前回までのあらすじ!
ペロペロ大好き変態教授・私の、501でのロマンティックな日々は続いていく……。
シャーリーとなんだかいい雰囲気になった次の日、司令部の使者が私を連れにやってきた。
私「ま、大した用事じゃないわよ。すぐ帰ってくるから、心配しないで」
シャーリー「あ、ああ……」
――地中海総司令部、極秘開発室――
私「これが新しい記憶板?」
研究者「はい、エーテル出力方式の改善により、記憶容量、演算容量ともに従来の6倍以上にまで高まりました」
私「……まだね」
研究者「は?」
私「6倍じゃ足りないって言ってるのよ。せめて従来の10倍は無いと」
研究者「し、しかし、そう言われましても……」
私「いいわよ、私がやっておくから。これはありがたく貰っておくわ。……それで、こっちのデカブツは?」
研究者「ああ、それは……」
将軍「魔導ダイナモ。戦艦自体をネウロイ化し、飛行能力と再生能力を備えさせる起点となる物だ」
研究者「! しょ、将軍!」ビシッ
私「……ハァイ、久しぶりね」
将軍「ああ、こちらこそ。……どうかな、我が連合軍の極秘開発部は」
私「ん、まあちょっとは頑張ってる方じゃない?」
研究者「…………」
将軍「……一応、現代技術の粋を集めて開発に当たっているのだがね」
私「まあ、まだまだ荒削りな所もあるけど……アイデアは評価してもいいわ。戦艦をネウロイにするなんて、普通考えつかないわよ?」
将軍「相手は人知を超えた存在だ。それに対抗しうるのは、同じく人知を超えた技術だけ。……全く、マロニーにも感謝しなければならんよ。
彼のウォーロック計画が無ければ、この魔導ダイナモも……そして、"アレ"も完成しなかった」
私「……アレ、ね」チラッ
人形≪――――≫
将軍「……どうかな、その形状は」
私「人型ネウロイに似てるわね」
将軍「当然だ。そのネウロイのコアや破片を回収して製作したのだからな。その『素体』は」
私「……このポニーテールは?」
将軍「外部アンテナだ。……気に食わなかったかね?」
私「……ナイスなセンスしてるじゃない」
将軍「……それはどうも」
私「受容器は?」
将軍「コアを使用した特別製だ。君の作るAIの指令にも、十分耐えうるだけのキャパシティを備えている」
私「……いよいよって訳ね、『AIウィッチ計画』」
将軍「……しかし、よくまあこの計画に関わる気になってくれたものだ。……君は、自分の技術を兵器に転用されるのが嫌だったのではないのかね?」
私「……それは今も同じよ。……でも、これを作って、そして世界中に広まれば……もう彼女達が、命を掛けて戦う必要も無くなる。
……何せ、無茶しすぎる連中だしね……」
将軍「……いい人でも出来たのか?」
私「……さぁてね、どうなんでしょ」フフッ
将軍「……まあ、何にせよ、やる気になってくれたのは嬉しい事だ。君の技術があれば、奴らを打ち倒すことなど訳無いだろう」
私「作戦日は?」
将軍「7月4日。オペレーション・マルス――地中海のネウロイに対する、最初で最後の総攻撃だ。
君のAIウィッチには、大和の操作を務めてもらう。……まあ、詳しい事は追って伝えよう」
私「……分かったわ」
――同時刻、501基地・執務室――
ミーナ「……おかしいわね……」
ミーナ「過去の科学論文や、軍の資料……そのどれにも、私教授の名前は出ている」
ミーナ「それなのに、彼女の素性に関する資料はゼロ……」
ミーナ「彼女の『お母さん』……チューリング博士については、明確な人物像の資料があるのに」
ミーナ「……そして、一番不可解なのは、チューリング博士が『いつ』『どこで』私教授を養子にしたのか……公的な情報が何一つ無いこと」
