊され、その性質が失われるのであれば、コーラルとして振る舞うこともできないし、エアの波形も失われてしまうだろう。621も当然生きては帰れない。しかし、作中描写ではそうなっていない。
仮にブラックホールだったとしても、コーラルという未知の物質が引き起こす現象の全てが現実の物理学になぞらうとは限らず、情報も限られているため全てを説明しきるのは不可能である点に注意されたい。
仮説2:上位存在化
コーラルリリースの「全宇宙への拡散」は現実の科学に準拠した解釈をしようとすると矛盾が生じてしまう。かといってエンディングの星空の描写を見れば局所的な拡散にとどまっているとは考え難い。であればいっそ
既存の物理法則さえ超えて「いつでも、どこにでもいる存在」となった
と考えるほうが妥当だという説。
これは「神のような神秘的・超常的存在になった」とも取れるし、「既存の物理学を越える情報的な特異点となった」とも取れる。いずれにせよこの仮説ではコーラルリリースをより神話的・象徴的な演出として解釈することになる。
かなり象徴的な解釈だが、コーラルリリースの際に見える
赤い光の輪、黒い穴
の表現は、フロムソフトウェアの主力タイトル「ダークソウル」における象徴でもある。
ムーンライトソードやパイルバンカー、一部の登場人物の名前など、フロムは作品を跨いだ表現をたびたびおこなう。コーラルリリースを神話的な象徴だとするならば、これもそういった表現の一環と取れるかもしれない。
コーラルリリースの条件
オールマインドが予定していたコーラルリリース成立には3つの条件があり、
第1条件:
大気圏外に到達するバスキュラープラントの建造とコーラルの集積
第2条件:
コーラル変異波形と交信可能な特別な強化人間を支配下に収める
(AMへの情報的な統合)
第3条件:
第2条件で支配した強化人間とコーラル変異波形(エア)を交信させ、AMの目論見通りに変異波形にコーラル開放トリガーを引かせる
ことだったと推測される。
各ルートでは第1条件がアーキバスによって成立しているが、第2条件と第3条件は621が先にエアに接触してしまった上でオールマインドの統合支配を受け入れなかったので未成立(イグアスは第2条件達成のため621の代わりにAMに確保されたのかもしれない)。
第1条件について、アリーナ(ANALYSIS)のδ-1の説明に「計画の第1条件はアーキバスに整えてもらう必要がある」という記載がある。すべてのルートでバスキュラープラントは完成してしまうので、この条件は問題なくクリアされる。
第2条件についても、同じくδ-2の説明に「満たす候補者の目途は立っている、この機体は破壊しておくべきだ」と記載されている。この特別な強化人間とは621やイグアス、離反したオキーフなどが候補に挙がっていたと思われる。
続く第3条件についてもδ-2に記載がある。「あの男は第3条件成立を大幅に遅延させた。
修正が必要だ…
」とのこと。過去作ファンならニヤリとしてしまうような記載である。
この第3条件について、ウォッチポイントで撃破されているゴーストの残骸から回収できるログにも記載がある。「トリガーにはあの老兵が適任でしょう。計画の第3条件を取り込むのです」とある。
この老兵というのは恐らくスッラの事であると思われる。この事からスッラがあの時ウォッチポイントに訪れていたのは、
エアと交信するため
だったと思われる。同じログから、オールマインドはあの時点で変異波形であるエアが生じていることに気が付いている。もともとオールマインド側であったスッラをけしかけ、エアもろとも取り込もうとしていたのだろう。
恐ろしいのは、この時封鎖機構のバルテウスが襲撃してくることも織り込み済みだったのだろうということ。スッラの装備はパルスガンに直撃補正高めのバズーカ、削りのミサイルと明らかにバルテウス特化のアセンが組まれている。もしあの時主人公がウォッチポイントを訪れていなければ、計画はオールマインドにとってトントン拍子に進んでいた可能性が高い。
