MV-22
オスプレイ『3000X』機内、PM23:00 中東某所上空
俺「…こっちをこうして…あれなにして…」
友「またHMDの調整か?」
俺「これが無いとフェンリルを飛ばすのに苦労する。お前も一応メディックなんだから、医療器具の整備ぐらいやったらどうだ?」
こいつは友。隊の医療担当。階級は中尉。結構なオタク
パイロット「気流が不安定なところに突っ込みます。少しゆれますよ」
友「りょーかーい」
こっちは隊のパイロット。オスプレイの操縦士だ。狙撃の腕はかなりいい
パイロット「フェンリルはちゃんと固定されてます?」グラグラガタガタ
俺「大丈夫だ」
で、俺がこの隊の隊長、俺中尉だ。一応工兵で、フェンリルの整備・調整・テストパイロットを担当している
俺たちは3人は傭兵で、今は米軍に雇われている
今回の任務は、米軍開発の新兵器『フェンリル』の実戦テスト
フェンリルは、まぁ簡単に言うとパワードスーツだ。M134を装備し、飛行性能を有している
俺が今調整しているのが、そのフェンリルを操縦するのに欠かせない、ヘッドセット一体型HMD(ヘッドマウントディスプレイ)である
照準はもちろん、飛行において必要な情報を表示する
友「しかしこれが最新兵器ね…ホントに飛ぶのか?」
俺「俺が整備した機体だ。飛ばなきゃ困る」
友「実のところ?」
俺「まだエンジンの出力が安定しな…ハッ!」
友「…」2828
俺(こいつ…)ガゴンッ!「うわ!すごい揺れだな」
プツッ
俺「照明が消えた?」
友「パイロット!」
パイロット「レーダー他多数のシステムダウン。かろうじて飛んでます」
俺「EMPか?」
パイロット「その可能性は低いです。とりあえず席に(ガゴンッ!)のわっ!」
激しい揺れが続き、もう一度大きく揺れた後、突然照明が復旧した
友「照明がが戻った?システムは?」
パイロット「GPS以外のシステム復旧。何だったんだ?」
俺「現在位置と高度を確認。借り物の機体だ。壊すなよ」
パイロット「高度はまぁ大丈夫です。現在位置は…わかりません」
友「わからん!?」
パイロット「GPSが直りそうにありません」
俺「…無線でどっかの基地につなげろ」
パイロット「了解…あ~、隊長。レーダーに反応あり」
俺「敵か?」
パイロット「IFFに応答なし。無線でコンタクトを試みます。もう少しで見えてくるかも」
友「居た、正面。あいつは…」
パイロット「なんだありゃ…」
ビー!(ビーム)
パイロット「撃ってきやがった!」
俺「回避しろ!」
友「思い出した!あれネウロイだ!」
俺「ねうろい?」
友「ちょっと前のアニメに出てきた正体不明の(略)だよ」
俺「うん、さっぱりわからん!とりあえずなんでアニメの住人がここに?」
友「知るか!」
俺「パイロット!無線で応援を要請しろ!」
パイロット「わかった!『こちらアメリカ海兵隊オスプレイ3000X、我々は所属不明機からの攻撃を受けている。至急応援を求む!繰り返す――』」
???『こちら501JFWのサーニャです。3000X、聞こえますか?』
パイロット「(女性パイロット!?)―『よく聞こえる。敵は高度約5000をやや高速で移動中。こちらは―』」
サーニャ『あなたは低空に避難してください。私がネウロイをやります』
パイロット「わかった。敵の座標は、」
サーニャ『大丈夫です。見えます』
俺(見える?近くに居るのか?)
パイロット「つかまれ!」
機体が傾き、急降下を始める。そのとき、窓から空を飛ぶ少女が見えた
その少女は大きなロケットランチャーを担いでおり、俺たちが避難するのを確認したら、ためらいなくネウロイにロケットをぶち込む
俺(もしかして、彼女がサーニャ…?)
