D.H.N俺 第1話「俺の右腕はネウロイハンド」
―執務室
坂本「新人が来ると?新戦力か、ありがたいな」
ミーナ「こんなご時世に本当にありがたいわ」
ロマーニャの暖かな日差しが差し込む昼の執務室。
そんな少しの休息中にシャーリーが執務室へと訪ねてきた。
何でもこの基地のことを訊きに来たらしいが、「新戦力」という言葉のほうに惹かれすでに忘れているようだ
坂本「男性のウィッチだ。しかし……ある程度訓練は受けているのか?」
ミーナ「ええ、その点は心配ないと言ってるわ。即戦力になると向こうが申し出たの」
坂本「もしかして上層部からの進めか?」
ミーナ「そうではないのだけれど、これ経歴よ」スッ
坂本「……このリベリオン国防高等研究計画局先進技術研究室というのは?」
シャーリー「ああ、DARPAだな。リベリオンの軍隊使用のために新技術の開発や研究を行う国防機関さ」
ミーナ「シャーリーさん、それについて他に知っていることある?」
シャーリー「えっと確か……国防長官の地位が作られたと同時に設立されたんだよ。でも本来はもっと後に設立されるはずだったんだけど……」
シャーリー「対ネウロイに向けてやはり兵器の早期開発をしなければならない、とかなんとかでかなり早まって創設されたらしい」
坂本「他には?」
シャーリー「軍属ではないし、大統領と国防長官の直轄機関だから軍の指揮下にははいらないんだよ」
ミーナ「ということは、こちらの命令は聞いてくれないってことでいいのかしら?」
シャーリー「実質は聞かなくてもいいと思うけど……人によるんじゃないかなぁ。そういやそのウィッチの名前はなんていうんだ?」
坂本「ふぅ……素直な奴が入ってきてくれると助かるのだがな」
ミーナ「そうね、問題を起こさないで欲しいわね。ちなみにガランド閣下のお墨付きよ」
坂本「ほう……そいつはすごいな。期待できそうだ」
シャーリー「でも男なら色々とさすがに問題起こるんじゃないか?ここで一緒に暮らすんだろ?あとそのウィッチの名前は……?」
ミーナ「うっ……頭が痛くなってきたわ」
坂本「考えすぎだミーナ。もしかしたら問題を起こさずにむしろ少なくしてくれる人間かもしれないぞ」
シャーリー「あははっ!そんなウィッチみたことないぞ少佐!あと名前は?」
坂本「はっはっは!確かにな!」
ミーナ「う~ん」
<ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!>
坂本「警報!?ネウロイか!?」
ミーナ「こんな時に!サーニャさんとエイラさん以外出撃させるわよ!」
坂本「わかっている!」
ミーナ「シャーリーさんも出て頂戴!」
シャーリー「了解!」
―Ju52内
俺「ん?どうした?」
パイロット「ネウロイが出現しました!迂回して501基地を目指します!」
俺「いや、その必要はない。俺が出る」
パイロット「ストライカーもないのにどうやって出るって言うんです!?」
俺「なくても大丈夫だ。とりあえずネウロイとの距離は?」
パイロット「距離約25000!大型1、小型10!こちらに向かってきています!」
俺「近いな……」
ザザッ―…
ミーナ『こちら第501統合戦闘航空団のミーナ・ヴィルケ中佐、応答を願います』
俺『こちらリベリオン国防高等研究計画局の俺だ。ネウロイが出現した』
ミーナ『今すぐその空域から撤退を。私たちがネウロイを引き受けます』
俺『もうネウロイが接近している、撤退は困難だ。あと何分でつく?』
ミーナ『あと数分のうちには視認ができる距離に入るわ。……時間を稼げるかしら?』
俺『問題ない。こちらも出撃して出来る限りの支援を行う。いいか?』
ミーナ『感謝します』
ブツッ―…
