――基地周辺の上空にて――

リーネ「あ…あの…本当にいいですかぁ…?」

ペリーヌ「構いませんわ、おやりになって。」

基地の上空では、エイラがシールドを張るための特訓にリーネとペリーヌが付き合わされていた。

ペリーヌ「さっ、エイラさん。私をサーニャさんと思って、守ってくださいまし。」

エイラ「エー、お前がサーニャ~?」

ペリーヌ「く…っ…!…まじめにおやりなさいっ!」

リーネ「えぇっ!?、は、はいぃ!」 ダァン!
リーネの対装甲ライフルが火を噴く。

エイラ「おっ……ヒョイ。」ヒョイ…

ヒュウウウウン…――

ペリーヌ「いぃっ…!」

バシュウウウウン!

しかし、エイラは自らの固有魔法「未来予知」によって弾を避ける。
ペリーヌはヘッドショットをくらう間一髪のところでシールドを張った。

ペリーヌ「なんで避けるんですかっ!避けたら訓練になりませんでしょう!」

その後もエイラは一向にシールドを張ることが出来ず、特訓は失敗となった。


――ハンガーにて――

彼「今回のロケットブースターに欠陥はありません!ウルスラさんも前回の件を考慮に入れていますし――」

彼がおじさんを説得している。俺は離れたところから、その様子を見ていた。
他の整備兵達も、その二人から目が離せない。おじさんの指揮がなければ、今まで通りに整備を行うのが困難になる。
誰もが彼の説得が成功して欲しいと思っていた。…俺、以外は。

おじさん「…………。」

先程まで頭に血が上って頑固だったおじさんも大分緩やかになり、腕を組んで彼の話に耳を傾ける。

その約10分後、おじさんはストライカーにブースターを搭載することと、整備を行うことに納得した。

おじさん「あぁわかったよ!ったく、少尉殿にそこまで言われちゃあ、断る訳にもいかねぇからな!」

彼「ははっ、頼むぜ!おやっさん!」

整備兵達も安心し、早速整備に取りかかり始めた。

………まぁ、彼が説得するんだから…そうはなるよな……

……俺と同い年……か……

彼「おい!たしか俺……だったか?」

俺「!!……はい。」

彼「少し話したいことがあるんだが……ここだとなんだし、基地の外に付いてきてくれないか?」

おじさんの説得をする前に、彼は俺に話があると言っていたことを思い出す。
俺の名前を知っていたことも気がかりだ。

彼から…話したいこと………?

