<軍事帝国首都。大通り>
わあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
すごい歓声がこだまする中、軍事帝国首都の大通りでは皇帝就任1周年の記念パレードが行われていた。
国民「陛下ー!陛下万歳!帝国万歳!」
国民「皇帝陛下万歳!皇帝陛下万歳!」
国民「きゃ~陛下~!こっち向いて~!」
国民の盛大な歓声の中、帝国皇帝当人はパレード用車両の上で・・・。
わんこ「Zzz・・・。」
寝ていた。
ミーナ「陛下、寝ていないで少し国民の皆さんに手でも振ってあげてください。」
わんこ「Zzz・・・。」すやすや。
バルクホルン「ミーナ、陛下を寝かせてやってくれ。毎日の激務で疲れているんだ。こんな小さな子なにのかわいそうに・・・。」
ミーナ「激務・・・?トゥルーデ、陛下は激務なんてしてたかしら。昨日だって午前中は虫採りに行ってて、お昼から昼寝。夜もウィッチ達と遊んでいただけだったような気がするけど・・・。」
バルクホルン「・・・。」
ミーナ「ほら、国民だって・・・。」
車両の上でウィッチらしき女性の膝の上で眠り、中々顔を見せてくれない皇帝に対して国民の怒りも・・・。
国民「今日の陛下はお疲れか・・・。小さな子供だし仕方ないな。」
国民「残念ね。プロマイドで我慢しよう・・・。」
国民「皇帝陛下を疲れさすなんて側近たちは何をやってるんだ無能共め。」
爆発などしていなかった。
ミーナ「・・・。」
バルクホルン「国民は皆、皇帝陛下がどの様な方かわかっているようだな。」
その昔、3国でなく国が無数に乱立していた時代、武力をもって他国を支配下に置き、現在大陸最大の国家となっている<軍事帝国>
この国は代々皇帝が国を治め、現在の皇帝は『まだ幼い男の子』
とある陰謀により無理やり祭り上げられた皇帝であったが、その可愛らしい容姿と行動から国民の支持率は絶大なものとなっていた。
中には快く思わない者もいるようだが・・・。
マロニー「・・・。まさかこのような事になるとは私の誤算だった。」
バルクホルン「どうしました、マロニー大臣。浮かない顔をして。」
マロニー「何時どこから皇帝陛下を狙う輩が現れるかもしれないから気を配っていただけだ。それよりもバルクホルン大尉、警備のほうは万全なのだろうな?」
バルクホルン「今の帝国には皇帝陛下の命を狙おうなんて思っている国民は皆無です。
事前に狙撃ポイントになりうる場所は左翼大隊が警備にあたっていますし、右翼大隊がこうやって陛下近くに配備され守りについています。右翼大隊大隊長自ら陣頭指揮を執っているので安心でしょう。」
教官「・・・。そうか動きはなしか。だが最後まで気を抜くなと再度全大隊員に通達しておいてくれ。
マロニー大臣、安心してください。狙撃ポイントになりうる場所に不審人物は0。直感ですが危険は感じられないのでもう大丈夫でしょう。」
マロニー「それならいいのだが・・・。」
わんこ「」むくり。
ミーナ「おはようございます、皇帝陛下。」
わんこ「」きょろきょろ。
マロニー「さあ、皇帝陛下。国民達が陛下の姿を一目見たいと待っていますよ。国民にその可愛らしさを見せてあげてください。」
わんこ「」こくこく。
小さな男の子は椅子から立ち上がり、国民へと手を振り、ついでに尻尾もはち切れんばかりに振り始める。
国民「うおーーー!皇帝陛下ーーー!」
国民「今日の皇帝陛下もかわいいよおーーー!」
国民「きゃ~~~~!」
皇帝の姿を見て国民が一気にヒートアップする。軍事帝国と名は付くが表面上ではとても平和な国なのだ。表面上では・・・。
わんこ「」ふりふり。
バルクホルン「皇帝陛下かわいいよ皇帝陛下。」
教官「バルクホルン大尉・・・。まだ任務中な上に国民の前だ。ハァハァするのは城に戻ってからにしてくれ。」
バルクホルン「はっ!?申し訳ございません、教官将軍・・・。」
