午前8時、501基地、海岸

俺「ふぁぁぁあああ...」

夜間哨戒が無かった分早く起きた俺は、ゆっくり寝続けているハイデマリーをそのままにして散歩をしていた

俺「この基地広いなぁ・・・昔の遺跡と聞いていだが」

敷地内には様々な建物や石像が並んでいる。ちょっとした歴史探索には良いだろう

俺「ん?・・・坂本少佐ですか?」

砂浜にいるのは服装からして少佐だろう。彼女はこちらを見ずにそのまま振り続けている

坂本「俺か。ナイトウィッチにしては中々早起きだな」ブンブン

俺「後で昼寝するので差し引きゼロですよ」

坂本「なるほどな・・・」ブンブン

その後数回振った後にこちらを向く。驚く少佐の顔が見えた

坂本「お前は戦場にでも行くつもりなのか?」

俺「え?」

自分の今の装備を見てみる。服はカールスラント軍服と半ズボン。腕にはカールスラント軍支給の腕時計
ポーチの中には通信機に予備の.357マグナム弾...
右脚にはレッグホルスターに入ったS&W M27。カールスラント技師の改良で装弾数が8発まで増やされている。魔改造に感謝感謝
左腰にはサバイバルナイフ。刃渡り26cm、刃厚は6mmでリベリオンから買い付けた物だ

俺「いつものお散歩装備ですが?」

坂本「そ、そうか」

俺「扶桑刀を持ち歩く人が驚いてどうするんです」

坂本「そうだな。ハハハハハハハ...」

こっちの世界では軍人なら銃を持ってもナイフを持っても怒られない。日常でも身を固めておきたい俺には良い世界だ

俺「毎日練習しているんですか?」

坂本「そうだ。こういう事は日々練習する事に意味があるからな」ブンブン

俺「・・・久しぶりに俺も練習しますか」

坂本「手伝ってやろうか?」

俺「・・・ではこの石を思いっきり海に投げてくれますか?」

適当に落ちていた小石を少佐に渡す

坂本「準備は良いか?」

俺「いつでも」

坂本「なら...いけッ!!」ブンッ

海に向かって大きく放物線を描く小石。小石に掌を合わせ素早くパワーチャージ

俺「シュターリュン」

赤黒い光が朝の空に昇っていく。朝日のお陰で少しは明るく見えるが綺麗には程遠い色合いだ

小石「」ジュッ

虫型ネウロイ「」ジュッ

何かいた気がするが...犠牲になったものは仕方ない

坂本「まだやるか?」

俺「ええ、お願いします」


坂本「目標を追い続ける事を意識した方が良いだろうな」

俺「やっぱりそうですね・・・」

坂本少佐から指摘を受け続けながら俺達は廊下を歩いていた

坂本「お前の攻撃は高火力だが戦場で敵が一撃で落ちる確証は無いぞ」

俺「ならもっと高火力にするだけ、では無いでしょうか?」

坂本「・・・そうだな。これから朝食に行くが一緒に行くか?」

俺「いえ、先にハイデマリーを呼んできますよ」

そのまま少佐と別れ部屋に戻る。扉を開けると服を着替えているハイデマリーの姿があった

ハイデマリー「...!!」

俺「す、すまない」

慌てて部屋から出て扉の前で待つ事数分、部屋から軍服に着替えたハイデマリーが出てきた。だいぶ慌てている

俺「襟の部分」

ハイデマリー「あっ・・・」アセアセ

俺「慌てなくても朝食は逃げない」

ハイデマリーの首元に手を伸ばして襟を正しておいた

ハイデマリー「ありがとうです」

俺「別に私服を着ても良いんだよ?」

ハイデマリー「?・・・俺さんは私服の方が良いんですか?」

俺「いやいや、軍服は着るのに時間が掛かるからそう思っただけ」

どっちかと言うと俺は軍服の方が好きだ。ま、せっかく空輸で持ってきた私服類を着ないのはもったいないと思う節はあるが

これぐらいにして早く食事に向かおう。遅くなっても朝食は逃げないが用意してくれる人には悪いだろうし


俺「海ですか?」

宮藤「はい!これから皆で海に行くんですよ!」

ハイデマリーは唖然としている。俺だって聞いてない話だ

道理で皆すぐに食事を済ませたんだなと思いつつハイデマリーに話しかける

俺「行きます?」

ハイデマリー「行きます、と言われても・・・」

俺「一応水着は用意してありますよ」

ハイデマリー「俺さんは良いかも知れま...私のも用意しているんですか!?」

俺「ほら一回買いに行った事があるじゃないか・・・3ヶ月くらい前に」

一回服を買いに行った時に服屋で余っていた水着を安値で買っておいたのだ

ハイデマリー「でもあの水着は要らないからクローゼットの奥に片付けたのに・・・」

宮藤「もしかしてハイデマリーさんは泳げなかったりするんです?」

ハイデマリー「」ビクッ

俺「それなら俺が一から教えるよ。直ぐに泳げるようになる」

ハイデマリー「本当ですか?」

俺「空を飛ぶより楽だから・・・どうする?ハイデマリー」


501基地、砂浜

シャーリー「やっほーい!!」

ルッキーニ「はやくー!!」

エーリカ「ほら行くよ?」

バルクホルン「ちょ、ちょっと待て!準備体操くらい...

