第1話 トラヤヌス作戦
623 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/02/10(木) 22:43:42.31 ID:ayeI7aFP0
第1話 トラヤヌス作戦
―1945年 3月 ロマーニャ 504JFW基地 ハンガー
俺「よし、これで終わりっと。」
これで、出撃前の整備はひとまず終わったな。
あと2時間で作戦開始か…。
ん? 何か背後に気配を感じる。
ララサーバル「…」
ララサーバル中尉が眉間にしわをよせて俺を見つめている…。俺何かしたっけ?
俺「おはようございます。どうかしましたか?アンz…ララサーバル中尉?」
ララサーバル「おはよう。いや、精が出るな、と思ってな。」
そう言いながら、視線があっち行ったりこっち行ったりと泳ぎまくっている。
ははーん、また例の悪い癖が出たのか。
624 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/02/10(木) 22:45:17.67 ID:ayeI7aFP0
俺「大事な作戦を前に不安でしょうがないが、誰にも相談することができず、ウロウロしているうちに自分の所に行き着いたと。」
ララサーバル「いや!そういう訳…では…ない。///」
否定しているが、その赤くなった顔では説得力がない。
その物事を自分の中に抱え込む癖はなんとかならんのかね~。まあ最近はマシになってきてはいるが。
俺「不安なら誰かに話したらいいじゃないですか。
誰かに話すだけでも、不安は薄まったりするんですよ。」
そう言うと、ララサーバル中尉は観念したのか、ため息をついて言った。
ララサーバル「私はこの隊のエースの一人だからな。
私が不安だなどと言うと、隊全体の士気が下がってしまう。」
そう変に生真面目になってしまうのも悪い癖だ。そういう所は昔と変わんねーな。
俺「まったく…不安なのはみんな一緒なんだから話したってどうってことないですよ。
でもまあ、俺に話して少しは安心できたでしょう?」
ララサーバル「まあ…な。」
そう言うと、眉間のしわが少し和らいだ気がする。
626 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/02/10(木) 22:48:50.37 ID:ayeI7aFP0
昔だったらなー、こういう時は恥ずかしがりながら俺に笑いかけてくれたんだけどなー。
なんかくやしいからちょっとからかってやろうか。
俺「そうそう。肩の力を抜いて。眉間にしわがよってたらせっかくの美人が台無しですからね。」
ララサーバル「なっ…///びびびびび美人!?ななな何を言っとるか、きっ貴様はー!!!///」
ははは、顔を真っ赤にしてうろたえてやがる。
容姿をほめられるのが苦手なのは相変わらずだな。そこも昔と変わらない。
ララサーバル「…。///」
そう睨むなって。冗談だろ。
ジェーン「こんな所でどうしたですか、ララサーバル中尉?」
ドミニカ「なんか叫び声が聞こえた気がするぞ。」
ジェーン・T・ゴッドフリー大尉とドミニカ・S・ジェンタイル大尉だ。
お二人とも、おはようございます。
629 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/02/10(木) 22:50:56.89 ID:ayeI7aFP0
ララサーバル「ハイ、ちょっとストライカーの整備の状況を確かめにきました。
叫び声はまあ…気にしないでください。」
二人が来て、顔つきがガラッと変わった。
エースの顔。
不覚にも見惚れてしまう。
泣き虫のアンジーがこんな立派になるとはな…。
さ、寂しくなんかないぞ!
ジェーン「今日はついにトラヤヌス作戦の決行の日ですね…。」
ドミニカ「ネウロイとのコミュニケーションとか、本当に上手くいくのか?」
そう、二人が少し不安げに言った。
ララサーバル「大丈夫です。我々は今までに何度も困難な任務を成功させてきたではないですか。」
ララサーバル中尉が二人に視線をまっすぐ向けて言った。
仲間の前だから不安を押し殺したのか。
強い…な。
630 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/02/10(木) 22:54:27.23 ID:ayeI7aFP0
ジェーン「そうですね!」
ドミニカ「そうだな。」
二人が安心したように笑顔で言った。
ララサーバル「そろそろ出撃の準備をしましょうか。俺兵曹、邪魔したな。」
そう言って、ララサーバル中尉はウィッチ隊の隊舎に向かって歩き出した。
俺「ララサーバル中尉。」
しまった。つい呼び止めてしまった。
ララサーバル「ん?どうかしたか、俺兵曹?」
ララサーバル中尉が立ち止まって振り向いて言った。
まずい…何て言おう…。何も考えてないぞ。
632 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2011/02/10(木) 22:55:43.03 ID:ayeI7aFP0
…まあ強くなった彼女に俺が言えるのは、
俺「がんばってください。」
しかないけどな。
