俺「ローマ?」
フェデリカ「そうよ。今からローマに行ってやって欲しいことがあるの」
竹井「今回のメンバーはドミニカとジェーン、俺さんに...ルチアナよ」
ルチアナ「という事は・・・」
竹井「そうよ。お話をしたら是非来て下さいって言われたわ」
ルチアナ「良かった・・・ありがとうございます。竹井大尉」
俺「少佐、何しにローマへ俺達は行くんです?買い物ですか?」
フェデリカ「そうよ。でも・・・貴方達は別なの」
俺「一体どういう事なんです?」
<ローマ市街.昼過ぎ>
ドミニカ「私達はこれから補給物資を受け取りに行く」
ドミニカ「集合時間は16時30分。では行こうか、ジェーン」
ジェーン「了解です!」
俺達を乗せていたトラックは港の方面へと走っていった。その場に残される俺とルチアナ。
俺「・・・案内を任すよ。ルチアナ」
ルチアナ「確か...こっちです。行きましょう」
ローマの街中を目的地へ向かって歩いていく。
俺は先に行くルチアナを追う形で歩いていたが、しばらくしてルチアナが足を止め、俺の横についてきた。
ルチアナ「その・・・一緒に手をつなぎませんか?」
俺「手、を?」
ルチアナ「この街中で一人で歩くのは賢明では無いと思って・・・」
俺「そ、そうだね」
出された手を俺はゆっくり握る。温もりと僅かな湿り気が・・・って自分で思ったけどなんだか卑猥だな
ルチアナ「...俺さんの手、ゴツゴツしていますね。前の時は分かりませんでした」
俺「あの夜の事か・・・任務中は手袋しているからね」
ルチアナ「手相が分かりやすそうですね」
俺「占えるの?」
ルチアナ「・・・生命線が15歳で切れてますね」
俺「今18なんだけど」
ルチアナ「そういうものです」
俺「うん。映画で見た事はあるけど来るのは初めてだよ」
ルチアナ「...ローマにはコロッセオ、ポポロ広場、トレビの泉、美術館・・・沢山の観光名所があります」
ルチアナ「観光名所以外にもロマーニャ料理も美味しいです」
ルチアナ「もし俺さんが良ければ・・・私が案内します。どうですか?」
これはデートの誘いとして考えるべきなのか・・・純粋に俺にローマの素晴らしさを教えたいだけなのか・・・
だが答えは既に決まっている。
俺「分かった。よろしく頼むよ」
彼女の顔がパッと明るくなる。その後僅かに顔を赤くした。
ルチアナ「ならプランを考えておきますね・・・用意が出来たら俺さんにお教えします」
俺「ありがとう。でもその前に・・・」
ルチアナ「分かっています。ここが・・・俺さんの目的地です」
通りに面したとある住宅地の一角、そこに今回俺の"仕事場"があった。
俺「一応何があったか教えてくれないか?」
ルチアナ「はい・・・俺さんが来る前、とある夜にローマへネウロイが侵入したんです」
ルチアナ「迎撃には成功しましたが、倒し損ねたネウロイがこの家の庭に落ちて...」
家主「あれ?・・・ウィッチの方じゃないか!!」
ルチアナ「こんにちは。今日は...」
家主「別に来なくても・・・家の修理代も出してもらったのにお手伝いなんて女の子にやらす訳には...」
俺「えーっと・・・今回家の修理のお手伝いをさせてもらう俺です。よろしくお願いします」
家主「・・・君が?そこの子じゃ無くて?」
俺「はい、そうです」
家主「...チッ」
おい聞こえてるぞ。そして残念そうな顔をするな!
家主「・・・じゃあこっちに来て」
俺「分かりました」
ルチアナ「では私はあの通りの奥の服屋へ行きます。何か用があれば来て下さい」スタスタ...
