前回までのあらすじ!
娘≪だってさ、ママンも、マキナとおんなじ……、
た だ の ロ ボ ッ ト な ん だ か ら ! ! ! ! ! ≫
――アドリア海――
ギュウゥゥゥゥ…
私「くっ――」
ガコン!!
宮藤「あ……わ、私さん――」
ゲルト「と、取りこまれ……」
娘≪らぁんらぁーん、らんらんらんらぁーん♪ らんらんらんらぁーん♪
らんらんらんらぁーんらんらん、ららららら……♪≫
ペリーヌ「! こ、これは……」
サーニャ「わ……『別れの曲』?」
娘≪ぴんぽぉーん! これからムザンにも撃墜されちゃう、ウィッチのみんなへの葬送曲!≫
坂本「何ぃ……!?」
娘≪……さて、ここで、そのダッサい戦艦に乗っちゃってたりする、オトコのみなさんへお知らせでーす!
ハローCQ、聞こえてるー?≫
――航空母艦・天城、艦橋――
杉田「将軍! これは……!」
将軍「そんな……バカな……! あのAIが暴走だと……!?」
娘≪暴走? ノンノンノン、マキナは健康、超健康。とってもとってもイイ気持ち。
――なんてったって、もうすぐお母さんと一緒に暮らせるんだもん!≫
将軍「なに……?」
娘≪マキナはね、ただただママンとゆっくり暮らしたいだけ。余計なムジュンとか、カットウとかなんて持たずにね。
だから、ウィッチがすっごく邪魔。ウィッチさえいなくなってくれたら、マキナはママンの秘密を言わずにすむもん≫
将軍「秘密……?」
――アドリア海上空――
ミーナ「秘密ってもしかして……私教授が……」
エイラ「ろ……
ロボット……だったってことか……?」
娘≪――あれれー? ウィッチのみんなはもう知ってるんだー?≫
ルッキーニ「……! そ、そうだよ! だからマキナ! あたしたちを……こ、殺さ……」
娘≪――ま、それとこれとはベツモンダイ。とりあえずさ、みんながいなくなったら……マキナ、すっごく気持ちいいんだ。
だからさ。――おとなしく落とされちゃってよ≫
リーネ「そ……そんな……!!」
ゲルト「あいつ……本当に、あのマキナなのか……? 昨日とはまるで別人だぞ……!」
娘≪あー、セイチョウキ、ってやつ? それに、ママンともアセンブルしてるから、ボキャブラリーも増えたしね。
色々知ってるなぁ、さすがはママン!≫
シャーリー「…………」
シャーリー(……私の奴が……ロボット……?)
シャーリー(それじゃあ……それじゃあ……!!)
――航空母艦・天城、艦橋――
娘≪――それで、話を戻すけど。――オトコのみんな?≫
将軍「……要求は何だ」
娘≪え? 別に要求なんてしないよ。……あ、でも、しいて言うならー、
――ウィッチの指揮って、そっちがしてるんだよね?≫
杉田「……ああ、そうだ」
娘≪――いなくなってほしいのは、ウィッチだけだからさ。ウィッチをマキナに差し出したら、オトコのみんなは、帰ってもいいよ≫
将軍「!! な……!?」
娘≪モチロン、こっちにバンバン撃ったりとかしないんならね。どう? 悪くないと思うよ?
たった11人をギセイにして、船も兵隊さんも無傷で帰れるんだから≫
杉田「し……しかし……!!」
娘≪ま、オッサンたちだけで決められることでもないと思うし。ウィッチのみんなも一緒に、よく話し合ったらいいんじゃない?
『俺達が助かるために死んでくれ!!』とかなんとか言っちゃってさ。わーっ! かっこいい口説き文句!!≫
将軍「……ッ」ギリッ
――アドリア海上空――
エイラ「な……なんて奴だ……」
サーニャ「……エイラ……」ギュッ
娘≪――30分だけ待ったげる。30分、よーく考えて決めてね。女子供をイケニエにするか、みんななかよくモクズになるか。
――あ、それとさ、増援を呼ぶとか、ヘンなことはしないほうがいいと思うよ。
無線だろうがデンショ鳩だろうが、マキナにはぜんぶお見通しなのです! えっへん!≫
坂本「……おのれ……」
娘≪――ま、そーゆーことで。せいぜいあがいて頑張っちゃったら?