俺「パイロット、聞いたか?上部ハッチを開いてくれ」
パイロット「無茶です!ストライカーもないのに!」
俺「いいから開けろ。このままじゃ全員海の藻屑となるぞ。俺がでて戦わないと……」
パイロット「……わ、わかりました。ご武運を祈ります」
俺「感謝する」
俺は黒青色のロングコートを羽織い、袖を通す。
軍靴のひもをきっちり締めなおしがっちり結びなおして、パンと一回顔を叩いた。
準備万端だ。
俺「さて、ゴキブリどもを片付けるか」
開いた上部ハッチに手をかけ、軽々しくジャンプ、輸送機の上部へと飛び出た。
俺「コア、活性化スタンバイ……起動……!」
ミーナ「あれが俺さんの乗った輸送機ね!」
坂本「おい上に誰か乗っているぞ!」
エーリカ「うわ~、度胸あるな~」
シャーリー「……う~ん?あれって誰だ?」
ミーナ「おそらく……」
ミーナ『こちら第501統合戦闘航空団のミーナ・ヴィルケ中佐です。そちらの所属を答えなさい』
ザザッ―…
俺『ストライクウィッチーズの諸君か?こちらリベリオン国防高等研究計画局の俺だ』
ミーナ『あなたが俺さんね!?あなた一体そんなところで何をしているの!?』
シャーリー『(俺……?俺……オレ……どこかで聞いたような……)』
俺『決まってる、今からネウロイに接近してぶちのめすのさ』
ペリーヌ『ストライカーも無いのに何をおっしゃってますの?というかそこから降りなさい!』
俺『なくても、倒す方法はいくらでもある。ユーおばさんの上に乗っかってるのが何か悪いのか?』
バルクホルン『ごちゃごちゃと何をいっている!危ないから下がっていろ!』
俺『心配は無用だ』
そう、心配なんていらない。
心配なんてする必要がない。
俺『パイロット!高度を下げながらビームを完璧に避けろ!ビームは可視直線的になるからあらかじめに予測して回避運動を取れ!』
パイロット『了解です!!』
坂本『おい!それ以上近づいたら落とされるぞ!!』
俺『……手の内を明かしておこう、ストライクウィッチーズ。初見ってことで特別サービスだ』
坂本『何をいって―――』
手には一切持っていない、足には何も装着していない、防具もない、武器もない。
だが、戦う手段はある。
この、心臓に。
俺『人体拡張反応コア―――――――――――アクセス――――――――――――――――アクセス完了』
その瞬間、俺の体に電流が走ったような刺激が流れた。
同時に赤く輝いた心臓部。
俺の心臓から漏れ出す血の如き真紅の輝きは虚空の中煌々と滾り、奔流する魔法力は遮るものもなく迸る。
遠目でウィッチたちが驚いているのが認識出来る。
そりゃこんなこと見たこともないし、聞いたこともないし、感じたこともないだろうからな。
俺『TRANSFORM――――――――NEUROI』
突如、赤き閃光を放つ心臓を深淵の黒が覆う。
その"黒"はじわじわと、ゆっくりと体を駆け始め、全身を蝕み始めた。
そして全身を覆うロングコートに沿った形状の黒衣装。
身体全体を覆った漆黒、光沢のあるボディ、背部の赤光のジェネレータ、風が鳴らす金属音、陽光の如く輝く真紅のコア、目を覆う血液のように紅いシールド、見間違えのない姿・人型。
刮目した目から見える透き通る赤で占められた視界。
眼前を流れるは幾度と無く見慣れた文字。
〔―――SYSTEM CHECK―――〕
ACCESS CODE:[SIg*op/VAQ]
Nigritude...
Exclusiveness...
Ubiety...
Reincarnation...
Oppressor...
Ideal...
...............ALL COMPLEAT!
I'm gonna kick neuroi's fucking ass!
