翌日、午前10時、滑走路上
俺「よしっ」
滑走路の上には5mおきに小さい粒が並んでいる。
この粒は昨日のパーティーで食べられていたポップコーンの余り
調理前の物をコックから貰い、朝からせっせと滑走路に並べてみたのだ
俺「とりあえず200mで実験してみるか」
目の前に一直線に並んだコーン。俺はそれに掌を向ける
俺「チャージ...!!!」
放出開始。出力も徐々に上げていく
ポンポンポンポンポンポンポン...
手前から破裂し始めるポップコーン。破裂は遠くのコーンまで届いていくが...
俺「...これ以上は無理か」
100mから先の粒には変化なし。ここから察するに射程は100mほどなのか?
俺「射程低ッ!」
100mという事は22口径拳銃と同レベル。ストライカーで飛んで1秒も掛からない距離だ
俺「...もう少し練習すれば伸びるかな」
?「俺さんですか?」
俺「・・・ハイデマリー?」
基地の方からハイデマリーが顔を覗かせている。起きるのには少々早い時間だが...
俺「おはようございます。何かありました?」
ハイデマリー「滑走路から強い電波...ノイズが聞こえたので来てみたのですが...」
昔、電子レンジを付けると無線LANが安定しないってネトゲの友達が言ってたよな。俺は有線だから分からなかったけど
俺「すいません。この練習がノイズの原因みたいですね」
ハイデマリー「練習?」
俺「そうですね・・・話しておいた方が良いかも知れません」
とりあえず彼女を呼び、二人で近くのベンチに腰掛けて俺の能力について話しておいた...
ハイデマリー「マイクロ波・・・」
俺「上手く使えばネウロイへの攻撃に転用出来ると思うんですが...射程が短くて使いづらいですね」
俺「もう少し練習しようと思いましたが、ハイデマリーが不快な気分になるようですしここまでに・・・」
ハイデマリー「いいえ、続けてもらって構いません。ただ魔導針の探索を妨害されるだけですので」
俺「妨害?」
ハイデマリー「何か...乱される感じがして遠くが視れなくなるんです。でも体には何も異常はありません」
俺「なるほど・・・では続けさせてもらいます」
俺が放出しているのはマイクロ波レーザー...メーザーだけだと思っていたが、どうやら周囲にもある程度の電磁波を撒き散らしているようだ
ハイデマリーが索敵出来なくなる事も考えて使用しないといけないだろう
さっきと同じようにポップコーンを並べ、掌を前に突き出す...
ハイデマリー「...」ジーッ
俺「・・・部屋に戻って寝てもらっても良いのですよ?」
ハイデマリー「ちょっと気になるので見たいと思ったのですが・・・駄目ですか?」
俺「良いですけど・・・何も面白くありませんよ?」
ハイデマリー「では見せてもらいますね!」
ハイデマリー「...」ワクワク
やばい。今から頑張ってレーザーでも出してみようかな...
俺「....!!」
手から赤い光が出る事も無くポップコーンがポンポン破裂していく...
ハイデマリー「凄いですね...手品みたいです!」
俺「喜んでくれて嬉しいですよ・・・」
後30年もすればどこの家庭でも見れる現象なんだけどね・・・
俺「このまま練習を続けても宜しいですか?」
ハイデマリー「良いですよ!頑張ってください!」
2時間後...
エーリカ「おなかへったよぉー」
レンナルツ「我慢して下さい!すぐに昼食なんですか...」グゥゥゥゥ~
エーリカ「レンナルツもお腹減っているじゃないの?」
レンナルツ「せ、生理現象だから仕方ないであります!///」
バルクホルン「早く食堂に・・・なんだあれは」
ミーナ「滑走路に一杯ポップコーンが撒かれているみたいだわ・・・」
俺「...出力が上がっても射程が伸びない...周波数とかも関係しているのか?」ブツブツ
ハイデマリー「あ...皆さんおはようございます」ペコリ
俺「?...皆さんも起きたんですか。おはようございます」
ミーナ「おはよう。このポップコーンは一体?」
俺「ちょっとした練習で使っていたんですが...これは皆さんにも言っておくべきでしょうね」
バルクホルン「要するに射程100mの加熱電撃攻撃という事か」
ミーナ「威力は?」
俺「大型ネウロイを沈められないくらいですね」
俺「今頑張って射程を伸ばしていたのですが...どうも上手くいきません」
エーリカ「その技、一回見せてくれる?」
俺「良いですよ。ちょっと待って下さい」
破裂したポップコーンを脇に退けながら同じように粒を並べていく
俺「では...!!」
ポンポンポンポン...
