花火はあの日を境に少し変わった。
時を遡る事一週間前
花火は隊長の命令を破ってまでネウロイに特攻を仕掛けるが失敗。そして撃沈。まさに生き恥を晒す事となる。
同行していたウィッチに救助され基地の医務室で寝かせられるも、お目覚め早々脱走。見張りの整備兵ほとんど仕事せず。
そして、ボロボロの身体を引きずり、出撃するためハンガーに向かう。
そんなところに、少女は現れた。
少女は切れ味が自慢の勘と一握りの勇気で、彼を説得した。
ただ、それだけの事で、花火は鎮火した。
巧みな話術なんていえる物ではない。ちょっと、お願いをしただけ。
お願いされたので花火は生きる事にした。
単純で、面白みの無い話。
つまるところ、プロローグ。
時は戻り、一週間後。
ある夜の人気の無い食堂。
花火大佐はエーリカ・ハルトマン中尉に相談を持ちかけていた。
エーリカ「ふんふん…つまり皆に謝りたいと」
花火「まぁ遠からず、超遠からず…っつう所か」
エーリカ「そうかー謝罪かー」モグモグ
花火「…」
エーリカ「モグモグ…ゴクン ふぅ…それにしても、なんでまたいきなり?」
花火「そりゃ、あれだ。今まで色々とやり過ぎた訳だがよ…」
エーリカ「…」
花火「まぁ考えて見ろ。俺はこの基地で生きていく事を決めた。
だったらこの基地の人間と…その、できるだけ良い関係を築きたいと思うのは当然だろ?」
エーリカ「まぁそうだね」
花火「それなのに、だ。バルクホルンとかミーナ隊長はぜってえ俺の事を嫌ってる
その二人だけじゃねえ。ペリーヌとあの新人二人からは避けられてるような気もするし
ナイトウィッチのリドヴャク中尉なんかは多分目もあった事すらねえ…」
エーリカ「ふーん…」
花火「…なんだその目は」
エーリカ「この隊唯一のスオムス人は誰でしょう!」
花火「はぁ? 何だいきなり」
エーリカ「いいからいいから」
花火「…エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉だろ」
エーリカ「じゃあこの隊の指揮官は?」
花火「坂本美緒少佐」
エーリカ「最年少は?」
花火「フランチェスカ・ルッキーニ」
エーリカ「一番胸が大きいのは?」
花火「シャーロット・イェーガー…って何言わせんだよ」
エーリカ「…キミってさ、この基地の皆の名前ちゃんと覚えてるんだね」ニシシ
花火「う、うるせえ! 今はんなもんどうでもいいだろ!」
エーリカ「素直じゃないなぁ」
花火「とにかく、話を戻すぞ」
エーリカ「ん、その前にちょっといい?」
花火「何だ、さっさとしろ」
エーリカ「お芋もおいしいんだけど何か甘い物も食べたいなーって思ってさ」チラ
花火「…俺に用意しろと?」
エーリカ「遠からず、超遠からずって所だね!」
花火「断る」
エーリカ「ちぇーケチー」
花火「何で俺がパシられなきゃいけねえんだよ…」
花火「って、早く話しを戻すぞ。グダグダになって来てんじゃねえか」
エーリカ「ああ、どう謝るか、だったっけ」
花火「ああ」
エーリカ「んーそうだな~…キミはどう考えてるの?」
花火「俺?」
エーリカ「うん。一人ずつ謝るとか、こう、パーティーみたいなの開いてごめんなさいするとか」
花火「そうだな…そういう大掛かりな事は出来るだけ避けてえから…やっぱ一人一人の方が良いな」
エーリカ「そっか、じゃあ花火は誰に一番迷惑掛けたって思う?」
花火「あー…やっぱ隊長かバルクホルン、だな」
エーリカ「ふんふん…じゃあミーナからにしよう!」
花火「なんでだ?」
エーリカ「なんとなく」
花火「…あっそう、まぁ行ってく」
―――執務室
コンコン
ミーナ「どうぞ」
花火「…邪魔する」ガチャ
ミーナ「あら、珍しいわね。何か用?」
花火「…手伝いに、来た」
ミーナ「え?」
花火「なんか俺に出来る事とかねえかなぁ…て思ってよ」
ミーナ「…そう、だったらこっちの書類をお願い」
花火「あ、ああ。任せろ」
ミーナ「…」
花火「…」
ミーナ「…」
花火(気まずいじゃねえかおい)
ミーナ「花火大佐」
花火「な、何だ?」
ミーナ「…今やってる分が終わってからでいいから、肩揉んでくれるかしら?」
花火「…はぁ」
小一時間後
花火「…俺が言うことじゃねえが、気を許しすぎだ、隊長」
ミーナ「ん…そうかしら」
花火「そうだ、もし俺がどっかのスパイとかだったら後ろからぶっ刺してんぞ」
花火「この基地の人間はどいつもこいつも、警戒心が無さ過ぎる。特に
シャーリーなんかは…」
ミーナ「シャーリーさんがどうかしたの?」
花火「…いや、やっぱ何でもねえ」
ミーナ「…あなた、ホントは結構親切な人のね」
花火「は…はぁ? 俺が? 本気で言ってんのか」