〔―――STARTING―――〕
宮藤『な、なんですか……アレ……』
ペリーヌ『ネウ……ロイ、ですの……?』
シャーリー『おいおい、冗談じゃないぞ……ネウロイに変身するなんて
初めて見たぞ』
そんな声が脳内に響き渡る、それを聞いて"黒衣装"で覆われた口を愉快そうに歪ませた。
迫り来る大型からの極太ビームを防ぐために展開するシールド。
衝突する赤き閃光―弾ける衝撃―拡散するビーム―凝縮し舞い散る水蒸気―魔法力を込める俺
俺『支援するといったが……すまないな。獲物をもらう』
握りしめる拳、摩擦から響いた金属音、収縮していく高エネルギー、同系統の赤い光、光り輝く両手、そして―――放出。
俺『 消 え ろ 』
ビシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!
小型ネウロイ《キュィィィィィィィィィン!!》
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッッ!!
バキパキバキバキパキィィィィィィィィィィン!!
手に凝縮された光は赤い雨となりネウロイへと降り注ぐ。
幾条もの筋が空を駆け、敵を切り裂くが如く貫通、ネウロイのコアを粉砕し、真っ白な雪を太空へと散らせた。
だが、ビームの高熱のより発生した水蒸気と敵の残骸である白塵の中で黒い点を3つ視認。
俺『チッ!2体残したか!邪魔だ!!』
シールドを自身のわずか先の空中に発動、そこへ跳躍し乗り移る。
そして瞬時に再びシールドを10mほど先へと発動・跳躍、さらに発動・跳躍。
繊細な魔法力コントロールによる一枚のシールドを自分が進む方向へと即時に展開し、空中を駆け走りビームの小雨が降る小型ネウロイの懐へと入る。
俺『おらぁッ!!!』ヒュッ
ドガッシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
俺『もう一つ!!』ヒュッ
ズガッシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
そして潜り込んだと同時に敵の中核へと渾身の一蹴。
その反動を魔法力を加えて反発させ、体をぐっと捻りもう一体の小型を葬る回転を加えた蹴りをかます。
最後にわずか下に発動したシールドへとロングコートを靡かせて着地した。
シャーリー『すっげぇ~、アクロバティックすぎるぞ。しかもストライカーも使わずにネウロイの速度に合わせるなんて人間業じゃないな……』
ルッキーニ『なんかサーカスみたい!』
坂本『いくらなんでも馬鹿げている……あれがネウロイの力なのか……?』
ネウロイ「キィィィィィィン!!」ビシュゥゥゥン
俺『残り、大型一機。フッ!』
シールドを足場として思いっきり蹴り出し瞬発する。
弾丸の如く猛スピードで大型ネウロイへと急接近―――しかし。
ネウロイ「キュィィィィン!!」ビシュゥゥゥゥゥイン
宮藤「あ、危ないです!!シールドを張って―――」
一直線にネウロイへと飛来していたがネウロイが幾条もの赤い閃光を放出する、もちろん接近する俺をこの海の藻屑とするために。
澄んだ少女の声がインカムを通して脳内へと響く。
同時に流れる危険信号、分泌される脳内麻薬、狭まる眼界、高まる心音―――痛み。
俺『ッ!!』
一筋のビームが俺の黒い金属に覆われた右半身を抉りとった。
痛みが全身を襲いかかり、推進力を失った体はバランスを崩しスピードを無くした、徐々に重力へと引っ張られ始める。
ペリーヌ『ちょ、ちょっといくらなんでも……!』
俺『……くそ、やっぱりいてぇな』
ペリーヌ『い、生きてますの!?』
俺『当たり前だ、今の俺はなんたって、ネウロイだからな』
坂本『おい!いい加減下がれ!』
俺『ふっ!』
凛とした声が静止を呼びかけてくる。
だがそれを無視してシールドを真下へ展開、着地後また同じく敵へと超跳躍。
同じ戦法だが、すでに100m以内に近付いている、なんてことはない距離だ。
脚に力を入れ先ほどのを超える超跳躍、ネウロイを通り過ぎ……。
ダンッ!!