ミーナ「世界的な科学者が養子をとったなんて、話題になってもおかしくないのに……」
ミーナ「……それに、例の『兵器開発』についても……なぜ隠したりするのかしら? それほどまでに、何か大きな秘密が……?」
ミーナ「……やっぱり、埒が開かないわね。……こうなったら……」
――地中海総司令部、極秘開発室――
コン、コン
将軍「何だね?」
ガチャッ…
兵士「将軍、お電話です」
将軍「電話? 誰からだ?」
兵士「いえ、それが……501基地の、ヴィルケ中佐からです」
私「……?」
将軍「ヴィルケ中佐? 分かった。すぐに行く」
私「……やっぱり」
将軍「……ん?」
私「話すの? 計画……」
将軍「遅かれ早かれ、作戦の概要は説明するつもりだった。……まあ、それほど伏せておきたいなら……」
私「……いえ、結構よ。聞かれたなら答えてちょうだい。包み隠さずにね」
将軍「おや? 私はてっきり……ネウロイの技術を使ったことに、後ろめたさを感じているんじゃないのかね?」
私「……彼女達を守るためよ……分かってくれるわ、きっと」
将軍「……君にしては、論理的じゃないな」
私「うっさいわね、とっとと行きなさいよ」
将軍「……やれやれ」
――501基地・執務室――
将軍『ああ、私だ』
ミーナ「将軍! あの……」
将軍『分かっている』
ミーナ「……え?」
将軍『知りたい事があるのだろう? 開発中の兵器、そして私教授がなぜ今回召喚されたのか……』
ミーナ「! お、教えていただけるのですか!?」
将軍『ああ。許可を貰ったからね。……なぜ今になって、考えを変えたのかは分からんが……。
まあ、近々君たちにも説明をするつもりだった。予定が少々繰り上がっただけさ』
ミーナ「……ありがとうございます。……あの、それから……」
将軍『ん?』
ミーナ「……私教授自身のことについても、教えていただきたいのです」
将軍『……それには上手く答えられる自信が無いが……まあ、私の知っている限りのことは教えよう。……彼女にも、そう言われているしね』
ミーナ「……分かりました。それでは……」
ミーナ「まず、開発中の兵器というのは……?」
将軍『魔導ダイナモ。……簡単に言えば、戦艦をネウロイ化するエンジンだよ』
ミーナ「! せ、戦艦をネウロイにですって……!? そんな……」
将軍『そんな危険な事を、実験も無しに……とでも言いたいのかね? ……だが、実験はすでに行われているんだよ。君にも覚えがあるはずだ』
ミーナ「! ウォーロック……!」
将軍『そうだ。ウォーロック計画は頓挫したが、兵器にコアを搭載し、それをコントロールするという技術は、あの時点ですでに確立されていたんだよ。
マロニーの失敗は、ひとえに彼の慢心と野心によるものだ』
ミーナ「し、しかし……戦艦をネウロイ化したところで、どうするおつもりなのですか?」
将軍『……近々行われる、ヴェネツィア方面のネウロイに対する殲滅作戦――通称オペレーション・マルスは、ヴェネツィア上空に位置するネウロイの巣に総攻撃を加え、根絶やしにするというものだ。それには、巣の内部に突入し、ネウロイの猛攻に耐えながら、巣を内部から壊滅させるほどの強さを持った兵器が必要だ。
大和は、そのためにネウロイ化されるのだよ』
ミーナ「大和……扶桑のあの戦艦を!?」
将軍『そうだ。魔導ダイナモによって大和にネウロイ並の飛行能力、再生能力を備えさせ、巣に突撃させる――それがオペレーション・マルスの全貌だよ』
ミーナ「……人類の命運を、機械に委ねるというのですか?」
将軍『……ほう? ならば君達の部隊の中には、さぞかし優秀なウィッチがいるんだね?
