平和な時代における軍隊最大の敵、それは予算である。
金が無ければ何にも出来ない、かといって大金をせびる名目となるネウロイもいない、でも軍備は維持したい。
このジレンマを解消すべく我らがリベリオン陸軍航空隊は倹約に努めた。俺もそのあおりを食らい、昇進が長らく大尉で止まっていた。
しかしこの度、遂に少佐に昇進。だがしかし理由が何とも…
俺「つまり、"いらん子"たちの教官役を務めてほしいということですね?」
ハッキネン「飲み込みが早くて助かります。」
俺「ですが、わざわざ俺を少佐にまで持ち上げる必要は無かったんじゃありません?」
ハッキネン「その任務の困難さを鑑み、貴国陸軍に強く要請した結果です。ご理解下さい。」
俺「分かりました………。」
今俺がいるのは配属先のカウハバ基地ではなく、手前のタンペレ基地である。
元々ここでカウハバ基地司令のハッキネン少佐と打合せをすることになっていたのだが、折からの悪天候で足止めを食らってしまった。
なりたてとはいえ佐官ということもあり、待遇はいい。今割り当てられている部屋も中々の物だ。
何だか今後の仕事の困難さを暗示しているようで怖いが深く考えないようにして、俺は渡された資料を読み込んでいた。
俺(うーん、とりあえずこの資料からすると真の"いらん子"はエルマ中尉・ウルスラ曹長・オヘア少尉・迫水一等飛行兵曹の4人か。
穴拭中尉とビューリング少尉、チュインニ准尉はエース級だから問題ないだろう。
改善策はどうすっかな、ウルスラ曹長は大型機担当でどうにかなりそうだけど、他の3人がなあ…
迫水兵曹はお願いだから近視をどうにかしろ。レズだとか穴拭中尉と肉体関係だとか書いてあるけど兎に角眼鏡かけろ。
エルマ中尉にはまず臆病さを克服してもらわなきゃならんな。オヘア少尉は…)
館内放送<「俺少佐、俺少佐、夕食の準備が整いました。佐官食堂までお越し下さい。」
俺(もう19時か、行くか。)
俺「こんなに沢山食いきれねえよ…」
食堂で俺を待ち受けていたのは大量の料理だった。美味しそうではあるが、やたらと量が多い。
普段の俺なら魔力の消費で人以上に腹を空かせているので問題ないのだが、ここ数日間飛行機移動の連続で殆ど腹が空いていないのだ。
さらに分の悪いことがもう一つ。時間帯的な問題なのか、他に誰もいないのである。独りっきりの夕食というのは侘しいものだ。が…
「いい匂いダナ」
「覗いちゃ駄目だよイッル、見つかったら大変だよ!?」
「さっきの占いでいい結果が出たから問題ないんダナー」
ドアの向こうから聞こえる声。
「グゥゥゥゥーッ」
「……。」
「し、仕方ないんダナ…」
「うん…」
俺「おーい、そこのお二人さーん?」
「!!??」
俺「おすそ分けするから、よければどうぞ?」
「!!!!」
俺「というわけで、俺は昨晩新人ウィッチのユーティライネン軍曹とカタヤイネン軍曹の二人とご馳走を食べたんです。」
輸送機機長「それはまた羨ましい経験ですな旦那。」
輸送機副操縦士「何だかんだ言いながらスオムスでの生活を満喫してるじゃないですか少佐。」
輸送機通信士「俺たち三人の昨日の夕食なんてこの機に乗ったままレーションを食べたんですよ。」
「「「リア充爆発しろ!」」」
俺「まあまあ落ち着いて下さい。いい事ばかりじゃなかったんですよ?
というか、実はすごくまずいことが起こってしまったというか…」
通信士「なるほど、少佐も遂にロリコンに目覚めてしまいm
俺「違う。絶対違う。断じて違う。」
副操縦士「じゃあ一体なんなんです?」
機長「二人に食べさせたせいで実はお腹を満たしきっていない、とかですか旦那?」
俺「いや、お腹は十分ふくれたよ。そうじゃなくて…
エイラ軍曹はタロットカード占いが得意だ、ということで占ってもらったんだけどね、その結果が
だったんだ。」
「「「………。」」」
俺「彼女によるとその意味は終末、破滅、離散、終局、清算…」
ビーッ! ビーッ! ビーッ!
通信士『はい、こちらリベリオン陸軍……何ですって!?すぐ退避……敵の目的地は何処……』
通信士「スオムス空軍タンペレ基地より緊急連絡。
『貴機に向かってネウロイの集団が接近中。
その数、中型5・小型10。
捕捉される可能性が高いので、すぐに退避せよ』
とのことです。」
機長「どうします少佐?」
俺「もちろん、出撃するに決まってるじゃないですか!」
つづく
最終更新:2013年02月04日 15:10