数日後 早朝、基地上空
俺「ふぁぁ…」ブゥゥン
エイラ「ふにゅー…」ブゥゥン
夜間哨戒帰りの二人が、あくびをしながら滑走路に近づく
管制『二人ともお疲れさん。眠そうだな』
俺「そら眠いよ……ふぁぁ」
またあくび
管制『今日は予報によると襲撃はなさそうだ。ゆっくり休め』
俺「そうする…」
管制『エイラ中尉を部屋に連れ込んで一緒に寝てもいいんだぞ?』
俺「…おっと手が滑った」
管制『銃口こっちに向けないで、双眼鏡越しでも怖いから』
俺「まったく…」
エイラ「………あのさ、俺…」
俺「?」
エイラ「その…俺さえ、良ければ…私は、別に……///」
俺「…///」
管制(聞こえてっぞ……)
結局俺の部屋で一緒に寝ることに
第四話 "The Disappearance of EFFY"
宿舎 サーニャとエイラの部屋
サーニャ「………ん」
夜間哨戒が休みだったサーニャが目を覚ます
サーニャ「エイラ………?」
いつもなら、隣に寝巻き姿の大親友が居るはずなのだが、
サーニャ「…いない……?」
部屋に戻ってきた痕跡すらない
まだ夜間哨戒から戻ってきていないのか?
そう思い、時計に目をやると、もうすぐ起床ラッパがなりそうな時間だった
サーニャ(……)
探しに行こうか?いやでも…
<パッパパーパーパパーパッパパッパパー、パッパパパパパー
サーニャ「ん?」
起床ラッパに思考をさえぎられる
サーニャ「…ご飯食べよう」
エイラを探すのはその後でもいいか…
食堂
サーニャ「おはようございます」
ミーナ「おはよう、サーニャさん」
宮藤「サーニャちゃん、おはよう!」
食堂にはエイラと俺とエフィを覗く皆が揃っていた…あ、エーリカも居ない
バルクホルン「あ、サーニャ。来る途中で、エフィを見なかったか?」
サーニャ「エフィちゃん、ですか?見てませんが…?」
バルクホルン「…あいつ、まだ寝てるな」
バルクホルン「夜間哨戒だった俺やエイラはともかく、エフィは起きているべきだろう」
サーニャ(あ、そっか。エイラ夜間哨戒だったんだ)
じゃあ多分…俺さんの部屋で寝ている
男女二人が同じ部屋で寝るのは風紀的によろしくないが、平気だろう
サーニャ(二人ともヘタレだし…)
シャーリー「ずいぶんとご執心だな~、バルクホルン」ニヤニヤ
バルクホルン「あいつにもそろそろ規律というものを教えねばならんな…起こしてくる」
椅子から立ち上がり、廊下に出る
サーニャは自分の席につこうとして、
サーニャ(あれ?エフィちゃんって、俺さんと相部屋だったよね……)
………………
サーニャ「バルクホルンさん!待って!」タッタッタ
慌てて大尉の後を追った
あの二人は多分一つのベッドで寝てる
大尉に見られたら大変なことに…
宮藤「あ、あれ?サーニャちゃん!」
シャーリー「なんだ?」
ミーナ「慌ててたみたいだけど…」
リーネ「追いかける?」
シャーリー「追いかけようぜ、面白そうだし」タッタッタ
宮藤「あ、シャーリーさん!待ってくださいよー!」タッタッタ
リーネ「あ、待ってよ!芳佳ちゃん!」タッタッタ
シャーリーを先頭に、ぞろぞろと後を追う
ミーナ「………ご飯冷めちゃうわよー」タッタッタ
結局全員出て行った
俺の部屋
俺「………」クカー
エイラ「………」スゥスゥ
ネウ子「………」ムニャ
実に平和な時間が流れている
俺とエイラが俺のベッドで、エフィが自分のベッドで寝ている
ちなみに、エイラは俺に腕枕されている
エイラ「……ん」モゾモゾ
寒い、エイラの本能はそう言っていた
