マーストリヒト・アーヘン飛行場、待合室

俺「まだかな...」

サン・トロンから約70km、ストライカーで数十分も掛からない所にその飛行場はあった

ちょっと着陸するまでには一悶着あったが(ここの人にとって男のウィッチは警備隊を呼ぶレベルの存在らしい)

ハイデマリーからあらかじめ貰っておいた紹介状を見せると納得してくれた。それでも怪しまれているのが現状だが...

そして待たされて約1時間、俺はやる事も無く空になったコップを眺めていた

俺「遅いな...」

コンコンコン

俺「...やっと来たか」

ガチャ...

入っていたのは赤髪ロングの女性。どこか優しそうな方だ

ミーナ「こんにちは。貴方が今回の作戦で支援を申し込んだハイデマリーさんの...」

俺「お使いの者と思って下さい。ミーナ中佐」

ミーナ「あら・・・どうして私の名前を?」

俺「あらかじめハイデマリーから話は聞いていましたので。後の3人はどちらに?」

ミーナ「今は外で待っています。もし話したいなら呼びますが?」

俺「飛びながら話しましょう。早く帰らないと夜間哨戒の時間に間に合わなくなります」

ミーナ「まだ日没まで4時間ほどあるようだけど?」

俺「今日は色々ありますからね...」

ミーナ「?・・・分かりました。すぐに出発しましょう」

そのまま彼女と共に廊下に出る。廊下では3人のウィッチが待っていた

俺「あー...カールスラント空軍、第一夜間戦闘航空団、第四飛行隊にお世話になっている俺です。よろしくお願いします」

バルクホルン「よろしく。私はゲルトルート・バルクホルン。大尉だ。彼女は...」

エーリカ「エーリカ・ハルトマン。中尉だよ!。よろしくっ!」

俺「よろしくです。後レンナルツ曹長は来れなかったん

レンナルツ「私はここにいます!」

大尉の横にいた小さい子供が声を上げる。どうみても10代前半、ランドセル?を背負う子供が曹長って...

