D.H.N俺 第5話「憂愁のロマーニャ」


前半部








シャーリー「ひゃっほー!!イェー!!」

ルッキーニ「きゃはははは!もっともっと~!!」

俺「風が気持ちいいぜー!!ひゃっはー!!」



ブロロロロロロロ……ギャリギャリギャリギャリ!!




宮藤「きゃあぁぁぁぁああ!シ、シャーリーさーん!!!もっとスピード落としてください~~~!!!」

シャーリー「なんだってー!??聞こえないぞー?!!」

宮藤「だからもっとスピードを――――……





俺たちはロマーニャへの道を爆走していた、シャーリーの運転で。

換気の声と悲鳴の声を響かせながら走り回っていた。

今は食料調達のためにロマーニャの街へと繰り出している旅路途中だ。




こんなことをする理由となったのは……数時間前。





―食堂




宮藤「あ……お米が尽きちゃった」

リーネ「ほんとだ……買い出しにいかないとね」

俺「ということは、今日の晩飯はなしか?」

リーネ「俺さんよく食べますもんね。晩ご飯なしはきついですよね」

俺「なかったら死ぬ」

宮藤「それは言いすぎだと思いますけど。どうしよう……」



坂本「おーい、宮藤!」ヒョッコリ

宮藤「あ、坂本さん。お米つきちゃったんです」

坂本「まぁこの基地は一気に人が増えたからなぁ。仕方ない」

俺「食料を調達しに行ってきていいか?」

坂本「そうだな、そのほうがいいだろう」

リーネ「え、じゃあ街に行っていいですか!?」

坂本「ああ、そのつもりだが。よし、宮藤、リーネ、行ってくれるか?」

宮藤・リーネ「「はい!!!」

俺「坂本、俺も行っていいか?」

坂本「ふむ……まぁいいだろう。お守としていってくれ」

俺「了解。じゃあ早速行ってこよう。坂本は何か欲しいものはあるか?」


坂本「そうだな、茶を頼む」

俺「茶?」

坂本「ああ、頼んだ。土方からも物資が届けられるのだが今回は思ったより早く消費してしまってな」

俺「ふむ、任された。買ってこよう」

坂本「頼んだぞ。ああ、あと皆にも希望のものを聞いてから買い物に行ってくれ、以上だ」スタスタ



宮藤「わかりました!……やったー!早速準備しよっ!」

リーネ「じゃあ私たちはみんなに聞いてくるね!」

俺「俺は車を回しておこう。準備できたら来てくれ」

リーネ「はい!お願いします!」





とまぁこんな感じになったのだが……このあとシャーリーが運転したい旨を申し出てきたところ。

リーネが買い物を辞退し基地に残ると言い出したのだ。

そしてロマーニャの街のことを俺たちはあまり知らないのでルッキーニに同行を頼んだ。
快く了解してくれて、結局宮藤、シャーリー、ルッキーニ、俺の四人で向かうことになった。





戻って旅路途中。
車内は散々である。





俺「意外とスピードでるもんだな」

ルッキーニ「シャーリー!もっとはやく~」

シャーリー「まっかせろー!」

宮藤「や、やめてくださいよ~!よ、酔っちゃいます~!」

俺「お~、ここらへんはいい景色だな」

宮藤「あ!本当です……うぷっ」

俺「おいおい、大丈夫か!」

宮藤「た、たぶん大丈夫です」

ルッキーニ「きゃはははは!芳佳ー!なれれば大丈夫だよ~」

宮藤「慣れないよー!」



シャーリー「しゃべりすぎて舌をかまないようにな」

宮藤「だったらもう少し速度をおとして……!」

シャーリー「それは無理な相談だな!」

俺「諦めろ……宮藤」

宮藤「そんな~~~~~~~~~!!!」




顔色が悪くなっている宮藤。
シャーリーの運転で酔ったのだろう。
なにせ荒い運転だ、酔うのも無理は無い。




俺「おいおい、大丈夫か?」

宮藤「だ、大丈夫じゃないです……うぇえ……」

俺「ほら、背中さすってやる」

宮藤「は、はい」

俺「で、どこに買い物にいくんだ?」サスサス

ルッキーニ「えっとねー、この先にいろいろ揃ってるところがあるんだよー。そこで買うといいかも!」

シャーリー「じゃあそこに向かうか」

俺「あと市街地だから少しぐらいスピードを落とすんだぞ」



宮藤の背中をさすっては胃のあたりをグイグイとおしてやる。
街中をとろとろと走るトラックの外の景観は素晴らしく、時折宮藤は気分が悪いにもかかわらず目を輝かせていた。



シャーリー「よし、ついたぞー」

俺「ここで買い物をするのか。だが食料はそれほど売ってなさそうだが」

宮藤「とりあえず入りましょう!」

俺「もう元気になったのか?」

宮藤「はい!背中さすってくれてありがとうございます。もう大丈夫ですよ、えへへ」

俺「あんまり無理はするなよ」ナデナデ

宮藤「ひゃっ……わ、わかってますよ」



とりあえず店の中へ、色々と物色も兼ねてぐるりと中を見てまわる。
シャーリーと宮藤が色々と買うものを聞いてきているようなので任せることにし、俺はお茶を探しに行く。
そんなときに。




俺「……ん?なんだ、あれ」

ルッキーニ「どうしたの、俺?あ!あそこで女の子が男たちに誘拐されそうになってる!!」

俺「……助けるか。シャーリー!宮藤!ちょっとルッキーニと遊んでくるから買い物を済ませといてくれ!!!」

シャーリー「えっ?」

俺「頼んだぞ!」ガチャン



店を飛び出す直後にシャーリーにそう言い残す。
素っ頓狂な声を二人があげた途端にはすでにルッキーニと俺の姿はなく、どこかに消えていた。






―路上



俺「ルッキーニ!」


ルッキーニ「わかってるよ~!す~~ぱ~~ルッキ~~ニ!キィィィィック!!!」

どごっ!!!

