ヒュウウウウ…

俺「うー寒っ……もう秋か、一気に冷え込んだなぁ」ブルブル

俺「そろそろコートも冬物出してもいいかもな……あ、そうだ。コタツも……」


――俺の家――

ガチャッ

俺「ただいまー」

宮藤「あ、俺さん、おかえりなさーい」

俺「……ん?」クンクン

俺「……この昆布出汁の匂い……家中にどことなく漂う湯気……まさか!!」

ダッダッダッダッダッ!!

俺「!!」バッ!

宮藤「おかえりなさい……あ、俺さん。きちんと手を洗ってくださいよー」

グツグツ…

俺「お……お……」

宮藤「?」

俺「おでんきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


――数分後――

俺「よーし食おう! 早速食おう!」ワクワク

宮藤「お風呂はよかったんですか?」

俺「んなに言ってるんだ! 敵前逃亡は男の恥よ! こんな美味そうなおでんを目の前にして、風呂なんて入ってられるか!」

宮藤「ふふ、なんだかいつになく元気ですね」 

俺「芳佳がこんな美味そうなおでん作ってくれたからだよ。んじゃ、いっただっきまーすっと」パクッ

モグモグ…

宮藤「……ど、どうですか?」

俺「…………」モグモグ

宮藤「あ、あの……俺さん?」

俺「………………」モグモグ

俺「………………」ニパァァーッ

宮藤(あ、すっごく微笑んでる……よかったぁ、俺さん、喜んでくれたんだ)

俺「……いいなぁ、美味しいなァ……特にこのガンモとかさ」

宮藤「あ、それ市販の冷凍のやつです」

俺「……あ、ああ、もちろん他のもすげー美味いぞ」

宮藤「ふふ、よかった。……じゃ、私もいただきますね」パクッ

宮藤「…………」モグモグ

俺「……ふぉういやふぁぁ」(そういやさぁ)

宮藤「ふぁい?」(はい?)

俺「ふぉろふぉろふぉはふをふぁほーはふぉふぉおっへふんはへふぉ」(そろそろコタツを出そうと思ってるんだけど)

宮藤「ふぉはふっへ、ふひひはひふぁひはっふぇ?」(コタツって、家にありましたっけ?)

俺「ごくんっ……あるんだな、それが。そういや芳佳が家に来たの、春だったからなあ……俺家・冬仕様は知らないってわけだ」

宮藤「ごくんっ……そう言えば、引越しの時にちらっとみたような……あ、そうだ、わふぁふぃほふゆほふぉのふふっへほふぉひ……」

俺「せめて言い終わってから口に入れなさい」

宮藤「ふぉふぇはんふぁっへよふはふふへひー」(俺さんだってよくやるくせにー)

俺「ま、そりゃそうだけど……しっかし、冬物の服ね……どこにしまったっけな」

宮藤「んごくんっ……たぶん押し入れの底の底の方に……」

俺「うぇー……面倒だなー……。まあ、明日も休みだし、コタツのついでに探すか」

宮藤「そうですね、そうしましょう」

ワー! キャーッ!! イイカゲンニシロハルトマーン!! ニャハハー! 

俺「……うるせーなぁ、また隣のアパートか」

宮藤「たぶんバルクホルンさんとハルトマンさんですね」

俺「近所迷惑だ、ちょっと注意してくる」ガタッ

ガララララッ

俺「おーい! 夫婦漫才も大概にしろ、2人ともー!」

ゲルト「誰が夫婦だ誰が!!」ガララララッ

宮藤「あ、バルクホルンさん。こんばんはー」

ゲルト「ああ、宮藤か。食事中だったのか? すまなかったな」

俺「まーた悪魔さんにお片付け指導か?」

エーリカ「やっほー、俺ー、宮藤ー!」

宮藤「ハルトマンさんも、こんばんは」

ゲルト「全く……服や私物を失くすのは分かるがな、フライパンや鍋まで失くすとはどういうことだ!
夕飯を食いたくないのかお前は!!」

俺「ん? 夕飯まだなのか」

エーリカ「知らないよー、気付いたら無くなってるんだから……」

ゲルト「だぁかぁらぁ!! 整理整頓すれば見つかるはずだ!! なぜそうしないハルトマン!!」

エーリカ「トゥルーデこそ、私ほっといて何か食べに行ったらいいじゃん。私は俺と宮藤にごちそうになるからさ」

俺「どさくさに紛れて何言ってんだお前」

ゲルト「それは出来ん。妹を放って自分だけなど、姉の風上にも置けない行為だ」

俺「……なぁ、芳佳」

宮藤「はい?」

俺「バルクホルンとハルトマンって……姉妹なのか? 名字違うのに」

宮藤「いえ、ただ同居してるだけの友達だと思いますけど」

俺「……妹?」

宮藤「そういう人なんです、バルクホルンさんって」

俺「あ、そう……そうなの」

エーリカ「ね、ね、俺ー! 私達も一緒に食べていいー?」

ゲルト「こらハルトマン! 宮藤が迷惑だろう!」

俺「俺の迷惑は考えないのか」

宮藤「私は大丈夫ですよ? 大勢で食べるの、賑やかで好きだし」

ゲルト「!! ……そうだな。たまには大勢で食べるのも、風情があっていいだろうな」

俺「風情の意味知ってんのかチクショー!」

宮藤「俺さん、意地悪言っちゃダメですよ」

俺「……俺は芳佳と2人でゆったり食いたかったんだけどなぁ……」

宮藤「また今度、2人だけのときに作ってあげますから、ね?」

俺「……分かったよ。オーケー、了解だ。家に来ておでんをイートしていいぞ!」

エーリカ「わーい! 俺、ありがとー!」

ゲルト「済まないな、恩に着る」

俺「あ、でも餅巾着は1人1つだぞ! それから牛スジはまだ固めのもあるから気をつけろよ、あとそれから……」

エーリカ「それじゃ、おじゃましまーす」ヒョイッ

ゲルト「うーむ、宮藤の匂いがするな」ヒョイッ

俺「聞いてよォ!」

宮藤「ふふ、じゃあ、改めて……いただきまーす!」


俺「あーっ! その玉子俺のだぞ!」

エーリカ「へっへ~ん、だったら名前でも書いとけばよかったねー」モグモグ

ゲルト「み、宮藤? 欲しい物はあるか? お姉ちゃんがなんでもよそってあげるぞ」

宮藤「え、えーっと……それじゃあ……」

俺「あ、バルクホルン。そこの菜箸取ってくれ」

ゲルト「自分でやれ」

俺「何この扱いの差」

エーリカ「んー! だし汁も美味しい!」ズゾゾゾゾ

ゲルト「こ、こら! 行儀が悪いぞハルトマン!」

俺「あー、チクワストローって俺も昔よくやったよ」

ゲルト「ところで宮藤、こんな時に何だが、お姉ちゃんって呼んでくれないか?」

宮藤「へ?」

俺「ホントにこんな時に何だよ」


――秋の夜は賑やかに更けていく……。



おわり
最終更新:2013年02月15日 12:34