注意!このSSは原作の設定などが出てきます!

5話と6話の間の話ですが本編のみ読んでいても十分です。


俺達がシャトルで501基地を出発して1日後、シャトルはオールトの雲内部にいた。

俺達は船のシールドと装置の調整を終わらせ起動準備に入っている。

俺「装置は正常範囲内で作動しているか?」

友「ええ、大丈夫でしょう」

友はトリコーダーを取り出し入念に配線のチェックをしている。

俺「なら・・・始めよう。時は金なり というからね」

友「金? レプリケーターで作れますよ?」

俺「昔の古い言い回しだ。気にするな」

友「了解 装置の準備は出来ています。魔法力を注入してください」

俺は操縦席の下に備え付けられたストライカーに魔法力を注ぐ。

ストライカーから配線で奥の装置に魔法力が流れていった。

友「魔法力の制御を開始。シールド再初期化。周囲の重力場へ干渉を行います」

俺「・・・状況はどうなんだ?」

友「まだ魔法力が足りません・・・もっと送ってください」

俺「そう言われても・・・くっ...」

今でもストライカーユニットの最高時速時と同じくらいの量を送っている。

友「魔法力が一定ラインに達しました。これより周囲に魔法粒子を散布し事故時と同じ状況を再現します」

キャノピーの外が僅かに青く光り始める。だが事故時の明るさには及ばない

俺「どうしてあの時と同じにならないんだ?!」

友「あの時の魔法量は少佐が出している魔法量の数十倍だからですよ!」

俺「どうしてその事を先に言わなかったんだ!!」

友「今分かったんですよ!!」

友はコンソールを操作しながら怒鳴りつけてくる。本当に想定外の事態らしい

友「空間異常は元の世界に戻るのに必要な値の20%もありません・・・一度やり直した方が...」

俺「もっと考えろ!船全体を異常で囲むんじゃなくてワームホールを作るように異常を起こせないのか?!」

友「なるほど・・・この宇宙と元の宇宙を繋ぐんですね!」

俺「小さい穴でも良い!開けたらシールドを使って強引にこじ開けるんだ!」

友「魔法粒子の再現を前方のみに制限。シールドパワー最大!」

船のワープコアが唸りを上げる。それと共にシャトル前方が眩しく光り始めた

友「空間の亀裂が発生しました!現在の直径は1メートル四方!」

俺「予備のシールドエミッタにパワーを回して亀裂をもっと大きくするんだ!俺の魔法力はもう持たないぞ!」

友「今やってます!!亀裂の直径は現在2メートル四方。船が通れるまでもう少しです!!」

コンソールに異常を示す警告が多数現れる。俺も船も限界に達していた

俺「ワープコア限界!シールドエミッタもそろそろ...」

友「亀裂の直径が6メートル四方になりました!」

俺「よし!スラスター全開!」

コンソールを操作して亀裂内部に突入する。内部は真っ暗だが遠くに出口が見えた。星が見える以上どこかの宇宙には通じているだろう...

友「少佐!コンジットにパワー変動が...」

その瞬間周りのコンソールが大爆発を起こした。閃光と共に顔に激痛が走る

俺「ぐわぁあああぁぁぁぁ...」

友「少佐!少佐...」

俺の意識はそこで途切れてしまった...


俺「うぅ・・・ここは・・・」

俺はどこかベットで寝かされているみたいだ。目を開くと天井と照明が見える

?「ふむ、中々回復が早いようだ」

横から誰かが歩いてくる。

俺「一体ここはどこ...」

?「検査が終了するまで寝るように」

歩いてきた男にそのままベットに押し戻され医療用トリコーダーでスキャンを受ける

今いる部屋の中には幾つかのベットと医療器具、ラボがある。どうやら医療室のようだ

?「傷も無し。神経のダメージも完治してるな」

男は医療スタッフの一人のようだが...もしそうなら...!