ザパーン...キャッキャッ...

俺「あっついですね・・・」

ハイデマリー「はい・・・」

どうやら海を楽しみにしていた宮藤軍曹とペリーヌ中尉、リーネ曹長は水難訓練らしい。ご愁傷様である

その他のメンバーは海に入って遊んでいたり砂浜で座っていたりしている。俺達はそちらの方に向かった

俺は黒のショートスパッツ型の水着にビーチパラソルとシートを持ち、ハイデマリーは黒のビキニを着てその上からシャツを羽織っている

俺(やはり白い肌に黒は似合うな・・・)

あの時『絶対必要になるから買っておいた方が良いですよ!』と説得し、買っておいて良かったなと思いつつ眺めていると

ハイデマリー「その・・・変な所とかありますか?」

俺「凄く可愛いよ、ハイデマリー」

ハイデマリー「もう・・・///」

エイラ「お、俺達も来たのカ」

俺「はい、ハイデマリーと一緒に泳ごうと思ったので。お二人は何を?」

エイラ「私達か?・・・今は日光浴をしているンダ。サーニャと一緒にナ」

俺「ふむふむ・・・」

話をしながら俺は彼らの近くにパラソルを設置しシートを敷いた

俺「暑いのなら使ってもらっても良いんですよ?」

エイラ「・・・サーニャ、入るか?」

サーニャ「...コクコク」

ほどなくして二人が中に入ってきた

エイラ「ありがとうナ」

俺「どういたしまして」

俺「ではハイデマリー、今から水泳について教えましょう」

ハイデマリー「は、はい」

俺「まず最初に・・・準備体操。コレをしっかりしないと足が攣って最悪死にます」

俺「俺がやる通りに運動をやってください」

ハイデマリー「分かりました!」

とりあえず昔の体育の先生がやってたように屈伸や伏角、アキレス腱を一緒に行った

ハイデマリー「1、2、3、4...

俺「太ももを叩いておいてくださいねー」

ハイデマリー「5、6、7、8」トントン

俺「次は水に入ります。まず脚からゆっくり入ってください」

ハイデマリー「...」

彼女の足元に迫る潮水。水が足に触れた瞬間

ハイデマリー「ひゃっ!!」

俺「初めての海はどうです?」

ハイデマリー「・・・その・・・冷たいです」

俺「今の海水温度は23.8℃。ちょっと冷たいので体を慣らしましょう」

ハイデマリー「慣らすって...

俺は手で水を掬い、彼女に水をぶっ掛けた

ハイデマリー「俺さん!...きゃっ」

俺「ハイデマリーも一緒にやるんですよ!」バシャバシャ

ハイデマリー「もう!俺さんもいい加減にして下さい!//」バシャバシャ

俺「ははははは...」バシャバシャ

ハイデマリー「もう...ふふふふ...」バシャバシャ

エイラ「何やってんだアイツラ...」

サーニャ「ねむい...」

ギャラリーが呆れ顔で見る中、俺達は水の掛け合いっこを楽しんだ

俺「・・・慣れました?」

ハイデマリー「はい!」

俺「では・・・行きましょうか」

彼女の手を取り、ゆっくりと沖合に向かい、深さ1mくらいの場所で一度止まる

俺にとっては腹が浸かるくらいだが身長の低いハイデマリーは胸まで浸かっている深さだ

俺「まず簡単なバタ足からしましょう」

ハイデマリー「その・・・どうするんですか?」

俺「まずは脚の力を抜いて体を浮かすんだ。そうゆっくりゆっくり・・・」

俺「...脚全体を交互に動かすんだ...そう力強く...」

最初は不思議そうにしていたハイデマリーも段々真面目に泳ごうとしている

こういった所はカールスラント人らしい、といえばそうなのかもしれない

数十分のうちに彼女はバタ足をマスターした。後何回かやればクロールも出来るようになるだろう

俺「だいぶ様になっていますよ」

ハイデマリー「そうですか?」バタバタ

俺「ええ、そろそろ甲羅干しでも...」

頭に響くノイズ。何らかの電磁波放射か?

