眠い。ただ眠い。
でも今日は2月16日。今日の発表会はアレクサンドルに任せて...

俺「・・・ん・・・ん?」

2月16日、February 16、16 Februar、16 febbraio...

俺「........!!!」

シーツを蹴飛ばして
飛び上がり辺りを確認した。寝室には誰も居ない。

俺「・・・もう8時じゃないか」

急いで服を着替えて居間に。
部屋では美味しい匂いと料理、そして

ハイデマリー「あ、おはようございます。今日はぐっすり寝れたようですね」

エプロンを来たマリーが待っていた。

俺「おはよう。それと・・・」

俺「誕生日おめでとう。マリー」



[ハイデマリー・W・シュナウファー誕生日編 『One day』]



俺「...今日は割と濃い味付けかな?」

ハイデマリー「あっ・・・ゴメンなさい!分量間違えたんです...」

俺「いや、いつもと変わらず美味しいよ」

皿の音が鳴る中、俺はいつもと変わらず黙々と食べ続ける。
昔から食べる時に会話はあまりしない。
それを知っているマリーは静かに、椅子に座って待っていた。

俺「ごちそうさまでした・・・そう、今日はどうしようか?」

俺「どこかに行く?それとも何かする?」

考え込むマリー。モジモジしつつも答えてくれた。

ハイデマリー「もしよければ...」


俺「いっちに、いっちに」

ザクッ ザクッ

庭に生えている雑草を一つずつ、スコップで抜いていく。
開始して数十分。段々と綺麗になった気がする。

ハイデマリー「・・・・・・」

彼女はホースで花や木々に水を撒いていた。
白いワンピースに帽子を被り、水を撒く姿は本当に可愛い。というか幻想的だ。

ハイデマリー「あ・・・トンビさん・・・」

地面を横切る影。一匹の鳶が上空を旋回し、庭に置かれたテーブルへ綺麗に着地した。

トンビ「♪」パタパタ

ハイデマリー「おかえりなさい」ペコリ

俺「今日はどこに行っていたんだ?海か?」

首を振る鳶・・・しかしコイツの知能は使い魔の契約が終わった後もずっと高いままだ。
その本人は楽しそうに小池に飛び込んで体を洗っている。お前は烏か鸚鵡か...

ハイデマリー「そろそろ休憩しましょうか・・・」

俺「そうだね...」

汗を拭い腰を上げる。今の気温は25度以上。太陽が燦々と輝き、汗でシャツに染みが付く。
庭の真ん中に置かれたパラソル付きテーブルに腰掛けて休んでいると


ハイデマリー「おつかれさまです。俺さん」

コトンと置かれるグラス。ジュースを一気飲みした後、俺は同じく椅子に座っているマリーに聞いてみる。

俺「しかし良いのかい?今日はどこでも連れていってあげれるよ?」

ハイデマリー「良いんです・・・」

ハイデマリー「こうやって一緒に居られる事が一番嬉しいですから・・・」

最近はずっと研究室に籠りっきりだったな・・・マリーは寂しかったんだ

俺「...また、寂しい思いをさせてしまったね」

ハイデマリー「一人なのは慣れていますよ・・・・・・」

俺「ごめん...」

体を伸ばしぎゅっと抱きしめる。彼女は何も言わず、ただ黙っていた。

俺「明日からは・・・もっと早く帰って来れるように努力する」

ハイデマリー「はい・・・」

俺「・・・・・・」

ハイデマリー「・・・あの・・・服が・・・・・・」

その言葉に一度離れる。
倒れたコップから溢れたジュースが彼女の服に掛かっているのが見えた。

ハイデマリー「・・・・・・一緒にお風呂でも入りましょう。俺さんも汗でびっしょりですし」

俺「そうだね・・・」

完全に下着が透けているのが見えているにも関わらず
何故か不思議と落ち着きながら、俺達は風呂場に向かった。


チャプ、チャプ...

俺「ふぅ・・・・・」

あの後俺は湯船につかり、湯を手で掻きながらぼんやりとしていた。

俺「しかし風呂場を改築しといてよかった・・・こんなにゆったり出来るのは良いな・・・」

その時脱衣所から何か音がする。しばらく後に扉を叩いて

「・・・入りますね、俺さん」

扉を開けて一糸まとわぬマリーが入ってきた。髪を上手く纏めている。
俺と目線が合うと顔を赤らめ、大事な所を手で隠しつつ洗い場に向かい体を流し始める。

ハイデマリー「こうやって一緒に入るのは久しぶりですね・・・」

俺「確か前は・・・この家に来た直後だっけ」

ハイデマリー「はい。あの時は湯船が熱くて・・・」

びっくりしてひっくり返ったマリーの姿を思い出した。
数日間は何故火傷しないのかと不思議がられたのを覚えている。

俺「今回はぬるいよ?」

ハイデマリー「それを信じます・・・」

恐る恐る湯船に足を入れるマリー。片足から両足、腰、胸と浸かっていく。

ハイデマリー「良い湯加減ですね…」

俺「流石に今日は熱いのはしないさ・・・」

ハイデマリー「・・・不思議なのですが、どうして熱い風呂に入るのですか?」

俺「そう?扶桑だと普通だと思っていたんだけどなぁー」

ハイデマリー「流石に・・・熱過ぎますよ・・・」

湯船の水面が揺れ、水中に浸かる髪の毛も同じく揺らめく。
適温だったのか、マリーは湯船の中でくつろいでいた。

ハイデマリー「疲れが取れますね・・・・・・・・」

俺「うん・・・」



会話が途切れる。チャポチャポと水面を揺らし風呂を楽しんでいると

ハイデマリー「・・・俺さんは、いつから私の事を好きになってくれたのです・・・?」

今まで聞かれなかった質問だ。告白の時はそんな事は聞かれなかったしな...