俺「・・・こんな感じです」
エーリカ「・・・俺がもっと強くなれる方法が分かったよ!」
俺「何ですか?」
エーリカ「掛け声だよ!」
俺「...はい?」
エーリカ「だーかーらー...こんな感じに」
エーリカ『シュトゥルム!』
ブアァァァァン
突風が発生し、ポップコーンが辺り一面に撒き散らされていく
レンナルツ「ハルトマン中尉!散らかしてどうするんです!」
エーリカ「あちゃー...」
俺「大丈夫ですよ。全部片付けますので」
バルクホルン「これだけの量を片付けられるのか?」
俺「ま、色々コネがあるので。さっきの掛け声の件ですが...
エーリカ「最後は『リュン』。分かった?」
俺「・・・大体分かりました。やってみます!」
もう一度掌を前に突き出し、大きく深呼吸
ハイデマリー「頑張ってください!///」
俺「...シュターリュン!!」
ポンポンポンポンポン...
レンナルツ「この音が残念すぎますね・・・」
エーリカ「どう?」
俺「...射程は150m・・・確かに伸びましたね」
ハイデマリー「凄いですよ俺さん!」
俺「ええ、でももう少し...300mは欲しかったですね」
バルクホルン「それは欲張り過ぎという物だ」
俺「ですよねー」
ミーナ「この技、実戦で生かせるかしら?」
俺「イケると思います。後は魔法力注ぎ込めば出力も上がっていきますし」
俺「それでも威力は低いですが...」
バルクホルン「・・・で、このポップコーンはどうするんだ?」
彼女は滑走路上と周りの芝生に散らばったポップコーンの屑を指している
俺「待って下さいね...」
コォ━━━━щ(゚Д゚щ)━━━━イ!!!!
ハイデマリー「お、俺さん・・・?」
バタバタバタバタバタ...
バルクホルン「な、なんだあの大群は!?」
空を覆う黒い影。それは段々とこちらに向かって来て...
トンビs「...」バクバクバクバク
レンナルツ「ひぃぃぃ...」
トンビs「」パタパタパタ
バタバタバタバタバタ...
レンナルツ「( ゚Д゚)」
ポップコーンはトンビ達によって跡片無く食べ尽くされ、いつも通りの滑走路に戻っていた
ハイデマリー「・・・今のは一体何なんですか!?」
俺「うちの使い魔の仲間達ですよ。ここら一体でトンビコミュニティを作っているらしいです。因みにあの森が本拠地らしいですね」
俺「彼らの姿を見るとお腹が減ってきたね。食堂に行きましょうか」
レンナルツ「...( ゚д゚ )」
午後11時、ベルギカ、ギンゲロム上空6000m
俺「今日も来ませんね」
ハイデマリー≪こっちも反応無しです≫
ミーナ「このまま来ないと私達も基地に戻る事になるわね...」
俺「では支援もこれまでに?」
バルクホルン「安心しろ。マーストリヒト=アーヘンからここまで飛んでくるだけの事だ」
俺「なるほど・・・」
エーリカ≪ねぇねぇ、ハイデマリー≫
ハイデマリー≪何でしょう?≫
エーリカ≪もし明日暇だったら、一緒にサン・トロンまで行かない?≫
ハイデマリー≪で、出掛けるんですかっ?≫
エーリカ≪うん!一緒にお菓子でも買いに行こう!≫
ハイデマリー≪でも・・・私は・・・≫
エーリカ≪ね?俺も一緒に行ってくれるでしょ?荷物持ちとして≫
俺「なんで最初から荷物持ち限...」
ハイデマリー≪俺さんも来てくれますか?≫
俺「ムムム...」
せっかくのフラグだ。エーリカ中尉というお付き人が居るが...ここは仕方がない。もしエーリカ中尉と彼女が仲良くなるのなら万々歳だ
俺「・・・帰ったらすぐに出掛ける用意をしておきますね」
ハイデマリー≪良かった・・・では行きましょう!≫
エーリカ≪じゃぁレンナルツとトゥルーデ、ミーナも一緒に来るよね?≫
俺「えっ」
レンナルツ≪私はそんな事で...≫
バルクホルン「丁度いい機会だ。必要な物でも買っておこう」
レンナルツ≪私も行きます!≫
ミーナ「ふふっ 私も色々街を見させてもらおうかしら...」
俺「大所帯になりますね・・・」
ハイデマリー≪そうみたいですね≫
俺「ハイデマリーはどうです?」
ハイデマリー≪何がですか?≫
俺「いえ、こんな感じに皆と一緒に行くのは...」
ハイデマリー≪...とても楽しみです!≫
俺「そうですか...」
彼女がより多くの人と楽しめる事を願って彼らを呼んだが...これなら結果も上々だな
他人が楽しいのを見て自分も楽しくなる。こんな事は今まで無かった。でも彼女にはそれを・・・
ハイデマリー≪待って下さい...ヘンク上空6000mに反応!≫
ミーナ「まさか・・・!」
俺「熱源照合中...あの時のネウロイです!」