見たところまだ10代。色白で銀髪ショート。ロシア系だろうか?ちょっとドキッ!っとしたのは内緒だ
彼女は敵のビームをシールドで防ぎ、敵の攻撃がやむとまたロケットを撃つ。何だこのアニメみたいな展開
サーニャ『もうすぐ基地から増援のウィッチが来ます。それまでになるべく遠くへ…キャッ!』
俺(!)
サーニャは突然のビームに悲鳴を上げるが、ぎりぎりのところでかわす
彼女の武器は9連装のロケットランチャー。少し残弾が心配だ
俺「…見てられん」
俺はHMDを手に取り、フェンリルを装着しようとする
友「おい!何してる!」
俺「決まってる。彼女を援護するんだ!」
友「増援が来るって…」
俺「それまで持つかわからん。後部ハッチ開けろ!」
そういって俺はM134を持ち直し、開放された後部ハッチに近づく。夜の風が機内に入ってくる
友「まだエンジン出力が安定しないってお前言ったろ!」
俺「大丈夫だ。死にやしない」
友「…はぁ。どうなっても知らないからな!」
そういうあいつの顔は、笑っていた。まるで遊びに来た友人を見送るような笑顔だった
俺「墜ちたときは拾ってくれよ!」
友「機体が無事ならな!」
冗談を交わした後、俺はフェンリルのエンジンを起動し、飛び降りるようにして宙を舞う
背面に取り付けられたエンジンが青白い炎を出し、推力を生む
俺は機体をひねらせ、サーニャのほうへと急ぐ
パイロット「…よかったんですか?行かせて」
友「いいんだ。どうせここは…」
パイロット「ここは…?」
友「いや、なんでもない。それより飛行記録を見せてくれ。確認したいことが―」
ミーナ『敵は中型が1機だけ。でも、少し苦戦しているみたい。近くに航空機も飛んでるみたいよ』
バルクホルン「航空機?民間機か?」
ミーナ「それが…」
エイラ「サーニャ!」ブゥゥン!
編隊から1機が前に出る。もはやいつものことなので誰も気に留めない
サーニャ「…はぁ…はぁ…」
硬い。このネウロイ、装甲が硬いうえにコアの位置がまだわからない。闇雲に撃っても意味がない。フリーガーハマーの残弾も少ない
ネウロイがまたビームを照射する。シールドを張って防ぐが、そろそろまずい
サーニャ「…増援が…来るまで…」
絶対持ちこたえなきゃ。そう思いながらフリーガーハマーの引き金を絞る
ネウロイに着弾し、コアがあらわになる。尾翼らしきものの付け根だ
サーニャ(見つけた…!)
コアに狙いを定め、また引き金を絞ろうとする。
しかし、集中が切れたのか、ネウロイのビーム照射の兆候に気づけなかった
???「回避しろっ!!」
聞きなれない男性の声。だが今は素直に言うことを聞く。
刹那、先ほどまで居た場所をビームが射抜く。あのまま引き金を絞っていたら…
声のしたほうへと顔を向ける
俺「大丈夫か?」
サーニャ「あなたは…?」
俺「3000Xの乗員だ。ゆっくり自己紹介してる暇はなさそうだぞ」
またビームが飛んでくる。サーニャがシールドを張り、俺がその後ろに回る
俺「どこを撃てばいい?」
サーニャ「敵の尾翼の付け根です。あそこにコアが」
俺「わかった」
正直、コアがどうとかよくわからんけど、ここは指示に従う
ビームが止むのを待って飛び出し、M134の引き金を引く
装甲がはがれ、赤いコアが見えた。しかし、またすぐにビームが襲い掛かる
シールドを張れない俺は、かわすかサーニャの後ろに回るしかない
サーニャ「…あ」
ビームを防いでいる間に、ネウロイはコア周りの装甲を再生する
俺「これじゃ埒が明かん」
俺はネウロイのビームが止むのを待たず、コアめがけて飛び出した
サーニャ「え!?」
ロックオン警告なんてもちろん鳴らない。目視でビームを予測し、瞬時にかわす
俺のやらんとしていることを察してくれたのか、サーニャがフリーガーハマーの残弾をすべて撃ち込む
一瞬ビームの勢いが弱まり、俺はその瞬間にコアへ急接近する
しかし
俺「(ブスン!)エンスト!?急制動で負荷が…」
だが問題ない。残った勢いでネウロイに着地(?)し、コアに狙いを定める
俺「これで終わりだぁ!」(バァン!)