俺「...君ここでお父さんでも待っているんじゃ

レンナルツ「見た目だけで判断しないでください!」

俺「あっはいすいません」

エーリカ中尉はどこからともなくウィッチらしさがあるが彼女からは何も感じない。中学校にいてもおかしくなさそうだ

レンナルツ「その返事...それでも貴方はカールスラント軍人ですか!」

俺「ただの民間人ですが何か?」

レンナルツ「くっ....」

ミーナ「俺さん!」

俺「ちょっと言い過ぎましたね...すみません」

レンナルツ「えっ・・・?」

俺「貴方はジェットストライカーの研究を行っているようですね。俺は期待していますよ」

彼女の頑張りで今後数十年以上使われる技術が生まれる。ちょっとくらいは応援しておくべきだろうな

レンナルツ「そ、そんな応援されても何も嬉しくないであります・・・」

俺「...ずっとその態度なら良いのに...」

レンナルツ「?」

俺「ささ、早く基地に向かいましょう」


基地、格納庫前

整備士W「おいあの子可愛いんじゃないか?」

兵士A「誰だよあんなBBAに興味持つ奴...」

整備士E「あの子ハルトマン中尉じゃね?」

兵士J「本当だ...後でサイン貰っとこうぜ...」

C曹長「静かにしろ!・・・あーこの度はー・・・この基地に来ていただいてー・・・誠にありがとうございます」

兵士D「カンペガン見過ぎるよー」

C曹長「うるせぇ黙ってろ!・・・えー今日はー皆さんの歓迎会として・・・食堂でパーティを行います。是非楽しんでください」

俺「歓迎、ね...ハハハ」

基地に着いた俺とミーナ中佐御一行はすぐに野次馬に取り囲まれ、謎のスピーチを聞かされている

チーフ「ま、そういう事だ。お嬢さん達も俺君も早くストライカーを脱いでくれ。こっちで整備しておくよ」

B曹長「食堂はこちらです。どうぞ~」

曹長達の案内で食堂に向かう彼女達。俺は一緒には行かずにチーフに質問した

俺「そういえばMG42の件はどうなんです?」

チーフ「あれか?大丈夫だよ。代わりの武器用意したから」

俺「代わり?」

チーフ「あれあれ」

彼が指さす先にあるのはMG151...に似た重機関銃

チーフ「MG151/15だ。ちょうど倉庫に保管されていたのを准尉に出してもらったんだ」

俺「15mmですか...威力はどうなんですか?」

チーフ「余っていた炸裂弾を積んでるからまぁまぁの攻撃力はある」

俺「でもコレって確かMG151/20に交代させられたんじゃ?」

整備士A「余った武器は使い続けなきゃいけないと言う事なんだよねー」

俺「へぇ・・・」

整備士A「つまり...お前さんがぶっ壊したら新しいMG151/20が調達されるって事なのさ」

チーフ「思う存分使って壊せ。良いな?」

俺「ははは...」


基地、食堂前、廊下

俺「歓迎会の方は...」

MG151/15についての簡単な説明を受けた後、食堂まで戻ってきたのは良いが・・・

「ほら!どんどん食べて下さいよー!」

「おいお前芋ばかり食べすぎだろ!」

「ビールが足りないぞー!早く持ってこい!」

俺「誰だパーティーって言った奴は...これじゃぁドンチャン騒ぎじゃ・・・?」

ハイデマリー「....」

食堂の扉の前で佇むハイデマリーの姿があった

俺「ハイデマリー?」

ハイデマリー「! お、俺さんですか...」

俺「入ったらどうです?」

ハイデマリー「でも・・・」

俺「・・・ほらっ!」

彼女の手を取り食堂への扉を開けた。中では男共が馬鹿みたいに騒いでいる...

