俺「頭いでぇ」
昨日サーニャたちを見送ったあと、パイロットに深夜まで飲まされた
結局寝落ち、ハンガーの床で寝るという失態を犯しちまった
クゥゥン
俺「犬?いや、ウルフドッグか。アラスカに居そうなやつがなぜ…?」
振り返ると犬のようで狼なウルフドッグがいた
見たところお腹がすいてるようだ
俺「昨日のあまりだが、ほれ、ジャーキー」
狼犬「バウバウバウ」ムシャムシャ
俺「うまそうに食ってるなぁ」
狼犬「バウバ…」ピタ、トテトテ、タッチ
俺「へ?俺のケツに何か…ってあれ?いない」
狼犬『ふぅ、やった契約成功』ヒョコン
俺「のわぁっ!頭に声が響く!」
ついでに耳と尻尾が生えてる。なんじゃこりゃ
狼犬『はじめまして、今からあなたの使い魔になりました、狼犬です』
俺「あ、どうも。ところで使い魔って?(かわいい声だな、メスか?)」
狼犬『主に魔力制御のサポート、などを行います』
俺「はぁ…そういや中佐が俺にも魔力があるみたいなことを言ってたな」
フェンリルが完成したら、正式な戦闘員として部隊に配属するとかなんとか。扱いとしては傭兵ないしは義勇兵らしい
その前にフェンリルのテスト、対ネウロイ戦闘の訓練等々、やることは大量にあるが
狼犬『では早速ですが』
俺「(シールドでも張れと言うのか?)」
狼犬『ご飯にしましょう』
俺「…はい?」
狼犬『いや~、おいしかった』
俺「ウルフドッグに味の良し悪しがわかるのか?」
食堂で朝食をとり、その際に契約した旨を皆に伝えた
そのとき試しに耳と尻尾を出してみたけど…かわいいと言われたのは驚きだ
狼犬『わかりますとも。それより、このあと少佐と訓練でしょ?』
俺「おっとそうだった」
朝食後、少佐のもとで友と一緒に訓練を受けることになっていた
俺「早くフェンリル飛ばせるようにしたいな」
狼犬『整備は夜でもできますけど、訓練は今しかできないでしょ?』
俺「…変なとこで理論的だなお前」
…そういや、ウィッチの皆はどこ行った?
ジェットストライカーについて話しておきたいことがあったんだが…
ウゥゥーーーーー!!
俺「警報!?」
狼犬『自分らは足手まといです。早く避難を』
俺「ユニットの出撃前チェックしなきゃ!」タッタッタ
狼犬『…契約してよかったのかなぁ』
ミーナ『目標は、ローマ方面を目指して南下中。ただし、徐々に加速している模様。交戦予測地点を修正、およそ』
坂本『大丈夫だ、こちらも捕捉した』
出撃したのは、坂本、ハルトマン、
シャーリー、ペリーヌ、ルッキーニ、友の6人
友にとっては初の実戦である
俺「友、気負いすぎるな。訓練どおりやればうまくいく」
俺は
オスプレイの機器を使って無線に介入している。パイロットも隣にいる
友『墜ちたときは拾ってくれよ』
俺「機体が無事ならな」
いつからこの冗談言い合うようになったんだっけ?
確かエリア51で実験してたときに…ん?誰か来た?
坂本『…!』
キシャァァァン
ミーナ『分裂した!』
坂本『数を利用して突破する気か』
ハルトマン『5対6か』
坂本『各自散開、各個撃破。友は私に続け。ここから先へ行かすな!』
一同「了解!」
友『安全装置解除…状況を開始する』
俺「…了解、健闘を祈る」
坂本「シャーリー」
シャーリー「どうした、少佐」
坂本「コアがある本体は、あの真ん中のやつだ。かなり速い。お前に任せた」
シャーリー「…ラジャー」
キィィィィン!!
ダダダダダダダ!!
パイロット「すごい…」
俺「レーダーだけ見ても、善戦してるのがよくわかるな」
自分が戦闘に参加できないのが歯痒い
パイロット「…おい、1匹こっち来るぞ!」
基地に向かって高速で接近機体をレーダーが捉えた
坂本『分裂した1機が基地に向かってる!』
ミーナ「え!?」
友『俺が行く!』
坂本『おい!友!』
あの野郎…
俺「…パイロット、ご自慢のバレットライフル持って来い」
パイロット「へ?」
ヘッドセットを乱暴に外しながら間の抜けた声を出す
俺「あいつだけいい格好させられるか」ニッ
オスプレイから降り、俺はハンガーの一角へと向かう
キィィィン!!ドォォ!!
シャーリー「あいつか…逃がすかぁ!」ダダダダダ
キィィン
シャーリー「あれ?」
敵が反転し、こちらに向かってくる
シャーリー「お?やる気か?そうこなくっちゃ!」ブォン
友「当たれよ…!」ダダダダダダ
やっと追いついた…速いなこいつ
キィィィィィン!!
友「ちょこまかと…」ダダダダダダ
ダシュダシュダシュ!キィィィン!
