俺「さて……どうしたもんかねー」ソワソワ
エイラ「とりあえず手当たり次第に探すしかナイんじゃないカ?」
俺「それはわかってるけどさ」ソワソワ
エイラ「はぁ……」
エイラ「心配なのは分かるケドさ、とりあえず落ち着けヨ」
俺「あ、あぁ。悪い」
俺「うぅ……さっき陽子ちゃんの機嫌を損ねたのは間違いだったか……」
エイラ「そもそも、アイツは何であんな意味分かんないこと言い出したんダヨ」
俺「それは……まぁ陽子ちゃんにも可愛いところがあるというか」
エイラ「……ナンダヨソレ」
俺「いや……陽子ちゃんの名誉のために黙秘しよう」
エイラ「」ムー
俺「何だ、そんなに知りたいのか?」
エイラ「ベツに……」プイ
俺「陽子ちゃんはさ……ああ見えて寂しがりやなんだよ。だから、お前も――」
エイラ「おい、アレ!」
俺「うん?」
―― 人混み
バルクホルン「」ハァーハァー
俺「大尉?」
エイラ「でも、妹はいないナ……」
バルクホルン「」キョロキョロ
俺「ひょっとして、妹は迷子?」
エイラ「……よし、行くゾ」グイ
俺「お、っとと……どうするんだ?」
エイラ「大尉より早く妹を捕まえる」
俺「でも、アテは無いんだろ」
エイラ「大尉をつける。それなら、少なくとも大尉とほぼ同時に妹を見つけることができるダロ?」
俺「なるほど……その後は俺ら次第というわけか」
俺「でもさー、何かこう……大尉を悪者にすることに罪悪感が生まれてきたんだけど」
エイラ「……仕方ないダロ。事実大尉は興奮してたしナ。大丈夫そうだったら、その時改めて妹と一緒にしたら良いダロ」
俺「それもそうか」
バルクホルン「」キョロキョロ
バルクホルン「!」
エイラ「ん……いた! 妹ダ!」
俺「マジか!」
エイラ「私がとりあえず大尉を捕まえる。オマエは妹を」ダッ
俺「任せろ!」ダッ
エイラ「大尉!」
大尉に向かって後ろから飛びかかるエイラ。もつれるようにして倒れる二人の横を俺は駆け抜けた。同時に妹もこちらに気付いたらしい。安心したように俺を見て、その後ろへと視線が移った。かと思うと、躊躇いがちではあったが、逃げるようにして駆け出してしまう。
俺「えっ」
何? 今の大尉を見て逃げたの?
エイラ「ウワッ、大尉!?」
俺「エイラ!?」
バルクホルン「」ハァーハァー
俺「大尉……?」
エイラ「う……俺、大尉はモウ……」
俺「えっ、何その手遅れだーみたいな」
エイラ「手遅れなんダヨ!」
大尉「」ダッ
俺「っ」
走ってきた大尉を抑えにかかる。本来なら相撲のように密着している現状は喜んで然りなのだが、それどころではない。
俺「大尉! いったいどうしたって言うんです!? 妹を探すなら一緒に……」
バルクホルン「!」マホウリョクカイホウ
俺「正気!?」
怪力を発揮した大尉に軽々と投げ飛ばされる俺。視界が反転し、地面に打ち付けられる。
エイラ「俺!」
エイラ「っ、大尉!」
エイラの不意打ちに大尉の姿勢が崩れた。間髪入れずに追い打ち、足払いをかけて大尉を転倒させることに成功する。
エイラ「俺、無事か?」
俺「何とか」
エイラに引き起こされながら、体勢を整える。大尉も立ち上がろうとしていた。
俺「大尉! どうして何も言ってくれないんです!? いったいどういうつもりですか!」
バルクホルン「」ハァーハァー ギロリ
俺「……話すことは無いということですか。なら、良いでしょう。真意が見えないあなたを妹に接触させるわけにはいかない!」
エイラ「オイ、どうすんダヨ」
俺「……策無し」
エイラ「……頼りないナ、オマエ」
俺「悪かったな! でも、仕方ないだろう? まさか殴るわけにもいかないし……」
エイラ「なら、ともかく妹を先に――っ!?」グイッ
エイラ「走れッ!」ダッ
俺「っ」ダッ
俺「おい、どういうことだ?」ダダダ
エイラ「今はもうともかく妹を保護する方が先ダ! 大尉はその後で逃げるなり倒すなりしたらイイ!」タタタ
俺「」チラリ
バルクホルン「」ゼンリョクシッソウ
俺「いや、速っ!」
エイラ「何ィ!?」
エイラ「くっ、もう仕方ナイ。私が時間を稼ぐ! オマエは先に行けェ!」
