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第5話 パンケーキを君に






245 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 18:50:01.29 ID:2psAZAw00

第5話 パンケーキを君に

デート、と聞いて真っ先に思い浮かぶものは何だろう?

活動写真? ピクニック? 人によってそれぞれだろうな。

俺が真っ先に思い浮かべるのはお買い物だ。

好きな女の子と手を繋いで色んな店を回る。

柄にもなくそんなことを長年夢見てきた。

そして今日……

俺「さて…まずはどこに行きましょう?」

俺はレイヴォネン少佐と町に来ている。

目的はもちろんお買い物。買い出しなどではなく、楽しむためのショッピングだ。

エルマ「え、えっと……じゃあ、あそこの服屋さんに行きましょう…!」

これはまさしく、夢に見たお買い物デート……!!






248 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 18:51:36.17 ID:2psAZAw00

エイラ「服屋かァ…。」

ニパ「なんか久しぶりだなぁ。」

ハンナ「ここ半年くらい来てないかもね。」

ラウラ「別に私は興味ないな。」

こいつらがいなかったらな。

俺「ハァ……。」

この前の飛行船型ネウロイを粉砕されて堪えたのだろうか、最近ネウロイの動きがますます小規模化している。

まぁ、その内活性化するんだろうが……。

とにかく、俺達L中隊は束の間の休息を満喫していた。

そんなある日、

エルマ『みんなでお買い物に行きましょう!』

レイヴォネン少佐がこんなことを言い出した。

という訳で、俺達はカウハバ基地近くのスラッセンの町まで来ている。

気を使って女の子だけで行かせてあげようと思ったのに、レイヴォネン少佐に妙に熱心に誘われたので俺も来た。

レイヴォネン少佐があそこまで強引な態度を取るなんて珍しいな。







249 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 18:53:30.91 ID:2psAZAw00

でも、

エイラ「さぁ、早く入ろうエルマ先輩!」

ニパ「早く早く!」

エルマ「ちょっ…イッルさん、ニパさん引っ張らないでくださいぃぃぃぃ!!」

肝心のレイヴォネン少佐はユーティライネンとカタヤイネンに引っ張られて店の中に消えちまった。

俺はいくらなんでも服屋には入れないからなぁ。強盗か何かと勘違いされちまう。

俺「店の外で一人待ちぼうけかねぇ…。」

って…

ラウラ「俺さんは入らないのか?」

ハンナ「エルマ少佐とショッピング出来るチャンスじゃないですか。」

お前らはなんでここに残ってんだよ…。

俺「俺は服屋って面じゃねぇだろ…。俺のことは構わねぇでお前らも買い物を楽しんで来いって。」

ハンナ「でも……俺曹長が一人になっちゃいますし…。」

ラウラ「服とか別に興味ない。」

女の子としてそれはどうなんだ?







250 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 18:55:03.71 ID:2psAZAw00

俺「まぁ、ニッシネンがいてくれるみたいだから、お前は遠慮せずに行ってこいって、ウィンド。」

ハンナ「そうみたいですね。それでは私も行ってきます。」

ウィンドはそう言って店の中に入っていった。

これでニッシネンと二人きりになったわけだが……

ラウラ「………。」

俺「………。」

正直けっこう気まずい。

無愛想同士、間が持つはずがない。

とはいえ、この隊の中で一番俺と気が合うのはコイツだろうな。

新人時代にちょっと面倒見てやったこともあるから、知らない仲ではないし。

俺「なぁ…別に俺に気を遣う必要なんてねぇんだぞ? 俺といっしょにいるよりは服屋にいる方が楽しいだろ?」

ラウラ「いや、服屋にいるよりはアンタといっしょにいる方が楽しい。」

それは、俺といるのはけっこう楽しいっていう………。

んなわけねぇな。相当服屋とかそういうのが苦手なんだろう。







252 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 18:56:46.35 ID:2psAZAw00

俺「でも、お前は俺のこと嫌いなんじゃねぇのかよ?」

ラウラ「はぁ? 何言ってんだよ。」

俺は顔は怖いし、口悪いし、無愛想だし。明らかに女の子に嫌われる要素ばっかりだ。

実際、俺に対する新人達の態度はいつも冷たいものだった。

まぁ、元から好かれようとはしていないからな。

俺「だって、俺とか嫌いになる要素ばっかりじゃね?」

ラウラ「それはそうだけど……。」

グッ……アッサリ肯定されるとちょっと傷つくな…

ラウラ「実際、私らの中ではアンタを嫌いだとか言う奴は一人もいなかったぞ?」

俺「マジで? なんでだよ?」

ラウラ「さぁ……?