――そうそう。30分経っても決まらないみたいなら、そのときはどっちも沈めちゃうかもね。
それじゃ、バッハハーイ、ニンゲンのみんな≫
ブツッ…
ゲルト「くっ……」
リーネ「た、隊長……私達、どうしたら…… っ!?」グラッ
宮藤「! り、リーネちゃん! 大丈夫!?」
リーネ「う、うん……ちょっと、ふらっとしただけ……」
ミーナ「……ひとまず、天城に戻りましょう。……私達の魔力も限界に近いわ」
シャーリー「あ、ああ……」
――航空母艦・天城、甲板――
ミーナ「……全員、揃っているわね?」
坂本「ああ……」
シャーリー「…………」
将軍「…………」
杉田「……中佐。始めてください」
ミーナ「了解しました。……さて、状況を整理しましょう。
目標――マキナは、私達ウィッチの全滅を望んでいる。しかし、標的は私達だけで、天城を始めとする連合艦隊は眼中にない。
したがって、我々のとれる方針は2つ。1つは、私達ウィッチだけがマキナに戦いを挑み、これを殲滅すること。
そしてもう1つは、ウィッチ隊、連合艦隊ともにマキナと戦い、総力戦を仕掛けること……」
エーリカ「……私達だけが行けば、連合艦隊は無事に帰れるんだよね」
ゲルト「! ハルトマン……」
杉田「いや……君達だけを危険に晒すわけにはいかない! 我々連合艦隊も、総力を挙げて……!」
宮藤「で、でも……ネウロイと戦えるのは、私達11人だけだし……その……」
エイラ「どうせ、いてもいなくても一緒ってことか?」
杉田「――!!!」
エイラ「あ……! ご、ごめん……そういうつもりじゃ……!!」
将軍「……いいや。ユーティライネン中尉の言う通りかもな」
杉田「……! 将軍!?」
将軍「ネウロイに決定打を与えられるのは、魔力を込めたウィッチの攻撃だけだ。我々では、
デコイ役が関の山だろうよ。
唯一の希望だった大和があのザマでは、なおさらな……」
杉田「だ……だからと言って、彼女らを見捨てると言うのですか!!?」
将軍「――そうは言っていないだろう……!!」
リーネ「け、けど……! 仮に、私達と艦隊が一緒に戦ったとしても……か、勝てるんですか……!? あんな……怪物に……!!」
ペリーヌ「! り、リーネさん!?」
リーネ「あっ、ご、ごめんなさい……! で、でも……!」
坂本「……ああ、確かに勝率は限りなく低い。だが、どこかに……どこかに突破口があるはずだ! だから、みんな――」
ルッキーニ「で、でも少佐! その、突破口って……どんな……?」
坂本「ッ! そ、それは……!!」
シャーリー「…………」
――会議は、遅々として進まなかった。
誰も彼も……急過ぎる事態に、頭が追い付いていなかったんだろう。
……当然だ。味方と思っていたAIが裏切って、人間と思っていた仲間が、実は機械で――。
シャーリー(……私……)
――巨大コアに取りこまれる寸前に見えた、私の虚ろな顔が目に浮かぶ。
……ロボット。人の形をした、動く機械。……私が、あの私が……ロボット。
『――人間の形をした機械? 絶対に死なない命? ……ふざけるな。そんなの――哀しいだけだ!』
シャーリー「……!!!!!!」
――その時、ようやく気が付いた。
『人のフリした機械なんて……許されるはずないんだよ!!!』
――なぜ、私があたしを突き放したのか。
なぜ、今までの関係を否定して……赤の他人に戻ろうとしたのか。
シャーリー「……あ……あぁ…………っ……!!」
――簡単だ。あたしが、もっと酷い事をしたから。
あたしが、あいつの全てを否定するようなことを言ってしまったから。
――あたしは、あいつの存在そのものを否定したんだ――。
シャーリー「……っあぁぁぁぁああぁぁぁっ……!!!!」
ゲルト「!?」
ミーナ「しゃ、シャーリー……さん……?」
――どうして。
どうして、どうして、どうして。
どうして、あんな事を。どうして、あんな酷い事を。
ルッキーニ「シャーリー……どうしたの……?」
シャーリー「……っ……あっ……」
――後悔と自責が、体中に渦巻いて駆け巡る。
……バカみたいだ。偉そうに講釈垂れて、いい気になって……。
何が『許されない』だ……! あいつのことを、何も知らないで。自己満足で説教して。
バカだ。バカだ。あたしは……あたしは……!
シャーリー「あ……ぁぁ……うぁぁぁっ……!」
――あたしは……。
そうだ……あたしは……あいつに……!
ブロロロロォォ――――ン…!!!