俺「ここは宇宙艦隊の船なのか?!」

?「そうだが?」

俺「船籍は何なんだ?!」

?「NCC-74705 USSベレロフォンだ」

俺「元の世界に戻ってこれたんだな・・・友はどこにいるんだ?!」

?「まぁそう慌てるな。友チーフは確か艦長と話をしていると聞いた。今から呼ぼう」

?「ピピッ 艦長ですか?患者が回復しました。色々話がしたいようです」

コムバッチでどこかに連絡している。しばらく後に部屋の扉が開いた。

友「少佐!ご無事でしたか!」

俺「友も無事だったんだな・・・彼大佐?」

彼大佐「君達を発見したのは私だからな」

俺「・・・ここはどこなんです?」

彼大佐「まぁ待て、初めからゆっくり説明しよう。ドクター、彼はもう大丈夫だな?」

?「ええ、健康体と考えて問題無いでしょう」

彼大佐「一緒に作戦室まで来てくれ」

俺「分かりました」

ベットを出て傍の棚に置いてあった上着を取る。服に傷は無い。誰かが新しく作りなおしたようだ

俺「治療に感謝します」

?「フッ 私に掛かればこの程度の傷は目を瞑っても直せますよ。私には500万以上の医療技術と...」

彼大佐「ドクター?」

?「...分かってます。コンピューター、EMH停止」

彼の姿はそのまま消えていった

俺「ホログラムドクターですか?」

彼大佐「そうだ。医療技術や能力は非常に申し分ないが・・・少しおしゃべりなんだ。さぁ行こう」

俺と友は彼大佐の後に付いていく。部屋を出て通路を歩き続けている間に友に今までの経緯を聞く

俺「あの後どうなったんだ?」

友「少佐が意識を失った後、魔法力の流入が止まらない状態になったんです」

友「そのお陰か亀裂が安定・・・したので装置を無理やりフェイザーで破壊してスラスターで通り抜けました」

友「遭難信号を出した後、少佐の傷を治そうとした時この船に助けられたんです」

友「ですが・・・」

俺「何か問題が?」

そうしている間に作戦室に辿り着く

彼大佐「まずそこに座ってくれ」

窓の外には俺達が通った空間亀裂と思われる物が見えている。

彼大佐「まず私が君達を発見するまでの話をしよう」

彼大佐「君達が消えた後、艦隊は様々な方法で調査を行ったが何も観測出来なかった」

彼大佐「そのため艦隊はこの異常の調査を打ち切り、君達を"行方不明者"として扱う事にしたんだ」

彼大佐「私は率先して調査を行っていたが艦隊の命令を受けてロミュラン中立地帯の天文調査...実質的には監視の任務に回された」

彼大佐「そして数ヵ月後、中立地帯近くの星系で謎の空間異常を探知し船で空間異常を探索していた」

彼大佐「その時亀裂が繋がって君達が出てきた、という事だ」

俺「そうなのですか・・・助けてくださってありがとうございます」

彼大佐「私としても君達を発見出来て嬉しいよ・・・ただ問題がある」

大佐は壁の大型ディスプレイに空間亀裂の情報を映し出した。

彼大佐「この亀裂、君達がこの宇宙に来るため作りだしたものだが...」

俺「・・・大きくなっている?」

友「亀裂が段々大きくなっているんです。増加の割合が加速しています」

彼大佐「このままだと星系を飲み込むのに一週間も掛からないだろう」

俺「それは大問題ですね・・・艦隊にこの事を報告したんですか?」

彼大佐「出来てないんだ。既にこの星系全体が空間異常のせいで亜空間通信が出来ない状態なんだ」

俺「星系の脱出は...」

彼大佐「ワープドライブも停止している。フルインパルスでも脱出に数年は掛かるだろう」

俺「手立てはあるんですか?」

友「今こちらの機関部員と私の持ちかえった魔法技術を科学的に解析して対策を考えています」

彼大佐「そう・・・君達は魔法と呼ばれる物を取得したらしいな」

彼大佐は暗い顔でこちらを見ている

彼大佐「既に友チーフから向こうの世界での経緯は聞いた」

彼大佐「君達はワープ技術開発以前の種族に接触し、内政に干渉し、ネウロイと呼ばれる生命体を殺害した」

彼大佐「君達が戻るためには仕方ないと考える事も出来るが逆に言えば君達は自分達のために艦隊規則を破った事になる」

彼大佐「私からも本部に申し立てはするが・・・重い罪は覚悟してほしい」

彼大佐「俺少佐は別室待機、友チーフは機関部員と共に脱出の方法を考えてくれ」

俺「了解・・・」

友「了解です」


俺「はぁ・・・」

俺は与えられた部屋でずっと待つ事になった。

本部に出すための報告書も既に完成し、今は俺達が居なかった時の連邦内のニュースを見ていた

俺「何も変わってないのか・・・」

扉が開き友が入って来る。外は保安部員が俺達を見張っているようだ

俺「進展は?」

友「どうとも言えません」

友は部屋に備え付けられたレプリケーターにアクセスしてココアを出している

友「ズズズ 私が出来る事は全てやりました。後はここのメカニックや科学士官が解決するでしょう」

俺「ここのクルーは優秀と聞く。異変もすぐ解決するだろう」

友「そうですね」

二人とも何も話さずただ時間が過ぎていく...

