D.H.N俺 第8話「回想と現状」
...夢を見ていた。
とても懐かしい夢……幻……非現実。
湧き出るその妄想ともわからぬ幻想の泉は、蜜なる睡眠のやすらぎと共に私を過去へと連れ去る。
その時の私は何歳だろうか、恐らく9,10歳ぐらいであろうか。
物心がつきはじめる頃であろうと想像がつくが、確かではない。
夢の中での私はウィッチの航空祭らしきものに来ていた。
微かな記憶……夢の断片では、ウィッチが空を翔る度に青やら赤やら黄色などの線が美しく引かれ、空を色染めていた。
華麗に飛ぶウィッチ……
初めて生でみたウィッチに私は興奮を抑えきれず目を輝かせていた―――ここまで速く美しいものがあるということに。
そして、その帰り道、ふと道路の側でコーラを飲んでいる男を発見した。
私はその男を見た途端に思い出す……こいつは先程ウィッチとして空を飛んでいた者だと。
少ない男のウィッチであるためか注目度が非常に高かったので、私は興味を源に急いで駆け寄った。
「さっき空で飛んでたウィッチだよな!?」
「ん?ああ、そうだが……嬢ちゃんは航空祭に来てくれてたのか?」
「うん!」
「ははっ、見に来てくれてありがとな」
「こんなとこで何をしてるの?」
「少しのあいだ休憩してるんだ。迎えがくるまで時間がかなりあってな」
こんなチャンスはめったにない。
なにせこんな時勢にリベリオンのウィッチが来て、この本国でこのようなことを催し、かつ休憩中に出会うことができたのだから。
私はふと有名人を見かけるとよく人がする行動を真似る。
そう、サインを尋ねた。
だが私はこの時この男のことを知らなかった……というより欧州では有名だったらしいが本国では微妙だったらしい。
「サイン?」
「うん!書いて!」
「えっと……紙はあるか?」
「紙?ないよ」
「う、うーん……困ったな。紙がないとサインすら書けないぞ」
「え~!どうにかしてくれ!」
子供心ながら大人を困らせてしまったのは薄々感づいていたが、なんとなく祭りのあとの興奮が収まらなかったのか私は引き下がらなかった。
困り果てた男はおでこに手を当てて考え始めた。
少しの後に男は何か閃いたように表情を明るくさせ、首についていた何かを取る。
「嬢ちゃん、名前は?」
「シャーリー、すまないがサインはあげられない」
「そんな~……ちょっとくらいいいだろ~!」
「代わりといってはなんだが、俺のドッグタグを一枚やる」
「この金属がドッグタグっていうの?」
「二枚あるんだが、一枚はシャーリーにあげよう。その代わり世界に2枚しかないから大切にしてくれよ」
「うーん……わかった!これで我慢する」
「よしよし、ありがとう。この世界を守る男のドッグタグだ、いつか価値がでる」
「ほんとか~?」
「本当だ。リベリオンのヒーローになって世界を脅かす魔の手から世界を守るのが俺の夢だからな」
「お~!」
「そういえば、迎えはどうした?」
「お母さんは買い物いったから後でここに来るって」
「ふむ、ならもう少し俺も待つか。シャーリーのお母さんが来たら送迎させよう」
10分ほど男と話していた時に、母が迎えに来た。
そして好意的にもその男が軍の車を拝借して私たちを自宅まで送ってくれたのだ。
母は何やら恐れ多そうに遠慮していたようだが、男の強引な説得により折れることとなった。
家につき最後の挨拶を済ませ、家の前で男の背中を見送る。
最後に聞いたのは、すぐに欧州に行くということとドッグタグを大切にしてくれという旨であった。
……ああ、まだ聞いたことがあったはずだ。
「名前教えて!」
「名前?そこのドッグタグに書いてあるから見といてくれ」
「聞かせてよ~」
「……名乗るほどの人間じゃあないが、名前は―――」
そこで夢は覚める。
今思えば偶然だったのかもしれない、あの航空祭後に会ったことや、サイン代わりのドッグタグをくれたことも。
そして……今その男がここにいるということも。
男の名前は俺、男の夢はヒーロー……そんな奴が身近にいる。
俺は欧州に戻ってからもよく戦果を上げ、リベリオン本国ではどこかしら彼がヒーローだという声も上がっていた。
