D.H.N俺 第4話「謹慎処分明け」
後半部
俺『こちら、俺。敵の進路に依然代わりはないですか?』
坂本『進路変わらず、だが速度を上げてきているぞ』
俺『まったく、めんどうだな』
俺『今から戦闘に入る!敵の進路を阻みつつ、確実に撃墜する!』
シャーリー『俺、どうするんだ?』
俺『まずは敵の速度に合わせつつダメージを与え速度を落とすぞ。その後にコアを破壊する。ああ、あと……』
シャーリー『なんだ?』
俺『ネウロイ化せずに倒す。まだ敵がいるかもしれないしな』
青空に一点の黒粒から微かな赤い線が流れる。
その赤い線は周りの空気を跳ね除けながら俺の横をぐっと通り過ぎた。
いくつも続くその線の流れがだんだんと正確になりはじめた頃に、シャーリーに目で合図を送る。
俺『敵の攻撃に注意を払いながら、装甲を剥いでいけ!俺は進路を妨害しつつ攻撃をしかける!』
シャーリー『わかった!無理するなよ!』
シャーリーは上に、俺はネウロイの正面から速度を合わせ仕掛ける。
一気に距離をつめたネウロイが俺をまず第一の標的と定め、致命傷を狙うビームの乱射。
それに対し、俺はBARで敵のビーム門を確実に狙っていく、もちろんビームをすべて避け通して。
俺『くそっ!火力が足らねぇな』タタタタタタ!
シャーリー『じゃあ、二倍だ!』タタタタタタタ!
俺『フリーガーハマーでも借りるんだったな!』
シャーリー『でもこの速さじゃあまり当たらない気もするけどな!』
俺『違いない!このネウロイ、大型と聞かされていたが大きさは大型の幕下だ!』
シャーリー『だけど速いぞ!』
俺『それに余裕でついていってるみたいだが?』
シャーリー『あたしのほうがもっと速いってことさ!』
俺の方に向かってくるビームの軌道を一目で把握し偏光ぐあいも兼ねて大きく避ける。
仕返しにと弾丸の雨を一気にふらせる、銃口から重厚な音をたてて。
さらにカウンター気味のあらゆる方向からのビームを目もくれずシールドで体を守り、後方、前方、横すべての攻撃を無力化する。
3つの黒点がとてつもない速さで空を入り乱れ、駆け巡る。
ヒュン……ビシュゥィィン……タタタタタ!タタタタタタ!パキィィィン!
シャーリー『おし!あそこがコアだな』
俺『ネウロイの速度も少し落ちている。完全に再生を済ます前に集中して攻撃するぞ!』
シャーリー『了解!』
俺『俺が一発でコア上装甲の一部分を叩き飛ばす。そこを狙え、できるな、シャーリー?』
シャーリー『まかせろー!』
俺『おねんねしろ、ネウロイ』キュィィィィン…
シャーリー『何をするつもりなんだ?』
俺『コアを活性化させ人間ではありえない規格外の一撃を食らわせてやるんだよ。かまえろ、シャーリー』ビキビキ
シャーリー『ま、待てって!俺の体は持つのか!?』
俺『直接俺の拳を食らわせるわけじゃ……ない!』ヒュン
右腕に血管がびきびきと浮かび上がり腕に流れる血液量が早まる。その腕にBARを逆にして持ち変える。
少しだけ速度の落ちたネウロイとの距離を素早く詰め、一箇所を狙い見定め……強靭な握力を加えた。
赤いビームを空へと走らせながら、2つの黒点が急所を狙うために何度も交差。
その側でその光景を見据えながら一瞬の時を見逃すまいと、シャーリーはまばたきをせずBARを構える。
ネウロイ〈キィィィィィシュゥゥゥゥゥゥン〉
俺『(雲の中に逃げる気がだろうが……)』ヒュン
シャーリー『俺!ネウロイは雲の中で私たちを離す気だ!』
俺『いつだって逃げるやつは、狩られるんだよッ!雑魚がッ!』
一瞬の逃げの姿勢を見逃さず距離を肉薄まで近づいた、狙う一部分のもとへと。
そのチャンスを逃す俺ではない。
力を凝縮、さきほどの間の戦闘でこれだけの衝撃を与えれれば装甲が砕けるであろう程度の。
剛力のみちた両腕に握りしめたブローニング自動小銃を振りかざす。
俺『砕けろ』ヒュン
ネウロイ〈―――キュィィィィィィンッ!!〉ズゴッシャアアアアアアアン!