友「貴方は・・・」

俺「何だい?」

友「貴方はあの世界に未練がありますか?」

俺「・・・無いと言ったら嘘だな」

友「私もそうですね」

友はコップをデスクに置くと俺の横に座る

友「旅立つ時は意気揚々でした。絶対帰ってみせるとね」

友「でも今この世界は・・・刺激が無いんですよね」

友「このまま艦隊に残れたとしても何も新しい発見が出来ないんです」

友「連邦は既に数千光年以上を探索し連邦船が行っていない場所は銀河には存在しません」

友「それでなくても私達はずっとコンソールを操作して任務をこなして・・・そんな日常しかここには無いんですよ」

友「それに比べてあの世界は面白かった・・・」

友「貴方はどう思っているんです?」

俺「俺は・・・一つだけ心残りがあるんだ」

友「バルクホルン大尉の事ですか?」

俺「まぁそうだな・・・」

友「好きだったんですか?」

俺「それは・・・よく分からない」

友「そうですか・・・」


次の日、俺達は朝から作戦室に呼ばれた。空間亀裂の件らしい

作戦室の中には各部署の責任者が集まっている。俺達は後ろで話を聞いていた

彼大佐「主任、現在の状況を説明してくれ」

科学士官「了解です、今回のこの現象についてですが・・・」

ディスプレイに様々な情報が映し出される

科学士官「現在の亀裂の大きさは5000キロメートル、なお増加中です」

科学士官「これを閉じる方法としていくつか検討しましたが反タキオンパルスを放出する事でおそらく閉じる事が出来ると思われます」

科学士官「でも問題が一つあるんです」

科学士官「もし閉じるのであれば両方の出口からパルスを放出しなければならないんです」

副長「・・・向こうに誰か行かなければダメなのか。こちらの船の用意は?」

機関主任「今ディフレクター盤を調整しています。作業はすぐ終わるでしょう」

副長「なら誰が向こうに...」


俺「我々が行きましょう」

彼大佐「・・・また帰ると言うのか?」

俺「この現象を起こしたのは我々の責任です。我々で片付けます」

副長「だが君達が向こうに行ってもどうやってパルスを...」

友「考えがあります」

友はディスプレイにアクセスして何かの装置の情報を引き出す

彼大佐「その情報は艦隊情報部の機密情報だ。一体どこから知ったんだ?」

友「少し調べている時にですよ」

副長「一体それは何なんだ?」

友「数年前、USSヴォイジャーが入手したクロノディフレクターと呼ばれる装置の情報です」

友「タキオンパルスを放射し安定した空間亀裂を発生させてタイムトラベルを可能とします」

友「これを改造し、シャトルに取り付けて亀裂の向こうから反タキオンパルスを放出しようと考えてます」

彼大佐「・・・科学士官として出来ると思うか?」

科学士官「技術的には十分可能です」

機関主任「既に設計図もあるようですし制作には時間は掛かりません」

彼大佐「作業に取り掛かってくれ。俺少佐のシャトルに取り付けられるように調整しておくんだ」

彼大佐「解散してくれ・・・俺少佐と友チーフは残るように」

皆が作戦室から出ていく中俺と友は部屋に残された

彼大佐「さて・・・友チーフ、何故君は戻ろうとするんだ?」

友「それは・・・」

友「向こうの世界が楽しいからでしょうか」

