格納庫内部、午後1時
兵士A「・・・降りた」
兵士B「...フォールド」
B曹長「・・・バカバカしい。やってられんわ」
C曹長「お前の番だぞ?」
ドヤ顔でこっちを見る曹長。そんなに勝つ気満々か
俺「...どうする?」
トンビ「」パタパタ
肩に乗ったまま羽ばたくトンビ。そういえば名前付けてあげて無いな...
俺「よし・・・レイズ!」
チャラン
机に置かれるコインの束。
C曹長「・・・では手札公開だ」
俺「」パサッ
ハートの5、スペードの5、ダイヤの5、ダイヤの9、ハートのJ
スリー・オブ・ア・カインド。確率47分の1
C曹長「・・・残念だ」
彼の手札はスペードの10、J、Q、K、A
俺「ねーよ」
C曹長「今日は良い日だな」
ロイヤル・ストレート・フラッシュ。確率は5万分の1
C曹長「では...皆の今のコイン数は...おっと」
俺0枚、兵士Aは5枚、兵士Bは8枚、曹長Bは2枚、曹長Cは10枚
B曹長「俺君が最下位だな」
俺「ぐぬぬ...」
C曹長「では・・・ウィッチ宿舎の掃除は君に任せたよ」ニヤリ
B曹長「俺君、頑張ってくれ。後皆に今日のティータイム講習は時間通りに行うと伝えてくれ」
兵士A「了解です。今日は実戦練習ですか?」
B曹長「そうだ、皆にはミルクティーの正しい淹れ方を教える事になる。皆服を着替えてキッチンに集まるようにな」
兵士B「俺君、これを使ってくれ。終わったら綺麗にしてそこに片付けるよーに」
目の前に置かれるバケツとモップ、雑巾、マスターキー。
俺「...はぁ」
今の時刻は午後1時、夜間哨戒までに終わらせる必要があるだろう
B曹長「それにしてもお前ってそんなに上手かったか?ポーカー」
C曹長「ああ、軍に入る前はちょっとした酒場でディーラー兼ボーイとして働いていたのさ」
B曹長「・・・酒場?」
C曹長「楽しい仕事だったよ。中でも一番楽しかったのは...」
彼はカードを細かくシャッフルし、上から5枚のカードを抜く
C曹長「イカサマだ」
B曹長「ロイヤルストレートフラッシュ...」
B曹長「おいまさかさっきのポーカーも」
C曹長「・・・俺君はツーペアになる予定だったんだがなぁ」
C曹長「お前は幸運の持ち主だよ。俺が本気出したのにお前は最下位にならなかった」
C曹長「後でミルクティー飲みにいって良いか?」
B曹長「...俺君には悪い事したな」
C曹長「いいや、彼にはお楽しみイベントが待ってるから大丈夫だろうよ」
ウィッチ宿舎、廊下、午後1時半
俺「ここで待ってくれ」
トンビ「」チョン
窓を開け窓枠に彼を座らせておく。これでいつでも外に出る事が出来るはずだ
俺「マスターキーマスターキー...」
貰った鍵の束で空き部屋の鍵を開ける。中は片付けられ見る限り綺麗だ。だが...
俺「床ホコリまみれじゃないか...窓枠にホコリ積ってるし...」フキフキ
俺「もう4時半...次で最後の部屋...」
廊下の突き当たり、壁に掛けられたネームプレートには...