ネウロイの巣に特攻するなんて自殺行為を、平然と行える……』
ミーナ「……! そ、それは……!」
将軍『命を掛けて命を守る。命を救って命を落とす……こんな不条理で、理不尽な事はあるまい。――私教授が、そう言っていたよ。
今回の作戦で、君達には、巣に向かう大和のサポートをお願いする予定だ。まあ、この件についてはまた詳しく説明を行おう』
ミーナ「……しかし、将軍。いくら精巧で、実験も成功しているからと言って……機械に絶対などということはありません。
例えば、魔導ダイナモが急に不具合を起こしたり……そのような事態を招いた際には、どうするおつもりなのですか?」
将軍『……その件の為だけに、私教授を呼んだと言っても過言ではあるまい。彼女には……大和の"操舵手"の開発をお願いした』
ミーナ「……? "操舵手"……?」
将軍『君の言う通り、機械と言えど完璧ではない。その動作を完璧にするためには、常にそのシステムを管理し、調整する"操舵手"が必要になる。
軍艦に乗組員、ストライカーにウィッチがいるように……。大和、ひいては魔導ダイナモにも、それが必要なんだよ。
それも、臨機応変に事態に対応し、柔軟な思考ができる――そう、本物の人間のようにな』
ミーナ「……!! ま、まさか……!」
将軍『そう、AIだよ。ネウロイの巣に突撃するような兵器に、本物の人間を乗せるわけにはいかない。
だから私教授には、大和に乗せるAIウィッチの開発を依頼した』
ミーナ「AIウィッチ……?」
将軍『AIによる遠隔操作で動かす、
ロボットのウィッチ……と言った所だ。今回の作戦は、このAIウィッチのデモンストレーションも兼ねている。
作戦が成功し、AIウィッチの優位性が証明されれば、世界中で開発が開始され、実戦投入されるだろう。――人間に代わり、ネウロイを倒すためにな』
ミーナ「……そのAIウィッチにも、ネウロイの技術が使用されているんですね?」
将軍『……鋭いな。AIウィッチの素体――実際に動く胴体部分や、受容器――AIからの指令を受け取り、素体各部に伝達する機関は、ネウロイのコアや破片を回収、再構成したもので作られている』
ミーナ「…………」
将軍『……どうしたね?』
ミーナ「……信じられません。魔導ダイナモや、AIウィッチの技術はともかく……あの私教授が、こんな計画に加わっているなんて」
将軍『……彼女も、あまり知られたくは無かったらしい。……君達から軽蔑されるのが、怖かったんじゃないのか?
ネウロイの技術を使って兵器を作る――普通に考えれば、マッドサイエンティストの所業だよ』
ミーナ「…………」
将軍『……ただ』
ミーナ「……?」
将軍『彼女は言っていた。この技術が広まれば、もうウィッチ達が戦場で命を落とすこともなくなると……。
フェミニズム……というかレズか、彼女の場合は。まあ、何にせよ……君達に危ない目に会ってほしくない、その一心らしい』
ミーナ「…………」(私教授……)
将軍『……私教授に聞いたのだが、AIウィッチの"AI"には……3つの意味があるようだ』
ミーナ「……?」
将軍『相変わらず、妙なネーミングセンスだがね……。
1つ目は"Artificial Intelligence"。普通に"人工知能"の意味だ。
2つ目は"Autonomous Intention"……』
ミーナ「『自律意志』――ですか?」
将軍『そうだ。通常の弱いAIとは違い、人間と同じように考え、対応し、生み出す……"強いAI"だと。
……そして、最後の1つは……"Aeon Immortality"』
ミーナ「『Aeon Immortality』……『永劫不死』?」
将軍『……AIウィッチの強みは、素体が破壊されても、離れた所にあるAI部分が無事ならば、何度でも新しい素体に転送<ダウンロード>して復活できるということにある。絶対に死ぬことは無い不死の兵士……しかも、壊される度に学習し、ますます強くなっていく……』
ミーナ「…………」
将軍『……彼女はそれほど、君達を死なせたくないらしい。……よっぽど、大事に思われているようだね』
ミーナ「……そう、ですか……」
将軍『……今日の夕方には、教授はそちらへ帰還する。それから本格的に、AIの開発を開始するそうだ。
……だから、よければ邪魔をしないでやってほしい。彼女の技術に、我々の未来が掛っているんだよ』
ミーナ「……了解しました」
将軍『うむ。……オペレーション・マルスと、AIウィッチについてはこんな所だ。……他には何かあるかね?』
ミーナ「え……あ、それでは、私教授のお母様の……チューリング博士について、教えていただけますか?」
将軍『チューリング博士? そう言われてもな……主に、彼女の何についてだ?』
ミーナ「博士がいつ、私教授を養子として取ったのか……以前、将軍はおっしゃられましたよね? 『養子がいるとは聞いていた』と」
将軍『ああ、あれか……いや、実はな、兵器開発の件で博士の家に行った時、見慣れない絵本を見つけたんだよ。
それについて本人に聞いたら、養子をとった、と。だが色々と事情がある子で、自分が養子をとった事は言わないでほしい、と……』
ミーナ(……隠さなければならない理由があった、ということ?)
