封印されしエクゾディア


「オレの引いたカードは…『封印されしエクゾディア』!!!」

高橋和希氏が週刊少年ジャンプで連載した漫画『遊☆戯☆王』に登場するカード。
一見するとレベルの割には攻撃力・防御力共に低く使い物にならないカードであるが、
このカードと《封印されし者の右腕》《封印されし者の左腕》《封印されし者の右足》《封印されし者の左足》が手札に揃った時、
そのプレイヤーに勝利をもたらす、という特殊効果を持つ非常に強力なカード。
劇中では揃った時の攻撃力は∞(無限大)とされている。攻撃名は「怒りの業火 エクゾード・フレイム」。

「DEATH-T編」において武藤遊戯が祖父の双六から託されて海馬瀬人とのデュエルに挑み、
青眼の白龍3体に追い詰められて絶体絶命の危機に陥っていた時に手札に揃い、逆転勝利した。
作中世界ではそもそも1枚1枚がレアカードなため収集が難しく、さらに手札事故の危険もあるため、
わざわざ集めようとする者はおらず、遊戯以前にエクゾディアを揃えた決闘者はいなかったらしい。

「決闘者の王国編」では王国へ向かう船に乗っている最中、インセクター羽蛾に頼まれてエクゾディアを見せた結果、
相手にするのは厄介だと判断されて海に投げ捨てられてしまった
メタ的に言えば、今後のデュエルでエクゾディアがあると、揃えて勝利する展開ばかりになって単調化してしまうのを防ぐためだったのだろう。
どんなに遊戯がピンチになっても、「エクゾディアで一発逆転」ではデュエルの緊張感が無くなってしまうし。
かと思えば、「バトルシティ編」ではグールズの一員であるレアハンターが偽造したエクゾディアを主軸にしたデッキを使用。
帰ってきたと思ったら敵役(それも組織一番手)の手に堕ちてた
各種パーツを3枚積みし、ドローソースで引き当てるという「露骨にエクゾディアで勝利するのを狙う」戦術を取るも、
遊戯の《光の封殺剣》でパーツを強制的に場に出され《連鎖破壊》で手札・デッキのカードも破壊されてしまった。
(アニメではダブったパーツを場に出したがために《連鎖破壊》の餌食になった)。
友情の力で揃えた逆転勝利の鍵となったカードがこんな没落をしたのに虚しさを感じた読者は結構いたらしい
アニメ版ではその事もあってか遊戯は勝利後、複製されたエクゾディアに対して怒りを露にして破り捨てている。

+ ネタバレ注意
遊戯王でデュエルモンスターズのカードは古代エジプトで使役された精霊達の転生した姿とされるが、
記憶編にてエクゾディアは名もなきファラオ(闇遊戯)に仕えていた神官「シモン・ムーラン」が使役する、
王宮の魔神にして伝説の守護神と明かされている。

そしてこのシモンは双六の前世である可能性が高い。
劇中ではっきりと言及されたわけではないが、若い頃の双六が古代神官文字を解読できていた事や、
エジプトのダンジョンを訪れた*1際に名もなきファラオの魂が双六に「待っていたよ、シモン」と呼びかけた事が、
根拠として挙げられている。
なお、シモンの初出はGBソフト『遊戯王デュエルモンスターズ』におけるゲームオリジナルキャラクターであり、
同作ではペガサス・闇遊戯と並ぶラスボス組の一角として登場した。
その後も『遊戯王』を題材にしたコンシューマーゲーム作品の定番キャラクターとして登場しており、作品によって設定も変わっていたのだが、
原作者がシナリオ監修した『真DM』においてかつてのファラオの教育係として登場しており、それを原作側で逆輸入した形になる。
そしてまんま同名の前世がいた瀬人や獏良達と違って名前がシモン・ムーランになっているのかと言うと、
元ネタが『遊戯王デュエルモンスターズ』のプロデューサーの下村聡氏だからという楽屋オチに繋がる

なおシモンの使役するエクゾディアの攻撃名は「魔神火炎砲(エゾード・フレイム)」であり、カード時とは微妙に読みが異なる。

『遊戯王GX』にも登場し、マルタン及びアモン・ガラムが使用し、こちらではサポートカードや派生カードも登場している。
なおアモンはユベルとの対戦時に初手パーツ4枚、デッキトップに最後のパーツ、という積み込みを疑うレベルの引きの良さを見せている。
ちなみにアモンと対決したエドは、アモンが碌に攻撃もせずドローソースばかり使用しているのを見て、
エクゾディアを狙っていると看破したため、『GX』の頃になるとそれなりに知られた戦術の模様。
こちらではエドは「手札を4枚までしか持てなくなる」という本人すら「おあつらえ向きのように(手札に)ある」と呟いた
ピンポイントメタすぎるカードによって完成が防がれている。
同じく対戦したユベルは、無理矢理手札交換をさせたり、墓地の手札交換カードを運ゲーで引き当てるなどしてなんとか完成を防いでいる。