友「何!?こちら友、敵が小型機を射出した!基地に向かってる!」
分裂した1機から3機の小型機が射出され、親機よりも高速で基地に向かっている
ビームビーム
友「ぬぐ!攻撃が激しくて手が出せない…増援を!」
小型機がもうすぐ基地を射程に捉える。まずい…!
???『任せろ!』ダァァァァァ!!ダンダン!!
キンッキンッキンッ!!パリーン!
友「え?なに?」
突然基地方面から弾幕が張られたと思ったら、小型機が一瞬で撃ち落された
俺『ヒャッハー!!ホント戦争は地獄だぜ!』
パイロット『その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやる!』
見えたのは、滑走の先端、フェンリルを身に纏いガトリングを構える俺と、対物ライフルを担いだパイロットだった
友「お前ら…」
俺『小型機は俺らに任せて、お前は親機に集中しろ!』
パイロット『流れ弾に当たるなよ!』
友「…了解!」
MG42を構えなおし、ひたすら撃ち続ける
その頃、シャーリーは激しいドッグファイトを繰り広げていた
ビームビームダダダダシュンシュン
シャーリー「ぬぅ、じっとしてろよ…はぁはぁ、くっそぉ」
その声を、
バルクホルン『…』
聞かれているとは思わなかっただろう
坂本『こちら坂本。シャーリーが苦戦しているようだが、こちらも手が足りない。至急増援を頼む!』
ミーナ「了解。リーネさん、宮藤さん!」
宮・リ「「はい!」」
2人は急いでハンガーに行き、ユニットを装着する
使い魔を発現させ、離陸準備に取り掛かったとき…
バルクホルン「…ハァ…ハァ」
宮藤「バルクホルンさん!」
バルクホルン「お前たちの脚では、間に合わん」ピョコン
そういって使い魔を発現させ、ジェットストライカーにかけられた鎖を力ずくでほどく
そしてそのままストライカーに足を突っ込み、離陸準備を始める
リーネ「命令違反です!大尉!」
バルクホルン「今あいつを助けるには、こいつしかないんだ…!」
宮藤「でも、まだ体力が…ひゃっ!」
2人の制止を振り切り、滑走を始める
ビュゥゥン!
俺「っ!」
パイロット「大尉!?」
ミーナ『トゥルーデ!』
バルクホルン「すまんミーナ、罰はあとで受ける。今は…」
俺『5分だ!』
バルクホルン「え?」
俺『大尉、あなたが飛べるのは5分間だけだ!』
バルクホルン「…5分で十分!」
ストライカーに魔力を込め、加速する
パイロット「行っちまったな」
俺「無理しなきゃいいが…」
飛べる時間は5分といったが、急加速急制動を繰り返せば時間は短くなる。大丈夫だろうか…
友『小型機第3波接近!数が多いぞ、気をつけろ!』
パイロット「来るぞ!」
俺「くっ」ダァァァァァァァ
ガトリングの引き金を絞り、接近してくる敵を落とす
パイロットも、落ち着いて敵の中心を射抜いていく。弾にはあらかじめ魔力を帯びさせてある
俺は使い魔を発現させ、発射される.50BMG弾に魔力を帯びさせる。意外とできるもんだな
狼犬『私のサポートあってできることですよ?』
はいはい
しかし、
パイロット「1匹抜けた!」
パイロットは弾切れ、俺のガトリングは銃身の回転が止まっていてすぐには撃てない。まずい、非常にまずい
敵がビーム発射体制に入る
俺(間に合え…!)
まだまともに訓練もしてない。失敗する可能性だってある。だが、何もしないよりは…
ビームが発射されると同時に、俺はシールドを張った
俺「ぬ、がぁ…」
突き出した腕はプルプル振るえ、いつシールドが力尽きても不思議じゃない。やべぇ、視界が霞んできた
パイロットは何が起きてるのかわからないといった顔をしていた
俺「何やってる、撃て!」
パイロット「( ゚Д゚)ハッ!」
こっちに戻ってきたパイロットはすばやくライフルの弾倉を換え、引き金を絞る
パリーン!といい音を立てて敵が粉々になる
どうやら、これで最後のようだ
俺「よかった…」フラッ
あれ?なんか平衡感覚が…
パイロット「あ、おい!俺!」
倒れる寸前に聞こえたのは、パイロットの声と、耳障りなジェットエンジン音だった
―ああ、これは夢だ
―だって目の前に死んだはずの同僚・部下たちがいるんだもの
―…怒らないのか?お前らを守れなかった俺を
―…確かにそうだな…誰のせいというわけでもない
―だけど、謝らせてくれ。すまなかった
―"彼女"は居るか?