俺「エイラ!? でも、お前1人を置いてなんて――」
エイラ「良いから行ケ! 私は、オマエに命を助けられたンダ。これぐらい……」
俺「エイラ……」
狐「ノリノリじゃの」ヤレヤレ
俺「陽子ちゃん!?」
狐「ぬしはまったく……妾がいないと本当に駄目じゃのぅ」
バルクホルン「」ギロリ
狐「ふふ。じゃが……それがまた、嬉しくもある」
エイラ「狐!」
狐「よい」クルリ
彼女は凛とした声でそう言うと、大尉の前に立ちはだかるように俺達に背を向けた。
狐「ぬしらは先に行って、妹御を迎えてやると良い。ここは」
ボン☆
陽子「ここは、妾が引き受ける」キツネミミシッポキンパツビジョ
エイラ「え、えぇ!?」
俺「陽子ちゃん……すまん。頼んだ!」
陽子「承った」
俺「行くぞエイラ!」タタタ
エイラ「お、オイ! あいつ人になったぞ!? オマエ、魔力やったのか!?」
俺「妖狐なんだ。俺の力なんて使わなくても変化なんてお手の物なんだよ! 良いから来い!」
エイラ「何なんダヨ! まったく……あ」
俺「サイレン……ネウロイまで! くっ」
エイラ「大丈夫ダ!
シャーリー達がいる! オマエは妹のことを考えてれば良いんダヨ!」
俺「エイラ……ああ、わかった!」
バルクホルン「フーッフーッ」
陽子「しずまりたまえ!」
陽子「ぬしらしからぬ振る舞いじゃぞ! 何故そのように荒ぶるのじゃ!?」
バルクホルン「……」
陽子「止まれぇ! 何故妹を、俺を襲う!?」
バルクホルン「フン!」
陽子「やめろ! 静まれ!」
サイレン< うぅぅぅぅううう
陽子「チッ……来たか」
――――
――
俺「くそっ、妹はどこにいるんだ!?」キョロキョロ
エイラ「……」ゼェゼェ
エイラ「お、落ち着けヨ」
俺「でも、こうしてる間にも……それに、ネウロイだって」
エイラ「だから、妹を見つけなくちゃいけないんだろ。それに、ストライカーの無い私達にできることなんてナイ」
エイラ「ソウダ! 一旦大聖堂に行ってみよう。シャーリー達がいるかもしれない」
俺「……よし、行こう」
――――
―― 大聖堂
俺「あれは……」
エイラ「シャーリー達のトラックだ!」
俺「飛んでったのはルッキーニか? 見つかったんだな。良かった……」
エイラ「……」キョロキョロ
オニイチャーン
俺「ん?」
エイラ「オイ、あれ!」
大聖堂< 妹「オニイチャーン!」
俺「妹!」
エイラ「これであとは」
バルクホルン「ネウロイが片付けば丸く治まるな」
俺「うわぁ!」
エイラ「大尉!?」
狐「案ずるな。もう問題ない」
エイラ「狐……?」
バルクホルン「……すまない。どうやら、相当迷惑をかけたようだな」ペコリ
俺「いや……正気に戻ってくれたならそれで良いんですけど」
狐「大丈夫じゃ。たとえ妹御を前にしようとも、先までのような醜態は晒しはせん。そうじゃろう?」
バルクホルン「はい! 陽子さんにもご迷惑をおかけしました……申し訳ありません」
狐「良い。ぬしは堅物だと思っていたが……可愛いところもあるんじゃのぅ」ククク
バルクホルン「わ、忘れてください///」カァァァ
エイラ「……どういうことだ、オイ」ボソボソ
俺「わからん……けど、上下関係は見るからに分かるな」ボソボソ
俺「ちょっと、陽子ちゃん。いったい何したんだ?」
狐「ん、ああ……」
狐「秘密じゃ」ニヤリ
俺「えっ!?」
狐「それよりもほれ、妹御を早く迎えに行け。妾は、少し休む」
俺「ちょ、陽子ちゃん!?」
エイラ「いなくなったナ」
俺「むむむ……」
妹「お兄ちゃーん!」トビツキ
俺「おお、妹!」ギュッ
俺「無事で良かった。心配したんだぞ?」
妹「ごめんなさい……でも、」チラリ
バルクホルン「うっ……その、さっきはすまなかった。少し、魔が差して……」
妹「」ジトッ
バルクホルン「」ダラダラ
バルクホルン「」ニ、ニコッ
妹「」プイ
バルクホルン「」ガーン
バルクホルン「」ガクッ
エイラ「……まあ元気出せヨ、大尉」ジゴウジトクダケドナ
バルクホルン「うぅ……エイラ?」ジッ
