クルセド:おそらくはクルシェドラ (Kulshedra)。アルバニア神話に登場する女悪魔。7つの首(別説によれば12の首)を持つ巨大な魔竜という外見を持ち、炎と嵐、旱魃、洪水、地震などありとあらゆる天災を持って人類に害を成すという。
サビナ:おそらくはポッパエア・サビナ (Poppaea Sabina)。ローマ帝国の「暴君」ネロの2番目の妻。歴史家タキトゥスによれば、彼女は権謀術数に長けた妖艶にして好色な悪女で、彼女が皇后になるため、ネロの母アグリッピナの殺害をネロ自信に後押ししたという。
サルカニ (Sarkany):ハンガリア神話に語られる、複数の首を持つ竜。一般的にはシャールカーニと呼ばれる。伝説によればシャールカーニは至って荒々しい気性を持ち、暴風雨と竜巻を司るという。また雷とは、この竜たちが雲に隠れて縄張り争いをしている時に発する衝撃音であると信じられていた。
ダボグ (Dabog):スラヴ神話における太陽神、あるいは文化英雄。一般的にはダジボーグと呼ばれる。炎と戦争、鍛冶、貴石、太陽を司る片端の神である他、太陽が毎晩夜に消えることに因んで冥府神ともされている。また、スラヴの叙事詩では、ロシア人を指して「ダジボーグの子孫」と呼ぶことも多い。
セト (Set):エジプト神話に登場する邪神で、ヘリオポリス九柱神の一柱として数えられている。害悪な合成獣の頭を持ち、砂漠と嵐、不秩序、戦争、暴力を司る存在とされていた。元々は英雄神的な側面を持っていたが、伝説では兄オシリスを殺害し、エジプトの王位を巡って甥ホルスと争ったという神話のみが後世に伝わって強調され、嫌われ者の神となった。
アポピス (Apophis):エジプト神話に登場する混沌の怪物。アポピス、またはアポフィスとはギリシャ語に伝わった形で、本来の名前はアペプ。全長が地球を一周するほど巨大な蛇で、身をよじれば地が震え、咆哮を上げれば大地と冥界が揺さぶられ、また魔眼による一瞥は神々をも恐れさせたという。太陽神ラーの宿敵でもあるとされており、太陽の運行を阻止するため幾度となくラーと戦っていたという。また日食は、太陽そのものがアペプに食らわれたことが原因であると信じられていた。
オシリス (Osiris):エジプト神話に登場する神で、ヘリオポリス九柱神の一柱として数えられている。死と再生、そして生命の循環を司る冥府神とされていた。妻イシスとマアト、アミト、トトら冥府の裁判官たちと共に死者の功罪を計り、冥界で永遠の生を受けるに相応しいかを決める役割を持つという。
セベク (Sebek):エジプト神話に登場する神。鰐の頭を持ち、ナイル河の全流域を護る武神にして守護神として崇められていた。また、ラーと同一視されることもあり、古代エジプト末期では二柱は習合され太陽神「ソベク・ラー」として名を改められた。
ソカリス (Sokaris):エジプト神話に登場する神。ソカリスとはギリシャ語に伝わった形で、本来の名前はセケル。メンフィスの大墓所を守護する、隼の頭を持つ冥府神。同じく冥府神であるオシリスとメンフィスの守護神プターとよく関連づけられ、「プター・セケル・オシリス」と習合されることもあった。
ティアマト (Tiamat):バビロニア神話に登場する、原初たる海の母神。巨大な水蛇、あるいは水竜という姿を持ち、彼女が塩水の神アプスーと交わったことによって他の神々が生まれたという。しかし水神エンキがアプスーを殺害したことで母神は大いに怒り狂い、彼と彼に連なる神々を討ち滅ぼすため11体の魔獣を生み出した。神々と魔獣の間でかつてないほどの戦争が勃発したが、やがてエアの息子マルドゥクが母神を殺して戦争に勝利し、彼女が隠し持った「運命の粘土板」を手にするとバビロンの初代王として君臨したという。この後、ティアマトの肋骨が天と地の果てに、涙する目がユーフラテス川とティグリス川の源に、そして尻尾が天の川銀河になったという。
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