何か熱源、もしくは暖が取れるものを探し求め、ベッドの上をモゾモゾする
割とすぐに熱源を見つけた
俺「クカー」←熱源
エイラ「ん……」ギュッ
俺を抱き寄せ、抱き枕代わりにする
俺「むにゅ…」ギュッ
俺も、エイラの背中に手を回す
お互いの暖かさを求めるように抱き合う
足も絡ませ、密着する形になる
俺・エ「……」スゥスゥ
…どんな夢を見ているのでしょう
エイラ「うん……?」
エイラが先に目を覚ます
目の前にある俺の顔
エイラ(あれ、私なんで……)
この状況に至る経緯を思い出そうとするが、
俺「…スゥ…スゥ…」
エイラ「寝顔かわいい…///」
途中で放棄
エイラ「…」ナデナデプニプニツンツン
俺「ん……スゥ…スゥ」サレルガママ
エイラ「…///」ニヘラァ
恋人の寝顔で遊ぶ、先に起きたほうの特権である
エイラ(俺の髪って意外とさらさらダヨナ。黒くて綺麗だし…)
顔もそれなりに整っているので、髪を伸ばして女装すれば、いい感じの美少女になりそう
エイラ(まぁ、俺にはこれくらいの短さが似合ってるけどナ)ナデナデ
俺「ん~……むにゃ…」
そんな平和な時間も、突然の来訪で終わりを告げる
<バルクホルン「エフィ!起きろ!起床の時間だ!」
ドアがドンドンとノックされる。いきなり入ってこない辺り、ここが俺の部屋、男子の部屋であることをわきまえているよう
エイラ(ど、どうしよう…)
この状況を見られたら確実に勘違いされる。大尉なら尚更…
エイラ(あれ?別に勘違いされても良くないか?私たち恋人だし…)
いやでも男女がベッドの上でヤりそうなことをしたと勘違いされても困る
エイラ(私今、下着だし…)
俺は寝巻きに着替えているけど……うん、これは勘違いされそう。一度自分の部屋に行って着替えてくるべきだった
<バルクホルン「入るぞ!」
<サーニャ「バルクホルンさん!待って!」タッタッタ
エイラ(サーニャ?)
<バルクホルン「ん?どうした?」
<サーニャ「あの、今は入っちゃダメ…と言うか…」
<バルクホルン「? ああ、安心しろ、俺は起こさない」
<サーニャ「そうじゃなくてですね…えっと…」
エイラ(頼むゾ!サーニャ!)
俺「…ん?……ん~……む?……騒がしいなあ」ムクッ
俺が起床
エイラ「あ、俺」
俺「おう、おはようエイラ。廊下が騒がしいが…」
エイラ「バルクホルン大尉とサーニャだ」
俺「珍しい組み合わせだな。まぁいい」
そういってベッドから降り、ドアに向かう
エイラ「俺…?」
俺「大丈夫、穏便に追い返すだけだから。大尉、サーニャ」ガチャ
ドアを開ける
サーニャ「あ…」
バルクホルン「ああ、俺。すまん、起こしたか?」
俺「ええ、まぁ。それより二人とも」
バ・サ「?」
俺「エイラが寝てるんで静かにお願いします」
エイラ「バカーー!!///」ガバッ
俺は状況をまったく理解していなかった
驚きのあまり、ベッドから跳ね起き、罵声を浴びせる
バルクホルン「なっ!///エイラ!俺の部屋で何をしている!その格好はなんだ!///」
サーニャ「やっぱり…」
俺「…あれ?俺何かまずった?」
エイラ「まずってるわ、このバカ!」ブンッ
俺「うおっと」サッ
エイラが俺の枕を投げつけるが、寸でのところで回避されてしまう
シャーリー「お、なんか面白いことになってる」タッタッタ
宮藤「あれ?エイラさん?なんで俺さんの部屋に…しかもその格好…」
リーネ「キャー」
ミーナ「俺さん…」ゴゴゴゴ
俺「ちゅ、中佐?笑顔が、笑顔が怖いです…」
何か絶対勘違いされてる?