ミーナ「トゥルーデの悪い癖ね。それにしてもこの国も随分と平和になったわね・・・。」
教官「戦争ばかりしていた数年前とはくらべものにならないな。願うならばこの平和が続いて行くといいが・・・。出来れば娘には戦争など体験させたくないな。」
バルクホルン「私も妹にももう二度と戦争のせの字は見せたくない。」
マロニー「長い間戦いを経験してきたが、平和がやはり一番だ。我々が平和を維持していこうではないか。」
教官「そろそろパレードも終わりだ。最後の最後で問題が起こるかもしれないから再度気を引き締めて警戒に当たろう」
軍事帝国は今日も平和だ。今はまだ・・・。
<企業国家中枢部特別研究室>
ミノムシ「一体この送り主不明の宝石は何なんだろうねー・・・。見た目はただの赤い宝石なのにやたらエネルギーを放出してるし・・・。博士はコレ何だと思う?」
アタシ「さあ・・・あたしもお手あげよん。ミノムシちゃんこそなんだと思うわけん?」
ミノムシ「エネルギーを放出してる不思議な宝石。」
アタシ「それってそのまんまじゃないの。」
ミノムシ「俺でもこれが何なのかさっぱり見当がつかないんだよ、言わせんな恥ずかしい。」
アタシ「あたしやミノムシちゃんでも見当がつかないとなると本当にこれはまだ誰も発見したことがない特別な鉱石なのかもしれないわ。けど何のためにココに送りつけてきたのかしらん。」
ミノムシ「コレを見つけた奴も何かが分からなくて、大陸で唯一解析できそうなココへ持ち込んできたんじゃないか?でもそうなるとわざわざ送り主不明で送りつけてくる理由が分からなくなるな。」
アタシ「そうよねー。でもミノムシちゃん、この宝石丁度アレの動力源として最適なんじゃないかしらん。」
ミノムシ「アレの動力源か・・・。確かにここ数日エネルギーを放出し続けているにも関わらず、特に変化がないコレを動力源にするのはいいかもしれない。」
アタシ「流石にこの都市を賄うエネルギー量とは程遠いけど、アレを動かす分には丁度いい位なのよね」
ミノムシ「まだデータは取っておきたいから、取り終わったらコレをアレに搭載してみようか。」
アタシ「そうね。データ取りは助手達に任せてアタシ達はあっちで・・・。」
ミノムシ「それは遠慮しようかな。何度も言うけど俺はそっちの趣味はないからな。」
アタシ「ミノムシちゃんのいけずぅ。」
苦労人な研究員「博士!!また代表の尻を狙ってるんですか!?この間襲いかかって散々痛い目にあわされたのもう忘れたんですか?バカなんですか?」
アタシ「あの程度じゃアタシは止められないわよん!!」
苦労人な研究員「あんた一体誰に手を出そうとしてるのかわかってやってんの!?財閥の創立者でもありこの国の代表相手に襲いかかろうなんて・・・。本来ならブタ箱行きですよ。」
アタシ「でもアタシはブタ箱送りになんてされてないわよん?きっとミノムシちゃんは嫌だ嫌だといいながら本当はアタシのことを・・・。」
苦労人な研究員「それはない。そろそろいい加減目を覚ませよオッサン!」
アタシ「あ“ぁ”!?誰がおっさんだやんのかコラ??お前から掘ってやろうか。」
苦労人な研究員「やれるもんならやってみろよオッサン。」
アタシ「お望み通りやってやんよ。覚悟しとけオラァ!」
ミノムシ「あの二人はいつみても愉快だねぇ・・・。」
ここは大陸にある3国家のうちの一つ、<企業国家>の中枢となっている企業の特別研究室。
この国は最初、大陸一の『天才』が創立した小さな企業から始まった。
そしてその企業は一瞬にして巨大企業へ。
そしてものの数年で大財閥へとのし上がり、今では国家と認められるほど巨大な都市となっていた。
普通な研究員「ミノムシ代表、失礼します・・・。またあの二人は楽しそうな事をやってますね。」
ミノムシ「お前がここに来るのは珍しいな。上で何か問題でも発生したか?」
普通な研究員「ラボやラインでの問題は発生していません。それ以外で少し気になる事が報告されたので代表の耳にも入れておこうと思いまして。」
