ジェットストライカーの件から10日後、501のメンバーはブリーフィングルームに集められた。

宮藤「皆を呼び出して何をするんでしょうね・・・」

リーネ「一体何が始まるんですか?」

バルクホルン「まだ俺と友は来ていないのか?今から呼びに...

エーリカ「トゥルーデ!」

黒板の前に光の柱が現れ俺と友が出現する。後ろには大量の箱も出現した。

バルクホルン「・・・転送で来るなら言ってくれれば...」

友「すみません。梱包作業に手間取ってしまったんです」

俺「今日は前に皆さんに聞いておいた欲しい物をプレゼントする為に集まってもらったんです!」

エイラ「前の昼食の時のアンケートの事か?」

俺「そうです。まずは・・・宮藤軍曹、来て下さい」

宮藤「これは医学書ですか?有り難うございます!」

俺「リーネ曹長には紅茶のセット、ペリーヌ中尉には花の種を選びました
  紅茶は美味しい物を選んでレプリケートしました。花の種は作れないのでロマーニャで買ってきたんです」

リーネ「こんなに沢山・・・」

ペリーヌ「べ、別にわざわざ遠くまで行って買ってこなくても...」

友「転送機で行ったので問題はありませんよ。お金も今までのネウロイ撃破でミーナさんからもらった報酬で払いまいたし」

ペリーヌ「そうなのですか・・・か、感謝しますわ//」

友「シャーリー大尉には工具のセット、ルッキーニ小尉には強度を上げた虫取り網を・・・」

ルッキーニ「たしかにこれはつよそうだね~」ブンブン

シャーリー「おお、気がきくじゃないか。でもあたしは『シャトルを操縦したい』と頼んだんだけどなぁ~」チラッ

友「い、今はちょっと忙しいので後で乗せると言う事で...」

俺「ミーナ中佐にはラジオ、坂本少佐の言っていた訓練器具は・・・」

坂本「ん?なんだこれは?」

俺「訓練器具で調べたらそれが出てきたんですよ。エキスパンダーというらしいです」

坂本「ふむ、よく分からんがありがとう!」

ミーナ「このラジオ、真空管式では無いようだけど?」

友「あれ?この時代はトランジスタ式だと・・・まぁいいか」

友「サーニャさんにはこの猫の置物を、後エイラさんの注文の事なんですが・・・」

エイラ「あー・・・ノリでピアノって言ったんだっけ」

サーニャ「エイラ・・・」

友「大丈夫です。既に部品をレプリケートして組み立ててあります。ただ重いので後で部屋に転送する事になりますがそれでよろしいでしょうか?」

エイラ「そうなのか?!あの時は無茶言ってゴメンな・・・」

友「いえいえ、物作りは大好きですから。むしろ楽しかったですよ」

俺「ゴホン・・・トゥルーデとエーリカ中尉には欲しい物と合わせて訓練のお礼も作ったんです!」

バルクホルン「・・・この服はクリスの服か?」

俺「ええ、クリスさんは宮藤軍曹と同じくらいの体系と聞いたので軍曹に選んでもらったんです。これで良いですか?」

バルクホルン「すごく良いな!ありがとう!」

俺「あともう一つ、これを・・・」

バルクホルン「このバッチは・・・」

俺「コムバッチのデザインをカールスラント軍軍旗にしたものです」

バルクホルン「綺麗に作り込まれているじゃないか・・・ありがたく受け取っておくよ!」

友「エーリカさんにはお菓子の詰め合わせと...」

エーリカ「これって目覚まし時計?」

友「はい、朝起きるのが遅いかなと思ったので」

エーリカ「大きなお世話だよーまったく・・・でもありがとう・・・//」ボソッ

俺「・・・中佐、少しお話宜しいでしょうか?」

ミーナ「あの話ね・・・後でミーティングルームに」

俺「ありがとうございます」

バルクホルン「?」

皆がプレゼントで賑わう中、俺と友、ミーナは何かを話しているようだ。三人ともさっきとは違う暗い顔をしている。

バルクホルン(気になるな・・・)



~ミーティングルーム~

ミーナ「もう装置は完成したのね。貴方達の技術力には驚かされるわ・・・」

友「基本構造は魔導エンジンと同等なので問題はそこまで無かったんです」

俺「これは今までのお礼です。さっきのとは別に渡しておきたかったので」

友はミーナ中佐に数十枚分の文書を手渡す。

友「これには最近のネウロイの動向とストライカーの研究に役立ちそうな技術を書いてあります。お役に立てればと」

俺「別に宝石や貨幣を複製して渡すのも良いかと思いましたが、流石に貴方は軍人なのでそういった物は歓迎しないと思ったんです」

ミーナ「ええ、ありがたく受け取っておくわ。他の皆には別れを言わないのかしら?」

俺「はい、なるべく皆には言いたくないんです」

ミーナ「出発はいつ?」

俺「今日の夜です。夜皆が寝た時に出発したいので...」

結局彼らの入ったミーティングルームの扉から聞き耳を立てていたのだが・・・

バルクホルン(まさか・・・最近皆に優しかったのはこのためだったのか?)