俺『よう、ネウロイ。今からお前に一つの拳を叩き込む。覚悟はいいな?』ガシャ
ネウロイの体へと金属音を大きく唸り響かせ脚に力をいれて着地。
黒い人型がネウロイの体の上にのっているという奇怪な場面を視界に捉えているストライクウィッチーズは最初に比べ口数が減り、今となっては何も聞こえないことに少し寂しさを感じた。
右腕を高く高く天を突くように掲げた。
握りしめた右手からかすかな光が漏れ出しはじめる。
―右前腕部ががしゃりと音をたて装甲が開放され
―背部のジェネレーターが赤光を帯び始め高熱を排出し
―右腕に魔法力を深く深く注ぎこみ
―右前腕部がネウロイのコアの如く赤く、紅く、煌々と滾り
―輝く右腕を空へと高く掲げ、陽光さえも弾き飛ばすような光を放つ
俺『うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!』キュィィィィィィン
ネウロイ「―――――――――――!!!」
俺『ぜやぁっ!!』ヒュッ
振り下ろした血のごとき赤き剛腕。
衝突する漆黒の強腕と漆黒の装甲。
瞬間、大気が震え、空気が飛散し、閃光が空へと拡散され、爆音に酷似した金属の割殺音が鳴り響く。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ!!
ドゴッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!
舞う塵、渦巻いた水蒸気、飛び散るネウロイの破片、鈍い光。
その場を見ていたものが判断できるのは、一瞬のうちに閃光と爆音が流れ過ぎ去ったこと。
そして、大型を一瞬にして粉々に破壊せしめたこと。
バルクホルン『大型ネウロイを一撃だと……?』
エーリカ『うっそ、信じられないよ~……』
リーネ『あれ、あのネウロイは……?』
宮藤『あ、リーネちゃん、さっきの人いるよ!!あそこだ!』
宮藤が指差す方向を全員が目を凝らして見つめた。
そこには同じように中空に発動させたシールドの上に乗っかって、まるで一仕事でも終えたように悠々とタバコを吸いながら煙をたなびかせている男だった。
すでにネウロイ化は解かれており、見た目では若干疲労を感じさせる。
俺『戦闘終了。撃墜数は小型10機大型1機』
宮藤『え、えっとあなたは誰なんですか?』
俺『俺はリベリオン国防高等研究計画局先進技術研究室の俺というものだ。この度はストライクウィッチーズへと派遣されることとなった』
坂本『話は聞いている。だが……』ジャキ
ミーナ『来ると聞いていたのは"普通"の男性ウィッチよ。あなたは誰かしら?』カシャ
俺『俺は俺だ。驚くのも無理はないが……。これは本当だ、写真も一応つけただろう』
ミーナ『詳しい話は基地で聞かせてもらうわ。全員、俺さんらしき人物を確保!』
俺『おいおい……銃は人に向けるものじゃないぞ』
シャーリー『あはは……すまないな。今だけはおとなしくついてきてくれ』
俺『グラマラス・シャーリーがおっしゃるならそうしよう。基地はどっちなんだ?』
宮藤『あっちのほうですよ。今から案内します!』
エーリカ『案内という言い方はおかしいと思うけどね~』
宮藤『あっ!そうでした!えっと……こういう時なんていうんだろう……えっと、れ、連行します!』
俺『それでいいと思うぞ。さて、いくか』
バルクホルン『その前に……』バシ
俺『タ、タバコが……最後の一本だったんだがな』
バルクホルン『私はあまりその匂いがすきじゃないんだ、それにこんな状況だ。自重しろ』
俺『了解……』
その後、俺は二人の美少女(バルクホルンとシャーリー)に腕を捕まれ基地へと連行された。
なかなかの旅であったが道すがらずっと睨みをきかせていたバルクホルンは非常に怖かったのは確かだ。
笑えば可愛いと思うのだが、初対面でそんなことをいうのもあれなので遠慮した。
基地では、坂本という戦闘隊長によって尋問?らしきものをされた。
明確に、素直に色々と答えたが信用してくれるわけもなく、結局リベリオン国防高等研究計画局に問い合わせるハメになったようで。
その連絡を受け取ったのが俺を創った研究者であったらしく、時間はかかったがなんとか説得できたらしく俺はもれなく解放されたのだ。
第1話「俺の右腕はネウロイハンド」終了
最終更新:2013年02月06日 23:02