そして成長していくにつれ彼のことをよく知るようになり、また自分にも魔法力があったことで自分もなろうかなときっかけをくれた人物のひとりでもある。
「……ふあぁ~。懐かしい夢をみたなぁ」
あくび一つ、背伸び一つ。
私はベッドから起き上がり、机の引き出しを探りあるものを取り出す。
俺はもう忘れているのかもしれない……このドッグタグのことを。
そのドッグタグをなぞりながら数日前の夜間戦闘のことを思い出す。
……まるでヒーローのようだった。
私がピンチに陥った時すぐにネウロイを消し去ってくれた。
不安をすぐに払拭し、少し恐怖に塗れていた私を抱きとめてくれた。
このドッグタグは本来なら他人が触れてはならないものだけど……私にそれをくれたということはもしかすると。
「……そんなわけないか。さて、顔でも洗ってくるかな」
でも少しだけ期待する。
あの時渡してくれた理由と今私が持っているという理由が異なっているかもしれない。
もし……もし俺が覚えていたとするなら、どんな理由で今なお私に託しているのだろうか。
―執務室
ミーナ「はぁ……最近ネウロイの資料が妙に多くなったわね」
坂本「仕方ないな。新しいネウロイの巣である上に前より少々変わっているしな」
バルクホルン「しかしあまりに変化したということはないのであるから……この資料の多さは少し……」
坂本「確かに、前の巣と同じような資料がいくつもあるしな」
ミーナ「情報を共有してくれるのは嬉しいんだけど、分別をしてほしいわ」
研究者「……僕の入る余地はなしかい?」
坂本「ない」
研究者「そんなこと言わなくても……。まぁ僕はこれでも俺君を創り上げた人間でもあるわけだしネウロイには詳しいよ?」
ミーナ「そういえばマロニー元空軍大将のところにいたんでしたね」
坂本「あの男の研究者か?」
研究者「そうだよ。ミーナ中佐には言ってあったんだけどね」
バルクホルン「だったら、今回のネウロイについて驚く情報を教えてくれ」
研究者「そうだね~……」
坂本「まぁ一応軍の記録が最新であるだろうし、あまり期待はしないが……」
考える素振りを見せる研究者、期待もしない坂本・バルクホルン、ため息をつくミーナ。
誰もがこの資料の山にうんざりしていたため、少し気分を変えるために聞いたことでしかないことを三人は理解していた。
研究者はそれを見定めて、実に最新な情報を話す。
研究者「あの巣が保有しているネウロイ仮想戦力は南欧州が持っているウィッチの戦力と同等っていう情報なんだけど」
坂本「……何だと!?」
研究者「あの巣を色々調べたところ、小型機・中型機が異常なほど保存されている可能性が高いという研究結果があって……」
バルクホルン「馬鹿な、それが本当だとしたら明らかに手はない」
ミーナ「……でも、それはあくまで推測なのでしょう?」
研究者「まぁね。……ああ、でもバルクホルン大尉、心配しなくていいよ。手はあるから」
バルクホルン「手がある、といっても思いつかないんだが」
坂本「大量のネウロイ化したやつをぶつける、とかか?」
研究者「そんな乱暴な。でも外れてもいない。ネウロイ化するのはとあるモノさ」
ミーナ「それがあれば十分対抗可能ですか?少し信じられないのですが」
研究者「それがあれば敵戦力は6~8割一掃できる。だけど残りは君たちにかかってるってだけ」
坂本「そんな代物がありながら今なおなぜ表にでない?」
ミーナ「たぶんネウロイ化のものについては実績がないのと、マロニーのせいで信用がさらに落ちたからでしょう」
バルクホルン「安全性の問題か」
研究者「本当にあの人は余計なことをしてくれたよ。他にもいるけどさ」
研究者が眉を顰め嫌な顔をする。
その話題を一旦終わらすかのように、こんこんと古い木を叩く音が聞こえドアが開かれた。
シャーリー「中佐、これ資料だって」
俺「こんなに集めて整理がつくのか?」
ミーナ「ありがとう、シャーリーさん、俺さん。そこにおいといて」
坂本「各地のネウロイの情報を集めないとな」
俺「だがそういうことをして訓練の時間を減らしても意味が無いだろう」