ミノムシ「気になる事か・・・。けど昨日の会議では何も報告はなかったはずだよね。」
普通な研究員「公にするのは不味いと思いまして・・・。この書類を見て頂ければわかると思います。」
ミノムシ「・・・。業績は予想通りだし、特に問題も発生はしていないね。どこに気になる事が・・・!?」
普通な研究員「気づきましたか?やけに帝国への武器の出荷量が多いんです。」
ミノムシ「確か帝国は2年前に装備を一新したいという要請があって、全装備をウチから買っていたはずだからまだ買い替えなんて必要ないはずだけど・・・。」
普通な研究員「そのはずです。考えられる事は一つしかありません・・・。」
ミノムシ「軍備の増強か・・・。」
アタシ「ハァ。ハァ・・・。軍備の増強っていったって2年前に一新したならする必要なんてないわよ?」
ミノムシ「普通はね。でも、どこかへ攻め込むとなったら?」
アタシ「兵は多い事に越した事はないわね。でも帝国に提供してる武器ごときじゃアタシ達の国を攻め落とす事なんて不可能よん?この間のデモンストレーションを兼ねた威圧を見てここを攻め落とそうなんて思う奴は正真正銘のお馬鹿よん。」
ミノムシ「博士、帝国とこの国以外にも国はあるだろう?しかもできれば手中におさめたくなるような国がさ。」
アタシ「連邦共和国・・・。確かにあそこの資源は魅力的よねー。」
ミノムシ「帝国も馬鹿じゃないはずだからまだ攻め込まないだろうが、何か些細な理由が出来たら多分攻め込むつもりだろうね。まだ推測の域ではあるけど。」
アタシ「そうなると大きな戦争が起こるわね・・・。帝国が共和国を攻め落とした後はアタシ達ってことよね。」
ミノムシ「うちには資源がないからね。それを盾にきっと同盟という名目で不平等な条件を付きつけてきそうだね。」
アタシ「そうなる前に帝国に先制して圧力をかけておくのはどうかしらん。」
ミノムシ「それはできないよ。うちは中立を貫くって宣言してしまったからね。攻め込まれるまではこちらから手出しは出来ないかな。」
アタシ「なんでそんな面倒な宣言しちゃったのよう。」
ミノムシ「仕方ないだろう。流石に2国同時に相手をするのは無理なんだ。だけどこの動きは少し気になるな・・・。ちょっと2国の状況を見てくる。」
アタシ「エエッ!?この国をほっぽり出してのんきに旅行!?」
ミノムシ「旅行じゃないよ。実際に出向いて情勢がどの様になっているのか見てこようとおもってね。こんな新聞に載っているような見え透いた嘘の記事なんて信用してないんだ。
俺が居ない間はあたし博士がどうにかしてくれる。開発が頓挫してたアレは動力部抜き取ってこの設計図のものを取り付けておいてくれ。」
普通な研究員「わかりました。代表こそお気をつけて。」
アタシ「止めても無駄・・・。というよりは止められないわよね。わかったわよ、行ってらっしゃい。でも無茶をしない、できるだけ早く帰ってくるのよ?」
ミノムシ「無論無茶する気なんてないさ。それじゃ暫く国を頼むよ。何かあれば黒服2人を使えばいいから。」
アタシ「わかったわん。後あの宝石の事だけど、データを取り終えたらアレに搭載してテストをしてもいいのかしら。」
ミノムシ「いいよ。けどあの宝石はまだ何か分からないから慎重にね。」
アタシ「もちろんよ。」
まだ2人は知る由もなかった。あの赤い宝石が引き起こす大陸全土を揺るがす大事故を・・・。
<連邦共和国>いくつもの小国が集まりできた国家。長きにわたって争いとは無縁の国家だった。
いくつもの国が集まっているが『スキンヘッドなマッチョ』がうまく取り仕切っていることにより内部でのいざこざもなく、豊富な資源を背景に今日まで繁栄してきた。
<連邦共和国・ビショップ家が統治する国>
ウィルマ「リーネ、いよいよね。準備は順調に進んでる?」
リーネ「お姉ちゃん、心配しなくてももう終わってるよ。でも来週にはこの国ともお別れ・・・。」
