満天の夜空が映る小さなオアシスの畔。近くには野営地があり賑やかな声が聞こえてくる。

その畔に二人の男女が座っていた。二人とも三角座りをしている。


エーリカ「・・・ねぇ」

友「何でしょう?」

エーリカ「今日も負けちゃったね、ライーサに」

友「はい」

エーリカ「腹立ってないの?ずっと負けているのに...」

友「今日で0勝5敗です。後無茶苦茶腹立ってますよ」

エーリカ「その割にはニコニコしてるよね?」

友「・・・いつか勝ちますよ。今まで負けてるだけではありませんから」

友「訓練時のデータは全て集めて解析しています。良くて...8回目までにはライーサさんに勝てます」

エーリカ「ハンナには?」

友「計算上では16か17回目で勝てる...そんなに上手く行かないでしょうけどね」

友「フラウはどうです?」

エーリカ「う~ん・・・稲垣と一緒に料理の勉強をしてるよ」

エーリカ「もう少しで...もう少しで上手く行くと思うんだ」

友「そうですか・・・」

最近野営地から異臭騒ぎが起きているのは・・・黙っておこう。

エーリカ「...綺麗だよね。星空が映って」

友「ええ、綺麗な星空が映りこむ為には土や砂の上に水が張っている状態でなおかつ無風の...」

いきなり視界が黄色の髪で染まり何かに口を塞がれる。

エーリカ「ん...」

エーリカ「...こういう時に薀蓄語るのは無しっ」

友「ちょっとくらい言っても良いじゃないですかー・・・」

そう言いながらも彼女の体を抱き寄せる。

友「それにしても・・・私で良いんですか?統計学的には人は4人目に付き合った異性と結ばれる方が...」

また同じ様に口を口で塞がれる。抱き寄せている腕から彼女の心拍音が上がっていくを感じ取れた。

エーリカ「・・・分かって言ってるでしょ」

友「...そろそろ戻りましょう。明日は早い」

彼女を抱きかかえたまま立ち上がり、野営地に戻ろうとするが...

エーリカ「今この状態で戻ったら多分兵士の皆にフルボッコにされるよ?」

仕方なく彼女を下ろし一緒に手を繋ぐ。

友「...帰りましょう」

エーリカ「うん!」

そのままゆっくりと歩いていく。ふと空を見上げると流れ星にも見える光の軌跡。シャトルがワープ航行にでも入ったのだろうか


~月、周回軌道、シャトル操縦室~

俺「月面歩行は楽しかったですか?」

クリス「うん!何メートルも飛べて楽しかったよ!でも...」

バルクホルン「何かあったのか?」

クリス「・・・何も無かったね・・・砂と岩だけだった」

俺「ちょっと旅行の始めには面白く無かったですかね...」

クリス「ううん!初めての体験だったから本当に嬉しいよ!今こうやって歩けるのも俺さんのお陰だし!」

俺「そのお礼は友に言っておいて下さいね。ま、俺も一部は関わってますが」

彼女がネウロイによって負った障害は友とエーリカ中尉の治療(と言っても簡単な注射数本だが)で完治。

今は筋力も戻ってきており数ヵ月後には本人の希望でウィッチとして士官学校に入るらしい。

バルクホルン「次はどこに行くんだ?」

俺「ん~・・・ヒントは氷、箒、流星の元」

クリス「...彗星?」

俺「正解です。今コプフ彗星が太陽に接近しています。恐らく彗星の尾を見れるでしょう」

バルクホルン「彗星か・・・見た事は今まで無いな...」

俺「尾の塵や水素ガスが光とイオン化で明るく輝いて綺麗ですよ...コースセット完了」

船の針路を彗星の近くを通るようにセットする。近くまで行ったら彗星を追うように飛行しよう。


俺「では...トゥルーデ、いやバルクホルン大尉」

俺「発進の号令を」

バルクホルン「良いのか?」

俺「ええ、この旅行が終われば直ぐ俺は昇進しますから...」

バルクホルン「なら・・・ゴホン」

神妙な顔のトゥルーデとそれを見る楽しそうなクリス。俺はシャトルのインパルスエンジンを起動し号令に備えた。


バルクホルン「発進!」

~この物語はとある艦隊士官が別世界に飛ばされ、その世界で様々な体験と交流を深め、
新たな人生を送る物語である~



「それにしても・・・どこの新聞もこの話取り上げてますね」

「『宇宙人によってベネツィア解放』...私は地球生まれですが」

「今回は君達に頼られまくりだったな・・・ありがとう」

「なら俺達は休暇に...」

「おっと、ちょっと言い忘れていた事があったな...」

「この新聞を見てくれ」

「なになに...『ベネツィア解放の鍵はカールスラントの新兵器か』?」

「只のよくある偽の報道では?」

「もっと読んでみてくれ」

「『今回の新兵器は501JFWで作られ試験運用されていたのでは無いかとの話も』...」

「だいぶ確信を突いている報道ですね」

「お前達が休暇に行ってる間にこの情報を新聞社に渡した人物を探しておこう。だから安心して休暇を取ってくれ」

「お願いしますね?少将?」

「分かってるさ。そうそう...もしもの話だが」

「何でしょう?」

「もし、カールスラントを奪還したいと話したらどうする?」

「・・・多分ネウロイの巣が反物質爆発でも起こすでしょうね」

「そうか・・・その話を聞いて安心したよ」

「貴方とは良いパートナーになれそうだ」

「これからもよろしく頼むよ」

「では...二人を転送しろ」

「行ったか...」

「・・・司令部か?今すぐ将軍達に連絡だ」

「カールスラント奪還を行うぞ。今回は心強い援軍も来てくれそうだ」
最終更新:2013年02月03日 16:29