急いで魔導針を発現、周囲を探知する

ハイデマリー「もしかしてネウロイが...」

俺「・・・いえ、何かモータかバッテリの放電でもあったらしいですね。問題ありませんよ」

アドリア海上空9000m、距離150kmの地点に中型ネウロイ発見。針路はマルタ島

今の俺には関係無いが・・・迎撃すべきだろう。こちらに向かわれたら非常に困る

俺「ちょっと飲み物を取ってきます。その間は日光浴をして体を温めて下さい」

ハイデマリー「分かりました」

彼女を残し、浜辺に置いてあったサンダルを履いて素早く上まで上がる

周囲に誰も居ないのを確認し魔導針を展開、掌をターゲットに向けた

俺「レーザーロック・・・出力最大」

俺「ファイア」

焼き尽くされてゆくネウロイの装甲。熱に耐えられなくなった装甲が爆発、コア諸共崩壊するのを探知し魔導針を引っ込めた

俺「形からしてA-12辺りか・・・」

彼らはこれまで何度となくステルスタイプを作ってきた

多くは現在のステルス機を模しており、俺はそれらに合わせて名前を付けている

俺「始めて遭遇するタイプだな。ネウロイ図鑑が更新されました!って事か」

カールスラント戦線では多くのステルスネウロイを発見し、全てを焼き尽くしている

初めは多くのステルスタイプが出現したものの、俺の攻撃の為か段々出現数も減っていき3月までには出現しなくなった

何故出現しなくなったかは不明だが、俺はハイデマリーと共に二つの要因に辿り着いている

第一に俺が撃墜したのは試験段階のプロトタイプである事。俺が撃墜した為に計画が頓挫しただろうという要因

第二に製造にコストが掛かり過ぎるという要因

実際はこの二つの要因やこちらの進撃なども合わさって、カールスラント戦線からステルスタイプが消滅したと俺達は考えている

俺「もっと赤外線対策しろよ?ネウロイさん・・・あ、F-22は勘弁の方向でお願いしますね。PAK-FAもですよ?」

俺はその場を離れ食堂に向かう事にした...


俺「はい、皆飲んでくださいね~」

ビーチパラソルの下、俺は皆が持つコップに食堂から運んできたソーダを注ぐ

エイラ「気が利くじゃないか。ありがとう」

サーニャ「ありがとうございます」

ハイデマリー「ありがとうです」

自分のコップにもソーダを注ぎ、皆で海を見ながらチビチビと飲む

俺「...そういえば他の皆は?」

ハイデマリー「確か・・・あの崖の向こうに行きました」

俺「魚取りでもしに行ったんでしょうかね・・・」

今日の夕食は魚料理かもしれないな。俺としたらなるべく煮物が嬉しいんだが・・・生物は腹を壊しやすい

ハイデマリー「...」ウトウト

俺「眠いですか?」

ハイデマリー「・・・泳ぐのは疲れますね」

俺「今のうちに寝ておいた方が良いですよ。今日は夜間哨戒もありますから」

そう言って彼女を抱き寄せ、肩にもたれ掛かる様にしてあげた

ハイデマリー「では・・・お言葉に甘えて・・・」

ハイデマリー「...すぅ...ふぅ...」

彼女の頭をゆっくりと撫でながら寝付くまで待つ事数分、ふと横を見てみると...

エイラ「♪~」

サーニャ「...zZZ」

同じようにサーニャ中尉を寝かせているエイラ中尉の姿があった

俺「・・・今日は良い日ですね」

エイラ「・・・ソウダナ」

俺達はそのまま日が暮れるまで静かに海を眺める事になった・・・


アドリア海上空、高度10000m、午前1時

俺達は日が暮れた後、すぐに服を着替え夜間哨戒任務に就いた

ハイデマリー「方位023、距離320km、高度7000mに中型ネウロイです」

俺「大気との誤差修正...メインレーザー、ファイア」

ハイデマリー「今日は皆さん、宝探しをしていたみたいですね」

俺「宝の正体はハーブだったようだけど・・・ファイア」

ハイデマリー「次はカシオペア座の下、高度9000mです」

俺「了解・・・そういえば基地の皆へのお土産考えないとね・・・ファイア」

ハイデマリー「どうします?私はティーセットを考えているのですが」

俺「多分ブリタニアの方々は喜ぶと思う・・・ファイア」

ハイデマリー「では他の方にお菓子なんてどうでしょう?・・・方位048、距離280km、高度8000mです」

俺「それも良いかもね・・・食べ物は基本的に受けが良いし・・・ファイア」

本当は何人かに『501のウィッチ達のブロマイド』を土産として頼まれているのだが・・・仕方ない。隙をついて撮るしか無いな

俺「そうそう、あの時宮藤軍曹と話していたのは何かあるんですか?・・・ファイア」

ハイデマリー「それは・・・秘密です。後のお楽しみです」

俺「なら楽しんで待つ事にするよ・・・ファイア」

弾む会話に落ちてゆくネウロイ。上弦になりつつある月を背に俺達はアドリアの海の上を飛び続けていく

俺「ここに来て楽しいかい?」

ハイデマリー「・・・とても楽しいです」

俺「・・・ファイア」

―明るくなった時点で俺達は帰還。今日の撃墜数は26機。撃墜数を報告後すぐに部屋に戻り、一緒に就寝した―
最終更新:2013年02月07日 13:50