ウィルマ「一生の別れっていうわけじゃないし?リーネも私みたいに時々帰ってこればいいだけよ。」
リーネ「けどお姉ちゃんは帰って来過ぎだと思うの・・・。」
隠し子「でもまさかリネット姫があの王子様の所へ嫁ぐ事になるとは・・・。ビショップ家もこれで安泰ですね。」
リーネ「お兄ちゃん、リネット姫は辞めてよ。お姉ちゃんみたいにリーネでいいのに・・・。」
隠し子「いえ、妾の子である俺がリネット姫やウィルマ姫の事を呼び捨てになどできません。」
ウィルマ「そんな事はどうでもいいって言ったでしょ?私達やお父さんやお母さんや他の妹達だってそんなの気にしないわよ。」
リーネ「そうだよ、お兄ちゃんは私達の家族なんだからそんなによそよそしくしないで?」
隠し子「・・・。」
ウィルマ「分かった?今日から姫付けは禁止。私の事はお姉ちゃん、もしくはウィルマ姉さんと呼びなさい」
リーネ「私の事もリーネでいいからね?」
隠し子「・・・。」
連邦共和国内のこの国ではどうやらそこの一人のお姫様が嫁ぐ事が決まっているらしく、その準備に追われているようだった。
宮藤「リーネちゃんおめでとう!」
リーネ「あっ!芳佳ちゃん会いに来てくれたんだ」
宮藤「勿論だよリーネちゃん。結婚式にも参加するよ!」
隠し子「・・・。そこでコソコソしている奴、そんなところに居ないでこっちに出て来い。切り刻まれたいか?」
俺俺「ども・・・。」
隠し子「見た事ない顔だな・・・。誰だ?」
俺俺「彼さんに命で芳佳姫の付き添いで来た俺俺です・・・。」
隠し子「彼君がか・・・。その彼君は今どこに?」
宮藤「お兄さん、彼さんなら私達より一足先に結婚式の会場になる国に向かいましたよ。彼さんに何か用事でもありましたか?」
隠し子「お気になさらず。いつも芳佳姫と一緒に居る彼君が見当たらなかったからどうしてしまったのか少し気になっただけです。」
<連邦共和国、帝国との国境境の国>
王子「いよいよ来週かー・・・。」
彼「や。浮かない顔をしてどうしたんだい?」
王子「彼君か・・・。ほら、来週俺って結婚するんだけどさ。相手があのリネット姫なんだよ・・・。本当に俺なんかで大丈夫なのかって不安で不安で・・・。」
彼「君なら大丈夫だよ。共和国内は勿論、軍事帝国や企業国家にまで君の事は知れ渡ってる位有名なんだからもっと自信を持てばいいじゃないか。」
王子「自信か・・・そうだね少し頑張ってみようかな。」
彼「そうしなよ。これから一国一城の主になるんだからね。」
王子「ありがとう彼君。少しは不安が晴れたよ。ここには暫く留まってくれるんだろう?」
彼「勿論。結婚式にも参列させて貰うつもりだよ。」
共和国はきっと明日も明後日も平和な毎日が続いて行くだろう。
しかしいつまでその日々が続くかは誰も分からない・・・。
<何処か分からない場所>
ここは3国のどの国家も所有していない土地・・・。
数千年前に、怪異と呼ばれる化け物を封印した場所で、聖地とも呼ばれている。
化け物を封印している場所、という事で普通なら人々は近づこうとはしない。
以前、各国の調査隊が足を踏み入れたらしいが体調不良を訴える者が続出、調査は断念された過去もある。
それ以来、ここへ近づこうとする物好きは皆無と言ってもよかった。
父「やっぱりここは人が来ないから修業するにはもってこいだな。丁度斬るのにいい岩や良く分からない金属も腐るほどあるしっ」
しかし知ってか知らずか・・・時々聖地へと足を踏み入れる者もいた。
父「・・・。いつもと雰囲気が違う?違うか、俺以外に最近ここに足を踏み入れた者がいる・・・?ここ数年で俺以外がここに訪れるなんて珍しいな・・・。だけど嫌な予感しかしないな。」
剣聖・父。大陸最強と呼ばれる剣士。
父「今回は少し奥まで進んでみるか・・・。」
彼は聖地の奥で数千年前の出来事を知ることとなる・・・。
最終更新:2013年02月07日 15:13