彼大佐「ここでは駄目なのか?」

友「刑務所から出た後はどこかで働くだけでしょう。そこでも結局コンソールにアクセスする毎日です」

友「・・・正直飽き飽きしてるんですよ。目標も無い今のこの世界に」

彼大佐「・・・聞かせてもらってありがとう。君も機関部員達を手伝ってやってくれ」

友「失礼しました」

彼はそのまま部屋から出ていった。残るは俺と彼大佐だけだ

彼大佐「君が戻る目的は何だ?まさかこの問題を収拾するだけ・・・という訳では無いだろう?」

俺「俺は・・・」

オペレーター≪すみません、センサーが亀裂から何かを探知しました≫

部屋に通信が入って来た。ブリッジかららしい

彼大佐「何なんだ?解析してくれ」

オペレーター≪どうやら亜空間通信のようですが・・・連邦のコミュニケーターからです≫

オペレーター≪亀裂からの干渉で聞き取りにくいですが・・・解析完了しました≫

彼大佐「こっちの部屋に流してくれ」

しばらくの後、部屋に雑音混じりの音声が流れた

≪わたしは...とき、きっと...いいた...んだ≫

俺「トゥルーデ?!」

≪いかない...れって...≫

≪おれの...ことがすきな...だ≫

俺「・・・」

≪いっしょ...ザザザッ≫

オペレーター≪ここで通信は途切れています≫

彼大佐「ありがとう。引き続き監視を続けてくれ」

彼大佐「さて・・・君も行くのだろう?彼女を待たせるのは良くないぞ?」

俺「すみません。行かせてもらいます」

彼大佐「良いさ。自分が思うように生きればいい。私はこの艦隊に生きがいを感じる人間だからな」

彼大佐「正直昔の君、純粋に仇を取ろうとしてた時は上官として嬉しくなかった」

彼大佐「その君が自分自身の為に生きようとするのなら私は応援するよ。そうすると君の父上に最後に言われたからね」

俺「父と話した事があるのですか?!」

彼大佐「言って無かったな・・・君の父上が戦いで行方不明になる前、私は彼の元に向かっていたんだ...」


...13年前、私の指揮する宇宙艦はウルフ359に向かっていた。艦隊の防衛線に参戦する為だ。

彼少佐「現在の戦況は?」

オペレーター「艦隊がボーグキューブと交戦開始しました」

彼少佐「後どれぐらいでウルフ359に辿り着く?」

航海士「現在のワープ速度で2時間後です」

彼少佐「もっと速度は・・・出ないか」

私の指揮していた船はオーベルト級。調査艦として作られた以上速度が出せる物では無かったんだ

彼少佐「通信は拾えるか?」

オペレーター「拾ってみます...」

しばらく後、ブリッジに通信が流れた

≪シールド30パーセントまで低下!第2~6デッキ破損!≫

≪敵キューブのシールドに変化なし!攻撃が効きません!≫

≪敵の攻撃がシールドを貫通しています!シールド周波数を探知されました!≫

≪死者数40名!...侵入者警報です!ボーグが乗り込んで...ぐああぁあああああ!!!≫

≪機関部に魚雷命中!反物質抑制フィールドが...≫


≪我々はボーグだ。シールドを下ろし降伏せよ。お前達の生物的特徴及び科学技術を我々と同化する。お前達の文明は我々の一部となる。抵抗は無意味だ≫


彼少佐「・・・今生き残っている船の数は?」