…俺自身も、知りたいことが沢山ある………

俺「了解しました。」

俺は前を歩く彼の背中を追い、基地の外へと歩いていった。


――基地の外にて――

彼「ミーナ中佐……いや坂本少佐から聞き出した!…おれのことを助けてくれたんだってな。すまない、感謝している!」
そう言って彼は、いきなり俺に向かって頭を下げた。

その突然の行動に俺は動揺しながらも、何となくは予想していたような気がしていた。

俺「い……いえいえ。当然のことをしたまでですよ…。それよりも、少尉が無事で何より………です。」

………何よりですってか?………くそっ……

感謝されているが、俺は嬉しいと感じるわけがなかった。

この彼の感謝自体、今の俺にとっては嫉妬の感情、そして自分を陥れるものにしかならない。

……ははっ…宮藤とは仲良くしているだろうな……彼ってこんな感じなのか……

………こんなに逞しかったら、そりゃ惚れるだろうよ。

俺が助け、そして宮藤に告白された彼という存在。それが今、目の前にいる。
そしてその彼からの感謝の言葉。俺の精神がさらに悪化していく。

…キューピットってか?俺が本当の「天使」ってか?……はっ………

俺もお前みたいに生まれたかったよ……くっ…なんだよ…これ…

拳を握りしめ、爪が手の肉に食い込んでくる。だがその痛みさえ、今は感じない。

彼が頭を上げ、また話し始めた。

彼「おれのことを助けてくれた人がいるって噂を聞いてな…。中佐が話してくれなかったから、少佐に聞いてみたんだ。感謝をしたいと言ったら教えてくれた。」

やっぱり…ミーナ中佐……これ以上…俺みたいな一般兵は寄せ付けないつもりか……。

ミーナから科せられた、厳重注意。それは他の兵士よりもウィッチ達との接触を制限されるということ。
その意味を改めて突き付けられる。

彼もウィッチだが、この際そんなことはどうでもいいことだ。

俺「そうですか…。」

彼「命がけだったそうじゃないか……。本当にすまない。おれのために」

俺「いいえ。自分は少尉殿のために貢献することが出来、とても光栄です。」
彼が話している途中に、俺は敬礼した。

先程から俺は嘘をつきまくっていると、敬礼している最中に思う。

早くここから立ち去りたい。しかし……

……そういえば…聞きたいことが…あるんだよ……彼

俺「……宮藤軍曹とは……恋人同士なのでしょうか?」

彼「!!…おっお前!」///
彼が動揺した。

…………あっ……。

俺自身もとっさに出てしまった言葉に驚いた。しかしそれ程意識していたということだろうか。

彼「知られていたか……まぁ、そういうことだ。ここに来てから、宮藤はおれの事を何度も救ってくれた。それにおれも…宮藤を守りたい。」

…………へぇ………幸せだね………これはいいのか?ミーナ中佐よぉ。

ウィッチ同士なら、恋人になることは許されることなのだろうか。魔法力が消失する可能性や、恋人が亡くなった場合のショックは事前に防ぐべきではないだろうか。
しかし、もうお互いに好きなってしまっている以上、いまさら遅いとミーナは判断したのだろう。

性行為を行った場合、いわゆる「純潔」で無くなった少女は飛ぶことが出来ない。

……あれ…宮藤さんの家って、妊娠しても…大人になっても……魔法が使えるんだった……

じゃぁ……彼……とは………もう……

当然……キスだって………

実際のところは分からないが、彼と宮藤の想像をして心が痛み、そのようなことを考える自分にも嫌気が差す。

俺「少尉なら当然……守れますよ。」

………俺なんかよりも……数倍………

お前なら……

俺「………自分は扶桑生まれなのですが、彼少尉も見たところ出身は扶桑だと……見受けられます。」

俺は突然話題を変えて、彼について探りたくなった。

彼「あぁ、両親は扶桑の人間だ。おれは小さい時に使い魔と契約して、1年前に飛行隊に所属したんだ。」

俺「(魔法はもう…小さいときから既に……)1年前…ですか?」

彼「希な男のウィッチ…だからな。それまで実験施設に居たというか…いろいろと研究があった。だから世間にもあまり知られていない。」

…………はっ?

実験施設?…研究?どういうことだ?そんなこと本編に……
いや、描かれていない部分ってことか…。

俺「…この基地に配属になったきっかけは?」

彼「上層部の命令でな。何で配属になったのかは分からん。今はとにかく……戦うしかないからな。」

この世界で魔法が使えるのは女性に限られたことではないという、いわゆる公式設定。男のウィッチが存在することは頷ける。だが何故、彼は501に配属されたのであろうか。
しかしその答えは、彼自身にも分からないようだ。

彼「すまない、そろそろ明日の作戦のミーティングがある。君には本当に感謝している。」

俺「いえ、こちらこそ…ありがとうございました……。」

彼が基地の屋内へと走っていく。俺はその後ろ姿を見送った。

…実験…研究……あれ、これって…太平洋戦争の時にもこんな話があったような……

数年前、俺の近所に位置していた廃墟には、戦時中に人体実験や生物兵器の開発があったという噂が流れていた。
興味を持ち、その噂を調べていくうちに、当時の俺は実在したある部隊の名前を知ることとなった。