ミーナ「そう・・・皆には貴方達が出発した朝に話すわ」

俺「最後まで迷惑を掛けてしまってすみません」

ミーナ「良いのよ別に。むしろ貴方達は戻れて嬉しいんでしょ?」

俺「そうでしょうか・・・我々の艦隊規則ではワープ技術、超光速航行技術が無い種族との接触を禁じています。
  俺達は元に戻れたら今までこの世界で入手した技術を全て破棄し、艦隊本部に事の全てを報告します。
  おそらく降格か強制労働の刑が待っているでしょうね」

友「私もそうなるでしょうね・・・」

ミーナ「・・・それが貴方達のけじめのつけ方なのね」

バルクホルン(そんな・・・)


~バルクホルン私室~

あの会話を聞いた後、私は一人部屋で考え事をしていた

バルクホルン(戻るのなら一言でも...)

ドンドンッ

バルクホルン「!...誰だ?」

俺「俺です。前借りた教本を返しに来ました」

バルクホルン「分かった。入ってくれ」

俺「失礼します」ガチャ

俺「教本、色々参考になりました。ありがとうございます」

バルクホルン「・・・どうして返すんだ?」

俺「・・・大体内容は把握しましたので丁度良いと思っただけです」

俺「その机の書類は?」

バルクホルン「ああ、これは私が処理すべき書類だ」

俺「手伝いましょう」

バルクホルン「いや、別にしなくても...」

俺「俺が出来る事があるならしますよ?」

バルクホルン「・・・ならこの書類を宛先で分けてくれ。多分私宛と中佐、501部隊で分かれているはずだ」

俺「分かりました...」


俺「コレで良いですか?」トントン

バルクホルン「ありがとう・・・もうこんな時間だ。一緒に食事に行かないか?」

外を見る限り夕方のようだ。宮藤達が夕食を用意しているだろう

俺「今日は・・・シャトルの方でやる事がありますから」

バルクホルン「そ、そうか・・・頑張ってくれ」

俺「では・・・さようなら」

バルクホルン「! おれっ...」

バタンッ!

バルクホルン「・・・っ!」

彼は部屋から私の言葉も聞かず出て行ってしまった...


