#3 影で立ち上がる
「ともかく、事情はわかったよ」
ラムノイはそう言い、おもむろにほくそ笑む。
俺はそのほくそ笑みの裏で、何か大きなことが起きる予感がしてならなかった。
「では簡潔に聞こうか。君たちに
独立の意思はあるかな」
「それは……悲願だ、俺たち
ゼマフェロスの願いだ」
「ほぉ? 確かに君たちの国であるセマフェロスはノルメルの支配を受けているね」
「あぁ、だが俺はその現状を良しとしていない」
――俺は、すべきことを果たさねばならない。
「ふむ.....君の意思は、これより全ゼマフェロスの言葉、そして槍となる。それを覚悟しておいてくれ」
「無論、我が国のためなら」
「あたしの権限では成せることは少ない、だが全力を尽くすよ」
「感謝する。それと、
kutyvとか言う液体? は、今後は出さないでくれ」
「おっと、お気に召さなかったかな。残念だ」
「なぜあのような液体を好んで飲めるのか、俺には理解が追いつかない」
ラムノイは残念そうに肩をすくめるが、俺にとってはあの kutyv という液体はどうにも気に入らない。
「まぁまぁ、その話は置いておこう」
「なんだ?何かあるのか」
「簡潔に言うと、兵力を派遣してノルメルの力を削ぐつもりらしい」
今、いや、未来に至って。
ラムノイや連邦が何をしようとしているのかが、俺にはただ一つの気がかりだった。
最終更新:2023年06月21日 23:34