男1「ぐわっっ!!」ドサッ…

男2「な、なんだ!?」


俺「お前も寝ておけ」ヒュッ

男2「うべらっ!!」ドゴシャッ…ドサッ…


女「は、離しなさい……って、へ?あれ?」

ルッキーニ「大丈夫?」

俺「……おいおい、こいつ、まさか」

女「あ、あなたたちは?」

ルッキーニ「通りすがりのスーパーマンだよ!」

俺「ルッキーニの場合はスーパーウーマンじゃないか?」

ルッキーニ「あ、そうだった。ほらほら、いっくよー」グイ

女「え?」

俺「とりあえずこいつらが目を覚ます前にどこかに逃げるぞ」









女「はぁ……はぁ……」

俺「ここまでこれば大丈夫だろうな」

ルッキーニ「ねぇ、なんであの変なやつらに誘拐されそうになってたの?」

女「えっと……色々と事情がありまして」



俺「すみませんが、名前をお聞きしても?」

女「あ、申し遅れました、私はマリアと申します」

ルッキーニ「ルッキーニだよ!こっちが~、俺!」

俺「俺、というものだ」



マリア「俺?何か……懐かしい名前ですね」

俺「たぶん気のせいだ。どこかで聞いたことのある名前なだけだろう」

ルッキーニ「俺はね、男なのにウィッチなんだよ。珍しいでしょ!?」

マリア「ウィッチ、なのですか?ふふっ、確か私の知り合いにも男のウィッチで俺さんって方がいらっしゃいましたわ」

俺「へぇ、そりゃ偶然だな」

ルッキーニ「俺ってばマリアと知り合いなの?」

俺「……さぁな」

マリア「そうでしょうね、だってそのかたは……戦死したとお聞きしたものですから」

ルッキーニ「それってたぶん俺のk――モガモガモゴゴ!」

俺「ルッキーニ。別にどうでもいいだろう、そんなことは」




マリア「それはそうと、先程は助けていただきありがとうございます」ペコ

俺「ふぅ、連中も手を焼いてるか」ボソッ

マリア「?」

俺「マリア様、といったところですね。今日はどうしたいんですか?」

マリア「!? えっと……今日は、ちょっとこの街に出てみたくて」

俺「捕まえる気はさらさらありませんよ。さて、ルッキーニ、ロマーニャを観光してみたいんだそうだ」

ルッキーニ「うじゃー!それならあたしが案内してあげるよ!」

マリア「本当ですか!?ぜひお願いします!」

ルッキーニ「それじゃあ早速いっくよー♪」

俺「今日は色々忘れて楽しんでください、秘密にしときますので」コソッ

マリア「あ、ありがとうございます(だ、誰なんでしょうか……)」





俺たちは少女の手を引っ張り観光?へと駆りだした。
不安と嬉しさが混ざったような表情で引っ張られていく少女を見ながら少々思い出を漁っていた。






マリア……懐かしい名前だ。

ふむ、ずいぶんと大きくなったな。
ここで話は変わるが、実は俺とこの子は結構昔に会ったことがある、この子がもっと幼い時に。



カールスラント撤退戦の後、俺はごたごたになっている司令部にカールスラントの状況を偵察してくるように命じられた。
それとプラスでロマーニャやヴェネツィアの方にも文書と資料を送るということも含めて。
明らかに俺の領分ではない上に危険が危ないわけで。

司令部の方もかなり混乱していたのとウィッチの数が足りなさ過ぎるということだそうだ。



その途中で最後に負傷したためヴェネツィアへと寄り、加えて軍へと文書と資料を手渡した。
治療もろくにせず、ロマーニャへ。



だが限界を迎えたところで意識が琴切れ、大々的にロマーニャ公の宮殿へと突っ込んだのだ。
そこで治療を施してもらって目を覚ましたときにこの少女がいたという……。



いろいろあって気に入られてしまい、文書と資料を届けたあと数日間休暇と称して少女の相手をさせられていた。

だから、ちょっとは知り合いなのだ。

だが向こうは覚えていないようだ……好都合、なのだろうか。




久しぶりに会った男が気持ちの悪いものを心臓にぶちこんでいると知ったらどんな反応するかは気になるが。

恐らく非難と侮蔑を混じらせた目で俺を見るに違いないだろうな。





俺「ふむ……懐かしいな」

マリア「どうかなさったんですか?」

俺「いや少し思い出を嗜んでいたところだ。で、街にでるのは久しぶりか?」

マリア「はい、なかなか外にでるわけにもいかなくて」

俺「まぁそんなものだろう。普段なかなか楽しめないだろうし今日ぐらいは楽しんでくれ」

ルッキーニ「じゃああたしがいっぱい楽しませてあげる!!」

マリア「ふふっ、ありがとうございます。お願いしますね」

ルッキーニ「まっかせて~!次はね―――……






とりあえず俺たち三人はロマーニャの観光を楽しんでいた。
いろんな思い出を頭の中で反芻しながらも。


そういえばあの二人はどうしているだろうか、買い物は終わったのだろうか。
時間があるし同じように観光でもしているのだろうか。







第5話前半部終了
最終更新:2013年02月06日 23:03