家主「...早く来てくれないかねー」
俺「は、はい!」
家主「ふむ、男のウィッチとは驚いたな・・・」
俺「滅多に居ないようですよ...っ!」ザクッ
俺はネウロイが空けた穴を埋める為、スコップで土を穴へ入れる作業を行っていた。
農作業での経験があるので特に難しくも無く、魔力強化も使えるのでかなり楽だ。
家主「別世界から来て何か辛い事は無かったのか?」
軒先からこっちを見ながらラジオを聴き、グラスを傾ける家主。
軽い殺意が湧くのを抑える為にスコップへ意識を集中させる。
俺「特に・・・無かったですよっ」ザクッ
俺「未練が無い、という訳では無いですけど・・・慣れるのは得意ですから」ザクッ
家主「・・・それは本当なのか」
俺「・・・?」ザクッ
家主「・・・俺と家族は昔カールスラントに住んでたんだ」
家主「周りは自然いっぱいで・・・いつも子供達と一緒に釣りしてな・・・」
家主「でも・・・今から数年前、ネウロイが攻めてきたんで逃げる事になったんだ」
俺「ダイナモ作戦、ですか」
家主「丁度親戚がこの町に居たんでここに来たんだが・・・帰れないのは正直辛い」
家主「お前さんも本当は辛くないのか?」
俺「・・・」ザクッ
俺「俺って単純ですから・・・自分の居場所、やりがいのある事があれば良いんです」ザクッ
俺「今こうやってスコップを持つ事、ウィッチとして闘う事は俺の居場所を作る事へと繋がっています。だから・・・」
俺「今は全然辛くありません」ザクッ
家主「・・・中々強いじゃないか」
俺「あの花の苗、植えましょうか?」
家主「・・・その壁沿いに植えてやってくれ」
俺「この木材はここで良いですか?」
家主「そこで良いよ。柵は自分で作るさ」
家主「ほら、自家製フルーツジュース。味は保証しない」
俺「ありがとうございます・・・・・そういえば家族の方はどこに?」
家主「今子供は学校に行ってるし、妻は服屋で働いてるよ」
俺「服屋?」
家主「ほら、あそこに通りが見えるだろ?あの奥だ。ウィッチの服を作っているのさ」
俺「ルチアナが言ってた所・・・もしかして奥さんはウィッチだったりするんですか?」
家主「...どうして分かったんだ?」
俺「いえ、何となくです」
家主「ふむ・・・まぁこれで庭も元通りだ。感謝するよ」
俺「いえいえ。ではこれで...」
家主「これからあの子の所にでも行くのか?」
俺「・・・まぁそんな所です」
家主「ふーん...やっぱりか...ふーん...」ニヤニヤ
家主「まぁ頑張れよ。俺みたいに事を早めたら駄目だからな?」
俺「・・・?」
家主「ほらほら、行った行った」
俺「は、はい。それでは・・・お元気で」
家を後にしてルチアナの元...服屋へと向かう。目に付きやすい看板とショーウィンドウですぐに見つけられた。
店員「いらっしゃいませー!」
俺「こんにちは。ルチアナは居ますか?」
店員「ルチアナ...あのウィッチの子ね。お迎えの方ですか?」
俺「はい。そう思っていただければ」
店員「今は奥で店長と一緒に服作りの研修をしているけど・・・呼びだします?」
俺「あー・・・別に構いません」
本人が本気で頑張っている所に行くのは失礼だろう。それに俺は服については詳しくない。行っても邪魔なだけだ。
俺「先に帰っておくと伝えて下さい」
店員「分かりましたー」
店を出てその辺りをうろつく。集合場所までおよそ20分。後30分ほど余裕がある。
通りにはこの服屋以外に靴屋や装飾品店がある。しばらく見渡すうちに見た事のある風貌が目に入った。
ジェーン「俺さん?」
俺「・・・貴方は補給を受けに行ったんじゃないんですか」
ジェーン「えっと・・・補給自体はすぐに終わったんでちょっと買い物に・・・」
何かの私物でも買いに来たのか。考えていると彼女が近くまで来ていた。
ジェーン「貴方は他人にプレゼントはした事ありますか?」
俺「あるけど・・・」
ジェーン「よし、使える...」ボソボソ
ジェーン「・・・私に付き会ってくれませんか?」
俺「君の事は可愛いとは思うけど...」