特定のカードを揃える事で勝利するという効果はインパクトが強く、『遊戯王』の中でもトップクラスの知名度を持つ。
同様の効果を持つカードとしては、獏良がバトルシップで遊戯とデュエルした時に使用した《ウィジャ盤》がある。
これは最初に永続トラップ《ウィジャ盤「D」》を発動後、ターン毎に永続魔法《死のメッセージカード「E」》・《「A」》《「T」》・《「H」》をセットし、
全て揃ったら勝利と言うもの。

2023年には青眼の白龍に続いてバンダイから「Figure-rise Standard Amplified」ブランドでプラモデル化された。
全身のパーツが揃った状態が再現されているためか、名義上は「封印されしエクゾディア」ではなく「召喚神エクゾディア」となっている。


OCGにおける性能

星3/闇属性/魔法使い族/攻1000/守1000
このカードと「封印されし者の右足」「封印されし者の左足」「封印されし者の右腕」「封印されし者の左腕」が手札に全て揃った時、
自分はデュエルに勝利する

初登場は「PREMIUM PACK」。
原作通り、上述のカードを全て手札に揃える事で勝利する効果を持ち、ライフ0や山札切れといったルール以外で勝つ「特殊勝利」カードの元祖。
処理上は厳密にはカードの効果ではなくゲーム自体のルールの一種のような扱いであり、一度成立すれば特殊勝利は無効化する事ができない。

黎明期の頃は《強欲な壺》や《天使の施し》といったドローソースが使い放題だった上に、禁止・制限といった概念も無くパーツ一式を各種3枚積み出来たため、
まさに原作のレアハンター同様の戦法でエクゾディアパーツ一式を容易に揃える事が可能だった。
その環境から、当時の『OCG』は「じゃんけんゲー」とまで言われる始末であった
(じゃんけんで先行を取った後はドローカードとサーチカードでエグゾディアを揃えるだけで終わるため。
 カードダス版(東映時代)と同じ展開じゃん(詳しくはこちら)。

完全にゲーム性を破壊してしまっていたため、最初にサーチを容易にさせていたクリッターと黒き森のウィッチが、
墓地に送られた時の発動条件をフィールドから墓地に送られた時にエラッタされ、天使の施しで捨ててサーチ等超高速化させていた要因を消したが、
同時期に成金ゴブリン等ドローする効果のカードや苦渋の選択等一気にデッキを圧縮するカードが増えていき、歯止めが効かなくなっていった。

そんな経緯もあってか、2000年に公式大会における制限カードのレギュレーションが制定されて以降、
本体と四肢のパーツの5枚は全てずっと制限カードに指定されており、デッキに1枚ずつしか入れる事はできなくなっている。
ドローソースのカードも軒並み規制されていき、ただドローを繰り返すだけの戦法はとれなくなり大きく弱体化した。

しかし必勝の戦法とは言えなくなっても、未だにこのカードでしか得られない大胆な勝利に魅せられる決闘者は後を絶たず、
黎明期のカードでありながら未だに運用方法が研究され続けている。
相手に気付かれないよう地道にパーツを集める方法や、形振りかまわずデッキをぶん回して一気にデッキから引き切る方法など、
ネタ方面にも実戦的な方面にも無数のコンボやデッキ構築が考案されている。

他のデッキの構築においても、鍵となるカードを集めて一気に使えば勝てるコンボを発見したとしても、
「5枚以上集めなきゃならないならエクゾディアでいいじゃん」となるのはよくある話。
まあカードの種類によってデュエル中の集めやすさは異なるため一概には言えないのだが、コンボの手間を考える指標にはなる。

なお豊富な属性・種族・ステータス系サポートを活かしてパーツをサーチ・サルベージする事自体は意外に簡単なのだが、
狙いが明確な分対策されやすいため、多くの大会で基本ルールに採用されている複数回勝負のマッチ戦、特に手の内が割れた二戦目以降が鬼門。
コンボパーツを差し替えて戦法を変えたり、エクゾディアのパーツ自体を別のカードに差し替えて別軸デッキにしたり、といった工夫が必要となる。

天文学的な確率ではあるが、ゲーム開始時の5枚のドローでエクゾディアパーツ5枚が手札に揃った場合はその時点で勝利するため、
麻雀の天和よろしく誰にもターンが回っていないのに勝敗が決する「0ターンキル」という異常事態が成立し得る唯一のカードでもある*2
そのため公式ルールでは、両方のプレイヤーの手札に「同時に」エクゾディアが揃ってしまった場合は「引き分け」と裁定されている。
エクゾディアデッキのミラーマッチ、かつ同時にドローして双方とも揃うシチュエーションなんて、それこそ天文学的確率だが