俺「ハイデマリー・W・シュナウファー・・・」
今は部屋に居るか、執務室に居るかのどちらかのはず
俺は確認してみる事にした
コンコンコン
ハイデマリー「だ、誰でしょうか?」
俺「俺です。掃除に来ました」
ハイデマリー「掃除...ちょっと待って下さい!」
ガタガタゴソゴソ
ハイデマリー「...どうぞ!」
彼女の部屋は机と専門書が詰まった本棚、ベットしかない。娯楽に関する物は一切無いようだ
ハイデマリー「ど、どこも汚れてませんよ?」
俺「・・・」チラッ
机の後ろ、壁との間の床にホコリを発見
俺「・・・」スーッ
窓枠をなぞってみる。僅かにホコリ発見
俺「・・・」ピョン
本棚の上、ホコリ発見
俺「掃除しますねー」
ハイデマリー「うぅ...///」
急に恥ずかしがる大尉。後ろで手を組み、赤くなりながら困った顔をしている
俺「ではまずは...」
ハイデマリー「・・・私も手伝います!」
俺「・・・ゆっくり休んでも良いんですよ?それにこれは俺の仕事ですし」
ハイデマリー「でもここは私の部屋です!」
俺「ですが...」
ハイデマリー「なら上官命令です。一緒に掃除しましょう!」
俺(俺カールスラント軍人じゃ無いんだけど...本人も乗り気だしなぁ)
俺「ではモップで机の裏を掃除してもらえますか?俺は窓と本棚を掃除しますので」
10分後
ハイデマリー「」フキフキ
俺「」フキフキ
特に会話もする事無く進む掃除。窓枠を終えた俺は椅子に乗って本棚の上を掃除していた
俺(男女が二人きりとか何かあるだろ...いや、何かイベントを起こさないとな...)
大尉の方の様子を見てみると...
ハイデマリー「...チラッ...チラッ」
どうやらベットの下に気になる物でもあるようだ
ハイデマリー「あ...///」フキフキ
視線に気づいて掃除に戻る大尉
俺「・・・何か大切な物でもあるんでしょうか?ベットの下に」
ハイデマリー「ど、どうしてそれを...」
俺「良ければ見せてもらえませんか?」
ハイデマリー「・・・」
大尉がベットの下から取り出したのは...
俺「・・・ぬいぐるみだったんですね。どうして下に?」
ハイデマリー「それは・・・その・・・恥ずかしかったからです...///」
俺「...それは昔から持っているのですか?綻びが見えますが」
ハイデマリー「ええ...そうです」
ハイデマリー「俺さんにはまだ私がウィッチになるまでの話をしていませんでしたね」
彼女はベットに腰掛け、ぬいぐるみを抱きながらこっちを見ている
俺も作業の手を止め、彼女の横に座った
ハイデマリー「小さい頃私は...」
彼女が話してくれたのは幼い頃の夜間視能力の暴走と一人孤独だった生活の事だった
ハイデマリー「...その時、このぬいぐるみをいつでも持っていたんです」
ハイデマリー「変でしょうね...もうこんな年なのにこうやって持っているのは・・・」
俺「・・・俺もぬいぐるみを持っていた時期がありましたよ」
ハイデマリー「俺さん...?」
俺「昔は・・・そこまで人付き合いが良くなかったから寂しかったんです」
俺「いや、友達が出来た後でも結局は寂しかったのかも知れませんね」
俺の家は町から離れていたから周りに友達が住んでいる訳でも無く、家に帰ればいつも一人
小さい頃に友達と遊ぶなんて事は無かった。高校に入る頃からはネットで遊ぶようになって外に出る事も無くなった。
けれどこの世界では...
ハイデマリー「...俺さんは今でも寂しいのですか?」
俺「いいえ、今は・・・大尉がいるから寂しくありませんよ」
ハイデマリー「俺さん・・・」
俺「こうやって話して一緒に飛べる。今は寂しくありません。無論基地の皆とも色々仕事をして楽しいですし」
俺「・・・・・・大尉はどうです?俺と居て楽しいですか?」
思い切って聞いてみた質問。大尉が俺の事をどう思っているのか聞いてみたかったのだ
今でも他人からどう見られているか気になってるという...
ハイデマリーはそのまま黙っていたが...
ハイデマリー「私は...俺さんと一緒に居る事が出来て楽しいと思います///」
俺(良かった・・・)
俺「・・・そろそろ時間ですね」
ハイデマリー「もうこんな時間...夜間哨戒に行きましょう。掃除はまた明日にでも・・・」
俺「ええ、後もう一つ。大尉の事をハイデマリーと呼んでも...」
ハイデマリー「...私だって俺さんと呼んでいるんです。ハイデマリーと呼んでください///」
俺「では...行きましょう、ハイデマリー」
最終更新:2013年02月07日 13:48