夜、格納庫内部

A准尉「...やっと来たか」

俺「すみません!遅れました!」

大尉と二人で格納庫に入る。既に皆が待っていた。

思わず離される手。大尉にとっては手を繋いだままでいるのは恥ずかしかったようだ

B曹長「よし、MG42を装備しろ。予備弾薬も忘れるな」

チーフ「ほら、持って行け。弾薬を入れるベルトだ」

整備士A「インカムと時計。後はサバイバルキット。もし墜落したらこれを使え」

次々と渡されていく装備を身に着けていく。中々重いので使い魔と魔導針を出しておく事にした。少しは軽くなったな...

C曹長「ほら」ポイッ

彼から投げられてきたのは大きなリボルバー拳銃。黒光りした銃身とグリップ部分に刻まれた紋章が特徴的だ...

C曹長「昨日はゴメンな。それは俺の精一杯のお返しだ」

俺「スミス&ウェッソン・・・?」

C曹長「M27。前の昇進祝いにリベリオンのおっさんから貰った奴だよ」

俺「良いんですか?大切な物では?」

C曹長「いいや、コイツの方が実践的だから良いのさ」

彼は腰に携えたM1911を指している。流石はアメリカ...いやリベリアンと言うべきか。

俺「まぁ・・・許してあげますよ」

個人的に好きなのは自動拳銃だが・・・

映画のようにシリンダーを回転させ、止った所で構えてみる。

俺(通りでどこの主人公もリボルバーを持つ訳だ・・・これは)

ハイデマリー「・・・俺さん」

俺「ご、ゴメンなさい。思わずやってみたくなったので...」

ハイデマリー「いや、カッコいいなって...///」

俺「そ、そうですか・・・///」

思わず恥ずかしくなったので銃をレッグホルスターに突っ込む。

どうやら周りの皆も見ていたらしい。皆の視線を避ける為にC曹長に話を振った。

俺「それにしても・・・P○Pの中に時限爆弾を仕込むのは反則ですよー」

C曹長「は?」

俺「・・・え?」

C曹長「君が壊したんじゃないのか?」

俺「貴方が壊したんじゃないんですか?」

C曹長「俺がそんな器用な人間に見えるか?」

俺「確かにそうですね」

C曹長「...おいおい、そこはもっと良い言葉があるだろ・・・なら」

整備士B「・・・私ですか!?そんな事出来るならあの画像を紙に印刷する事を考えますよ!」

C曹長「だそうだ」

俺「じゃぁあの爆発は...」

彼らが関係していないとすると・・・俺自身が引き起こしたのだろうか?

チーフ「ストライカーの用意が出来たぞ!こっちに来てくれ!」

俺「・・・今行きます!」

後で考えれば良い。そう思い俺はチーフの下に向かった。

彼の前には二つの長い筒。横では既にシュナウファー大尉がストライカーを履いて待っていた。

チーフ「手短に説明する」

俺「はい!」

チーフ「裸足になってコイツに足を突っ込んで踏ん張る。以上だ!」

俺「それだけですかっ」

チーフ「後は大尉に聞け。さぁやるんだ!」

靴と靴下を脱ぎ、恐る恐る足を突っ込んで踏ん張ってみる。

ストライカーから現れる5枚羽。最初はゆっくりだった回転もすぐに早くなり始めていた。

ハイデマリー「出力も安定していますね。行きましょう」

俺「行くって...外は暗いしまだ操縦法も...」

ハイデマリー「大丈夫です。私が俺さんをサポートします。俺さんは飛ぶ事だけを考えてください」

俺「・・・分かりました」

ハイデマリー「では・・・その・・・///」

彼女が差し伸べてくれた手を握る。右手にはMG42。左手には彼女の手。

A准尉「俺君」

俺「はい」

A准尉「落ちたら我々が回収しに行く。安心しろ」

俺「・・・分かりました!」

ハイデマリー「・・・発進します!」


サン・トロンより北に20km、上空6000m、深夜11時45分

ハイデマリー「そうです、旋回する時は体を傾けて...」

ストライカーは操作が難しいと思っていたがそうでも無いようだ。

ある程度の出力操作は思いのまま。上昇や下降、旋回もゲームでやってる事と同じ事をすれば簡単に出来た。

ハイデマリー「・・・俺さんは航空機の操縦経験があるんですか?」

俺「いいえ、ちょと遊んだ事しか無いですよ」

ハイデマリー「遊んだ・・・?」

俺(HUDも無い。高度計も無い。ミサイルアラートも...あれは無くて良いか)