また、エクゾディアの効果は効果外テキストのルール効果に該当するため、禁止令を含むあらゆる効果無効を受け付けない。
効果処理の段階が終わるごとにこのルール効果は適応されるため、1枚のカードの効果を処理している途中、
詳しくは「コスト処理及び効果発動宣言」「チェーン確認」「効果処理」という手順を踏まれるが、
この「」内の処理が終わるごとにルール効果の割込みが発生する。
例えば「自分のデッキから1枚ドローして発動する、手札を全て墓地へ送る」という効果のカードを使った場合、
手札を全て捨てるので発動しないように思えるかもしれないが、
  1. コスト処理で1枚ドローし、効果発動宣言を行い2に進む
  2. チェーン発動確認。発動があるなら以降チェーンを組み上げ1に戻り、互いに発動が無い所でチェーンブロックを組み3に進む
  3. 上から順番にチェーン処理し、順番が来た時「手札を全て墓地へ送る」を処理する
この三段階を踏んで効果の処理が進むため、1のカードを1枚ドローした事でエクゾディアパーツが揃ったのであれば、
効果発動宣言の後2に移動するタイミングでルール効果が割込み適応され、デュエルに勝利する。
逆に、「天使の施し」のように効果処理に「デッキから3枚ドローして2枚捨てる」という「ドロー」と「捨てる」が効果に入っているのであれば、
ドローと捨てるは3の部分で処理される。
よって、2枚捨てた時点での割込みになるため3枚ドローの時点で揃ったとしても勝利出来ず、
2枚捨てるの部分でエクゾディアパーツを捨てて手札に揃っていない状況になっていた場合、特殊勝利条件を満たしていない判定になる。
同様に、手札断殺の「互いに2枚捨墓地へ送る、その後それぞれ2枚ドローする」の効果も2枚ドロー終了後からルール効果の割り込みが入るので、
このカードの効果で互いにエクゾディアが揃った場合、同タイミングで特殊勝利条件を満たした扱いで引き分けとなる。
よって、片側が1枚目ドローの時点で揃い、もう一方が2枚目のドローで揃ったとしても優劣は付かない。

各パーツがバラバラのパックに収録された初版の頃はともかく、その後は5枚全部がノーマルのレアリティで収録されたこともある。
自分でパックから引き当てたいという拘りやレアリティの縛りでもない限りは、カードそのものをバラ売りで購入して揃えること自体はあまり難しくはない。

派生カードにはパーツ一式を墓地に送る事で出せる《召喚神エクゾディア》や《エクゾディア・ネクロス》、
逆にパーツ一式を効果で墓地に送る事で特殊勝利条件を満たす《究極封印神エクゾディオス》、
フィールドにパーツを揃える事で相手を勝利させる一種のジョークカード《真エクゾディア》、
パーツ一式を融合するか、専用魔法カードで全て見せることで誕生する《幻の召喚神エクゾディア》等が存在する。

『デュエルリンクス』では表遊戯のスキル「じいちゃんのカード」として実装されており、パーツ一式がデッキに1枚ずつ入る。
このため、エクゾディアを使いたければ表遊戯でプレイするしかない。


MUGENにおける封印されしエクゾディア

多くの遊戯王キャラを製作しているchuchoryu氏によるものが存在。
コンプゲーに同封されている他、キャラ単体版も某所で公開されている。
恐らくfhqwhgads7氏製作のザンギエフ改変キャラ「Kraidgief」をベースにしていると思われる。

アポカリプスサイズの巨大キャラで、GBAで発売されたゲームのスプライトを使用している。
ボスキャラを想定して作っているためか、BGMも専用の物で固定される。
技は肉弾戦のみという単純な性能なので、プレイヤー操作で挑むボスキャラとして使うのが望ましいと思われる。
AIは搭載されていない。
コンプゲー紹介動画(DLリンク有り)

出場大会

  • 「[大会] [封印されしエクゾディア]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
本編時点でこそ飄々とした好々爺の双六だが、現役時代は本編時点からは想像もつかないダンディでギラついたギャンブラーであり、
古今東西のゲームで全世界の数々の猛者達を打ち破り無敗伝説で名を響かせた男で、
その余りある闘争心故に時には危険な闇のゲームを用いた勝負にも身を投じる程であった。そのせいで遊戯がとばっちりを受けたが
エジプトを訪れたのも、名もなきファラオの墓にあるという「誰も達成したことがないゲームの間」の噂を耳にしたためであった。

なお『遊☆戯☆王』には没になった展開として、
「ゲームマスター(『ゲームの管理者、進行役』ではなく『ゲームの達人』的な意味)である遊戯の父が遊戯に挑戦しに現れる」
というものがあるのは有名(没になったため本編では単身赴任で不在という事になった)だが、
双六が凄腕のギャンブラーだったというギャップのある設定はこの名残、流用だったのではないかという説が一部ファンの間で囁かれている。

*2
なお、先攻プレイヤーが色々あって1ターン目でサレンダー(投了)してしまうことを、
ターンが回っていない後攻プレイヤーによる「0ターンキル」と茶化して称することがある。
しかしこのゲームではターンカウントはプレイヤーに関係無く共通で進み、
先攻プレイヤーにターンが回ったこの場合のターンカウントは「1」であるため、表現として正確ではない。
尤も、そもそも「1ターンキル」自体が原作『遊☆戯☆王』初出の造語で、
しかも原作では一撃で倒すこと(ワンショットキル)の意味で使われているため、定義が曖昧な表現なのだが。


最終更新:2025年04月14日 12:35