前回までのあらすじ!
ペロペロ大好き変態教授・私の、501での日々も終わりが近づいていた。
娘≪――どうして、マキナ……ママンのいうこときかなきゃいけないの? だって、ママンは――≫
爆発的に成長していくAI・マキナ。
私「……中佐。みんなには……黙っておいてくださいね。……今まで、お世話になりました」
AIウィッチの開発の為、誰にも知られないうちに基地を出発しようとする私。
しかし、そこに
シャーリーが駆けつけて――。
シャーリー「……っ……おまえの……! おまえの顔なんて、もう……もう、2度と……!! ううっ……!」グスッ
私「……ありがとう。……さよなら、シャーロット・イェーガー大尉。
……元気でね」
『私……うん、やっぱり、"私"にしましょう。いい名前でしょ?』
『――そんなこと、機械に聞かないでくれ』
『ほら、私……こっちにおいで』
『あ、こら、それは玩具じゃ――!』
『……ぁっ……ぐっ……がはっ……!』
『!? お、おい……何してるんだ、おいっ!』
『……お……お父……さん』
『喋るんじゃない! 待ってろ、すぐに医者を――』
『……わ、わた……しを……お願い……。あの子を……どうか……幸せに……
……ひとりぼっちに……させないで…………』
『……? おい……母さん……母さん……!?』
「――ん、――さん、……お父さん!」
――朝、501基地・玄関横の庭――
カチッ!
父「ハッ!?」バッ
アレッシア「! あ、よ、よかった……! 生きてた……!」
父「あ、アレッシアさん……? ……! そ、そうだ! 私の奴……! くそ、ご丁寧にタイマーまで掛けやがった……!」
アレッシア「へ?」
父「アレッシアさん、今日は……何月の何日ですか!?」
アレッシア「えっ……た、確か、7月4日でしたけど……」
父「! しまった……もう作戦の日か! アレッシアさん! 私の奴を見ませんでしたか!?」
アレッシア「私さん? いえ……今日は大規模な作戦があるとかで、ウィッチの皆さんももう出発されましたよ。
私さんも一緒じゃなかったんですか?」
父「いえ、それが……くそ、大変だ……早く追いつかなくては」ダッ!
アレッシア「あっ、お、お父さん! 待って!」
父(嫌な予感がする――このままでは不味い……!)
――アドリア海、航空母艦・天城、倉庫――
兵士「……よし、全部揃ってるな」
兵士「……しかし、一体何なんだ、この積み荷は? 結構量あるし、重いし――」
整備兵2「何だよ、私教授から聞いてないのか? あの人に頼まれたんだよ、こいつらを整備して、天城に載せておいてくれって」
兵士「そりゃあ、俺も聞いてはいるが……」
整備兵3「ま、いいじゃないっすか。危ないモンでもないんでしょうし」
兵士「――まあ、そうだな」
整備兵1(……そうだ、危ないモンじゃない)
整備兵2(……使い方次第じゃ、『とてつもなく危ないモン』さ――)
――501基地・停泊場――
父「……くそ……もう、出た後か……!」
アレッシア「はぁ……はぁ……! お、お父さん……!」タッタッタ
父「! アレッシアさん……」
アレッシア「――ど、どうしたんですか? 一体、何が――」
父「…………そ、それは……」
アレッシア「――私さんに、なにか良くない事でも?」
父「……!」
アレッシア「……教えてください、お父さん。私だって、501の一員なんです。
……それに、あなたが困っているなら、少しでも力になりたい。……お願いです、何があったんですか……?」
父「…………」
父「……アレッシアさん、俺は……あなたを信頼しています。だから、あなたも……、
これから俺が話す事は……決して、誰にも言わないと約束してくれますか」
アレッシア「……」コクッ
父「……どうか、落ち着いて聞いてください。……実は――」
――アドリア海上空――
ブゥゥゥゥゥゥン…
シャーリー「…………」キョロキョロ
ゲルト「……何を探しているんだ、シャーリー」
シャーリー「えっ……あ、いや、その……」
ゲルト「全く……今から作戦という時に、お前という奴は」
シャーリー「……ごめん」
ゲルト「……あのボートだ」
シャーリー「えっ? ……あ、あれ?」
ゲルト「ああ。私の奴は、あのボートに搭乗しながらマキナのAIを管理するらしい」
シャーリー「……なんであたしが、あいつなんかのことを気にしてるなんて思ったんだよ?」
ゲルト「それ以外に何かあるのか?」
シャーリー「……フン」
――同時刻、航空母艦・天城、艦橋――
杉田「魔導ダイナモはどうだ?」
兵士「直前のシステムチェックでは、異常は見受けられませんでした」
将軍「――当然だ。見受けられては困る」
杉田「大和内部の方は、どうでしょうか?」
将軍「待っていてくれ、今連絡を付ける。……おい」
兵士「はっ!」カチャカチャ…ピュイーン
娘≪はーい、もしもし!≫
将軍「私だ。……魔導ダイナモの調子は?」
娘≪うん、大丈夫ですよ! いつでも飛べます!≫
将軍「そうか、分かった。……お母さんに代わってくれるかな」
娘≪はいはーい! ……ママンママン、おでんわだよ≫
杉田「……しかし、本当に機械なのですか? この声……本物の人間のようだ」
将軍「ああ、正真正銘の機械だ。……限りなく、人間に似せた、な」
ガチャッ!