本来の用途を超えた使用方法。ハンマーの如く振り下ろされた物体。
少量の血が拡散、小銃は粉砕、甲高い悲鳴が上がる。
それは敵の殻を豪快な音を立てて打ち砕き、響き渡る金属音とともに白塵をめいっぱいに散らせた。
内には真っ赤な敵の心臓―――コア。
俺『いけぇっ!』ピッ
シャーリー『終わりッ!』タタタタタタ!
ガガガガガガガガガガガッ……ピシッ!
パキィィィィィィィィィィィィィィィィィィン―…
確実な状況を得た、シャーリーのコアを目掛けた射撃。
流し込まれた銃弾により見事敵のコアを破砕。
それと同時に、体裁を保てなくなった敵はまばゆい光とともに爆発するように砕け散った。
シャーリー『よっしゃぁー!!』
俺『よしっ!!』
パァァンッ!
そこで高い音を空に響かせてハイタッチ。
気分の高揚が実に心地いい。
シャーリー『お~、結構手間はかからなかったな~』
俺『敵は速いだけだったからな。……最後、よく狙い撃てたな』
シャーリー『ん?』
俺『高速度でコアだけをめがけて撃ち通すのはなかなか難しいんだぞ。よくやった』グッ
シャーリー『そりゃ一応訓練してるからな。まぁ俺がチャンスを作ってくれたから、ミスするわけにもいかないしな!』
俺『そりゃ、ありがたいな』
ザザッ―
坂本『シャーリー、俺。こちらでもネウロイの消滅を確認した。お疲れ様だ』
俺『じゃあ今から帰投します』
坂本『ああ、気をつけてな』
俺『ふぅ。じゃあ帰るか、シャーリー』スッ
シャーリー『へ?』
ふと手を伸ばす。
なんとなく信頼の意味も含めて握手でもしたかったのだろうけども。
少し違う意味に捉えられたのかもしれない。
シャーリー『え、えっと手をつないで帰るのか?』
俺『あ……えーと。あー……まぁ、それでいいか』
強引だ、と言われて少し怒られるかもしれないが、俺はシャーリーの手をとった。
そのすべすべの手(軽く汗ばんでいるが)を軽く握りしめ、基地へと向けゆっくりと飛び出す。
若干照れ隠しに微笑むシャーリーの表情が可愛かった。
シャーリー『あ、あははっ……ち、ちょっと汗かいたし帰ったらシャワーでもあびるか~』
俺『じゃあ俺はそのあとで浴びるか』
シャーリー『今日も一緒にはいるか~?』
俺『ぜひ……じゃなくて、はいらないぞ。絶対に入らないぞ』
シャーリー『あははっ!でも坂本少佐が裸の付き合いは必要だー!っていってたぞ』
俺『それは同性同士の話だ』
シャーリー『そういえば俺はまだ生身でも戦えるんだな~、いったいどこに魔法力があるんだ?』
俺『人体拡張反応コアが基本的に魔法力を補充している。たぶん近々詳しい話をすると思うぞ』
シャーリー『近々ってどういうことだ?』
俺『なんとなくそんな気がしてな。勘は当たる方なんだ』
シャーリー『よし!じゃあそんときにしっかり聞くからな。ちゃんと包み隠さず話すんだぞ』
俺『そうは言われても機密事項もあるからなぁ』
シャーリー『みんな密かに知りたがってるんだぞ』
俺『はぁ……言えることだけ話すさ。それにしてもなんでそんなに知りたがるんだ?』
シャーリー『あ、いや、なんとなくだよ!』
あたふたするシャーリーを見つつ、基地が見えてきたので少しずつ減速させる。