「それで、実際に私教授に会ったのは……博士のお葬式、でしたわよね?」
将軍『そうだ。1937年……。ブリタニアのロンドンでな。その翌年だったよ。私教授がリべリオンのMITへ留学したのは。
……思えば、もう8年も前になる。私は随分老けたが……彼女はいまだに若々しいな。まあ、実際若いからだろうが……』
ミーナ「チューリング博士も私教授も、出身はブリタニアなのですか?」
将軍『少なくとも、私はそう聞いている』
ミーナ「……そう言えば、チューリング博士は事故でお亡くなりになったんですよね?」
将軍『事故? いや、私は、首の怪我が悪化したからだと……葬式ではそう聞いたのだが』
ミーナ「!? け、怪我……?」(そんな……私教授やお父さんは、確かに事故だと……)
ミーナ「そ、それはどなたからお聞きに……?」
将軍『当然、私教授本人からだよ。……ああ、それとあの白い扶桑犬ロボット。彼もそう言っていた』
ミーナ(……私教授とお父さんが、博士の死の真相を隠しているということ……?)
ミーナ「……分かりました。わざわざ、ありがとうございました」
将軍『もういいのかね?』
ミーナ「はい。申し訳ありません、長々と……」
将軍『ああ、いいんだよ。……それじゃあ、例の作戦については、また改めて……それでは』
ミーナ「はい。ありがとうございました」
プツッ… ツー、ツー、ツー…
ミーナ「ふぅ……」
ミーナ「……それにしても、一気に知りすぎたわね……。魔導エンジン、オペレーション・マルス、そしてAIウィッチ……」
ミーナ「ネウロイの技術を利用した、死なないウィッチを作る計画……それに、私教授も加わっていたなんて……」
「――え?」
ミーナ「!? だ、誰!?」
「えっ……あ、あたしだよ、中佐。訓練が終わったから、報告に……」
ミーナ「! し、シャーリーさん……?」
ガチャッ…
シャーリー「……ど、どういうことなんだ、中佐……? 私の奴が……ネウロイを……?」
――夕方、501基地・宿舎入り口――
私「ただいまー、っと」
タッタッタッタッタ…
シャーリー「私!」
私「あ、シャーリー。へえ、わざわざ出迎え? ありが――」
シャーリー「その荷物は?」
私「ああ、コレ? いや、別に大した物じゃ――」
シャーリー「……例の、死なないウィッチ、ってやつの部品か何かか?」
私「……聞いたの?」
シャーリー「……中佐からな。お前の関わってる計画の事も」
私「……そう。聞いたんだ」
シャーリー「……本当なのか?」
私「何が?」
シャーリー「ネウロイの技術を使って、とんでもない物を作ろうとしてるってことがさ!」
私「! な、なによ……そんな声荒げて……」
シャーリー「……なあ、どういうことなんだよ。どうして、お前が……そんな計画に……!」
私「……怒ってるの?」
シャーリー「……分からない。でも、正直戸惑ってる。だって……ネウロイだぞ!