ここから35km先、反応からして4基ともエンジンが生きている。アーヘンに向かう気のようだ
ハイデマリー≪私達が先に行って迎撃を行います!≫
ミーナ「分かったわ。私達が着くまで足止めをお願い!」
最高速で俺達はヘンクまで向かう。向かう途中インカムが戦闘状況を教えてくれた
ハイデマリー≪速い...レンナルツさん避けて!≫
エーリカ≪シュトゥルム!...直りが早すぎるよ!≫
レンナルツ≪エンジンに傷が入らない...≫
ミーナ「3人でも撃破は難しいのね・・・」
俺「まず俺がメーザーでエンジンを攻撃してみます。上手くいけば敵の速度を落とせるかも知れません」
ミーナ「分かったわ。トゥルーデは俺君の援護をお願い!」
バルクホルン「了解した!」
MG151/15を肩に掛け、某イ○ジンブレイカーのように右掌を出し、左手で右腕を押さえるようにする
俺「目標...来ます!」
雲の奥から見えてくるネウロイとハイデマリー達。赤いビームと弾丸が飛び交う中へ俺とバルクホルン大尉は突っ込んだ
バルクホルン「...!!」ズドドドドド...
大尉は確実にネウロイのビーム発振部分を狙って攻撃を行い、ネウロイもそれに応じて応戦する
ネウロイの弾幕が薄くなった所で俺が突撃、十分近づいた所でネウロイの右翼にある一基のエンジンに掌を合わす
俺『シュターリュン!!!』
ブアァァァン!!
エンジンに電撃が走り、大爆発を起こして炎上していく
ネウロイは速度を落としたものの、逆に怒ったのか弾幕の密度を上げ始めた
ハイデマリー≪一端退きます!≫
雨のように撃ち出されるビーム。回避しながらMG151/15で追加の攻撃を行うが大したダメージにはなってくれない
俺「流石はエンジン4基搭載、といった所ですかっ!」ドドドドドドド...
俺も撃ちながら退避し、皆の元に戻る事にする
エーリカ「あの船体、シュトゥルムを食らってもすぐに再生するよー」
バルクホルン「あれほどの再生力だとコアを破壊するのも一苦労だな・・・」
ハイデマリー「このまま放っておくとアーヘンに辿り着かれてしまいます・・・」
ネウロイはビームを撃つのを止め、アーヘンに向かっている。こっちが近づけばまた撃ってくるだろう
俺(装甲の再生力は健在。エンジンも俺のメーザー攻撃でやっと落とせる堅さ)
ミーナ「俺さん、まだメーザーを撃つ事は出来ますか?」
俺「後1発...ですが既に消耗してるのでエンジンを破壊出来るだけの魔法力はありません。さっきの70%くらいです」
レンナルツ「ならその一撃に賭けて...」
俺「・・・ミーナ中佐、この辺りに地上部隊はいますか?」
ミーナ「確か...陸戦ストライカー部隊と高射砲部隊が近くで駐留していたはずよ」
俺「良い作戦を思い付いたんですが...
ベルギカ国境、上空9000m
バルクホルン≪行くぞ!レンナルツ!≫
レンナルツ≪大尉を援護します!≫
眼下に見えるネウロイに接近する二人の姿。ネウロイはそれに気付きビームで迎撃を開始する
バルクホルン≪もっと近くまで行くぞ!≫
レンナルツ≪はいであります!≫
ネウロイの真正面から二人は突っ込み、ビームをシールドで防ぎ、攻撃しながらネウロイを掠めるように通り過ぎていく
ネウロイは遠ざかる二人に追撃を行い、二人は惹き付ける為に同じようにまた接近を行う
ミーナ≪3人は攻撃の用意を!≫
俺「では...順序は分かってますね?」
エーリカ「私が一番乗りで俺が二番目、最後の締めはハイデマリーでしょ?」
ハイデマリー「用意出来ました!」
MG151/20を構え直すハイデマリー。俺もすぐにMG151/15を取り出せるようにしておいた
ミーナ≪...今敵の砲撃は二人しか狙ってないわ!攻撃開始!≫
エーリカ「じゃあ先に行くよ!」
真下を飛ぶネウロイに向かって急降下を行う中尉。元々の加速性能と落下エネルギーが合わさって勢いよく突撃していく
俺「では俺も行きます!」
プールの飛び込みの要領で頭を下に向け、フルスロットルで急降下を行う
真下には同じくネウロイに向かうエーリカ中尉の姿。後ろからはハイデマリーが追うように急降下を行っている
エーリカ中尉は機体を立て直し、落下時の加速を保ったままネウロイに接近する。向かうのは敵の左翼付根の真上
エーリカ『シュトゥルム!』
翼ギリギリを高速で駆け抜きながらのシュトゥルム。疾風が翼を大きく抉る
中尉が駆け抜けた跡を追うように俺も飛ぶ。掌が狙うのは狙うのは大きく抉れた翼
俺『シュターリュン!!』
装甲が加熱し爆発を起こす中を突っ切り、ネウロイから400mほど過ぎた所で急停止、MG151/15を構える
そして最後に...