俺「多分・・・始めて会った時かな」

ハイデマリー「それは・・・」

俺「君が僕を捕まえてくれた時だよ。多分その時に惚れちゃったんだと思う」

その言葉を聞いてマリーはモジモジしていた。恥ずかしいのかな..

俺「まぁ・・・君と一緒に戦って他の色んな所も可愛いと思ったからさ、あの時俺は・・・」


1944年、とある日の朝

そう、あの時はマリーが風邪で寝込んでいた時の話だ。
確か夜間哨戒から帰って来て・・・

ハイデマリー「まだでしょうか・・・」

ガチャッ...

俺「大尉は寝ているのかな・・・あ」

ハイデマリー「俺さん?...おはようございます。今日は夜間哨戒おつかれさまです」

俺「おはようございます、ハイデマリー大尉」

俺「そのー体調はどうでしょうか?」

ハイデマリー「大丈夫です。今日には飛べるようになると思います...」

俺(今だ・・・一気に攻めて素早く終わらせる!!)

俺「そ、そのっ!大尉に!お話したい事がありますっ!」

ハイデマリー「は、はいっ!?な、何でしょう?」

俺「・・・・・大尉、ハイデマリー大尉の事が好きでした!付き合って下さい!」

ハイデマリー「・・・す、す、すき.......」バタッ

俺「...大尉?大尉!?」


俺「・・・ふふっ」

ハイデマリー「??」

俺「いやぁ・・・アレほど失敗したのはもう無いかなって」

最初の告白がアレだったのは良い記念だったのかもしれないな...

俺「さーて、台所を貸してもらうからね」

ハイデマリー「何か作るんですか?」

俺「それは内緒...という訳じゃないけどね、一度自分で作ってみたかったからさ」

俺「じゃ、お先に」ザバッ

ハイデマリー「そうですか・・・何かあったら言ってくださいね?」


俺「......ゴメン」

ハイデマリー「良いんですよ。一緒に作れて楽しかったですから・・・」

俺「実践練習を行わなかったのが今回の問題点かな・・・」

目の前には俺の作った生地が歪なケーキ。結局マリーによる仕上げによって見栄えは綺麗になった。

ハイデマリー「確かに・・・オーブンの取り扱いは実際にやらないと分かりませんからね」

ハイデマリー「でも美味しく出来ていると思いますよ?」

俺「見栄えがちょっと、ね...ちょっと失礼かもしれない」

ハイデマリー「?」

俺「そうだそうだ、今のうちに渡しておくね。誕生日プレゼント!」

ハイデマリー「あ、ありがとうございます!」

箱から取り出されたのは宝石のついたブローチ。前にとある知り合いから買い付けておいた物だ。

ハイデマリー「綺麗なブローチ...俺さんはいつもどこからこんなに綺麗な物を...?」

俺「知り合いに詳しいのが居るのさ・・・付けてみて」

『こんばんわ!俺さんは居ますかー!』

俺「おっと来たかな・・・ちょっと見てくるよ!」

ハイデマリー「は、はい!」アセアセ

俺「・・・お久しぶりですね、御二方」

扉の前に待っていたのはヘルミーナ・レント中佐とハインリーケ少佐。
レント少佐は大きな花束、ハインリーケ少佐は小さな箱を持っていた。

ハイデマリー「一体どなたが・・・レント中佐?それにハインリーケさん!?」

ハインリーケ「久しぶりじゃな、ハイディ」

レント「二人とも元気かしら?とりあえず・・・一足先に」

レント「誕生日おめでとう!マリー」

ハイデマリー「そうだな。ハイディ、おめでとう!」

二人の差し出すプレゼントを受け取り、ぽかんとするマリー。俺が事情を説明した。

俺「二人は新型レーダーの実験を見に来たんだ。それで帰りに来てもらう事にしたという訳」

ハイデマリー「その実験は・・・俺さんの実験なんですね」

ハインリーケ「つまりあの学者は俺の部下なのだな?」

俺「ええ、そういう事です」

レント「あの子、もう少し声を出せば良いと思うのだけど・・・」

俺「後で本人に言っておきますよ。ささ、中に入って下さい」

ハインリーケ「ふむ、中々良い家ではないか...」

レント「じゃあ実験の報告書は明後日に渡すわね・・・」

部屋に向かう二人。俺も行こうと思ったが不意に袖を引っ張られた。

ハイデマリー「その・・・今日は二人も呼んでくれるなんて...」

俺「前にお祝いした時も4人だったでしょ?だから今回も、と思ってね」

俺「さ、行こう!二人ともマリーを待っているよ!」

ハイデマリー「…はい!」


『ハッピーバースディー!ハイデマリー!』
最終更新:2013年02月07日 13:53