エイラ「な、ナンダヨ」
バルクホルン「はぁ……」ワタシノイモウトニハナレナイナ
エイラ「!? 今のため息はなンダよ!」
マリア「あの……」
俺「ん? 君は……」
マリア「初めまして。私はマリア……と申します」
俺「マリア……?」ドッカデキイタヨウナ
マリア「あの、あなた達はルッキーニさんと妹さんのお知り合いなのでしょうか?」
俺「ああ、俺は妹の兄で、ルッキーニの同僚だ」
マリア「なら、ルッキーニさんを……!」
俺「大丈夫だよ。あいつは軍人で、ウィッチだ。ローマのためなら、きっと1人でだって戦うさ」
マリア「でも」
俺「必要なら助けを求めるだろうし、そうでなくても危なくなったら絶対に助ける。でも――」
エイラ「っ、俺!」ピクン
俺「防御10」キィィィイン
展開したシールドにネウロイの光線が当たる。
俺「その必要は無いと思うよ。今戦ってるあいつらは、強いから」
バルクホルン「シールド……?」
エイラ「大きいナ。ひょっとして、宮藤より……?」
俺「君はルッキーニを信じて待って上げれば良い」
マリア「……わかりました」
俺「うん。そうすれば」
サラサラと空に白い輝きが舞う。忌むべきネウロイも散り樣は綺麗なものだ。
俺「ほら、あっという間に終わった」
マリア「凄い……」
俺「ほら、ヒロインのお出ましだ」
ルッキーニ「や! 俺ー」
俺「おー、お疲れ」
ルッキーニ「マリア」
ルッキーニ「しし、見せてあげる!」
マリア「え? わわ、あ、あの……!」
マリアを抱えながら空へと上がっていくルッキーニ。あいつ、意外と力あるんだな……。
妹「お兄ちゃん! 私も空飛びたい!」
俺「え……そんなこと言われても、今はストライカーも無いし」
妹「むぅ……じゃあいいもん。エイラさんと遊ぶから!」タタタ
俺「えー……」ガーン
バルクホルン「」フッ
俺「何か?」
バルクホルン「」ナカマダナ
俺「い、一緒にしないでくれます!?」
妹「エイラさーん!」
エイラ「ン……何か用か?」
妹「少しお話がしたくて。その……」
妹「お兄ちゃんをよろしくお願いします」
エイラ「ナンデ私に言うんだよ」
妹「仲良さそうだったので。それに……」
妹「お兄ちゃん、基本的にストレートのロングヘアーが好きだから」
エイラ「え? え……?」
妹「それから、お兄ちゃん髪フェチなんで、たまに結わえたりして違う髪型にしたり、さり気なく髪の毛触らせてあげたりするとイチコロですよ?」
妹「陽子の髪型も、サラサラストレートだったでしょう?」
妹「陽子もお兄ちゃんにメロメロだから……本当は完全に人の姿になれるのに、わざと狐耳と尻尾を残してるのは、お兄ちゃんが狐耳好きだから」
エイラ「は、はぁ……?」
妹「……」
妹「お兄ちゃんは、ああ見えて凄く重いですよ? このままじゃ、いつかその自重できっと立てなくなる」
妹「もし、もしその重みを知ってもあなたが変わらずお兄ちゃんを支えてくれるなら……」
エイラ「……お前が何言ってるのかはわからないケドナ、私は俺の事を信頼してる」
エイラ「私はアイツに命を助けられたンだ。だから……何か困ってるなら助けてやりたいと思ってるヨ」
妹「……」
エイラ「お前が言う"重み"ってやつ……アイツが何を隠してるのかは知らない。でも、私は……アイツが、私たちの害になるような奴だとは思えない」
妹「はい。お兄ちゃんはそんな人じゃありません」
エイラ「ナラ、私は俺の味方ダ」
妹「でも、起きてしまったことは消せないんです。そして、それに対してあなた達が何を思うか、何をするかもわからない」
エイラ「私にドウシロって言うんダヨ」
妹「……わかりません。でも、私は心配なんです。もし、お兄ちゃんに何かあったら……」
エイラ「アーもう。わかったヨ! アイツが昔何をしたかはわからないケドナ、アイツが私たちの味方であろうとする限り、私はずっと俺の味方ダ!」
エイラ「もしみんなが……誰かが何かを言ったって、私は俺の味方であり続ける。それで良いか?」
妹「エイラさん……」
エイラ「俺のためじゃないゾ! お前が――」