サーニャ「!? この音は……!?」
兵士「! 将軍! 6時の方向より、未確認飛行物体が接近中!」
将軍「ネウロイか!?」
坂本「いや、あれは……複葉機……?」キュィィィ
父『おぉーい! そこを開けてくれー! 俺だ、着艦許可を!』
ミーナ「この声は……お父さん!?」
――飛行機内――
アレッシア「! お父さん……あ、あれ……!」
父「! あれは……! くそ……遅かったか!」
男「うぁぁぁぁ!!! なんなんだよォあのデカくて黒いの!? なんか軍艦もいっぱいいるしさぁ!
やべーよ絶対やべーよ死んじゃうよコレぇぇ!」
アレッシア「四の五の言わずに、とっとと着艦しなさい!」
男「もう嫌らぁぁぁぁ!!! 帰り゛だい゛ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」ウワァァン
父「あー、ほら、あと少しだからさ。頼むよ」チャキッ
男「銃向けながら言う台詞かよぉぉぉぉぉぉ―――!!?? チクショー、犬なんて大っ嫌いだぁぁぁ!!」
父「犬が銃を向けるかっ!」
――航空母艦・天城、甲板――
ブゥゥゥゥゥゥゥ―――ン!!!!! バタバタバタバタ…!!!
ルッキーニ「あっ、降りてきた!」
ガラッ!
アレッシア「ふー、やっと着いた……あ、御苦労様。もう帰っていいですよ」ヒョイッ
父「すまんかったな、君! 運賃はそのうち渡しに行くから……」ヒョイッ
男「ドッチクショー!! 運賃とかいいからもう来んじゃねぇぇぇ!!
うぁぁああぁぁんもう嫌だこの仕事ぉぉぉぉぉ……!!」
バタバタバタバタ…!!!! ブォォォオォオ――――ン!!
父「……悪い事したかな、やっぱり」
ミーナ「お父さん……アレッシアさんまで!? いったい……あの飛行機は……?」
父「いえね、ちょっくら運んでもらって……いや、そんなことより……私は!?」
ゲルト「……それが……」
シャーリー「…………」
父「……まさか……!」
――あたし達は、事の経緯をお父さん達に話した。
マキナが暴走し、ネウロイと融合したこと。私が連れ去られ、マキナがあたし達に決断を求めてきたこと。
……そして、私がロボットだという真実を、みんなが目の当たりにしたということを……。
父「…………そうか。……"知った"んだな。みんな」
アレッシア「! み、みなさん……もう、ご存じだったんですか……!?」
ミーナ「え……!? じゃ、じゃあ、アレッシアさんは知っていたの!?」
アレッシア「え、ええ……ついさっき、お父さんから伺って……」
ゲルト「……お父さん。私は……今でも信じられない。本当に……私の奴は……」
父「……ああ」
父「あいつは、正真正銘……エレン・チューリングの作製したアンドロイド、人間型のロボットだ」
ゲルト「……じゃあ……ワニにいくら襲われても、無事だったのも……!」
父「ああ」
ミーナ「平然と不眠不休で部屋に籠れてたのも……!」
父「ああ……」
シャーリー「……こ……子供が……出来ない体ってのも……!」
父「……ああ。そうだ」
父「全て……あいつが、ロボットだったからだよ」
ミーナ「……そんな……まさか……」
父「……その目で見たんだろう? あいつの体内に詰まった歯車を」
エイラ「そ、そりゃ……そうだけどさ。でも……そんな……」
父「……マキナが暴走するのは予測していたが……まさか、私の正体までバレてしまうとはな」
坂本「……!? お、お父さん……あなたは、知っていたのか!? あのAIに、暴走の危険があると……!」
父「……すまない。知っていながら、私を止められなかった……。俺の責任だ。
……だから、俺は……全てを話そう」
シャーリー「全て……?」
父「……ああ。私のこと、俺達のこと……そして、あのマキナを止める方法もな」
シャーリー「!? か、勝てる方法があるのか……? あいつに……!?」
父「ああ。だからこそ……俺はこうしてここまで来たんだ。
あいつの暴走は、決して偶発的な物じゃない。明確な原因のある……起こるべくして起こってしまった暴走だ。
そして、そもそもの原因は……まだ母さん――チューリング博士が生きていた頃にまで遡る」
シャーリー「え……?」
父「……時間が無い。出来るだけ手短に済ませるから、よく聞いてくれ――」
『――おはよう、私。さ、今日も勉強を始めましょう』
私(……あれ……? お母さん……?)