    まぁ、私自身はアンタのことけっこう好きだな。」

俺「それはどうも。」

ラウラ「アンタは私達のことが嫌いなわけじゃないんだろ?」

俺「ああ、まぁな。」






253 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 18:57:26.06 ID:2psAZAw00

口には出さないが、正直お前らのこと大好きだからな、俺。

教官少佐に世界で一番大事とか言っちまったし。

ラウラ「そうか……だからかもしれないな…。」

俺「どういうことだよ?」

ラウラ「さぁ…私にもよく分からん。」

俺「何だそりゃ…。」

ん? 何かイイ匂いがするな…。

俺「なぁ、お前甘い物好きだったよな?」

ラウラ「そうだけど……どうかしたのか?」

俺「ちょっとここで待ってな。」

ラウラ「あっ…俺さん!?」






255 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 18:59:07.45 ID:2psAZAw00

ラウラ「ハムッ………。」モグモグ

俺「うまいか?」

ラウラ「ああ……。」モグモグ

イイ匂いがするな、と思っていたらパンケーキの出店が出ていた。

ニッシネンが無言で噛り付いているのを見ると、なかなかの味みたいだな。

ラウラ「………………甘い…。」モグモグ

しかし、コイツが甘い物に夢中になるなんていう年相応な姿を見せるなんて珍しいな。

俺「俺のおごりだからもっと欲しかったら言えよ?」

ナデナデ

ラウラ「!?」ビクッ

俺「おっと悪ィ!」

いけねぇいけねぇ…つい癖で気安く頭を撫でちまった……。

弟や妹ならまだしも、コイツは子供扱いされるのは嫌だよな…。

ラウラ「いや、続けてくれ。私は性格上誰かに甘えることがないからな。

    たまには……………………誰かに、甘えたい……。」ボソッ







256 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 19:00:29.61 ID:2psAZAw00

最後の方はよく聞き取れなかったけど、要するに撫で続けてほしいってことだよな。

いつも通り無表情だが、パンケーキを抱えたまま微動だにしない。

俺「まぁ、たまには………な…。」ナデナデ

ラウラ「………………………うん…。」モソモソ

エイラ「俺ェ! どうダっ!? これ似合うカっ!?」

ニパ「お、俺さんっ!」

エルマ「に、ニパさんイッルさん! 商品を着たまま外に出ちゃいけませんよぉ…!」

ハンナ「フフッ…。」

服屋に入っていた4人が出てきた。

俺「お前ら……商品を外に持ち出しちゃダメだろうが………。」ワシャワシャ

ニパ「い、痛いって俺さんっ!」

カタヤイネンの頭を乱暴に撫でまわす。コイツの頭って何故か手を置きたくなるんだよな。

ラウラ「あっ……。」

おっとスマンな、ニッシネン。続きはまた今度……なっ?

ラウラ「うむ……約束だからな。」ボソッ







258 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 19:06:31.01 ID:2psAZAw00

エイラ「フフンっ!」

ユーティライネンの服装は、膝下まで覆う白いコートか。

俺「似合ってるじゃねぇか。誰が選んだんだ?」

エイラ「ハッセだッ!」

ハンナ「けっこう似合ってるでしょう?」

俺「ああ、さすがだな。お前の巻いているマフラーもかわいいんじゃないか?」

ハンナ「ありがとうございます。」ニコッ

ニパ「お、俺さん! 私はっ!?」

カタヤイネンの着ているセーターは、いつも着ているやつよりもフワフワしている、とても女の子らしいものだった。

少年っぽいコイツだけど、こういうのを着ればちゃんと女の子っぽい雰囲気が出せるんじゃないか。

馬子にも衣装とはよく言ったものだな。

俺「それ自分で選んだのか?」

ニパ「う、うん…!」

俺「正直見違えたよ。やっぱりお前も女の子なんだな。」ナデナデ

ニパ「えへへ……何を当たり前のこと言ってるんだよ。」






259 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 19:07:52.67 ID:2psAZAw00

エルマ「あっ…あの、俺曹長っ…!」

あっ…スイマセン……レイヴォネン少佐。こいつらは早く店内に戻さないと。

レイヴォネン少佐の服装は、白いワンピースに上着にカーディガン。

来た時と全然違う服装じゃねぇか。お前ら、まさかレイヴォネン少佐を着せ替え人形にしていたんじゃねぇだろうな?

しかし……

俺「………。」ジーッ

エルマ「ど、どうしたんですか………俺曹長?」

尋常じゃなくかわいいな…。熊一頭仕留めて、選んだ奴に贈呈してやりてぇ。

俺「えっと……あの…に、似合ってますね…。」

エルマ「へっ……あっ………あ、ありがとうございます…。///」カァァ

俺「………。」ポリポリ

こういうことをもうちょっと自然に言えたらいいんだがなぁ…。我ながら不器用だ。

エルマ「………。」チラッチラッ

ん? レイヴォネン少佐が顔を真っ赤にして俺の方を見ている。

何故か頭を俺の方へ向けて。






260 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 19:10:01.91 ID:2psAZAw00

あ~……なるほど…。

俺「レイヴォネン少佐。」

エルマ「は、ハイッ…!」ビクッ

俺「頭にゴミが付いてますよ。」ヒョイ

エルマ「あっ…………ありがとうございます…。」シュン

あれ? なんでそんなシュン…とした顔をしているんだ?