妹「少し、頼りないです……」
エイラ「」イラッ
俺「……何話してるんだろうあいつら」
バルクホルン「……」
宮藤「俺さーん」
俺「おう宮藤、お疲れ。シャーリーもな」
シャーリー「ああ。それにしても……本当にネウロイが来るなんてなー」
俺「確かに……陽子ちゃんの言うこととはいえ、正直ローマまで来てるとは思わなかった」
バルクホルン「ネウロイの勢力が増しているのだろうか……?」
俺「……そう思いたくはないですけど」
宮藤「そ、そういえば俺さん! さっきはすみませんでした!」
俺「え? 何の話?」
宮藤「ネウロイの攻撃を防ぎきれなくて……光線がここまで」
俺「ああ……気にするな、とは言えないか。ここには民間人がたくさんいるしな」
宮藤「はい……」シュン
俺「でも、何事もなかったんだ。気に病むな」ナデナデ
宮藤「あ……ありがとうございます」
バルクホルン「しかし俺……お前のシールドは使い物にならないと聞いていたが」
俺「はい。能力を振らなければ使い物になりません」
俺「俺の固有魔法は掛け算ではなく、足し算なので……能力をつかえば元が0でも振った分だけ強くなります」
宮藤「じゃあ普段からそうすれば……」
俺「そうすると被弾数0じゃなくなるから嫌……って、そういえばもう被弾数0じゃないのか……?」アレ?
宮藤「嫌って……命の方が大事です!」
俺「偉い人は言いました」
俺「当たらなければどうということはない」
宮藤「でも……!」
俺「この話は終わり! 心配してくれてありがとな」ナデナデ
宮藤「う、うぅ……」ムー
バルクホルン「……お前は以前、私に何かがあったら皆心配すると言っただろう。お前も同じだ」
俺「え?」
シャーリー「お前が怪我しても、皆心配するし、悲しいって言ってるんだよ」
俺「……あ、ありがとう、ございます」
シャーリー「なんだよ、照れてんのかー?」
俺「う……うるさいな。そういうの、言うのは良いけど言われるのは恥ずかしいんだよ!」
シャーリー「ははは、可愛いとこあるじゃないか」
妹「お兄ちゃん」
俺「お? もうエイラとの話は終わったのか?」
妹「うん! エイラさん、良い人だね」
俺「? まあ……そうだな」
エイラ「……」
俺「おうエイラ、ありがとな。妹の相手してくれて」
エイラ「ふん……オマエの妹、少し生意気ダナ」
俺「悪い。何か迷惑かけたか?」
エイラ「いや、それは別に良い。それよりもオマエ……」
俺「うん?」
エイラ「いや、何でもナイ」
俺「……?」
シャーリー「俺達はこれからどうする? 良かったら、一緒に街回らないか?」
宮藤「美味しいケーキがある喫茶店を見つけたんです! みんなで食べましょう!」
俺「ん……そうだな。良いか?」
妹「うん! ここでのお兄ちゃんのこととか聞きたいし!」
俺「うぇ……ほどほどに頼むよ。エイラも良いか?」
エイラ「……」
俺「エイラ?」
エイラ「あ、ああ! それで良いゾ」
俺「?」
妹「……」
バルクホルン「なら、早く行こう。日が暮れてしまう」
シャーリー「お、何だバルクホルン。乗り気だなー」
バルクホルン「ふん……今日は休暇だからな」
宮藤「それなら、行きましょう! 妹ちゃんも一緒に」
妹「は、はい!」
俺「……何だかんだで、丸く治まったな」
エイラ「……ソウダナ」
エイラ「なぁ、俺……」
俺「うん?」
エイラ「オマエ、私達の仲間だよナ?」
俺「どうしたんだ、急に?」
エイラ「イヤ……」
俺「……仲間だよ。少なくとも俺はそう思ってる。そうじゃないなら、命がけで助けたりはしない」
エイラ「……なら、良い」
エイラ「それから、ありがとナ」
俺「どういたしまして……なあエイラ」
エイラ「何だ?」
俺「……妹から、何か聞いた?」
エイラ「……何も聞いてナイ」
俺「……そっか」
妹「お兄ちゃん! エイラさん! 早くしないと置いてくよー」
俺「ああ、今行く!」
エイラ「……おい、俺」
俺「ん?」
エイラ「私も……オマエのこと、仲間だと思ってるからナ」
俺「……うん。ありがとう」
最終更新:2013年02月15日 12:31