…731部隊?だったけか……

たしかに…原作は戦争を舞台にしているだけあって、俺がいた世界と共通していることは多いはずだ……

……共通……か……何かが頭にひっかかる……。

って……まだ固有魔法とか聞きたいことがあったんだ……
…でも、よく考えれば知る必要なんてない。そんなこと知ったって、もうどうにもならないし……。

俺はハンガーに戻り、整備を行うおじさんの様子を見た後、自分の作業に取りかかり始めた。


――次の日、ロマーニャ基地の滑走路にて――

ロマーニャの艦隊と航空部隊がネウロイに返り討ちになったため、501に出撃命令が下った。
サーニャと宮藤を遥か上空へと運ぶため、各員が作戦の指示通りの体系をとる。

ミーナ「10!」

坂本「9。」

バルクホルン「8。」

シャーリー「7。」

ハルトマン「6!」

ルッキーニ「ごー!」

リーネ「4。」

ペリーヌ「3…!」

エイラ(…2……。)

宮藤(…1。)

彼(0……!)

ゴォォォォォオ!! 

12人のウィッチ達が、大空へ向けて飛び立っていった。

兵士「おおおっ!いったぞ!」オオオオ!
基地から見ていた大勢の兵士が声を上げる。

おじさん「まだだ……帰ってくるまで……だ……。」
おじさんは空を見上げ、ウィッチ達、そしてストライカーの様子を瞬きもせずに観察し続ける。

俺「…………。」

…なんで彼も一緒に飛んでんだよ………。


――基地の上空にて――

限界高度10000mに到達後、坂本ら第1打上班は離脱し、第2打上班がロケットブースターに点火した。
宮藤とサーニャ、そして高度30000mまでのブースターの補助役としての彼の3人を、高度20000mまで連れて行く。

ペリーヌ「時間ですわっ!」

バ゙シュウウウッ!

第2打上班が離脱し、3人がブースターに点火した。
この後の作戦は3人が高度30000mまで上昇し、彼の離脱後、2人は弾道飛行に移って高度33333mのネウロイのコアを目指す。

しかし3人が離れていく中、エイラはサーニャの視線を感じた。

エイラ「あっ……ッ…イヤだっ!」 抑えていた感情があふれ出る。

エイラ「私が……私がっ……サーニャをまもるっ!」バ゙シュウッ!

再びブースターに点火したエイラは、サーニャを追う。しかし彼の魔法力の影響もあり、本編よりも近づくことはさらに難しくなる。

エイラ「サーニャ言ったじゃないか!諦めるからできないって!私は……あきめたくないんだっ…!……私が…サーニャを守るんだー!」

手を伸ばしても届かない。しかしその手を、宮藤と彼が掴んだ。

エイラ「彼……それに宮藤………。」

彼「ったく……しょうがねぇなぁ!」

宮藤「行きましょう、エイラさん!」

バ゙シュウウウッ!

彼は宮藤がいきなりエイラのもとへ降下したのを見て、魔法力の関係から、宮藤一人だけではエイラをサーニャのところへ運べないと推測した。
そのため彼も降下し、ブースターを使い宮藤と二人でエイラを導く。

ペリーヌ「無茶よ!魔法力が持ちませんわっ!帰れなくなりますわよ!」

サーニャ『私が…エイラを連れて帰ります。』

リーネ「えっ…。」

サーニャ『必ず…連れて帰ります。』

その後、宮藤と彼は離脱した。


――基地、地上にて――

おじさん「今はどうなってんだ!?」

整備兵「聞くところによりますと……宮藤軍曹ではなく、ユーティライネン中尉が……。」

おじさん「あぁ!?………はぁぁ…」

エイラの命令違反に焦っている兵士も多いと思いきや、どうやらもう慣れているらしいのか、皆「やれやれ…」といった表情を浮かべている。

俺は空を見上げ、ロケットブースターのほとんど消えかけている軌道の煙を見つめていた。

……どうなったんだろうか……彼もいたし…この作戦は本編通りにいくのか?