また、スッラのセリフが周回で変化した理由もうかがい知れる。ここでスッラの対応が変化する条件は「武装採掘艦護衛」のクリアであり、最序盤で大量のC兵器が登場するミッションである。ここでC兵器をけしかけたのがオールマインドなのかどうかはわからないが、少なくともここでの戦果はオールマインドが621に注目するのに十分なものだったのだろう。スッラにはより多くの情報が渡され、ゴーストも追加投入されていたと考えられる。スッラは621を危険視し、「その猟犬はやめておけ」と発言したと考えれば整合性が取れる。
これらを考えれば、計画を大幅に遅延させた
あの男
とは、計画における異物である621をけしかけたウォルターの事を指しているのだろう。この記載がδ-2、つまりウォルターの搭乗機ともなるHAL 826の説明文に記載されていることからもそれが窺える。(メタ的な視点だが、これが621を指しているのであれば性別の指定がなされるとも思えない)
なお「レイヴンの火」エンドでは全ての条件が成立しなくなり、「ルビコンの解放者」ではバスキュラープラントと621&エアは残っているもののオールマインドの思惑通りには動きそうにないため第2と第3条件は成立困難、「賽は投げられた」は統合支配したはずのイグアスに土壇場で反逆され、さらにはエアの手でコーラルリリースが達成されてしまっている。遡ればウォッチポイントで621とエアが出会ってしまった時点でAMのコーラルリリース計画は予定から大幅に逸脱してしまったのだろう。
Cパルス変異波形が条件に組み込まれたのは「コーラル相変異による爆発的増殖」を起こす為の号令役であるためと仮定できる。リリースの絶対条件として群体化したコーラルの意思に働きかけねばならないのだが、コーラルはその性質と劇中の「声として存在する」という話、ウォルターの群知能を有するという言から推察するに、意志を持たないエネルギー性の生物群的生態を持つと考えられる。本能のままに蠢く微生物と同じようなものだとすれば、意識だけのコーラルに同族であれば容易に干渉してコントロールすることができるのだろう。この為確たる意志を持ったリーダー個体によるコーラル全体への意思統率(意志の伝播と表現した方が適切かもしれないが)が可能であると考えられるが、それによりコーラルの増殖を促す号令役の「トリガー」としてコーラル全体へ干渉できるであろうエアの確保が必須条件だったと考えられる。
また、同族であるCパルス変異波形は相変異の兆候として現れる極めて稀な存在で、オールマインドが他の変異波形体を探しておらず、エア以外には選択肢が無かった為に、エアと交信可能な621も計画に組み込まれたのだろう。621も取り込む理由としては「交信」は望んだ相手としかできないために「受信」役が必要だったと思われる。交信できる人間であれば誰でもいいならドルマヤンを殺して取り込めば済む話なのに殺しただけで終わっているので、強化人間で尚且つコーラルと「声」で交信できる者が必要だったのだろう。
翻って劇中時間内においては同じCパルス変異波形であるセリアは既にいなくなっており、ドルマヤンが排除されたのは機能的に必要ないと判断されたという側面もあってかもしれない。
オールマインドはコーラルリリースにより人類とコーラルの進化を目指していると話していたが、それは別にエアと621がトリガーを引いてもその目的は達せられるはずである。それでも621をイレギュラーとして排除し、あくまで自分がトリガーを引くことに拘りを見せたのは恐らく「意思を伝播させる」部分にあるのだろう。エアと621の「コーラルと人類の共生を探る永い戦い」ではなく、オールマインドの意志の拡散…それが何だったのか、過去作の文脈に則れば「管理者」を目指したあたりだろうが、明確な答えはない。
+
余談
ゲーム中では特定個人の名称だった『レイヴン』が過去作の『レイヴン』のような普遍的な名称に変化した…とか、コーラルリリースとはこのゲームのプレイヤーが長らく停止していた『アーマードコア』というシリーズと『レイヴン』を再び解放(リリース)するという思いも込められている…などの空想を膨らませている古参の
様子のおかしい人
フロムファンもいる。
オールマインドの計画は穴だらけ扱いされがちだが、個々の穴は適時ふさぎつつ企業をうまいこと誘導してバスキュラープラント再建に持って行くまでは特に問題なく進んでおり、各勢力を手玉に取っていたと言えなくもない。621という穴一つが「