バルクホルン「確かにな。坂本少佐は宮藤とリーネの訓練を受け持っているし自分の時間もないでしょう」
坂本「いや、そうでもないさ。忙しいのが嫌いなわけじゃないしな」
ミーナ「でも少しは休みなさい。近頃は夜にも朝にも鍛錬してるから大変でしょう」
坂本「あれはもう生活の一部みたいになってるからな……」
俺「ま、一応休んでおけ。俺が代わりに手伝おう。バルクホルンも休んでいいぞ」
バルクホルン「む、私は大丈夫だが」
俺「優れている仕事人は休める時に休む。それでもカールスラント軍人か?」
バルクホルン「はぁ……お前までそういう言い方をするとは……そこのリベリアンの影響か?」
シャーリー「おいおい、あたしのせいにするなよ」
研究者「その『おいおい』っていう前口癖は俺君のだから、互いに影響を受けてるのかもね」
シャーリー「あははっ、もしかしたらそうなのかもな~」
ミーナ「……」ジトー
俺「……俺を疑いの眼差しで見るな、ミーナ」
ミーナ「はぁ、まぁいいわ。美緒もトゥルーデも休んでいいわよ」
坂本「そうまで言われるなら仕方ないな。少々休んだあとあの二人に追加訓練でもするかな」
バルクホルン「じゃあ私は……そうだな」チラ
俺「また今度な」
バルクホルン「目線をそらすな。俺はいつになったら私の挑戦状を受け取るんだ?」
俺「俺はあまりウィッチと争うのは苦手だしな」
バルクホルン「よし、なら条件をつけようじゃないか」
俺「何を?」
バルクホルン「勝ったほうが負けた方になんでも言うことを聞かせられる、というのはどうだ?」
ミーナ「ち、ちょっと」
俺「おいおい……そういうことならのってやるぜ」
バルクホルン「ふっ、面白くなってきたな。では、ストライカーをはいて……」
俺「今は断る」
バルクホルン「なにっ!怖気付いたのか!?」
俺「いや、資料整理。今は休め。万全な状態で勝負しようじゃないか」
バルクホルン「む、それならいいだろう。だがさっきの言葉をわすれるなよ!」
俺「はいはい、ほら、もういけ」
坂本「はっはっは!あとは頼んだぞ、俺」
バルクホルン「頼んだぞ。……少佐、私も訓練に参加していいか?」
坂本「もちろんだ!ではあの二人を連れてきてくれ」
シャーリー「私はすることあるから、それじゃあな」
俺「ああ、それじゃあな」
三人ががやがやと話しながら執務室を出ていった。
いきなり静まったこの部屋には、俺と研究者、そして微妙に疲れたミーナがいる。
何か気まずい……気にしてはいけないか。
俺「さて、資料整理とは言っても……」ペラ
研究者「見たことのあるものばっかりだねぇ。こんなもの意味ないね」ペラペラ
ミーナ「あなたたちはネウロイ研究ばかりしていたものね」
俺「そうでもないがな」
研究者「確かにそうでもないね」
ミーナ「どういうこと?」
研究者「僕は人体医学にも精通してるから色々と学会にでることがおおくてね」
俺「俺はネウロイ研究の対抗馬潰しやら刺客排除やらで付き添ったりな」
ミーナ「結構いそがしいのね。でもここに来てからは大丈夫でしょう?」
俺「楽にはなったが……注目度ナンバーワンの敵がいるしな」
ミーナ「何かしら、それ」
研究者「マロニー元閣下の意志はまだ生きてるってことさ」
俺「簡単に言うとマロニーの元副官がマロニーの意志を継いでネウロイ研究をしているのさ」
ミーナ「ちょっと待って。彼もマロニー元空軍大将と共に裁かれたんじゃないの?」
俺「マロニーがかばったのだろうな。そして生き残って軍の裏でネウロイ研究をやってるのさ」
研究者「もちろん研究体は『ウォーロック』だ。こいつがベース」
ミーナ「なんてことなの……それなら早く上層部に……いえ上層部もグルの可能性が……」
俺「まぁそれは俺達に任せてもらわないと。あいつらは俺らが潰さないとな」
ミーナ「それは……対抗馬を潰しあなたたちの研究が注目をあびるために?」
俺「一理ある。しかし、それだけでもない」
研究者「彼は僕達の研究を真っ向から批判してきた上に、挑戦状を叩きつけてきた」
俺「ウォーロック零号機を改良した試作機が稼働次第、俺を抹殺しに来るとな」
資料をぺらぺらとめくりながら淡々と話す。