―いないのか…伍長、向こうで会ったら伝えてくれ
―『愛していた』…と
俺「…ん」
意識が戻る。どうやら医務室で寝かされているようだ
不鮮明な視界の先に見えたのは、天井じゃなくて
サーニャ「あ…///」
俺「え?」
サーニャの顔でした
サーニャ「ご、ごめんなさい///」ササッ
俺「あ、いや、大丈夫…何してたの?」
聞いた後、野暮な質問だと思った
サーニャ「その…かわいい寝顔だな…と…///」
俺「…気づいたら近くで見てたと」
サーニャ「はい…///」シュン
エイラさんが居たら殺されてるかな
俺「俺はどうなったんだ?」
サーニャ「ただの、過労です。睡眠もまともに取らないで戦って、シールドも張れば倒れますよ」
あ、思い出してきたぞ。…かっこ悪いな俺
俺「…面目ない」
サーニャ「でも…かっこよかったですよ…///」
俺「…ありがとう///」
見られてたのか…恥ずかしい
かっこいいと言われた恥ずかしさもあいまって、顔がかなり熱い
サーニャ「体のほうは大丈夫ですか?」
俺「あ、ああ、もう平気だ」
サーニャ「よかった」ニコッ
俺「」ドキッ
ああ…この笑顔に魅せられたんだな…俺は
俺「えと、皆は?」
速くなる鼓動
サーニャ「ハンガーに居ます。皆無事ですよ」
赤くなっていく顔
俺「そうか、よかった」
サーニャ「行ってみますか?」
こいつは間違えなく…
俺「ああ、行こう」
―恋ってやつだ
―ハンガー―
俺「…」
サーニャ「…」
ドーン
俺「ネテイルアイダニイッタイナニガアッタンダ」
サーニャ「バラバラ…」
ハンガーの床に、辛うじて元がジェットストライカーであるということがわかる何かが置かれていた
エイラ「大尉がぶっ壊したんダ」
聞いた話じゃ、ネウロイ撃破後ストライカーが暴走。仕方なく強制排出し、海に落としたらしい
その間にいろいろあったらしいけど割愛
俺「やっぱりこのエンジン…」
サーニャ「?」
装甲がはがれ、あらわになった機関部。やはり、フェンリルのエンジンと酷似していた
俺「…これ直せないかなぁ…エンジンだけでも…ブツブツ」
サーニャ「あの…俺、さん?」
俺「…ストライカー以外の用途…発電機?…ブツブツ」
サーニャ「」シュン…
ハルトマン「皆さん、このたびはお騒がせしました」
バルクホルン「? なぜお前が謝る」
シャーリー「ハルトマンのせいじゃないだろ?」
ハルトマン「あ、いえ、私は…」
そこに宮藤たちが夕飯を運んできた
やけに芋料理が多いな…嫌いじゃないけど
宮藤「はい、ハルトマンさんもどうぞ」
ハルトマン「いただきます」
ハルトマン「はい、ずっと「うわ、おいしそう」」
宮藤「あ、こっちのハルトマンさんもどうぞ…って、え!?」
俺「あれ?」
天使が二人居るぞ
ウルスラ「お久しぶりです、姉さま」
エーリカ「あれ?ウルスラ?」
ミーナ「こちらはウルスラ・ハルトマン中尉。エーリカ・ハルトマン中尉の双子の妹よ」
一同「妹!?」ガタッ
…大尉、落ち着け
ミーナ「彼女はジェットストライカーの開発スタッフの一人なの」
俺「」ガタッ!
サーニャ「」ビクゥ!
エイラ「」ガルル!
友「」…ハァ
俺「中尉、ひとつお聞きしてもよろしいですかな?」
ウルスラ「…なんでしょう?」
俺「ジェットストライカーに積まれていたエンジン。あれには見覚えがありました」
俺「あの機体は、何かを基に製作されたものでは?」
一同「え?」
ウルスラ「…」
やはり、あのジェットエンジンはフェンリルを基に作られたものだった
浜辺に打ち上げられ、それをカールスラント軍が発見。研究所に持ち帰り、ジェットに応用した
だが、今の技術では、完璧なジェットエンジンはできないようだ
数年すれば次々できるのかな
俺は、あれが自分の所有していた機体であること、自国の最新兵器であること等を説明した
異世界から来たというのは、また機会があったら言おう。混乱させるかもしれない
俺「できれば、あれをお返し願いたい」
フェンリルが2機あれば、大きな戦力強化につながる
それに、あれを整備できるのは俺だけだ
ウルスラ「私の判断ではなんとも…」
そう簡単には行かないか。なら
俺「ご希望なら。ジェットの資料を作って渡しますよ」
通常動力のエンジンの資料が、魔導エンジン開発の参考になるかわからんが
ウルスラ「…上に掛け合ってみます」
俺「ありがたい」
よかった。釣れなかったらどうしようかと
フェンリルがもう一機あれば、パイロットも戦場に出られる
あいつ、オスプレイにいろいろ積んで、ネウロイとやりあうつもりみたいだったし
俺(魔力もないのに無茶をする)
あまり人のこと言えた義理じゃないが
宮藤「あの、とりあえずご飯にしませんか?」
俺「え、ああ、そうだな。すまん、話し込んでしまった」
サーニャ「」ムー
エイラ「」ガルルル
…あれ?いつもより視線が多くて痛いぞ?あれ?
その後、大尉コンビが芋を取り合ったり、ウルスラ中尉とジェットについて話が弾んだりしたのは、また別の話だと思うよ?
最終更新:2013年02月07日 15:33