大きすぎる…
」だったのだが。
自分で失敗の原因を言い当ててしまっている…
リリース成功時のメリットに、「カーマンライン突破」の時のようなブーストエネルギー無限化を世界中で起こせるのではないかと空想するプレイヤーもいる。
ただし、あの空域で燃料に出来たのは「アイビスの火」に絡んで残ったコーラルのようであり、「ACのブースト消費程度では使い切れない程沢山ある」だけで無限とは限らないほか、相変異とリリースを経たコーラルではないため、リリース計画と論理的に結びつく話ではない。
「アイビスの火」
「アイビスの火」とは
本作の物語が始まる半世紀ほど前に発生した大災害。ルビコンで発見された新物質「コーラル」に火が付き、周辺星系を焼き尽くし致命的な汚染を巻き散らすという大惨事を引き起こした。
アナウンスメントトレーラーでは地平の向こうから炎が伸び、本作の舞台である多階層建築をなぎ倒すさまが描かれている。その様子から火力は尋常ではなく、その勢いも想像を絶するものであったことが窺える。これほどの火力でありながら生き延びた灰かぶりたちの生きざまは壮絶なものだったに違いない。
その真実はルビコン調査技研のナガイ教授が、コーラルの制御を超えた増殖と相変異を恐れ、ルビコン防衛機構「アイビス」に火を点けさせたというもの。
その強烈なインパクトと「周辺星系を焼き尽くした」というスケールの大きさから、アーマードコア史上最大規模の大惨事であるように見えるのだが、どうもそうとも限らないらしい。
少なくともこの世界にはアイビスの火を生き延びた人々がいることが示唆されている。「灰かぶり」と呼ばれる彼らはアイビスの火の大惨事を生き延び、この星に生きていたようだ。ムービーでは地表構造物が悉く崩壊しているので、地下空間に生活拠点を築いていた者達の末裔と考えることもできる。
封鎖機構がこの星を塞ぎ、コーラルのリークを聞きつけて企業がやってくるまでが半世紀。この間に灰かぶりたちは強かに生き延び新たな世代を育んでいた事になる。一度生まれたものは、そう簡単には死なない。
また「周辺星系をも焼き尽くした」と言う割に、ルビコン3にはアイビスの火に焼かれなかった領域がそれなりにあるようだ。周辺星系を焼き尽くすと表現されるほどの炎が、発生源の星を焼き尽くさないとはどういうことだったのだろうか。
コーラルには集まろうとする群知能があり、逆に言えば集まっていない部分は燃えなかったという事も考えられる。トレーラーでもルビコンの赤道上にコーラルの渦が見て取れる。生き残ったルビコニアンたちは比較的被害の少ない部分に住んでいたと考えれば辻褄は合う。
ルビコン3には土星のような環が存在している。トレーラーの炎が赤道付近、つまりこの環と同じ領域を走っていることから、アイビスの火は星の自転の影響を受けたとも考えられる。であれば南極付近や北極付近などは影響を受けずに済んだのかもしれない。
「星系を焼いた」ということは、少なくともアイビスの火は
真空の宇宙空間を伝播した
ということである。アナウンスメントトレーラーでも星を巻き込んで広がっていくアイビスの火が描写されている。当然だが酸化反応である炎が宇宙空間で発生するはずはなく、このことからアイビスの火で発生していた炎が我々の考える炎とは別種のものであるのは明白である。物凄い熱が発生して触れるものが溶けたり蒸発したり大気のある場所では発火に繋がったとかの可能性もあるが、決定的な解釈は存在しない。
コーラルが重力の影響を受けないのであれば星の自転の勢いと合わさり真空中にエネルギーとして星外に伝播していたのではないか。つまりアイビスの火とは「コーラルの球形爆発」ではなく火山の噴火や火炎放射器のような、星外に向けての大規模な「コーラルの放射」であったならば星外への影響と発生地点の真裏の地域が無事であったと考えられる。
物理学的に重力とその他の力による加速度は本質的に同じであり、この仮説は棄却される。また、光以外の物質(コーラルも例外ではない)は質量をもつため、少なからず重力の影響は受けると考えられる。
「
核融合反応
」「
コーラルの助燃性
」「
自己反応性物質の可能性