その言葉を受けてミーナは何といえばよいのか迷っていたが、しばらく考えた後に深刻な表情をして俺たちの顔を交互に見つめる。
そして、口を開く。
ミーナ「あなたたちがいいと云うならこちらから手を打つわ」
俺「どうやって?」
ミーナ「今の会話からあなた達は未だその副官の現在の位置をつかんでいないと見えるわ」
研究者「ある程度は絞れているんだけどね」
ミーナ「あなた達の突然の派遣の理由から察するに、ここロマーニャにいる可能性が高いわね」
研究者「よくわかったね。ヴィルケ君ならそれぐらい察すると思っていたよ」
ミーナ「気づかせて、こちらに協力を促すつもりでしたね?」
研究者「俺君がずいぶんとこの部隊の人間を信頼していたからね。少しは頼ってみようかと」
俺「ロマーニャ公国の北部で試製ウォーロックが試験飛行しているという情報があった」
ミーナ「北部、ね。都合がいいわ」
俺「どういうことだ?」
ミーナ「空域哨戒と称して空から探ることが可能よ。そういうことが隠れてできる施設は限られるはずよ」
研究者「そこで、ストライクウィッチーズの力を貸して欲しい。もちろん君たちには大きく謝礼するつもりだ」
ミーナ「謝礼なんていらないわ。ウォーロックなんてものの大変さは私達は味わってるから、後に出てこられると面倒なの。排除しておいても損はないわ」
俺「マロニーの復讐にここのウィッチを狙いに来る可能性も否めないしな」
研究者「……で、どうかな?」
ミーナ「協力しましょう。一部のウィッチに事情を伝えて探らせるわ」
俺「助かる」
ミーナ「ただし、条件があるわ」
俺「飲める条件なら」
ミーナ「俺さんについてとネウロイ研究についての情報、そしてネウロイに対する情報を隠さず開示すること」
研究者「ネウロイ研究についてというのは、それは僕ら以外の研究にも開示欲求するってことかな?」
ミーナ「そういうことです。話してくれるなら全面的に協力しましょう」
研究者「それを知って最終作戦の全容把握と勝率でも見定める気かな?」
俺「どれにせよ、俺らの研究については話すことはできない。ソレ以外外ならいいだろう」
研究者「これ以上は、無理だね。僕らの身は僕らで守るから」
ミーナは少しだけ考えた後、納得したのか顔を上げて俺達を交互に見る。
この強い眼差しは少し緊張する。
ミーナ「……わかりました、こちらが譲歩しましょう。ですが、ソレ以外はすべて開示してもらいます」
研究者「いいよ、別に不都合も不合理もないし」
ミーナ「ふふっ、では、これからはある意味協力関係ね」
密かに思う。
ストライクウィッチーズはこのミーナ・ディートリンデ・ヴィルケがいるからこそうまく回るのだと。
たぶん他の隊員たちにはこういう交渉事も裏事も話せないし通じないだろう。
さすがに中佐という階級だけある。
ありえない仮想ではあるが、これらを敵に回した時どれほど痛い目をみるのかを想像しただけで身震いがした。
―ハンガー
……ハンガー内、そこでマーリンエンジンが唸りを響かせていた。
先日の夜、自分の愛機はネウロイの攻撃により無残にも海の元へと姿を散らせた。
戦闘時は生死のことや俺のこともあり頭の隅に退いていたが、帰還した後私は破損して黒焦げになった残ったストライカーの片足を見て、愕然としたこと
を覚えている。
泣いていたのかもしれない。
このようになった原因に悲しみの矛先を向けようとしたが、明確に見つからず、結局自分の内にしまいこんだのだ。
私は中佐に代機がくるまでしばらくの間飛行停止を命じられたが、研究者が俺のために持ってきていた代わりのP-51Dを私に譲ってくれた。
落ち込んでいた私は当初断っていたが、俺が私専用に調整すると言ってきたので仕方なく応じた形になり、今こうして事態は落ち着いている。
シャーリー「……うーん、今日は調子がいまいちだな~」
私の両足にはいつもどおりのパーソナルマークが描かれ、さらに私好みに調整されているストライカーユニットがある。
これは俺が譲ってくれた上に、俺が半日かけて調整してくれたものだ。
もちろん嬉しいが、まだ何か私に馴染まない気がしてふと気が抜ける。
ルッキーニ「シャーリー……調子悪いの?」