皆が寝静まったであろう深夜、俺達はシャトルの最終整備を終わらせた。

誰にも気付かれたくないのでミーナ中佐にはサーニャ中尉の夜間哨戒を中止させてもらってある。

俺は操縦席に座り操縦システムのチェックを行っていた。

操縦席の下にはストライカーの脚を小型化した物が取り付けられ、そこから後ろに配線が伸びている。

配線の先には大きな魔導エンジンを改造した物がある。これが魔力を安定して制御し、シールドエミッタからシールドを伝って船周辺に魔力を放出するという構造だ。

友「俺少佐に操縦と魔力供給をやってもらう事になりますが大丈夫ですか?」

俺「操縦は何とか覚えたよ。それよりも装置を任したよ」

友は後部座席のコンソールから装置の出力調整とシールドの形状変化を行い事故当時の状態を再現する事になっている。

友「事故当時に発生した異常は只の魔力増加では無く時空間に影響をもたらす一種の魔法だと思います。上手く行くでしょうね・・・行くでしょうね」

俺「?・・・インパルスエンジン起動」

機体がゆっくり浮く。ランディングギアを収納し前進しようと思ったその時、

バルクホルン「待て!!」

俺「トゥルーデ?!何故ここに・・・」

トゥルーデはシャトルの真正面で対峙する形に立っていた。こちらにはコムバッチから話しかけている。

俺「・・・貴方は勘が良い人だ。気付かれるのは時間の問題と思っていたんですけどね」

バルクホルン「お前達はどうしてそうしてまで帰ろうとするんだ!帰れば罪を問われるだけなのにどうしてそこまでして...」

友「故郷だから・・・帰るんです。自分の故郷に」

俺「この世界は俺達のいる世界と似ている。でも俺達の世界ではありません
  トゥルーデもカールスラント、自分の故郷が一番と思いませんか?」

バルクホルン「それは・・・」

俺「別にこの世界が嫌いでは無いんですよ。でも元いた場所に帰ろうとするのは当然の事でしょう?」

バルクホルン「・・・」

俺「コンピューター、彼女の通信を遮断し自室に転送しろ」

彼女の姿は光に包まれ消えていった。目の前には滑走路と夜空が広がるのみだ。

友「良いんですか?」

俺「彼女には悪い事をしたと思ってるよ。でもこれで良いんだ」

俺「・・・発進開始」



バルクホルン「・・・ここは」

彼の言葉に返そうと思った矢先、私の体は光に包まれ自室まで飛ばされていた。

バルクホルン「転送されたのか・・・俺と友は...」

窓の外には離れていくシャトルの姿が映っている。もうストライカーでは追いつけないだろう。

バルクホルン「おい!聞いているのか!応答しろ!応答してくれ!・・・」

コムバッチからは反応が無い。通信を切られてしまった。もう何も手立てが無いのか・・・

エーリカ「・・・ん?トゥルーデどうしたの?」

バルクホルン「ハルトマンなのか・・・起こしてしまってすまない」

エーリカ「何かあったの?悲しそうな顔してるけど...」

バルクホルン「いや、何でも無いんだ・・・」

ハルトマンは納得した顔をしていたが急に暗い顔になった。

エーリカ「俺と友は帰ってしまったんだね・・・」

バルクホルン「ハルトマンも気付いていたのか?」

エーリカ「んー...勘かな。前からそんな感じがしていたし」

ハルトマンは笑いながら頭の後ろに手を組んで壁にもたれている。

エーリカ「私も引き留めようかな~って思ってたんだけどね。でも友は鈍感だから・・・ハハハ」

バルクホルン「お前は友の事が...」

エーリカ「そんなんじゃ無いよ!友はいーっつもお菓子をくれるからずっと居てほしいなぁ~って...」

バルクホルン「それじゃあ餌付けされたみたいじゃないか・・・」

エーリカ「ハハハ・・・そうなのかもね・・・トゥルーデは俺の事どう思っていたの?」

バルクホルン「あいつは・・・いつも訓練を真面目にやるし仕事も手伝ってくれるし前に助けてくれたし...」

エーリカ「本当にそれだけ?」

バルクホルン「いや、私は・・・俺の事をどう思っている、いや、どう思っていたのか自分でも分からないんだ」

エーリカ「そうなんだ・・・もう寝るね~」

ハルトマンはそのまま布団の上に倒れ込んだ。

エーリカ「すぅ...ふぅ...」

バルクホルン(結局さようならも言えなかったのか・・・)

もう一度窓の外を見る。空にははくちょう座やわし座が見えていた。

星空の中からシャトルのエンジン光を探す事はもう出来ないだろう。



基地を発進して数分後、シャトルは基地からベルギカ領の方面へ上空一万メートルで飛行していた。

初操縦だったが何も問題は無く、この後大気圏を離脱し目標ポイントまで行く事になった。

友「操縦の腕前は文句無しのようですね・・・って少佐?」

俺「ボー・・・ん?何だい?」

友「いえ、何でも無いですよ。そろそろ大気圏離脱に...待ってください、今こちらに向けて通信が入っています」

俺「ふむ・・・繋いでくれ」

?『未確認飛行体に告ぐ!今すぐ所属を述べよ!』

俺「・・・この通信は一体どこから来たんだ?」

友「カールスラント北部、上空8000メートルです」

俺「ナイトウィッチか・・・シールドを調整してレーダーから姿を隠せ」

友「了解...シールド調整完了」

?『くっ・・・ステルス能力か!だがその程度でわらわを欺けると思うな!』

友「ナイトウィッチの方がインターセプトコースを取っています」

俺「サーニャ中尉にナイトウィッチの能力について聞いておくべきだったな
  ヨーロッパツアーは終わりだ。大気圏離脱開始」

シャトルの機首を上げインパルスエンジンの出力を上げる。第一次宇宙速度を軽々と突破し機体は加速をし続けていく。

?『待て!・・・』

俺「もし追いかけたいなら後200年は待って下さいね」

最後に通信を送り友に回線を切らせた。既にシャトルは熱圏まで到達している。

俺「友、彼らは我々と同じように宇宙進出を果たすと思うか?」

友「技術の発達が違う以上どうとも言えません。ですが彼らにも冒険心や向上心はあります。いつか宇宙を旅するようになるでしょう」

俺「その時彼らは今ある問題を片付ける事が出来るだろうか・・・」

話している間にシャトルは大気圏を離脱し太陽系内を航行していた。

俺「目標ポイントは?」

友「ここから0.5光年離れたオールトの雲内部です。実験に失敗しても安全な所でしょう。コースは方位030、マーク45です」

俺「かなり離れているな・・・ワープで向かおう」

友「太陽系内でのワープ航行は規則で...」

俺「既に地球からは離れている。問題無いだろう」

友「そうですね・・・ワープナセル展開、ワープコア異常なし!」

俺「コースセット完了、ワープ5」

船は一瞬でワープ状態に入る。速度は光速の214倍に達しており誰も追いつけないだろう。

後部モニターには離れていく地球の姿が見えている。俺はそのまま小さくなっていく地球をしばらく眺めていた。

友「到着予定時間は約21時間後です」

俺「・・・ありがとう。ゆっくりしてて良いぞ。センサーチェックは俺がする」

友「分かりました」

俺(さようなら・・・トゥルーデ)
最終更新:2013年02月03日 16:24