ジェーン「そっちの意味じゃ無くて・・・私のプレゼント選びを手伝ってほしいんです!」
俺「ああ・・・で、誰にプレゼントするんですか?」
ジェーン「それは...秘密です」
俺「あのさぁ・・・その人の特徴とか分からないと助言出来ないって」
ジェーン「特徴は......男らしくて、ぶらっきぼうで、でもストレートに話して・・・」
俺「・・・大将ですね」
ジェーン「ど、どうして分かったんですか!?」
俺「まぁ大将ならジェーンのどんなプレゼントでも喜ぶと思うよ?」
ジェーン「うーん・・・」
俺「あえて言うなら・・・ストラップやブレスレットとかどう?強度があって戦闘中でも持てそうな物とか」
ジェーン「・・・俺さん、一緒に探しましょう!」
俺「いや俺は...だから引っ張るなって!...」
俺「満足しました?」
ジェーン「はい!」
彼女が選んだのは鷲っぽい何かが付いたストラップ。
ある程度は俺も品定めに参加したが最後は彼女本人に選ばせた。ジェーンが選んだのなら大将も喜ぶのは確かだろうし。
ジェーン「もうこんな時間...そろそろ集合場所に行きましょうか」
俺「ならルチアナも拾って行こう」
二人でさっきの服屋まで戻ってみる。丁度ルチアナが店頭で女の方と話をしていた。店長...奥さんだろう。
ルチアナ「今日はご指導ありがとうございました」
店長「また空いてる時に来てくれれば教えてあげるわ」
ルチアナ「では・・・・・・」
俺「どうだった?」
ルチアナ「俺さんにジェーンさん・・・待っていてくれたんですね」
ルチアナ「とても楽しかったですよ。知らない事も教えて頂きました」
ジェーン「早く行きましょうよー!大将を待たせる訳にはいきませんから!」
ルチアナ「...ジェーンさんはどうして張り切っているんです?」
俺「・・・後でゆっくり話すよ。今は集合場所に早く向かおう」
<504基地.夕方>
ドミニカ「ありがとう。大事にするよ」
ジェーン「いつものお礼ですよ...」
基地に着いた後、俺達は宿舎の方へと歩いていた。
前の二人は色々話しながらイチャつき、ルチアナは今日習った事を復習するように手を動かしている。
ルチアナ「ここでこう通して...」
彼女の指は器用に動いている。見えない生地でも縫っているように見えるほどだ。
しばらくその動きを見ていると視線に気付いたのか彼女が不思議そうに見返してきた。
ルチアナ「...俺さん?」
俺「いや、ちょっと見とれてただけだよ」
ルチアナ「見とれて...わ、私にですか?」
俺「うん。裁縫が上手いなぁと思ってね」
ルチアナ「まだまだですよ・・・あっ」
彼女が俺の肩へ手を伸ばし、何かを探すようにゆっくりと撫でた。
ルチアナ「やっぱり・・・破けていますね」
俺「本当?」
上着を脱いでみる。確かに肩の部分が破れていた。
俺「せっかくハイデマリー大尉から貰った物なんだけどなぁ・・・」
ルチアナ「縫いましょうか?これくらいならすぐに終わると思います」
俺「・・・お願いするよ。ここから頼んでも貰える物じゃないだろうし」
ルチアナ「では私の部屋に行きましょう」
そのままルチアナの部屋へ案内される。部屋の中には色んな裁縫とファッション関係の本が詰まった棚
机の上には始末書の束が置かれていた。
ルチアナ「上着を脱いでください」
ルチアナへ上着を渡す。彼女は棚から裁縫道具を取り出すと器用に縫い始めた。
ルチアナ「・・・ハイデマリー大尉はどういった方なんです?」
俺「大尉・・・ハイデマリー大尉はこの世界に来た俺を助けてくれた人なんだ」
俺「大尉の勧めで軍に入れたし・・・俺にとっては命の恩人、大切な友人だ」
ルチアナ「・・・大切な人、なんですね」
俺「まぁね・・・今でも夜間哨戒中に話したりしているよ」
ルチアナ「私も...」
俺「?」
ルチアナ「...縫い終わりました。どうですか?」
俺「・・・綺麗に出来てるよ。ありがとう、ルチアナ」
ルチアナ「・・・どうしたしまして」
俺「じゃあ俺は夜間哨戒に行ってくるよ」
ルチアナ「頑張ってください・・・それとお休みなさいです」
最終更新:2013年02月07日 13:54