シャーリー「今日はちょっとな~。あ、いやコレの話な」
ルッキーニ「あ、ストライカーのことか~。いつものシャーリーっぽいエンジン音じゃないかも!」
シャーリー「あははっ、あたしっぽいエンジン音ってなんだよ」
ルッキーニ「なんかこう、うまくは言えないけど、元気がない感じ!」
シャーリー「元気な~……確かにそんな感じだ」
ウィッチの魔法力の出力において、そのウィッチ自身の精神状態は大きく作用するということは有名だ。
たぶん今の状態的に言えば『元気がない』というのはあてはまるのかもしれない。
心配そうな表情のルッキーニの頭をぽんぽんと軽くなでる。
ルッキーニ「そういえば俺は?今日は一緒じゃないの?」
シャーリー「今は執務室で仕事だって。あいつも働きもんだよな~」
ルッキーニ「俺ってば朝も夜も昼も訓練してる上に全部出撃して、さらにデスクワークもこなすとかすごいよねっ!」
シャーリー「朝昼晩訓練だって~?夜もか?」
ルッキーニ「そうだよ。毎日遅くまでやってるよ~。あたし途中で起きちゃった時にちゃんと見たもん!」
シャーリー「すごいな……。で、どんなのを見たんだ?」
ルッキーニ「なんかね~……普通に格闘技?みたいなのと、ものすっごく強いビームの練習!」
シャーリー「ものすごく強いビーム?一回ロマーニャの街で使ってたやつか?」
ルッキーニ「違うよ!両腕がぴかーって光ってね、その両手を合わせてビームだすの!」
シャーリー「ふーむ、それは見たことないな。そんなに強いのか?」
ルッキーニ「海がどっば~ん!って割れてすごい吹き飛んでいった!!」
シャーリー「それだけじゃわからないな……でも見てみたいな~」
ルッキーニ「シャーリーはやっぱり俺のこと気になるの?」
シャーリー「ぶっ!なんでそうなるんだ」
ルッキーニ「芳佳とかリーネたちが、シャーリーと俺はかなり仲いいけどどういう関係なのかなって言ってたよ」
シャーリー「……宮藤とリーネ以外には誰がいたんだ?」
ルッキーニ「ハルトマンとエイラと……サーニャ!」
シャーリー「その5人は後でしっかりと叱らないとな!」
ルッキーニ「え~、でも違うの?」
シャーリー「え?」
ルッキーニ「シャーリーって俺と一緒にいるときは物凄く楽しそうだし……俺のこと好きなのかなーって」
ルッキーニもそういうのを気にする年頃になったのかな、と思えば感慨深いものがあるが少し心配でもある。
だが今はそういうことはおいておこう。
今考えなければいけないことは、そう、この問にどう答えればいいんだろうかということだ。
実際のところどうなのだろう。
確かに俺と私は仲がいい……周りから見ても親密であるはずだ。
ふと昨日、ネウロイを撃墜後のことを思い出す。
俺に抱きしめられたことを。
私に言った言葉を俺は誠に果たしてくれたことを―――私を絶対に守るということを。
……そして、あの途切れた言葉のことも。
シャーリー「俺……か。どうなんだろうな。それにさ」
ルッキーニ「?」
シャーリー「それに俺がどこかでブレーキをかけてる。そこを外してこない限り、私もなんとも反応できないや」
ルッキーニ「う~ん、む~ず~か~し~い~!!」
シャーリー「あははははっ!いつかルッキーニにもわかる時がくるよ」
ルッキーニ「……ほんと?」
シャーリー「ああ、大人になればわかる」ナデナデ
ルッキーニ「まぁ大人になればあたしもばいんばいんになるからきっとわかるよね!」
シャーリー「そうそう。だけど、私は楽に抜けないぞ~」ボヨンボヨン
ルッキーニ「へっへ~んだ!シャーリーなんて追い越しちゃうもんね!」
俺は必要以上に誰かと触れ合うことにブレーキをかけている。
それは恐怖か、悲しみか、怒りか、はたまた無関心なのかはわからない。
だが、俺はこの前それを微かにでも飛び越えようとした。
私相手に。
俺は一体何を隠しているのだろうか。
いつかそれを話してくれる時がくるのだろうか。
そして、飛び越えて来た時―――。
私は受け止めるのだろうか。
それとも、拒絶するのだろうか。
第8話「回想と現状」終了
最終更新:2013年02月06日 23:10