ろくに分かってもないあいつらの力を使ったって、いつかのウォーロックみたいに……!」
私「シャーリー、聞いて。……私は決して、利己心でこの計画に加わったわけじゃない。
ただ……アンタたちが危ない目に遭ってまで戦うのが、我慢できなかったから……」
シャーリー「……」
私「毎月、毎週……いや、毎日かもしれない。この地球上のどこかで、ウィッチがネウロイと戦い、そして傷ついている。
人生の盛りを血と硝煙で汚しながら、女の子たちが銃を手に取り、そして堕とされていく……。女の子らしい、普通の生活なんて送れずに。
私は、そんな今の世界がたまらなく嫌なのよ」
シャーリー「……で、でも……それは……」
私「ウィッチの義務、って言いたいわけ? ……だとしても、私には……どうしても耐えられない。耐えられなかった。
たとえ、アンタたちが自分で選んだ道だとしても……」
シャーリー「…………」
私「……だから、AIウィッチの開発に協力した。……計画自体は、何年も前からあったんだけどね。
その時は、自分の技術を兵器に使われるなんて、嫌だったけど……私が作った物が、アンタたちの無事に繋がるなら……まあ、いいかな、って」
シャーリー「……わ、私……」
私「凄いのよ、AIウィッチは! 遠隔操縦の素体が壊されても、AIを破壊されない限り、何度だって戦える!
しかもその度に、戦闘を分析して強くなっていく!」
シャーリー「……そのAIも、やっぱりお前が今まで作ってきたような奴なのか?」
私「いいえ、AIウィッチのAIは、従来と比べて遥かに性能のいいAIになるわ! 当然でしょ、戦場で臨機応変に敵を倒すためには、ただのロボットじゃいけないのよ。人間と同じように、的確に判断し、柔軟な思考を行える……そう、まさしく……"心"を持ったAI!」
シャーリー「……! そ、それじゃあ……ほとんど人間じゃないか!?」
私「そう! 情緒とか記憶とか……人間の脳の持ちうるほとんどを搭載した、あのお父さんのようなAIよ。
人間と同じようにコミュニケーションを取り、人間と同じように感情を表現できる……究極の人工知能!
夢だったわ……これを完成させるのが。鋼鉄の人間を、この手で作り出す事が! かつてお母さんが成し遂げたように!」
シャーリー「……その、心を持ったAIを……ネウロイと戦わせるんだな……」
私「ええ、でも、別に何の問題もないでしょ? 人間の形だからって、どうせ機械よ、人間じゃあない。壊れたって何度でも復活できるんだから」
シャーリー「……………………」ワナワナ
私「ね、だからシャーリー、私はただ――」
シャーリー「――ふざけるなぁっ!!!!」
私「!?」ビクッ!
シャーリー「……何がAIウィッチだ。何が死なない兵士だ! 心を持ってるんなら……当然、消える怖さも感じるんだろ!?
それを『何度でも直せるから』なんて――! 死ぬ恐怖を永遠に味あわせるようなもんじゃないか!」
私「! ……し、シャーリー、違うのよ……私は、ただ――」
シャーリー「……お前、前に『子供が欲しい』って言ってたよな。欲しいけど、できない。だから…作りだせばいい、って。……こういう意味だったんだな」
私「……! それは……」
シャーリー「どこの世界に、子供を進んで戦場に送る親がいるんだ! 作り物だか何だか知らないけど……人間と同じように心を持って、周りと接せるなら……命を持ってるのと同じじゃないか! お前のやろうとしてる事は、ただの殺人だぞ!!」
私「……し、シャーリー……! ちが――」
シャーリー「――人間の形をした機械? 絶対に死なない命? ……ふざけるな。そんなの――哀しいだけだ!」
シャーリー「人のフリした機械なんて……許されるはずないんだよ!!!」
私「―――――――!!!!!!!!!!!!!!」
シャーリー「……え?」
私「」
シャーリー「……お、おい……」
私「――――」
私「…………」クルッ
私「……いいわ、それなら」
シャーリー「……え?」
私「……そんなふうに思ってるなら、もう協力してくれなくていい。……これは、私1人で完成させる。
……何も、わざわざ嫌な事させる必要もないしね。……もう、研究室に顔出さなくていいから」
シャーリー「……! お、おい……それって……!」
私「……もう、助手なんてやらなくてもいい、って言ってんのよ」
シャーリー「――!!」
私「……どうせ、ここに来るまではずっと1人だったんだから。……元に戻るだけよ。
そもそも、そっちが勝手に言ってきたんだしね。いつアンタを辞めさせようが、私の勝手でしょ?」
シャーリー「――ッ! ……そうかよ! あたしだって……あたしだってな! 今のお前みたいなマッドサイエンティストの助手なんて……!!