少なくともミサイルに追われる事も、ケツに貼りつかれる事も、ビームを撃たれる事も...いやそれはあるんだよなぁ

俺「それにしても大尉はする事とかあるんじゃないですか?」

ハイデマリー「え?」

俺「さっきからソワソワし過ぎですよ」

ハイデマリー「それは・・・その・・・」

ハイデマリー「いつもナイトウィッチの友達をお話をしているんです」

俺「それでいつも深夜に交信をしている、そういう事では?」

ハイデマリー「・・・俺さんは感が良すぎです」

俺「貴方は心が表情に出やすい方です。誰でも分かりますよ」

ハイデマリー「そうなんですか?」

そう言って不思議そうな顔をする大尉。

俺「・・・さぁ、早く交信してください。友達が貴方を待っていますよ」

ハイデマリー「でも俺さんを見ておかないと...」

俺「貴方が見ている所では落ちませんよ。後・・・」

俺「友達の事も気遣ってあげるのが、友達の役目ですから」

ハイデマリー「・・・ありがとうございます」

俺「そのありがとうございますは無し。もっと気楽に返してくださいね?」

ハイデマリー「・・・ありがとう///」


ハイデマリー「...そうなんです!新しい友達も...」

相手と楽しそうに話す大尉。その姿を下に見ながら俺は静かに飛んでいた。

既に時刻も深夜。星々がキラキラと輝いている。ある程度の飛行技術も自分なりに練習し特にやる事も無くなっていた。

俺(そうそう、自分の固有魔法についても調べてみるか・・・)

頭の上にある魔導針...のような物。大尉は俺の能力をなんらかの探知能力だと話していたが・・・

俺(使えなきゃ只の飾りだよなぁ)

とりあえず頭で念じてみる。ストライカーもこれで動いたんだし何とかなるんじゃ...

俺(...何も...いや)

何かを感じる。それは俺の真下、距離100mの下に...

ハイデマリー「...ピアノを弾けるんですか?それは...」

俺(大尉か・・・でも今でも大尉から何かを感じるんだよな・・・)

俺の頭は大尉から何かが出ているのを感じ取っていた。でも何が出ているのかが理解できない。

俺(ここは大尉に聞いてみるしかないな)

高度を下げ、大尉の元に戻ろうとしたその時

俺(反応?)

高度は一緒、俺の目の前にある雲の中、距離は15km、こちらに700km/hで迫って来る何か。

俺「大尉、あそこに何かありませんか?」

ハイデマリー「...?待って・・・何も見えないけど?」

俺「いや、何かを感じ...」

急激に大きくなる反応。その反応はこっちを狙っているように俺には―

俺「危ない...!」

大尉を抱きしめ、そのまま高度を一気に上げる。

ハイデマリー「俺さん!いきなりそんな事///...」

ズバアァァァン...

俺達がいた所を赤いビームが通り過ぎていった...

ハイデマリー「・・・今の攻撃は...」

俺「どうやらレーダーには映らない敵さんのようですね」

ハイデマリー「でもどうやって俺さんは攻撃が来る事を知ったんですか!?」

俺「それは...どうとも...」

また強くなる反応。俺は咄嗟にシールドを展開した。

ズバアァァァン...

シールド面で線状に割かれるビーム。初めての実戦使用だが・・・中々辛い・・・

俺「ハイデマリーにはあの何かが見えませんか!?」

ハイデマリー「・・・ごめんなさい、私の魔導針には何も視えないわ...」

俺「ステルスか・・・」

ステルス。俺達の世界でも一部の航空機しか持たない技術。そんな技術をネウロイは達成したのだろうか。

...確か准尉が言っていた。ネウロイは全身金属で出来ていると。

金属の船体でレーダーに映らないようにするには...

