俺が入隊して1週間。今日も一日が始まる。朝食はその日の善し悪しを決める重要なファクターだと言ってもいい

そして今日も第502統合戦闘航空団の面々は下原の料理に期待しつつ食堂へ足を運ぶのだが…



管野「おい、朝メシこれだけか?」

管野が指差す先には、キャベツのスープ。のみ

二パ「芋すらないのか……」

サーシャ「一昨日はパン、昨日はお芋、そして今日は……」

クルピン「スープだけ…まるで没落貴族だね。下原君、これどういう事?」

クルピンスキーは含み笑いで問いかける

下原「えっと…食材が……ですね…その…」

明らかに動揺している。どうやら理由は別にありそうだ

俺「おかわり―!!」

俺が空になった皿を差し出す。どうやら周りの空気を感じ取れないらしい

下原「あ、ちょっと待っててね今s」

クルピン「そうやって俺君にご飯あげ過ぎたんじゃないの?」

クスクスと笑いながらも言葉は鋭い。図星なのだろうか、動きが止まる下原

管野「そういや下原はコイツに甘いよな」

下原「そ、そんなことは…」

ジョゼ「ありますよ下原さん。私達みんな見てるんですから」

ラル「リべリオンの連中が言っていたことは本当だったか。まぁ下原の責任もあるがな」

下原「うぅ…」

正論……!圧倒的正論………!! 下原は立ちすくむ

俺「おかわr
ロスマン「これは由々しき事態だわ」

既に空になった皿を前に言う。ドン!とテーブルを叩き、立ち上がるとドアへ向かっていく

クルピン「どこ行くのさエディータ。ご飯が足りないからってウィッチを襲いn」

クルピンスキーの眉間に指揮棒が刺さる

ロスマン「買い出しよ。もう我慢ならないわ。…隊長、物資調達は私に任せて下さい」

ラル「ああ、一任しよう。下原の料理が食べられないのは寂しいしな」

痛がるクルピンスキーを無視して彼女は部屋を出た

下原「だったら私も…」

俺「おかわ
サーシャ「下原さんは俺君の問題を解決するべきでは?」

ジョゼ「確かに大尉の言うことも一理ありますね」

二パ「元々下原の過保護が原因だしなー」

俯く下原

ラル「そうだな。…下原、このままではまた直ぐに食料が尽きるだろう。それは避けたい。

   俺の事については任せたぞ。お前にしか出来ないからな」

そう言うとラルは部屋を後にした

下原「(私にしか出来ない?)……それって…」

ラルの言葉を反芻する。しかし真意は解らない

俺「おか
管野・二パ「「煩い」」

俺「う、うぅ…」

ジョゼ「お、俺君泣かないで…」

涙ぐむ俺の頭を撫でてやる。背後から殺気が感じられたが無視した

クルピン「ナオちゃん、二パ君。そろそろ哨戒の時間だよ」

伯爵はそう言って息の荒い二人の肩を叩く

管野「…今日は消えんなよ」

二パ「絶対だぞ!」

クルピン「はいはい…」

騒がしい二人と共にクルピンスキーは任務に向かう

サーシャ「では下原さん。俺君の件、宜しくお願いします」

下原「は、はい」

出来ればストライカーの方も…と付け加えてポクルイーシキンも去った

ジョゼ「下原さん、頑張ってくださいね」

下原「うん。やってみる」

親友からのエールも受け、俺と共に部屋に残された下原は考え始める



下原(えーと、俺君がご飯を食べすぎないようにするには…?)