ララサーバル「ああ、ありがとう。」
ララサーバル中尉は微笑みながらそう言うと、再び歩き出して隊舎に行ってしまった。
見る者に安心を与える…強者の笑顔だな…。
まったく…そんなに強くなっちまったら俺の立場がねぇじゃねーか。
俺ができるのはお前の強さを信じることだけだからな。
絶対に無事に帰って来いよ、アンジー。
938 :
俺とララサーバル[]:2011/02/12(土) 02:40:33.89 ID:QWvVG5Ds0
―1945年 3月 ヴェネチア上空
パトリシア「今日はなんだかご機嫌ですね、ララサーバルさん!」
パトリシア・シェイド中尉が満面の笑みで話しかけてきた。
今、私たち504統合戦闘航空団はネウロイとのコミュニケーション実験、トラヤヌス作戦の決行のために、ヴェネチア上空のネウロイの巣へと向かっていた。
ララサーバル「そうか?私としてはいつも通りだと思うが…。」
パトリシア「そうですよ!なんかこう…いつもより眉間のしわが少ない気がします。」
また眉間のしわの話か…。
い、いかん。さっきのことを思い出して、また頬が熱くなってきた。///
俺め…余計なことを言いおって。///
む?ネウロイの巣が見えてきたな。
そろそろ作戦開始か…。
939 :俺とララサーバル[]:2011/02/12(土) 02:43:11.49 ID:QWvVG5Ds0
ネウロイの巣付近に到着した私たちは、先頭に竹井大尉、その後方に私を含めた「赤ズボン隊」の4人、
そのさらに後方にそれ以外のメンバーが控える、という布陣を取った。
竹井大尉がネウロイの巣に近づいていく。トラヤヌス作戦の開始だ。
すると、ネウロイの巣から人に酷似した形のネウロイが出てきた。
こいつが501JFWの報告にあった人型ネウロイという奴だな。
竹井大尉はそのネウロイに接触を試みようとしている。
よし、とりあえず作戦は順調だn ルチアナ「何アレ!?」
横を飛んでいるルチアナ・マッツェイ少尉が叫んだ。
な、何だアレは…。人型ネウロイが突然出てきた赤い光線で消し飛んだだと…?
940 :俺とララサーバル[]:2011/02/12(土) 02:48:05.01 ID:QWvVG5Ds0
ルチアナ「上を見てください!」
ララサーバル「なっ!?」
そんなバカな…。
私たちの目の前のネウロイの巣の上方に、その巣の何倍もの大きさのネウロイの巣が出現していた。
竹井「こちら竹井。作戦は失敗した…。くりかえす
トラヤヌス作戦は失敗した…。」
941 :俺とララサーバル[]:2011/02/12(土) 02:50:57.35 ID:QWvVG5Ds0
竹井「全機撤退!!」
竹井大尉が撤退の命令を出した。
当然だ。
ネウロイとのコミュニケーションが不可能になった今、我々に残された道は撤退しかない。
ん…?ネウロイの巣が赤く光っている…!?
ララサーバル「危ない!」
キィィィィィィィ!!
ネウロイの巣から大量の赤いビームがあたり一面に放出された。
ララサーバル「ッ…!!」
ビームの数が多すぎてシールドで自分の身を守るので精一杯だ…!
他の皆は大丈夫か!?
943 :俺とララサーバル[]:2011/02/12(土) 02:57:09.78 ID:QWvVG5Ds0
30秒くらい経ってやっとビームの雨が収まった。
これで、仲間の状況を確かめられる。
状況は…最悪だった。
竹井大尉は真っ赤になった左肩を押さえている。
ジェンタイル大尉は腹部に血のシミができている。あれは…まずいか…!
その他の隊員も少なからず負傷している。
私以外は全員戦闘不能…か。
ララサーバル「竹井大尉。」
竹井「何?」
ララサーバル「ここは私に任せてください。」
944 :俺とララサーバル[]:2011/02/12(土) 02:59:07.37 ID:QWvVG5Ds0
竹井大尉は一瞬驚いた表情を見せたが、周りの状況を見て、
竹井「分かったわ。」
と言ってくれた。
赤ズボン隊の他のメンバーも、少し心配そうな顔つきだが、頷いてくれている。
4人とも、自分が満身創痍であることを理解し、全員を助けるためには、無傷の私が少しでも敵を食い止めないといけないことを理解してくれている。
さすが、歴戦のエース達だな。
竹井「504統合戦闘航空団全機に告ぐ!ララサーバル中尉が殿を務めてくれます。
全機、全速力で基地へ向かってください!」
竹井大尉が、肩の傷の痛みに顔を歪めながらも、大声で叫んだ。
946 :俺とララサーバル[]:2011/02/12(土) 03:04:11.83 ID:QWvVG5Ds0
それを聞いて、他の皆はすぐに向きを変え、基地の方へ向かった。
負傷しているとは思えない速さだな…。
ジェンタイル大尉なんて、意識が飛んでてもおかしくないくらいなのに…。
私が少しでも早く帰って来れるように…か。
良い仲間を持ったな…。
しかし、敵も簡単には帰してくれない。
我々に追い討ちをかけるために、小型ネウロイがワラワラと巣から出てきた。
さて、やるか…。
私はネウロイの方を向き、叫んだ。
ララサーバル「来い!第504統合戦闘航空団、アルダーウィッチーズ、アンジェラ・サラス・ララサーバル中尉、
簡単な相手ではないぞ!!」
最終更新:2013年02月03日 16:15