」などを空想して現実の科学寄りな説明をつけようとするプレイヤーもいるが、劇中のコーラルに関する情報を照らし合わせると、いずれの説も肯定しそうにない。
劇中描写や、レイヴンの火ルートにおけるカーラの発言、ザイレムを必要とする点火作戦、アイビス投入を決意するナガイのログなどから、「AC用兵器レベルの爆薬やプラズマやレーザーを撃ち込んでも、井戸や集積地のコーラルが燃え広がったりはしなかった」「集積量が多いほど燃やしにくくなる」「燃やすには集積したコーラル群が耐えきれないレベルの高エネルギーをぶつける必要がある」「条件をクリアして燃やせれば全体に伝播する」という性質があるのがわかる。これらの情報は密度を上げると起こりやすい核分裂、巨大重力などの継続的なエネルギー供給が必要な宇宙空間での核融合、助燃性、自己反応性いずれの仮定も否定している。
核融合反応であった場合、コーラルは最初の核融合を起こすと外部からのエネルギー投入無しに宇宙空間で連鎖的な核融合を起こし続けるトンデモ物質ということになる。それなら「核融合を手軽に実現する新物質」と説明があっても良さそうなもの。
まあトンデモ物質なのは事実だが
物理現象をぶっちぎり過ぎて、かえって科学的な説明ではなくなってしまう。
コーラルそのものが、他元素と結びつく際に熱と光を発する助燃性物質であれば、「コーラルによって燃えている」と言うことができ「飛び散ったコーラルが触れたものを燃え上がらせていく」こともあるだろうが、それだと他元素の無い真空中ではムービーのような炎が上がらない。土壌や大気などコーラルで燃えたものが宇宙まで広がっていった光景とも考えられるが、燃やしにくさなどの描写と一致しない。
コーラルが燃焼に必要な元素を内包した自己反応性物質だと仮定すると真空中の燃焼は説明できるが、これではコーラル自身が火薬並みの可燃性を持っている事になり、動力としてはともかく制御部品や情報導体のようなデリケートな部位に使えるものではなくなってしまうし、「井戸や集積地で戦闘しても火事にならない」「集積すると燃やしにくい」といった描写に噛み合わない。
これらの説は、トレーラーにおける赤い「アイビスの火」が酸素系の燃焼による「火」に近いものという前提だが、そもそもコーラルはエネルギー励起すると光を放ち、ACの装甲すら侵食する赤い奔流と化す。赤い励起コーラルによる破壊作用を「火」と表現しただけの可能性もある。
そもそもの話だが太陽表層に「燃えている様に見えるプロミネンス」が発生しているが、あれらは燃焼反応によって発生している現象ではない、つまりは「炎の如きもの」として【火】と呼んでいるだけなのであろう。
コーラル輸送阻止ミッションにおいて、オールマインドは「コーラル輸送ヘリ破壊に伴う発火に注意しろ」と言い、ヘリを落とすとコーラルジェネレーター破壊時と同じ赤い火球が生じる。単なる破裂や拡散であれば断熱膨張で温度は下がるはずで、少なくとも大気中でのコーラル爆発は単に圧力が開放されているのではなく、何らかの反応と熱の発生を伴う現象である事が判る。
コメント
コーラルによる汚染は寒冷化を引き起こしていると言いますし、単純な考えですが凍り付いて水位が下がるなんてこともありそうな気はしますよね… -- (名無しさん)
2024-10-20 21:19:42
コーラルが海程あったならドルマヤンが痩せた大地とか言わんだろ それに地下支脈や井戸って言い方も考えれば基本的には採掘が必要な地下資源印象が強いけど まあ、入植当時のルビコンの状態なんて分からんしどうとでもいえる訳だが -- (名無しさん)
2024-10-21 01:34:24
バスキュラープラントの体積的な規模を考えれば、ほぼコーラルの海だったらとっくにコーラルリリースが起きてるわけだが… -- (名無しさん)
2024-10-21 04:25:34
「少なくとも水位は今よりは多かったのもの、グリッドが海上施設のようになるほどは高くなかった」くらいじゃないですかね。ストライダーとかは浅い海でも歩いて行けるような設計に思える -- (名無しさん)
2024-10-21 12:56:32
グリッドはコーラル採掘業者がコーラルを宇宙に上げる作業のため一時的に滞在する施設(石油リグみたいな感じ)、技研都市は科学者や採掘業者の家族など非作業員が長期生活する施設。という妄想をしてますハイ。