ミーナ「だってそうじゃない。何だかんだ言いつつ
気を許しすぎだの警戒心が甘いだの、私達の事を心配してるみたい」
花火「…」
ミーナ「あの日、私達が出撃してる時にあなたとフラウに何があったのかは分からないけど…
もし、あなたが私達を受け入れてくれるのなら、こちらは大歓迎よ」
花火「…はぁん」
ミーナ「…随分と気が抜けた返事ね」
花火「あ、ああ、わりい。その…安心してな」
ミーナ「安心?」
花火「不幸自慢する訳じゃねえけど、今までそんな事言ってくれる奴居なかったからな
まぁ、全部俺のせいだからなんも言えねえんだけどよ」
ミーナ「…あなたが素直になりさえすれば、ここの皆はきっと快く迎えてくれるわ」
花火「…そうか」
ミーナ「さて、それじゃあ今度は腰をお願い」
花火(まだやんのかよ…)
―――廊下
坂本「ふぅ、今日の訓練も終わった事だし、たまにはミーナの手伝いでもしておかなければな」
『…こんなんでいいのか?』
『…ええ、そんな感じ…』
坂本「ん? この声は花火か」
『…んん……も、もう少し強めで………』
『………ここが良いのか?』
『ああ…!』
坂本「…な、何をやっているんだ二人とも」
『…流石に痛くねえのか?』
『慣れてくると…平気だから、続けて』
坂本「…知らぬ間に花火とミーナがこ、ここまで進んでいたとは…」
『あーそーですか、じゃあ行くぞ』
『え、ええ…!』ギシギシ
『……ふぅ…じゃあ上からお願い』
坂本「上…だと…!?」
―――再び執務室
ミーナ「う…まだ強く…」
花火「流石に懲りすぎだろ、もう体重全部乗っけてんぞ」
ミーナ「え? じゃあ魔力を使ってもいいから…」
花火「へいへい…」
ガチャ
坂本「それは駄目だああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
花火「うお!?」
ミーナ「ちょ、美緒!?」
坂本「うおおおおおおおおお!!!」ブン
花火「あっぶねえなおい! 真剣振り回すんじゃねえよ!!」
ミーナ「どうしたの美緒!?」
坂本「ミーナ!! よかった! 無事みたいだな!」
ミーナ「え? な、何が?」
花火「何なんだよ一体…」
坂本「花火ィ!!」ブン
花火「おおう!?」
坂本「して良い事と悪い事くらい! 貴様にも分かるだろう!?」ブンブン
花火「はぁ!? 意味分かんねえんだけど!?」
坂本「たしかに! ミーナは魅力的な女性だ!!」
ミーナ「み、美緒…?」
坂本「それに、この隊を背負いつつもデスクワークを欠かさない! ウィッチの鑑のようだ!!」
ミーナ「…」
坂本「そんなミーナを私は尊敬している!! だからこそ! 私はここで貴様をおおォォォォォ!!」ブン
花火「うおわ!?」
ミーナ「もういいわ! 美緒!」
坂本「だがミーナ!! こいつは…」
ミーナ「もういいのよ…あなたの気持ちはよく分かったわ」
坂本「ミーナ…」
ミーナ「たしかに…今回は少し私も軽率すぎたと思うわ」
花火「いや何言ってんだおま「その通りだ!もっと時間を掛けてよく考えろ、自分の身を委ねる者なんだぞ?」
坂本「大切な事だと言うのに、ミーナらしくもない…!」
ミーナ「…あなたのせいなのよ」
坂本「なに?」
ミーナ「最近、あなたが…相手してくれないから…」
坂本「ミ、ミーナ…」
花火「展開についていけ「毎日宮藤さん達と訓練訓練…ここにはぜんぜん顔出さないくせに」
坂本「…」
ミーナ「一体…あなたは訓練と私どっちが大切なの!?」
坂本「…すまない、ミーナ」ギュ
ミーナ「え? み、美緒…」
坂本「そんな辛い思いをさせていたなんて…気付いてやれなくて、本当にすまない」
ミーナ「…いいのよ…分かってくれたなら」
坂本「これからは…こっちの事も週に二回は手伝う」
花火「少ね「ありがとう…」
坂本「ミーナ…悪かった…」
ミーナ「美緒…」
花火「…なんだこれ」
―――
花火「っつう事になった」
エーリカ「お、お腹が…」ヒィヒィ
花火「…笑いすぎだ」
エーリカ「ふぅ…まぁ誤解は解けたんでしょ?」
花火「…聞いてたのかどうかわかんねえけど多分な」
エーリカ「何はともあれ、これでミーナ(ついでに少佐も)攻略完了だね!」
花火「んだよ攻略って…」
エーリカ「それにしてもこんなに上手く行くとは思わなかったよ~」
花火「上手く行ったのは俺じゃなくて坂本と隊長…ふぁ~あ…ねむ」
エーリカ「ん、もうこんな時間だったね」
花火「風呂入って寝るか…」
エーリカ「私も一緒に入ろっかな~」
花火「馬鹿か。さっさと寝ろ」
エーリカ「ちぇー」
花火「…んじゃあ、また明日な」
エーリカ「うん! また…明日ね。お休み」
花火「…おやすみ」
最終更新:2013年02月02日 14:54