表情がころころと変わって見てて飽きないやつだ。
最初はどうなるかと思ったが、なんとかここでやっていけそうな気がする。
最後まで。
それから一日経って宮藤とリーネ、ペリーヌの三人が無事?修行を終えて帰ってきた。
少々愚痴でも垂れるのかと思いきや、またアンナさんのとこいきたいね、などと話していた。
端っこでその様子を伺っていた俺は二度と行きたくないと思っていたのだ。
宮藤「基地が懐かしいな~」
ペリーヌ「基地を離れてからそんなに経っていないでしょうに」
俺「あのばあさん、めんどくさかっただろう?」
宮藤「あ、俺さん。全然いい人でしたよ!」
リーネ「いい人っていえばちょっと違うかもしれないけど……」
ペリーヌ「ふん、二度と見たくありませんわね」
坂本「まぁそういうな、ペリーヌ。で、全員修行の方はちゃんとできたのか?」
リーネ「はい!ちょっと時間がかかっちゃいましたけど」
坂本「ふむ。じゃあ明日からまた訓練に戻るぞ」
宮藤「えぇ!?少しは休ませてくださいよ~……」
坂本「何を怠けたことを言ってるんだ。お前たち三人はただでさえ戦線を離れていたというのに」
俺「今日はゆっくり休むといい。ご飯はシャーリーたちがつくってくれてる」
ペリーヌ「今日は疲れましたからすぐに寝たほうがいいですわね」
坂本「ペリーヌ、今日はしっかり体を休めておけよ」
ペリーヌ「はいぃ、少佐!よければ今日もお風呂にご一緒してもよろしいですか!?」
坂本「おっ、全然かまわないぞ。みんなで入るほうが楽しいからな」
宮藤「あ、じゃあ私も一緒に~」
ペリーヌ「くっ……この豆狸……私と少佐のひとときを邪魔しにかかるなんて」
宮藤「べ、別にいいじゃないですか~」
リーネ「それじゃあ私も一緒にはいろうかな……」
ペリーヌ「リーネさん!あなたまでも!?」
俺「じゃあ俺も―――はい、冗談だ、坂本。そんなに睨むな」
坂本「言っておくが、入ってくるなよ?」
俺「この間のは気づかなかっただけだ!別に悪意はない!そ、それにシャーリーは許してくれたからな」
宮藤「え?何をですか?」
俺「あ、いやなんでもない」
宮藤「え~、教えて下さいよ~!いいじゃないですか」
俺「言えるか!」
宮藤「なんでですかぁ?もしかしてやましいことなんじゃ……」
俺「べつに俺はやましいとは思ってないぞ。あれはミスだ、ミス」
宮藤「じゃあ教えてくれてもいいじゃないですか~」
しつこく俺から聞き出そうとしてくる宮藤を若干避ける。
シャーリーと一緒に風呂にはいったなんてこの三人に聞かれたらたまったもんじゃない、例えそれがわざとじゃなくても。
シャーリー「おーい!みんなー、ご飯できたぞー」
俺「おっ!夕食ができたみたいだからいくぞ、宮藤」
宮藤「あ!俺さんってば!あとで教えて下さいよ!」
俺「めんどうだ」
坂本「宮藤、そのことならシャーリーに聞くといい」
俺「おい、坂本!よ、余計なことをいうな」
坂本「ふっ、私とて口がすべることがある」
俺「何を白々しそうに―――」
―――……
……
第4話「謹慎処分明け」終わり
最終更新:2013年02月06日 23:03