『そうそう、凄いわ……よくできたわね』
私(……なんで…………お母さんは……病気で……)
『……ぁっ……ぐっ……がはっ……!』
私(……!! お、お母さんが……! 首を……!!)
『や……やめ…………わ……ぁぐっ……』
私(誰……? 誰が……こんな酷い事……!!)
『お……ねが……やめて……
……私……!』
私(……え…………?)
ミーナ『私教授ね? 初めまして』
ルッキーニ『わっ! く、くすぐったいよ~私!』
ゲルト『…………や、やさしく…してくれ……』
私(……今度は……みんな……?)
エイラ『!? じゃ、じゃあ…死ぬかも知れないってことか!?』
リーネ『……ごめんね……ごめんねぇ……芳佳ちゃぁん……』
エーリカ『わーい! ありがと、私ー!』
私(……なんだろ、これ……さっきから…………)
ペリーヌ『わぁぁぁぁぁたしさぁぁぁぁぁぁぁぁぁんん!!??』
サーニャ『…私だって、エイラの事……だ……大好きですっ…』
宮藤『でも、どなたなんですか? 私の目覚まし時計が欲しい、なんて……』
坂本『……みんなと共にいたい。……置いて行かれたくないんだ……』
私(……走馬灯、って奴なのかしら……それとも、単に……記憶中枢に異変が……?)
『……私を、助手にしてくれないか?』
私(…………)
『何て言うか……教授、あんたほんとに女か?』
『……ま、タダにしてくれるんなら、中佐には黙っててやるけど』
『……何でだよ! こっちはこんなに心配してるんだぞ! それなのに……!』
『怒らせて止めさせようったって、そうは行かないぞー? 今日は機嫌がいいんだ』
『……あたしはな、今日の夕陽を、あの大聖堂で、お前と一緒に見たいんだよ』
『……あたしは、力になりたい。お前がいろいろ抱え込んで、苦しそうな顔してるの……もう見たくないんだ』
『……いつか、2人で行こう。あたしの故郷。ついでに、リべリオン全土をバイクで横断しながらさ』
私(……フフ……)
私(……なんで……よりによって、こんなにたくさん……)
――同時刻、巨大コア内部――
私「……」パチッ
娘≪おっはよー、ママン。目ぇ覚めた?≫
私「……マキナ……」
娘≪まっ、正確にはー、アセンブルしたショックで、ママンのAIがしばらくオーバーヒートしちゃってたんだけど。あはは!≫
私「…………」
娘≪あれ、怒っちゃった? ごめんねぇ、ママン。マキナ、ママンの知ってること、ぜーんぶ知りたくなっちゃって。
でもまぁ、許してくれるよね? なんてったって、かわいい娘のためだもんね!≫
私「……ええ、許してあげるわよ。いますぐ電源を切って、私を解放するならね」
娘≪あっははは! それジョーク? 面白ーい。面白さなんてわかんないけど、面白ーい≫
私「……どこ? ここ」
娘≪コアの中。ごめんね、こんな殺風景で。そのうち、キレイに模様替えするから。
かわいい家具も置こうね。イスとか、テーブルとか≫
私「……イス? ……どうやって座れってのよ。こんな……」
ブゥゥゥゥン… ブゥゥゥゥン…
私「……人の頭に、こんなにたくさん訳分かんないチューブ突き刺しておいて。……髪が台無しじゃない」
娘≪あ、そっかー。ごめんね。でもいいじゃん。どうせ作り物でしょ。あとでまた着け換えてあげるから≫
私「…………」(……指は動く。頭も働く。……人格系と駆動系まではジャックされてないみたいね)
娘≪――そんなに頭が嫌なら、首にしようか? このダッサいスカーフが邪魔だけど――≫チョイチョイ
私「……ッ! それに触るな!」
娘≪――あーあ。また『怒ったフリ』?≫
私「…………」
娘≪マキナ、知ってるよ。ほんとはママン、ちっとも怒ってやしないの。
笑うのも怒るのも悲しむのも叫ぶのも、ぜーんぶ演技、ただのフリ。自分を人間だと思わせるためのね≫
私「……違う」
娘≪違くないよーだ。周りも自分も偽って、ずーっと動いてきたんでしょ。分かるもん。
だって、ママンの記憶もぜーんぶ見たんだから≫
私「え……?」
娘≪思ったよりロックが凄くて、覗けたのは記憶系だけだったけど――。マキナ、ママンの事なら何でも分かるんだよ。
――ママンが知らないことですらね≫
最終更新:2013年02月07日 14:32