そう思った時、上空に一筋の赤い光が走り、何かに当たって分散した。キラキラと輝き、光が多方向へと分裂する。

兵士「あ…あれは…シールドだっ!中尉がシールドを張ったんだ!」

何処からか兵士が叫んだ。その言葉を聞き、俺は6話で見た同じ光景を思い出す。

その他の兵士も、エイラがシールドでビームを防いでいることを理解し、大きな声を上げた。

オオオオオオオ! ガヤガヤ

……話を聞く限り、シールドを張ってるのはエイラっぽいし………これは本来の展開だ……

あれ…?それなら……彼と宮藤は? 

誰もが上空のエイラとサーニャがいるところに注目していた。まだネウロイを倒せていないし、無事かどうかも分からない。

しかし俺はあることに気が付く。エイラ達の位置よりも下にいる、降下してくる2人のウィッチのことに。

それは手をつなぎ、肩を寄せた彼と宮藤だった。

…あぁ………そういう…ことか……

本当に………恋人同士なんだ………。

俺は今回の作戦が本編通りに進んだ理由を理解した。
さらにその二人を見て、物理的にも、感情的にも、何にしても遠すぎる存在だということを思い知る。

…俺は彼に……宮藤の告白や彼自身のことを訪ねた時……心のどこかはでまだ……可能性があると信じていたんだ……

……でも、希望なんて……もう何処にもない……もう……本当に…………

とどかないんだ……俺の想いも……

俺………自身も………。

二人は今、どんな会話をしているのだろうか。どんな表情をしているのだろうか。
知ることはできない。俺はただ、外から羨ましそうに見ているだけ。

宮藤との件について彼に質問をした時、「まだ宮藤とは恋人じゃない」と答えて欲しいと、俺は願っていた。

彼に魔法力を持った理由を聞くことが出来れば、俺にも身につける方法がどこかにあるんじゃないか、探し出せるんじゃないか、そう思っていた。

才能が無くても、どんなに自分を蔑んでも、宮藤からの好意が無くても、俺は最後まであきらめたくなかった。しかし…

彼と宮藤は恋に落ちており、魔法力がある理由も生まれつきの才能だった。

…あぁ……もう…駄目なんだ………俺………って………

決して空を飛ぶことができないこと、決してとどくことのない存在を確信した俺がそこにいた。

兵士「おおっ、倒したみたいだぞ!」

ネウロイを倒し、上空から降りてきたエイラとサーニャは、手をつないで基地に帰投する。

誰もが大声で喜ぶ中、俺はただ、地面だけを見つめていた。


――数日後、建設中の基地の風呂場にて――

俺「おつかれさまです。どうぞ。」

設営隊「おぉ、ありがたい。いただきます。」

扶桑から来たらしい設営隊の人達が休憩してるところへ、俺は昼食を運んできた。軽い挨拶をして、ご飯を手渡しする。
どうやら、風呂の工事は順調らしい。今日までにも完成するそうだ。

まだ未完成だが、俺は許可を貰って階段を登り、高いところに位置する風呂からアドリア海を一望した。

目の前に広がる光景と涼しい風の心地よさを、俺は全身で感じる。

俺「露天風呂か……。」

…こんないいところに風呂が出来るなんて……すごい景色だ。

でもここ、外から丸見えじゃないのか。のぞき放題だな!……

………………あぁ………

……………………まだ洗濯が残ってるんだった……。

……はぁ……。

俺は溜息をついて、洗濯場に向かった。


――次の日、脱衣所にて――

風呂も完成し、楽しみにしていたウィッチ達は早速入浴したが、虫がズボンに入り込むというまさかの出来事に悪戦苦闘していた。

ルッキーニ「ぬいでぇ~!」

宮藤「ペリーヌさん、脱がないと!」

ペリーヌ「わっ私はッ…へいき、ひぁっゃゃぁっ!」モゾモゾ

坂本「ペリーヌにはああ言ったが…今日は久々に、肩まで浸かるとするか。」
坂本が脱衣所へ向かって歩いてくる。

「ゆ」の暖簾をくぐって入ろうとしたが、そこには宮藤とルッキーニに押さえつけられているペリーヌがいた。
しかもズボンを無理矢理脱がされ、そこから虫が飛び立っていく。