オペレーター「40隻中30隻が破壊されました・・・死者は数千人と予想されます・・・」

彼少佐「クソッ!・・・今通信が取れる艦船はあるか?」

オペレーター「一隻だけ可能な船があります」

彼少佐「繋いでくれ!」

彼少佐「こちら宇宙艦隊、彼少佐です!応答願います!」

?≪君は・・・私は同じく宇宙艦隊、父大佐だ≫

彼少佐「大佐ですか?!アカデミーでは...」

父大佐≪君は面白い子だったな。こんな状況じゃなければもっと話したいが・・・≫

彼少佐「今そちらに向かっています!後2時間で...」

父大佐≪無理だ!君の船では奴らに太刀打ち出来ない!≫

彼少佐「でも貴艦の援護なら...」

父大佐≪既に無理だ。フェイザーも魚雷も機能停止している。ワープ航行も出来ない。船の半分が吹っ飛んでるよ≫

彼少佐「ならすぐに脱出してください!」

父大佐≪残念だが脱出ポッドは乗務員の家族を乗せて全て射出された。乗り遅れたよ ハハハ≫

彼少佐「何のんきにしてるんです!」

父大佐≪良いんだ。俺は最後にこの船をキューブに突っ込ませる。最後くらい船と共に終わりたい  グハッ...≫

彼少佐「大佐!」

父大佐≪ちょっと破片が刺さっただけだ・・・すまないが君に最後に頼みたい事がある・・・≫

父大佐≪今から送る座標に乗務員の家族の脱出ポッドがある。彼らを救出してくれ・・・≫

彼少佐「分かりましたから今すぐ戦線から離脱してください!」

父大佐≪私の息子・・・アイツを見守ってやってくれ・・・≫

彼少佐「大佐!」

父大佐≪貴官の幸運を祈る!通信終了!≫

オペレーター「通信が途絶えました・・・」

彼少佐「・・・送られてきた座標にコースセット、ワープ最大・・・」

彼少佐「・・・作戦室に戻る。大尉、代わりに指揮をしてくれ・・・」


~ウルフ359、ミランダ級宇宙艦、ブリッジ~

父大佐「・・・まさか最後に彼に会えるとはな グッ...」

母大尉「傷が大きいわ。今すぐ処置をしないと・・・」

父大佐「もうこれ以上長く生きる気は無いよ。それにしても君まで残らなくても良かったんだぞ?」

母大尉「何を言ってるの貴方・・・航海士が居なきゃ船は動かせないわよ?」

父大佐「あの子を育ててもらう為に逃げて欲しかったんだが・・・」

母大尉「私もあまり長くは無いわ・・・さっき機関室で修理してる時にかなりの放射線を浴びちゃったのよ・・・うっ...」

彼女は口から垂れていた血を拭きながら必死に船を操作している。

父大佐「・・・それにしても」

ブリッジの周りを見渡してみる。壁にあったコンソール類は全て吹き飛んでいる。

父大佐「良い船だったよな。最初に乗ったのが20年前だったっけ」

スクリーンも攻撃で吹っ飛んでしまった。非常用フォースフィールド越しに敵のボーグキューブが見えている。

母大尉「貴方は新米のブリッジ士官、私は科学士官としてね」

父大佐「あの頃は楽しかったよな。色んな星に行って色んな冒険をして...」

母大尉「一度貴方が上陸任務から戻って来るのが遅かった時は本当に心配したのよ?」

父大佐「手厚い歓迎を受けていたんだよ。あの時はすまなかった」

母大尉「あの時はキスで許してあげたと覚えているわ・・・敵キューブがコース変更、ワープに入るつもりだわ」

父大佐「コースの先は・・・地球か」