 1.私が厳しくする  
 2.メニューを変える 
 3.now thinking…

下原(1は不可能だから…取り敢えず2かな)

下原「俺君、ちょっと待っててね。今違うご飯作るから」

俺「ホント?ありがとうお姉ちゃん!」

途端に笑顔になる俺に抱き着きたい衝動を抑えて下原は厨房に向かう

―数分後

下原「はい、どうぞ」

俺の目の前に皿が差し出される

俺「わーい!…でも、何コレ?」

待ってましたとばかりに下原は言う

下原「納豆炒飯よ」

俺「なっとう?聞いたことないよ?」

下原「納豆は扶桑の食べ物でね、とっても美味しいの。部隊のみんなは苦手みたいだけどね」

俺「へ~そうなんだ。…じゃあいただきまーす!」

パク、と口に含む。それを見て心の中で勝利を確信する

下原(俺君に満腹と言う概念は無い…ならば、苦手なモノを食べさせれば、少しはおかわりも軽減される筈。

   納豆は扶桑人以外からは評価が悪い…それはリべリオン出身の俺君も同じだろう。

   俺君の嫌いなモノを食べさせるのは気が少し引けるけど…ここは我慢我慢)

しかし下原の超人的推理は、俺の人外的食欲に凌駕された

俺「おかわり―!」

自分の耳を疑う

下原「い、今何て…?」

俺「おかわり―!」

愕然とする下原

下原「不味く…なかったの?」

俺「? 美味しいよ?だってお姉ちゃんのご飯が不味かったことなんて無いもん」

ビク、と肩が揺れる

下原(俺君の言葉、嬉しい…けど……!)


油断……慢心………!!自らの策に溺れ、周りが見えていない只の兎……!

下原は自身の料理の腕をこれほど悔やんだことは無かったろう

考えは悪くなかった。しかし、調理が完璧すぎたのだ

それこそ納豆の臭い、ネバネバ感を消し去ってしまうほどに……!!


もう食材は残っていない。つまり…

下原(打つ手無し、とはこの事ね……。坂本さん……私、どうすれば良いんでしょう?)

かつての恩師に縋ろうとも、その想いは虚空へ消えていくばかり

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―501基地―

坂本「へっくしょい!」

宮藤「どうしました坂本さん?風邪ですか?(ああ、今揺れた坂本さんのオッパイ…素晴らしい…)」

坂本「はっはっは! 誰かが私の噂か何かしているのだろう。それよりも宮藤、訓練だ!」

宮藤「は、はい!」

坂本「先ずは基地の周りを10週だ!行け!!」
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―その頃、街の通り―

ロスマン「あれとこれと……あ、それも頂戴。場所はここで。なるべく早くお願いね」

順調に買い出しをこなすロスマン。久々の街にはしゃぎ気味だ

ロスマン「やっぱりこういうのって楽しいわね…」

食料はだいぶ集まった。しかし扶桑の食材が中々見つからない

ロスマン「下原さんの扶桑料理はやっぱり食べたいし……どうしようかしら」

ふとかつての教え子の姿が脳裏に浮かぶ

ロスマン「ふふ…そういえばあの子は今頃501で………501…? 確か、扶桑のウィッチが二人…」

急ぎ連絡を取ろうと奔走する。そして、読み通りであったことに喜びを抑えきれない

ロスマン「扶桑まで行くのは無理だしね…。近くにあって良かったわ。

     ……!! そういえば若い子も居た筈ね。それも気の弱そうな子が。……この前は食べ損ねたし…ふふ」

慎ましく笑い出すかと思えば突然走り出す

ロスマン「”善は急げ”だったわね。待ってなさい。すぐに行くから」

ペロ、と舌で指を舐める所作がとても扇情的だった

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―再び501基地―

サーニャ(何…?寒気が…)

不意に身震いが起きる。そんな彼女を心配したのか、不安そうな声が漏れる

エイラ「サーニャ、大丈夫カ?寒いなら、私が…(震えるサーニャも可愛いナ…)」

サーニャ「ううん。大丈夫だから」

エイラ「そ、そっか(さーにゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)」

サーニャ「エイラの……えっち//」

誰にも聞こえないように呟く

サーニャ(でも、この悪寒は一体…?)
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最終更新:2013年02月04日 14:57