エイラ「お前ー…鈍感もいい加減にしろよナー。」

? 鈍感? 何が?

俺「とにかく、服買うんならちゃんと会計済ましてこい。あんまり長く商品を着たままなのはまずいだろ。」

エルマ「ハイ……。」トボトボ

うう……何が悪かったのか分からないけど、レイヴォネン少佐ごめんなさい…。






261 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 19:11:17.96 ID:2psAZAw00

エイラ「買って来たゾ!」

俺「ハイハイ良かったな。とりあえずこれ食え。腹減ってんだろ?」

エイラ「わぁ! うまそうダナ、これっ!」

俺はそこの出店で買ってきたパンケーキを女の子達に手渡した。

俺「ホレ、荷物持ってやるよ。渡せ。」

エイラ「けっこう買ったから重いゾ? 大丈夫カ?」

俺「大丈夫だよ。何のためのこのガタイだと思ってんだ?」

エイラ「じゃあ……遠慮なく…。」

俺「お前らも、ホラ。」

ニパ「ありがとな、俺さん。」

ハンナ「ありがとうございます。」

俺「よっと…。」ガサッ

エイラ「おお……これだけの荷物を片手で………。」

まぁ、俺が役に立つのはこういう時くらいだからな。






262 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 19:12:42.76 ID:2psAZAw00

エルマ「………。///」ポー

俺「レイヴォネン少佐も荷物を…………ってレイヴォネン少佐?」

エルマ「ひぇっ!? あああのっ…………あ、ありがとうございます!///」アタフタ

ふむ………なんだか今日はレイヴォネン少佐の様子が変だぞ?

いつもより挙動不審というか……。

エイラ「俺っ! うまいゾっ!」

俺「食べ物を口に含んだまま喋るのはやめなさ~い。あ、そうだ……

  レイヴォネン少佐も、これ……どうぞ。」

エルマ「へっ? 私はいいですよ。隊長が隊員におごってもらうわけにはいきません。」

ふむ……まぁそうだよな。

しかし、

ニパ「うまっ!?」モグモグ

エルマ「………。」ジーッ

これは……………うん。







263 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2011/08/23(火) 19:15:17.81 ID:wfn62FhqO
1話からは想像もつかない甘酸っぱさダナ

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264 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 19:15:24.30 ID:2psAZAw00

俺「分かりました。これは俺曹長からレイヴォネン少佐へのおごりじゃないです。」

エルマ「え?」

俺「俺っていう男から、エルマっていう女の子への気遣いだ。

  た~んと食え。お嬢さん?」ニッ

エルマ「へっ……………えっと…?

    …………………………………。

    そ、それなら…。」

俺「うん、どうぞ。」

エルマ「………………………………………………………………………………………ちゃんと女の子として見ていてくれてたんだ……。」ボソッ

俺「え?」

エルマ「い、いえ! 何でもないです…! ハムッ…………………おいしい…。」

俺「ハハハッ…それは良かった。」

エルマ「俺そうt……俺さん、ありがとうございます。」ニコッ

俺「どういたしまして、エルマさん。」ニッ






266 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 19:16:27.41 ID:2psAZAw00

今日はいつもと同じような日だ。

いつもと同じように隊の皆で一緒に行動し、話し、騒いだ。

でも、俺とレイヴォネン少佐はいつもと同じではない。

エルマ「フフフッ…俺さん?」

俺「ん? 何だ、エルマさん?」

いつもと同じようで、俺とレイヴォネン少佐だけちょっと違う。

そんな土曜日の昼下がりだった。






267 :熊はひばりに恋をした[sage]:2011/08/23(火) 19:17:20.58 ID:2psAZAw00


エイラ「パロメータチェックの時間なんダナ。」

俺「おうよ。そういえば、前回見逃しちまっていたな。」

エイラ「エルマ先輩の好感度:137、信頼度:150なんダナ。」

俺「あれ? 好感度100越えてる!? やった! もう√入ってんじゃん!」

エイラ「今更かヨ…。ちなみに、嫉妬度:78ダナ。」

俺「おぉう…順調に上がってんな…。」

エイラ「嫉妬対象の内訳は、ラプラ:10、ハッセ:3、私:5、ニパ:60ダナ。」

俺「カタヤイネン……。」

エイラ「病んだエルマ先輩に真っ先に刺されるのはニパダナ。」

俺「え、縁起でもないことを言うのはやめなさいっ! きっと……まだ持ち直せるから………!」

次回「熊はひばりに恋をした」第6話 二人っきりの日曜日
最終更新:2013年02月07日 14:02