ハイデマリー「行きます!」ドッドッドッドッドッ...
俺「落ちろ!」ドドドドドドド...
二人の炸裂弾が抉られた部分をより抉りだす。後もう少しで翼が...
俺「折れろよぉ!」ドドド...
予想に反して翼は俺達の攻撃に耐え続けている。このままじゃ弾が切れてしまう...!
バルクホルン「とぉぉぉりゃあああああああ!!!」
ネウロイのビームを物ともせず、翼に突っ込んでくるバルクホルン大尉。まさか・・・
ズガァァァァン!!
翼は二丁のMG42でぶっ叩かれ、大きく折れ曲がりながら引き千切れていく。何という馬鹿力...すでに翼は原型を留めていない
ハイデマリー「これで...!」ドッドッドッ
最後まで繋がっていた部分に炸裂弾が命中。右翼は白い破片となってバラバラに散っていった・・・
ネウロイは右翼のパワーを失い、残る左翼一基のエンジンだけで船体を維持出来る訳も無くゆっくりと降下し始めた
出力が偏ってる為なのか船体がゆっくりと回り始め、錐揉みしながら落下していく...
誰も喋らずにネウロイが落ちていくのを眺める中、一番最初にミーナ中佐が声を上げた
ミーナ「・・・ハイデマリーさん。付近の地上部隊に連絡を取っておいてください」
ハイデマリー「...分かりました。こちらカールスラント空軍第1夜間戦闘航空団第4飛行隊...
数日後、アーヘン
カメラマン「ちょっと右の方!もう少し寄って下さい!」
ハイデマイリー「こ、これ以上は...///」
あの後、ネウロイは国境近くの森林(トンビ曰く『鳥達は先に逃げていたので被害は無かった』)に墜落
墜落したネウロイに地上部隊は十数門のアハトアハトの掃射を行い(バルクホルン『地上部隊の底力を見た』)完全に殲滅された
エーリカ「ほら!もっとこっちに来ないと入れないよー!」
皆がカメラの前で敬礼するのを遠くで見ながら、俺は木の根元に座ってとある資料を読んでいた
俺(大気での減衰が最も少ないのは中赤外線。赤外線なら放射も簡単だしIRSTで射線も視れる)
俺(高出力で長射程の中赤外線レーザー。これなら400km先の敵も迎撃...)
エーリカ「おーれ!」
俺「・・・何でしょうか?」
目の前には写真撮影をしているはずのエーリカ中尉が立っていた
エーリカ「一緒に撮ろうよー」
俺「別に俺は大した事をしていませんよ」
ミーナ「今回の作戦成功は貴方の手柄よ。普通なら勲章物だわ」
俺「...勲章は貰ったら(金銭的に)美味しいですか?」
バルクホルン「ああ、(名誉が)美味しいぞ」
俺「ふむ。なら行きましょう」
資料を根元に置き、彼らの元まで向かう
俺「あ...帽子無いんですけど」
カメラマン「ほら!これを被るんだ!」
彼は鞄から撮影用の帽子を取り出しこちらに投げてくれた
俺「ありがとうございます...とっ」
帽子を被るのは久し振りだなと思いつつ位置を微調整
エーリカ「俺はハイデマリーの横に立ってねー」ニヤニヤ
指示通りハイデマリーの横、列の左端に立って適当に敬礼する
横を見ると顔を赤くしながら敬礼するハイデマリーの姿
ハイデマリー「...!///」
俺の視線に気付き、顔をより赤くしながら綺麗に敬礼するハイデマリー
俺「...///」
俺も恥ずかしくなったので、彼女から視線を外してカメラに集中する事にした
カメラマン「撮りますよー!・・・スリー! ツー! ワン!」
パシャ!
―次の日、ハイデマリーが新聞の一面に写真が載っているのを発見、驚くほど恥ずかしがっていたのはまた後の話になる―
最終更新:2013年02月07日 13:49