<ハレンチナ!オマエラチョットコイ…クワシクセツメイシテモラオウ!ギャーワー!!
ネウ子「………………うるさい」
説教から解放されたのはかなりあとだとかどうとか
それから 談話室
ミーナ「…と、いうわけで、臨時補給作戦を実施することになりました」
何がというわけで、なのかというと、食料が底をつきかけているらしいので、街に買出しに行く、というわけ
ルッキーニが道案内、シャーリーがトラック運転の担当。宮藤も同行することになった
エイラ「ピアノ!ピアノを頼む!」ブンブン
ミーナ「ふふっ、いくらなんでもピアノは運べないわ」
エイラ「ちぇ、サーニャのピアノが聞きたかったのに…ナァ、サーニャ、欲しいものはないか?」
サーニャ「エイラ、自分の欲しいものを頼んだら?」
宮藤「俺さんとエフィちゃんは、何か欲しいものありますか?」
俺「そうだな、インスタントコーヒーを頼む」
宮藤「コーヒー、ですか?」
俺「軍用のはまずくてな。エフィは?」
ネウ子「キュー?」
俺「…特にないって感じ?」
ネウ子「キュゥ」
俺「…街に出てみるか?」
ネウ子「キュ!?」
俺「基地の外に出たことがなかっただろ?行ってみようぜ」
ネウ子「キュ…」
俺「いいですよね、中佐?俺も付き添いますから」
ミーナ「止める理由はないわ。行ってらっしゃい、エフィさん」ニコッ
ネウ子「…キュー!」
俺「よかったな」ナデナデ
リーネ(ねぇねぇ芳佳ちゃん。俺さん、キューだけでエフィちゃんの言いたいこと理解してる…)ヒソヒソ
宮藤(うん、何かすごい…)ヒソヒソ
俺「聞こえてるぞ~」
宮・リ「ひゃう!」
実は、エイラも似たようなことができる
(サーニャ「エイラ…」)
(エイラ「ほい」つ枕)
(サーニャ「エイラー」)
(エイラ「はい、サーニャ」つコーヒー)
(サーニャ「エイラ~」)
(エイラ「これダロ?」つネコペンギン)
ちなみに「え~いらっ」というときは甘えたいときらしい
俺(俺にはさっぱり理解できんがな)
それから、隊員の欲しいものを聞いて回ったりした
しばらくして、俺、エフィ、シャーリー、ルッキーニ、宮藤を乗せたM3ハーフトラックが基地を出発した
ローマ
宮藤「うぇ~、ぎぼぢわるい~」
トラックの座席で宮藤がうずくまっていた
シャーリーの運転は、かなり乱暴で、宮藤にはこたえたようだ
宮藤「皆なんで平気なんですか~」
シャーリー「運転してるのあたしだし」
ルッキーニ「何度も乗ってるし!」
俺「もっとひどいのに乗ったことあるし」
ネウ子「荷台の、床から、3mm、浮いてるし」
こんなところでネウロイパワー使うな
宮藤「もぉ~!」
そんなこんなで、ルッキーニが地元自慢をしている間に、目的地の雑貨屋に到着
シャーリー「ここでいいのか?」
ルッキーニ「うん!ここなら大抵のものが揃ってるんだ!」
俺「エフィ、分かってると思うが…」
ネウ子「大丈夫、街中で、ネウロイパワーは、使わない」
<イラッシャセー
俺「行こうか」
ネウ子「うん」
棚に並んだ商品を見る。確かに、大抵の物が揃ってそう
宮藤「ラジオと目覚まし…」タッタッタ
こちらは隊員からの要望があったものを探し、
ルッキーニ「これあたしの!」ドサッ
こっちはお菓子を物色中
俺とエフィも店内を見回る
俺「エイラが枕で、サーニャは猫の置物だっけか」
ネウ子「そう」
エイラの指定は確か、色は黒で赤のワンポイントがあるもの。素材はヴェルヴェット、中綿は海鳥の羽で、ダウンかスモールフェザー
俺(我ながら良く覚えられたな。多分サーニャにプレゼントするんだろう)
寝具のコーナーでそれらしきものを発見
ネウ子「赤ズボン隊の、グッズ」
俺「みたいだな」
隣に縞柄の枕があるのは、見なかったことにしよう
<ハナシテクダサイ!