私『はいはい、私だけど』
将軍「AIポッドに何か異常はあったか?」
私『全然。あるわけないでしょ、なんてったって、この私が作ったんだもの』
将軍「無人船の運航も、上手く行っているようだな」
――同時刻、小型無人ボート内――
私「ええ、すこぶる快適。……ま、素体を動かして大和を操縦しながら、この小さなボートも動かすなんて、あの子にとっちゃ朝飯前でしょうね」
将軍『ネウロイとの交戦に突入したら、まずは回避を第一に考えろ。AIポッドが破壊されてしまっては、元も子もないからな』
私「分かってるわよ。よく言い聞かせてあるから」
将軍『もうすぐヴェネツィア近海に出る。501が先行して護衛のネウロイを潰すから、その隙に――』
私「『魔導ダイナモを起動させ、大和を突入させる』――でしょ? 何回ブリーフィングしたと思ってるのよ」
将軍『分かっているならいい。……それでは、お互い健闘を祈ろう』
私「祈るまでもないわよ、きっと」
将軍『……フッ』 プツッ
私「……さて、いよいよか」
娘≪ん~……ふふふふ~ん♪≫
私「随分と嬉しそうね、マキナ。何かいいことでもあったの?」
娘≪うん! マキナね……やっとわかったんだ≫
私「……?」
――同時刻、501基地、廊下――
アレッシア「……そん……な……」
父「……信じられないかもしれませんが、すべて……紛う事なき真実です。アレッシアさん」
アレッシア「だ、だって……そんなこと……まさか……!」
父「……今まで黙っていて、すみませんでした。……でも、こうするしかなかったんです」
アレッシア「…………」
父「……おっと、ここだな」
ガチャッ…
――私自室・資料室――
父「ええと、確かここいらに……お、あったあった」ゴソッ
アレッシア「……? そのノートは?」
父「……最後の手段に必要な物です。……よし、ちゃんと書いてある。あとは……っと、よし、このノートだ」
アレッシア「? そっちは随分古いんですね」
父「ええ、母さん――チューリング博士のノートです。……やっぱりな、白紙のままだ。……私の奴、最後まで気付かなかったのか」
アレッシア「それで、お父さん……これから、どうやって私さんに追いつくんですか?」
父「……それなんですけどね、……アレッシアさん」
アレッシア「?」
父「……車、運転できます?」
――十数分後、ローマ近郊、民間航空会社――
コポコポコポ…ゴクッ
男「……ふーっ……」
男(仕事の合間の、一杯のコーヒー……美味すぎる。労働の喜びを知る者にしか分からない美味さだ)
男(軍を辞めて、航空会社を立ち上げてから数週間……客足も上々)
男(妻も実家から戻ってきたし、一家3人の大黒柱として、これからがんばらなくっちゃな)
男(……あ、そうだ。来週シェリーの誕生日だったなぁ。ふふ、何を買ってやろうか)
ブロロロロロロ…
キキーッ!
男(ぬいぐるみ……は去年あげたしな。服とかどうだろう……でもよく分かんないしなぁ。あれくらいの女の子って、どんな服が――)
ガチャッ!!
男「あ、いらっしゃいま――」
父「」チャキッ
男「――せ――」
アレッシア「……その、強盗です。……飛行機を出して下さい」
男「……お、お金じゃなくて……?」ガクガク
――アドリア海上空――
ゲルト「……来たぞ!」
シャーリー「ッ!」
――ヴェネツィア上空にそびえ立つネウロイの巣から、無数の小型ネウロイが飛び出してくる。
何かの本で読んだ、未確認飛行物体みたいなフォルムのそれらは、大和をめがけ、まっすぐに飛来してきた。
ミーナ「大和がネウロイ化するまでの3分間……なんとしても大和を守り切るのよ!