俺「行きましょう!早くしないと料理が無くなりますよ!」


格納庫、午後7時

エーリカ「もうお腹一杯・・・」

レンナルツ「だからあれほど飛ぶ前に食べ過ぎるのは良くないと...」

バルクホルン「彼女の言う通りだ。美味しいからと言って食べ過ぎるのは良くないぞ」

エーリカ「でもレンナルツはさっきの料理でピーマンだけ食べ残して...」

レンナルツ「エーリカ中尉!///」

ミーナ「ふふっ、レンナルツさんにも苦手な物があるようなのね」

レンナルツ「うぅ...」

出撃前に談話をしている彼女達。彼女から離れた所で俺はMG151/15を調整していた

整備士E「...やっぱ可愛いよなぁレンナルツ曹長...」

整備士B「頑張っている姿が似合うよなぁ...」

俺「・・・このロリコンどもめ」ボソッ

整備士B「あぁ!?ロリコンで何か悪いか!?」

整備士E「ならお前はどうなんだ?彼女を可愛いと思うだろ?」

俺「いや俺は小さい子は守備範囲には入ってないんで」

整備士B「おいおいおいおい...お前には分からんのか?あの幼さ溢れる彼女の可愛さが...」

俺「幼いねぇ...」

魔導針を展開、赤外線探知モードで彼女を重点的に視てみる

俺「良かったですね」

整備士B「?」

俺「下 の 方 も 幼 そ う で す よ」

整備士B「今なんて」

整備士E「おいまさか」

ミーナ「俺さん!来て下さい!」

俺「はーい!」

MG151/15を持ち、唖然としている整備士達を無視して彼女達の元まで戻る

ミーナ「今回の夜間哨戒は2チーム、3人ずつで2組を作ってこの周辺を哨戒します」

ミーナ「まずはハイデマリーさん、フラウ、レンナルツさんのAチーム」

ミーナ「Bチームは私とトゥルーデ、俺さんです」

ミーナ「Aチームはこの基地の東側、Bチームはこの基地の西側を哨戒します。ネウロイを発見したらすぐに別チームを呼ぶ事。良いわね?」

「了解!」

ミーナ「では...全機出撃!」


午前2時、ベルギカ領ティーネン、上空8000m

バルクホルン「反応は?」

俺「...いいえ。特に何もありません」

ミーナ「そちらはどうですか?ハイデマリーさん」

ハイデマリー≪...こちらも何も発見出来ていません≫

俺「・・・まだ来ないか」

探索を開始して数時間、特に反応を発見できずに俺達は空を飛んでいた

俺「丁度良いから...アレやっておくか」

探知対象をバルクホルン大尉のストライカーに変え、じっくり観察してデータを集める

バルクホルン「ん?私のストライカーに何かあるのか?」

俺「いえ...大尉のストライカーの排気熱のパターンを解析しているんです」

ミーナ「排気熱・・・ハイデマリーさんが言っていたけど、確か貴方は熱を探知しているらしいわね」

俺「そうです。熱...赤外線を探知して敵を探している訳ですが...」

バルクホルン「このストライカーの熱を解析したら何かなるのか?」

俺「んー...詳しく言うと複雑ですが...」

俺「大尉、ちょっと考えてみてください」

バルクホルン「?」

俺「貴方は今食堂に立っています。目の前には黄色い液体が入った瓶があります」

バルクホルン「...それで?」

俺「貴方は...理由は考えないでくださいね?...その何かの正体を確かめる為に瓶に指を突っ込み、舐めてみます」

俺「それは油でした」

バルクホルン「・・・だから何なんだ?」

俺「続きがあります...次の日、もう一度食堂に行くとそこには昨日と同じ瓶があります」

俺「もし貴方なら中に何が入ってると思いますか?」

バルクホルン「それは油だと・・・いや待て、肝油かもしれないぞ・・・」

バルクホルン「そうだ!その瓶は恐らくシャーリーが私を嵌めようとして宮藤から貰った肝油を...」

ミーナ「・・・要するに俺さんが言いたいのはパターン認識、という事かしら?」

俺「そんな感じです」

バルクホルン「...どうして回りくどい方法で教えようとしたんだ」

俺「俺だって貴方が肝油と言うとは思ってませんでしたよ。というか肝油で何かあったんですか?」

バルクホルン「それはだな・・・」

俺「まぁ良いでしょう。今俺がしていたのは大尉のストライカーである・・・何ですっけ?」

バルクホルン「Fw-109D-6だ」

俺「そのストライカーの排気熱パターンを頭に叩き込んだって事です。つまり...」

俺「もし次に俺の探索システムでこの熱パターンを見つけた時、それはFw-109Dであるのがすぐに分かるんです」

バルクホルン「ふむ、それは面白いな・・・他のストライカーはどうなんだ?」

俺「今ここに居る機体で違うのはレンナルツ曹長のだけですね・・・後で解析しておきましょう」

俺「他にも夜間哨戒で出会った通常の戦闘機や輸送機のデータもあります。大体の友軍機を判別出来ますよ」

ミーナ「でも俺さんはナイトウィッチなんでしょう?ナイトウィッチなら地平線の彼方の物まで視えると聞いたけど」

俺「俺がやっている赤外線探知の最大探知距離は180km。地平線の彼方なんて視えませんよ」

俺「もし飛行物体を詳しく観察するならもっと...80kmくらいまで近づかなきゃいけません」

俺「こんな事でもしなきゃ・・・ハイデマリーを守れませんから」

バルクホルン「最初はそうは見えなかったが...お前は中々の努力家だな」

俺「...いいえ、そうでもありませんよ。俺自身は努力とか大嫌いですし」

俺「でも出来る事を伸ばして行くのは簡単でしょ?俺はそうやって行くのが好きなんです。これもその一つですよ」

ミーナ「なるほどね・・・」

俺「さ、哨戒を続けましょうか」

―結局、この哨戒中にあのネウロイに遭う事は無かった―
最終更新:2013年02月07日 13:49