ふと、ある一つの枕が目に付いた
<スーパールッキーニキックー!
色は水色で、素材は分からないが手触りはいい。カバーに星のマークが描かれている
エイラの着ていたパーカーと同じ配色だ
<デュクシッ!
俺(これいいなぁ)
<ニヒッ!イコッ!タッタッタ
自分が使うわけではないが、欲しいと思った
<? ルッキーニ?トテトテ
俺「ナァ、エフィ。これ、どうかな?」
振り返ったら、
俺「……あれ?エフィ!どこ行った!?」
ローマの街中 エフィ
エフィは、店を飛び出ていったルッキーニを一人で探していた
ネウ子(どこ行っちゃったんだろう…)トテトテ
見知らぬ街で人探し。かなり大変だ
ネウ子(ネウロイパワーを使えば何とかなるかもしれないけど、彼と街中じゃ使わないって約束したし…)
いい忘れていたが、エフィはモノローグだとよくしゃべる
ネウ子(トラックまで戻ろうか……あ、道わかんない…)
当てもなくうろついていたのだが、実はエフィは、ルッキーニとマリア皇女の足跡を正確にたどっていた
二人が訪ねた場所を訪ねた順に、入れ替わるようにして来ていた。いわゆるすれ違いである
ネウ子「疲れた…」
塔のある広場に出る。ベンチに座って休もう
ネウ子「キュゥ…」ストン
ぼ~っと広場を見回す。同じくベンチで休んでいる人も居れば、遊んでいる子供もいた
それぞれが、それぞれの日常、人生を過ごしている
ネウロイと人類…共に生き、ともに生活する方法はないのだろうか
彼と生活を共にし、人間の文化、生活に触れ、幾度となく同じことを考えた
ネウロイには、情というものがない
個々はネウロイの一同志に過ぎず、派閥の頭数でしかない
ネウロイ同士が信頼しあうこともなければ、自己犠牲なんてものもない
エフィのような特異ケース――人類と戦闘以外で関わりを持とうとする――を除き、
ネウロイは基本、人類を敵と認識している。人類のことを理解できないから
なぜ、人間は他人を思いやるの
なぜ、他人の死を悼むのか
なぜ、国を守ろうとするのか
すべては、感情・友情・意志・プライドによるものなのだが、ネウロイには理解できない
ネウ子(ネウロイが、人間の持つ感情……涙を流す理由を理解できれば……)
エフィに涙は流せない。それは他のネウロイも同じ
だが、エフィには感情、またはそれに準じたものがある。隊の皆と笑い合うことができる
人間と積極的に関わりを持ったり、小説を読んだり話を聞いたり、人間のことを知ろうとしたから
エフィにできたのだから、他のネウロイにできないわけがない
そのはずなのだが…
ネウ子(やっぱり…私が特異なだけなのかな…)
…今度、彼や隊の皆と話しをしよう。何かヒントが見つかるかもしれない
そう考えていたとき、不意に声をかけられた
男A「ねぇ、君、かわいいねぇ」
ネウ子「キュ?」
男B「夏なのにセーターって、変わってるね。暑くないの?」
分かりやすいナンパだ
ネウ子「あ、えと…」
怖い。怖い…
見知らぬ人を疑うことも、信用することも、エフィにはできない。術を知らないから
男A「ちょっと歩いたところに喫茶店があるんだ。そこでお茶しない?」
ネウ子「あ、あう……」ガクブル
助けて……誰か助けて……
ネウ子(俺兄さん………!)