年代の差はかなりあると思う コーラルの海って言っても湧出して溶け込んでるだけで精製の問題もあるし リリースの条件としては単純に量だけ有れば勝手に起きるというものでもなさそうだった -- (名無しさん)
2024-10-26 06:58:40
最初から「ナナチ・コア」で始まってるんですけど、これは私が知らないだけでこう呼ぶのが普通なんでしょうか? -- (名無しさん)
2024-11-11 18:49:03
上のコメントにもあるように悪意でふざけた内容の変更が行われたので11/4のデータで復元しました -- (名無しさん)
2024-11-12 05:36:46
6の世界の地球はどうなってんだろなぁ。発売当初は4系との繋がりを信じてる連中がコジマ汚染で~とか好き勝手言ってた訳だけど、それ抜きにしてもやっぱ荒廃してたりするのかな? -- (名無しさん)
2024-11-16 21:56:46
↑人類発祥の地って認識があるけどとっくの昔に地球から人類いなくなってるとかはありそう -- (名無しさん)
2024-11-18 16:51:49
コーラルを用いた旧世代の強化手術、星外でも一定数行われてる余地があるのはなんで?(621もイグアスも星外出身のはず) -- (名無しさん)
2025-01-19 16:41:08
↑上にも記載はあるけどやっぱ技術的な問題なんじゃない? -- (名無しさん)
2025-01-25 20:37:33
余談にあるけどレイヴンという呼称をわざわざ旧作とは違った特定個人だけが名乗るような名称にしたあたり、作中世界の設定を超えたメタファーになってるのは間違いなさそうだなぁ。 -- (名無しさん)
2025-07-22 15:43:16
久しぶりに実況とか見てたけど、オールマインドとかその関係者が記憶引き継いでるのが気になる。 1周目2周目は、実際に起こった話ではなくて、結局オールマインドがコーラルリースを目指すにあたってのシミュレーションの中の話ってことに自分の中ではしてるんだけど、他になにか着地点ある? -- (名無しさん)
2025-12-28 01:24:54
2週目開始時点のこともあってAMだけプレイヤーの周回に気づきかけてる説があるので、逆に1,2周目が「等位に」AMの手のひらの上ってことはないはず。加えて3周目はスタート地点の621のバックボーンが違うことを考慮に入れるとどうなるか、だね -- (名無しさん)
2025-12-28 08:56:13
エネルギー保存則を考えると、ルビコンの寒冷化はそれだけルビコンの熱エネルギーがコーラルに変化したということもできそう。熱→コーラル直線変換が可能なトンデモ物質ってことになりかねないが、そもそもトンデモ物質だしなぁ -- (名無しさん)
2026-02-28 23:24:24
人類進化の下りは、多種との生存競争の内は進化し続けられるけど、食物連鎖の頂点に立ってしまった人類にとって闘争は共食いにしかならずコストに見合わないが故に闘争による進化ができない袋小路に入ってしまった。その止まった進化の針を進めるの為の環境作りがコーラルリリースなのかなと。 -- (名無しさん)
2026-06-02 20:34:05
作中でC変異波形自身とその交信者、及びAM、以外の発言(や文書)で、C変異波形が人間に類する対話可能な知性を持つことが明確に示されたことって無いんじゃないか・・・?↲ -- (名無しさん)
2026-06-17 23:55:27
仮に技研やオーバーシアーがC変異波形をグラフ上の特殊な波形としか認識していなかったとしたら、チャプター5でエアが適当なPCを介してカーラにザイレムを止めるよう交渉しなかったことに説明を付けられそう。↲ -- (名無しさん)
2026-06-17 23:55:45
仮にメッセージを送っても、自分をコーラルだと思い込んでいる精神異常ドーザーだとしか思われないだろうから。 -- (名無しさん)
2026-06-17 23:56:03
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