コアが砕け、ネウロイが音を立て散っていく
つまり、今立っている足場もなくなるわけで…
俺「のぅわぁぁぁっ!」
エンジンもかからず、そのまま海に向かって落ちるわけで…
俺(仕方ない…か!)
右内股にある緊急脱出レバーを思いっきり引く
俺「ドリャァァッ!」
体からフェンリルがはずれ、生身の体が宙に放り出される
俺「…あ!パラシュート忘れた!」
アホ
やばい死ぬ。そう思ったとき、誰かが俺の体を抱え上げた
サーニャ「大丈夫、ですか?」
俺「あ、ああ。ありがとう」
大の男が女の子に、俗に言うお姫様抱っこされるという…なんだこの構図
…でも、悪くはないなぁ…なんて…///
エイラ「アァァァッ!」
耳をつんざくような声に思わずビクッ!とする
エイラ「お前!サーニャに何してんダ!」
俺「へ?」
いや何してるって言われても…
サーニャ「エイラ、落ち着いて」
エイラ「落ち着いてられるカ!」
エイラと呼ばれた人は、両手をブンブンと振って抗議する。ちょっとかわいい
バルクホルン「お、ネウロイは撃破したようだな」
エーリカ「やるじゃんサーにゃん」
サーニャ「いえ、撃破したのは私じゃなくて…」チラッ
俺「え?あ…」
バルクホルン「ほぅ、こいつが」
エーリカ「でも武器持ってないよ」
俺「あ、俺の武器は…」
そういって俺は下を指差す
エイラ「海?」
バルクホルン「もしかして落としたのか?」
俺「いや、落としたというより脱ぎ捨てたというか…」
一同「?」
どう言えばいいんだろう…
サーニャ「あの…」
エイラ「ん?どうしたサーニャ」
サーニャ「とりあえず基地に戻りませんか?」
俺「あ、ごめん。重いよね」
サーニャ「いえ、そういうんじゃ」
バルクホルン「でも誰かが担がないと」
俺「大丈夫です。移動手段はあります」
バルクホルン「ん?」
俺は、ヘッドセットのスイッチを入れる
俺「3000X、聞こえるか?」
―オスプレイ機内―
俺「友、彼女らはなぜ下をはいてない」
友「いきなりそれか…」
無線でオスプレイを呼び出し拾ってもらい、今はウィッチたちに先導されて彼女らの基地に向かう途中だ
友「こっちの世界じゃ、あれが普通らしい。詳しくは知らん」
俺「ふ~ん…おい、こっちの世界って…俺たちタイムスリップよりすごいしたのか?」
友「かもな。ここに来る前、照明が消えた時間があったろ」
俺「ああ。その時間だけ揺れがかなりひどかった」
友「その時間の飛行記録がおかしいんだ。日付も現在位置の座標も全部、本来ありえない時間・場所を指してる」
俺「…次元を超えちまったか」
友「そんなとこだ。ところで、フェンリルはどうした?」
俺「…今頃は海の底だ」
友「…まぁ、パーツは一式まだそろってるし、一から作れば…」
俺「機内じゃ作れん。それなりの設備が必要だ」
パイロット「基地が見えてきましたよ。着陸します」
俺「了解」
友「りょうか~い。どうっすかなぁ…」
窓から外の景色をのぞく。無数の星が輝いており、その数が現代との差を感じさせる
ふと視界にサーニャが入り、手を振ってみる
それを見たサーニャは、若干頬を赤く染め、俺から見えない位置に行ってしまった
俺(恥ずかしがり屋なのかな)
オスプレイはウィッチの基地に無事着陸した
このときの俺は、想像できなかっただろう
翌日から始まる、この世界での生活を…
最終更新:2013年02月07日 15:31