母大尉「今地球に防衛線は存在してない。頼りの援軍のエンタープライズも間に合わないでしょう」

父大佐「なら我々が為すべき事は一つ。コースを敵キューブに合わせろ。フルインパルスだ」

母大尉「コース変更、推力最大」

父大佐「・・・最後に言っておきたい事がある」

母大尉「好きだよ、でしょう?私もよ」

母大尉はそのまま席を立つと父大佐の元に向かい、彼を抱きしめた

母大尉「貴方に会えた事、結婚出来た事・・・こんな結末になったけど後悔なんてしてないわ」

キューブから光子魚雷が撃ち出されるのが見えた。緑色の閃光がブリッジ目がけて迫って来る。

父大佐「俺もだよ。これからもずっと君の事を...」

ブリッジに魚雷が命中し彼らは瞬く間に蒸発した

凄まじい勢いで衝撃が船中を駆け巡り最後にワープコアに辿り着く

ワープコアに大きな亀裂が走り反物質が外の物質と勢いよく反応する

船は閃光に包まれ大爆発と共に粉々に砕け散ったのだった...


彼大佐「後は君が聞いた通りの流れだ。敵キューブは損害も無く進撃を続けた」

彼大佐「私が君を回収した時エンタープライズのクルー達の活躍でキューブは停止、地球軌道上で破壊された」

彼大佐「その後私は彼に言われた通り君を見守る事にしたんだ。君が向こうの世界に行く時までね」

彼大佐「・・・向こうの世界に行くと決めたのなら私は反対しない。ご両親も君がそう決めたと知れば怒らないだろう」

俺「・・・今までありがとうございました」

彼大佐「別にまたひょいと戻ってきても良いんだぞ?」

俺「流石にこれ以上ご迷惑をかける訳にはいきません」

彼大佐「分かった・・・提督にこの件を話して君達が"死んだ"事にしておくぞ。良いな?」

俺「構いません」

彼大佐「なら君は・・・」

大佐は立つと俺の襟元にあった階級章を外していく

彼大佐「君は只の"俺"だ。これ以上何をしても我々は一切関知しない」

彼大佐「後で友チーフにも言っておかないとな・・・」

俺「では私も友の元に行ってもよろしいでしょうか?」

彼大佐「ああ、彼らを手伝ってやってくれ」

俺「では・・・失礼しました」タッタッタッ

彼大佐「・・・行ったか」

彼大佐「コンピューター、記録作成...」


彼大佐『艦長日誌 宇宙暦57493.1 我々はロミュラン中立地帯のパトロール中に謎の空間異常を探知した』

彼大佐『異常の発生源に向かうと大きな空間亀裂と半壊状態のシャトルを発見。シャトルは3か月前に行方不明となっていた俺少佐と友チーフが乗っていた物と特定された』

彼大佐『シャトルを転送回収し中を調べると二人の遺体があった。遺体の解剖結果から強力な放射線被曝で死亡したと判明する』

彼大佐『その間にも観測によって空間亀裂は段々大きくなっているのが判明し、これを危険と考えてディフレクター盤からの反タキオンパルスで亀裂を完全に閉じる事に成功した』

彼大佐『その後彼らの遺体は宇宙葬にし、シャトルもワープコアが崩壊寸前であった為宇宙空間に再転送。ロミュランの手に渡らないように魚雷で破壊した...』

彼大佐『日誌補足 亀裂の電磁波の影響の為、異常遭遇後から亀裂を閉じるまでの30時間分の一部記録が破壊されてしまった。修復は不可能である 以上』
最終更新:2013年02月03日 16:25