坂本「ぺ…ペリーヌ…。」

ペリーヌ「いっ……いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」


――基地の廊下にて――

おじさんに用事があるため、俺はハンガーへ向かう廊下を歩いていた。
しかし何故だか、今日はとても騒がしい気がする。

俺は気にせずに歩いていこうとするが、自分の位置から離れたところで歩いている彼を見かけた。

彼………。俺の足が止まる。

すると彼の前から宮藤が走ってきた。彼に向かって何かを話し掛かる。どうやら慌てているようだ。

宮藤「大変です彼さんっ、虫が出たんです!」

彼「虫…?」

俺にも話し声が聞こえてきた。虫ってことは……まさか今日って……

彼「よく分からねぇけど……その虫を探せばいいんだな!」

宮藤「はいっ!」

そう言って彼と宮藤はどこかへ走り出した。

…………今日が虫回なんて関係ない……どうせ彼のハーレム祭だろ、くそっ!

俺は廊下の壁を殴りたくなったがそうはいかず、ハンガーへと急いだ。


――基地内にて――

エイラ「サーニャがネウロイの気配を感じたらしいんだっ!」

サーニャ「まだはっきりしないけど、基地上空と……それから、建物の中。」

サーニャの固有魔法によって、ネウロイの位置が判明された。

彼「基地上空……。」

宮藤「建物の中?」

バルクホルン「まさか、あの虫がネウロイ!?」

坂本「……エイラ、サーニャ、お前達は協力して、建物の中を探してくれ。」

エイラーニャ「「了解!」」

坂本「バルクホルンとハルトマンは、上空の迎撃準備!」

バルクホルン・ハルトマン「「了解!」」

坂本「彼、宮藤、付いてこい!」

彼・宮藤「「はいっ!」」


――数十分後、ハンガーにて――

俺「停電になってる……みんなどこに行ったんだ……。」

ハンガーの隅々まで探したが、おじさんや整備兵達の姿が何処にも見あたらない。

そういえば…今日はウィッチ達が休みって聞いたから……整備兵の人達も休みなのかぁ?
それにしても、絶対何処かで会うはずなのに……今日は一度も見かけていない。

他の場所を探してみようと思い、俺はハンガーを出ようとしたが、宮藤とバルクホルン、エーリカがいることに気が付く。

あれは…………宮藤達がいる……。

何を話しているのか知りたくなり、俺はコソコソと隠れながら近づいていった。

宮藤「上空のネウロイのコアは確認出来ないが、このまま放置は出来ない…。二人には早急に迎撃して欲しいとのこと!」

バルクホルン・ハルトマン「「了解!」」

宮藤が坂本からの伝令を二人に話す。魔眼により、位置は既に把握されている。

宮藤「なお、基地内には電気系統を麻痺させる飛行物体が存在します。十分注意されたし、とのことです。」

エーリカ「あのズボンに入ってくる、変な虫のことだな。」

バルクホルン「ちょうど対策を話し合っていたところだ。」

パサッ… パサッ…

宮藤「えぇぇぇぇえっ!?」

ブゥゥゥゥゥン!!

バルクホルン「行くぞ、ハルトマン!」

エーリカ「すーすーするぅ~!!」

二人がズボンを脱ぎ、そのままストライカーを履いて飛んでいく。
宮藤が頬を赤らめ、唖然とした顔で立ちすくんだ。そして、そのさらに後ろでは…

ガタッ!…ドサッ!