分かったよ! お前が考えを変えない限り、絶対に戻ってやんないからな!」
私「……そいつは無理よ。もう……私は止まれない」
シャーリー「ッ……勝手にしろっ!」
私「……少しでも、アンタに手伝ってもらおうなんて……応援してもらおうなんて思ってた、私が間違ってた。
……今まで御苦労さん……"イェーガー大尉"」
ガチャ…
バダン!
シャーリー「…………」
シャーリー「なんでさ……」
シャーリー「……なんでだよ……私ぃ…………!」グスッ
――私自室・研究室――
私「…………」
父「……いいのか」
私「悪趣味ね、聞いてたの?」
父「……母さんも言っていたろう、友達は大事に――」
私「そんなナリで父親面されてもね……」
父「! おい……!」
私「……冗談よ。……じゃ、ちゃっちゃとやりましょうか」
父「直諦回路はどうなった? 未完成なんだろ?」
私「あのノートに書かれてないんじゃ仕方ないわよ。……それに、司令部から貰ってきたこの記憶板を連結すれば、十分その機能は補えるはず」
父「……例の、最終手段は?」
私「……使う時が来ないように、最善を尽くすしかないわ。まあ、一応準備はしてあるわよ」
父「……そうか」
私「…………」
父「…………やっぱり、大尉と――」
私「無駄口聞いてないで、ほら、ドライバー取ってよ」
父「……ん」スッ
私「……昔っから、こうやって1人で何でもやってきたんじゃない。……ずっと、1人で。
今更何を……」
父「…………そうか。……そうだな」
私「…………」
『人のフリした機械なんて……許されるはずないんだよ!!!』
私「……分かってるわよ、そんな事……」
――数日後、501基地・食堂――
シャーリー「…………」
ルッキーニ「……? シャーリー、冷めちゃうよ?」
シャーリー「! あ、ああ……」
――あれから、7日。
私の奴は……ずっと、開発室に籠りっきりだ。
……でも、あたしには「出て来い」なんて言えない。……言えるわけがない。だって……。
『あたしだって……あたしだってな! 今のお前みたいなマッドサイエンティストの助手なんて……!!』
シャーリー「…………」
――言い過ぎた……今になって都合よく、そんなことを思ってしまう。
どうして、あんなことを言っちゃったんだろう。……腹が立っていたから? 私に? それとも、私をそこまで思いつめさせていた――自分たち自身に?
『……もう、助手なんてやらなくてもいい、って言ってんのよ』
――でも、いくら後悔したって……もう、あたしにできることなんてない。
もう、他人なんだ。あたしは……助手でも、相棒でも、なんでもない……ただの、他人。
なにせ……自分でそう宣言しちゃったんだから。
ルッキーニ「……ねえ、シャーリー」
シャーリー「……ん?」
ルッキーニ「私、大丈夫かな……だって、ぜんぜん出てきてくれないよ……?」
シャーリー「……さぁな」
ルッキーニ「! シャーリー、心配じゃないの!?」
シャーリー「……何でだよ?」
ルッキーニ「えっ……だ、だって! 助手だって……!」
シャーリー「……違うんだ」
ルッキーニ「……え?」
シャーリー「…………もう、違うんだよ」
――このままではいけない。心のどこかで、そう思っているのに……。
シャーリー「…………」
――あたしは……どうすれば……?
――私自室・研究室――
私「……や……やった……やった……!! ついに……ついに!」
父「ま、まさか……本当に……!!」
私「は、はは……ははははは……! やった……やったわ! やったわお母さん!
ねえ、凄いでしょ、シャー――」
父「……?」
私「あ――」
父「……スイッチ、押さないのか」
私「……うっさいわね、言われなくたって……」スッ
≪――――――≫
父「…………」
私「……さぁ…………」
私「産声を聞かせて……私の……かわいい娘……」
私「今日が……あなたの誕生日よ……」
カチッ…
≪――≫
≪――――≫
≪――――――――≫
≪――おはようございます、ご主人さま――≫
私「……ママン、って……呼んで……?」
≪――はい≫
娘≪――ママン――≫
第13話、おわり
最終更新:2013年02月07日 14:30