青年「はい終わり」
女性「長い」
青年「ですよねー」
女性「まあ、楽しかったがね。――ウォーロックといい情景といい、まるで見て来たかのようだ」
青年「そいつは結構。ゴシップだのなんだの混ぜた即興にしちゃ上出来だ」
いっそ物書きにでもなろうかね、などと軽口を叩きつつ、青年は作業を続ける。
女性「それで?」
青年「あ?」
女性「その後、彼はどうなったんだい?」
青年は少しばかり作業の手を止め、
青年「いや、死んだだろ。常識的に考えて」
女性「そうか?」
青年「そうさ」
また作業を始める。
だがまぁ、と青年は先置きして、
青年「案外しぶとく生き残ってたりするとお話的には『面白い』かもな」
青年「――よし、終わりっと」
□
車に乗り込んだ女性が、青年へと話し掛ける。
女性「良い話が出来た、感謝するよ。紅茶も美味しかったしね」
青年「即興でも楽しんでもらえたなら重畳。あの茶葉は街で売っているから、気に入ったなら買っていくといいさ」
青年はメモ用紙に簡単な地図と店名を書き、女性に渡す。
青年「……実を言うとあれはオレ謹製のブレンド茶でな」
青年「バイト先がそこの店なんだが、店主に飲ませたら好評でな。今じゃ一番の売れ筋さ」
女性「へぇ……。『posto al sole』、いい名前だ、是非寄らせてもらおう」
女性はメモを胸ポケットにしまうと、少し溜め息を付く。
女性「それにしても少々残念だ。最後の最後まで気付いてくれなかったんだからね」
青年「は?」
女性はバッグの中から小銃用と思われる照準器を取り出し、自身の首に掛ける。
女性「まあ、ヒスパニアでは直接顔を合わせる事は無かったし、仕方ないか」
青年「あ゛!アンタまさかあの時の……!」
ガランド「ああそうそう、件の第501統合戦闘航空団だけどね、アレ、再編される事に決まったから」
青年「ハァ!?」
驚く青年をよそに、女性は車のエンジンを始動させる。
ガランド「任務はロマーニャの防衛。……もしかしたら、彼女とまた会えるかもね」
ガランド「君の『作り話』、楽しませてもらったよ。――それじゃあ、また縁があったら。『猛犬』クン?」
女性の車が砂利を飛ばしつつ、発進する。
後には立ち尽くす青年が残され――、
青年「……」
俺「…………マジで?」
俺「…………ま、まあ会うことなんて無いだろ。うん。この広いロマーニャで特定人物に会うなんてどんな確率だっての、ハハハ」
~数週間後~
俺「はいはい、3つね。ついでにお茶のお代わりは――」
シャーリー「…………え?」
俺「………………あ゛」
――これ以降は、また別のお話。
最終更新:2013年02月07日 14:13