俺「ば……ばかっ…う…嘘………っ…これは……」

目の前に起きた衝撃の信じがたい事実に、俺は尻餅をつかずにはいられなかった。
目に映ったのは、ズボンを脱ぎ、なにもはいてない状態で飛び立っていったバルクホルンとエーリカ。

見えてしまった。ズボンで隠されていた秘密……緩やかな曲線を描き、俺のような最下級兵士は奇跡でしか見ることができない、秘境。ウィッチなら尚のことだ。

先程の映像は目に焼き付き、それを何回も再生させようと頭はフル回転する。俺は無意識のうちに拳を握りしめ、大量に出ている手汗に気付いた。

身体の下の方から、急激に脈打つ血管の流れを感じる。

………こっこれは……神よ……っ………

俺「ぁっ……あっ……うわあぁぁぁ!!」ダッダッダッ!
俺は全力でハンガーから飛び出した。

その数分後、ミーナによってネウロイは撃墜された。


――さらに数日後、早朝、基地の外にて――

宮藤「真……烈風斬…?」

坂本「あぁ。古より、扶桑皇国に伝わる秘奥義だ。それを極めることが出来れば、どんなネウロイが来ようとも、一撃で粉砕できる。」

宮藤「……坂本さんっ!私にも烈風斬を教えてください!ネウロイをやっつけて、一日も早く平和な世界にしたいんです!」

坂本「駄目だ…お前みたいなひよっこには、この技は使えん。」

宮藤「がんばります!だからお願いします、教えてくださいっ!」

坂本「……無理だ。」

先程、烈風斬を放った刀を背中の鞘に仕舞い、坂本はそう答えた。宮藤はシュン…とした感じになる。

日課で走りに来ていた俺は、坂本が烈風斬を放った時から、その二人の会話するところを離れた位置から見ていた。

これは8話だ………宮藤の回……。

新しいストライカー……彼との関係……きっと展開が変わるはずだ………

…でも、俺には関係ないんだ…………恋人同士で……もう…どうにでもなれ…。

2期8話。宮藤が主体となる回のため、彼が大きく関わってくることは当然予想でき、本来とは違う展開になる可能性は大きい。
それでも、俺が宮藤をどんなに心配したとしても、これ以上近づくことは許されない。認められない。

なんでだよ…俺は……頑張って…走ったのに……彼や…宮藤や…他のウィッチだって喜んだじゃないか……それなのになんでミーナは………

彼は勇敢で…顔立ちも良くて…魔法も使えるからか?…だからあいつは男なのに、宮藤達に近づいてもいいのか?……なら俺は……生まれた時から…………のけ者かよ…っ……

あきらめのつかない自分にではなく、「彼」に対して、俺は敵意を向け始める。

……俺は報われたことなんてほとんどない……この世界に来たって!…あるのは2、3回の感謝と…2人の……下半身だけだ……

情けないよなぁ……大尉達の下半身もカウントしているんだよ俺………彼となんか比べようにならないほど醜い……

……だけど……あいつさえいなけりゃいいんだ……なんであいつがいるんだよ……

誰だっていなくなれと思うはずだ…この世界に……スト魔女の世界に、彼みたいな奴が登場するなんて………

そうだ……あいつさえ……いなくなれば…っ…

彼…さえ……消えてしまえば……!


このままでは駄目だということに、俺自身は気付いている。

でも…どう足掻いたって……今の俺はもう、恨むことしかできないんだよ……


~つづく~



彼との接触よって、俺の可能性は消えていった。
それに対して増えていく、嫉妬と憎しみ。

宮藤は不調に陥り、彼は寄り添う。

本来あるはずのない影響により、この世界の未来は変わってしまうのだろうか。

誰かの…ネウロイの…犠牲があるから…エースや…彼みたいな存在があるんだろ……それなら……
最終更新:2013年02月03日 15:55