ストライクウィッチーズ、出撃!!」
全員「了解!!」
――戦いの火蓋が、切って落とされた。
――戦艦大和・魔導エンジン室――
将軍『始まったぞ! 魔導エンジンの準備は!?』
娘≪もう起動済みですよー、っと!≫カチャカチャ
将軍『ネウロイ化が完了次第、すぐに巣へ飛び込むんだぞ!』
娘≪もー、わかってますよー≫
私『マキナ、異常は?』
娘≪あ、ママン! ううん、なーんにも。万事じゅんちょー、ってやつ!≫
私『そう……今、ウィッチのみんなが必死で戦ってくれてる。なるだけ早くお願いね』
娘≪アイアイ!≫
――アドリア海上空――
ダダダダダダダダ!!!!!
ネウロイ「」ビシッ! パキッ!
ルッキーニ「いっえええ――いっ!!!!」ダダダダダダ!!!
ネウロイ「」ビュン!!
シャーリー「! こいつら、次々と……!」
――小型ネウロイは、軌道自体は単純だった。厄介なのは、その数の多さだ。
あたしやルッキーニが、一体一体倒して行っても、すぐに新手がやってくる。……弾薬が切れるのも、時間の問題かもしれない。
ネウロイ「」バギュウンッ!!
エーリカ「! あいつ……大和に!」
宮藤「させないっ!!」ビュオン!!
パキィィィィィィン!!!
ルッキーニ「よっしゃぁ、シールドっ!」
――大和に放たれたビームを、間一髪のところで宮藤が食い止めた。
エーリカ「ナーイス、宮藤!」
ネウロイ「」ブォン!
エーリカ「!」ダダダダダ!!
――不意打ちをするかのように、ハルトマンの背後に現れたネウロイ。
だが、流石はスーパーエースのハルトマンだ。
軽く引鉄を絞るだけで、瞬く間に背後のネウロイを木っ端微塵にする。
ミーナ「間違いないわ……ネウロイは大和を狙っている」
坂本「奴ら、大和が普通じゃない事に感づいたのか!?」
ネウロイ「」バシュウッ!!
リーネ「! あのボート、危ないっ!」
シャーリー「!!」
――大和への攻撃を中断した1機のネウロイが、大和よりも少し離れた場所に、無防備に浮いているボートへと向かって行く。
……冗談じゃない。あそこには……!
シャーリー「くっ……間に合えっ!!」
――ボート内――
私「マキナ、あとどれくらい?」
娘≪んーとね、あと1分!≫
私「オッケー、それくらいなら……」
娘≪――!! ママン、ネウロイがこっちに!≫
私「! なんですって……! マキナ――」
娘≪分かってるよ! 取り舵、いっぱーい!≫
ザザザザザッ!!
ネウロイ「」ビューン!
私「くっ……向こうのが速い……!」
ネウロイ「」バシュウッ!!
私「! しまっ――」
ガキィィィィィィィン!!!
私「……? ……!!!」
――アドリア海上空――
シャーリー「くっ……!」
ネウロイ「」ビィィィィィッ!!
――危なかった。何とかビームの当たる寸前に、シールドを張ることができた。あとは……。
シャーリー「食らえっ!」ダダダダダ!!
ネウロイ「」バキッ! メキョッ!!
……パキィィィィィィン!!!
シャーリー「……よしっ!」
――M1918をぶっ放し、ネウロイを粉砕する。
金属音のような断末魔を上げて、ネウロイは光の粒子へと変わっていった。
シャーリー「…………」チラッ
――横目に、ちらりとボートを見やる。
白い水飛沫を上げながら、最早必要ない回避行動を取る小船が、そこにあった。
……良かった。無事だ。
私「……!」
シャーリー「!! ……ッ」
――船室にいた"白衣の女性"と、一瞬だけ目が合ったが……すぐに逸らす。
……爽やかにウィンクの1つでも贈ろうかと思ったが、そこまで親しい間柄でもないことを思い出し、取りやめた。
無事なら、それでいい。……それでいいんだ。
――ボート内――
私「……シャーリー……」
娘≪ママン、ママン!≫
私「! どうしたの、マキナ!」
娘≪ネウロイ化、100%完了したよ! いつでも飛べる!≫
私「! オッケー、分かったわ! 今、将軍に連絡を……」
将軍『大丈夫だ、聞こえている!』ガチャッ
私「将軍!」
将軍『舞台は整った……思う存分、ネウロイを殲滅してきてくれ!』
娘≪――うん≫
将軍『よし……ネウロイ戦艦大和、発進!!!』
娘≪りょーかい。――ふふっ≫
私「…………?」
最終更新:2013年02月07日 14:31