俺「船体が特殊形状か・・・外部装甲に電波を吸収するような素材を使っているかのどちらか・・・」

ハイデマリー「俺さん?」

俺「・・・大尉、俺はこれからあのネウロイに攻撃を掛けます」

ハイデマリー「そんな・・・無茶です!視えない敵を攻撃出来るはずが...」

俺「大丈夫です。俺には視えてますから」

俺「俺の攻撃で敵が視えるようになったら貴方にトドメを任します」

ハイデマリー「でも...」

俺「今こそ俺の汚名挽回の時なんですよ。行かせてもらえますか?」

ハイデマリー「・・・無茶しないでくださいね!?」

俺「ええ、では・・・行ってきます!」

ハイデマリー(俺さん...汚名返上って言いたかったのかな...)

俺は最大出力で雲へと向かう。雲に突っ込むまでの間にMG42のセーフティを外し再度敵を探した。

俺(高度5500m、方位120、距離10km、速度630km/h、針路は...サン・トロンに向かう気か)

ネウロイは高度と速度を落としつつ雲の中を飛行し続けている。こちらから隠れる為だろう。

俺(攻撃をしないのはこのまま隠れ続ける為か。なら...)

俺は高度を6300mに上げ、ネウロイの上を通過する針路に変えた。

MG42の射程は大体800m。ギリギリ弾が届く距離だがこれ以上下げればこっちの目的を気付かれる。

あくまでデタラメに探しているように思わせないといけない...

そうしている間に目の前に迫る雲の壁。俺はおもいっきり雲の中に突っ込む

俺「・・・!」ガタガタ

中では気流が安定していない。俺の体は風に煽られ目も開けられない状態だ

俺(見えなくても...こっちで探索すれば...!)

ネウロイの反応をより感じる。その反応に合わせて針路を微調整

俺(距離3km...2km...1km...)

俺(今だ!)

タイミングを合わせ下に向かってトリガーを1秒間だけ引く

ダダダダダダ...

20ほどの小規模の反応。これは敵に被弾したという事なのか...

それを受けてネウロイの反応に変化が生じる。次第に大きくなる反応。これは...

俺(突っ込んでくる気かよ!)

急いで機体を反転させ雲の外に逃げようとする。だが向こうの方が速い。

俺(しつこい!)

後ろに向けてMG42をデタラメに連射する。60ほどの小規模反応。ネウロイ全体に命中しているが速度は落ちない。

カチカチ

MG42が弾切れだ。ホルスターからM27を抜き出しネウロイに向かって連射する。ちょっとは速度は遅くなったか?

次の瞬間視界が大きく開ける。目の前に広がる星空と地上。

俺はそのまま機体を静止し、敵に備えて弾薬を交換した。

俺(リロードリロード...)

MG42を再度構えたその瞬間、雲からネウロイが出現した。

雲の尾を引きながらゆっくりと現れるネウロイ。機体形状はB-2爆撃機にも見え、俺は映画の潜水艦の緊急浮上のシーンを思い出した。

俺「感動的だな、だが敵だ」

ダダダダダダダダダダ...

削れていくネウロイの装甲。人なら真っ二つの所だがネウロイは未だに動きを止めない。

ネウロイから感じる大きな反応。俺を撃つ気なのか

俺がシールドを張ろうとしたその時―

ドッドッドッドッ...

大砲のような銃撃音。ネウロイの装甲が紙のように剥がれていく

バリンッ!

数秒も経たない内にネウロイは大きな音と共に崩壊、白い小さな破片となって落ちていった・・・

ハイデマリー≪俺さん!大丈夫ですか!≫

俺「・・・ええ、怪我無くやれました」

ハイデマリー「良かった・・・他の敵の反応を感じませんか!?」

もう一度ゆっくり全体を見渡してみる。今ある反応は...

俺「・・・今は大尉以外の反応を探知していません。大尉はどうです?」

ハイデマリー「・・・大丈夫のようです」

俺「待って下さい・・・東に大きな反応」

ハイデマリー「敵ですか?」

俺「...そうではないようです。見てください」

東の空がゆっくりと明るくなり、地平線から太陽が現れていく。

ハイデマリー「日の出・・・」

俺「ええ、綺麗ですね・・・」

日の出の中、空に静止する大尉の姿は...

俺(もっと見ていたい・・・けど)

俺「俺達の夜間哨戒はこれで終了ですね」

ハイデマリー「ええ、これで任務終了・・・」

ハイデマリー「帰りましょう。基地に!」

また差し伸べられる手。俺はその手を握り返して...

俺「・・・一緒に帰りましょう」

ハイデマリー「・・・はい///」
最終更新:2013年02月07日 13:48