<コラーッ!
ネウ子「!?」
怒鳴り声と共に、誰かが走ってくる音が聞こえた
男A「なんだ?」
男B「女の子?」
走ってこちらに向かってきたのは、
<スーパーッ
黒髪ツインテールの、
<ルッキーニッ
縞ズボ少女、
ルッキーニ「キィィック!!」ドゲシ
フランチェスカ・ルッキーニ少尉である
男A「ふぎゃぁ!?」ドタンッ
ルッキーニのとび蹴りを喰らった男がひっくり返り、
男B「うわぁ!?」ビタンッ
もう一人が下敷きになった
一瞬の出来事に驚いて呆けていると
ルッキーニ「にしっ!いこっ!」タッタッタ
ネウ子「はわ…」タタタ
手をとられ、走り出した
その近くの喫茶店にて
シャーリー「あ~、全然見つかんねぇ~」ハァ
俺「あいつどこ行ったんだ…」ズズッ
新聞片手にコーヒーを啜る
『ローマタイムズ 第一面』
―第一公女、明日初公務
―ロマーニャ公国第一公女マリア殿下は、明日の園遊会に出席
―その場で、ラジオや新聞等のメディア向けのスピーチを行う予定
その横には、その第一皇女さんらしき少女の写真が載っていた
俺(公室や政治の事はわからんが、若いのに大変だな~)
素直にそう思ったが、自分らウィッチも若い世代に分類されることを忘れている
ところで、ここのコーヒーはなかなかうまい。豆を売っていたら買って行こう
宮藤「アムッ…!…シャーリーさん!これすっごくおいしいですよ!」
シャーリー「お前な~…」
宮藤「はい!」スッ
自身がおいしいと絶賛したケーキを一口、シャーリーに向ける
シャーリー「アムッ…!…おお!すっげぇうまいな、これ!」ガタッ
宮藤「でしょ~!」
シャーリー「ああ、すいません!このケーキもう一つ…いや、二つ!」
宮藤「お願いします!」
近くを通ったウェイターに注文する
俺「あ、コーヒーももう一杯お願いします」
しばらくここに居ることになりそうだな
広場の塔 テラス
塔の上のテラスっぽいところ(私には正確な表現ができない)にいる
ここからだと、ローマを一望することができる
マリア「きれい…」
どことなく高貴な雰囲気をしている少女が漏らす
聞いたところによると、マフィアらしき連中に囲まれているところをルッキーニに助けられたらしい
で、なんやかんやあって一緒にローマ巡りをすることになり、この広場に来たと言う
その途中、ナンパされていた私を見つけた、というわけ
マリアと対面したときは、私がネウロイだってことがバレないか心配したけど、
ルッキーニ『あたしの近所に住んでる友達!エフィって言うんだ!』
ルッキーニの機転で何とかなった。いろいろあったけども、この景色は確かに綺麗だ
ルッキーニ「実は、もう一つ見せたい景色があるんだ」
マリア「それは是非見てみたいですね」
ネウ子「私も、見たい」
ルッキーニ「ん~と、今は、ちょっとね」タハハ
ネウ子「キュ?」
マリア「では、またの機会に」
ルッキーニ「うん!」
もしかして、ルッキーニが見せたい景色って……
<ウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
ネウ子「キュッ!?」
警報!?
ネウ子(そんな……敵ネウロイが近くに居たら、なんらかの反応があるはず……まさか、研究中だったステルス!?)
急進派の連中、もう実用段階まで漕ぎ着けたの!?
…とりあえずステルス性能の有無の話は置いておこう
急進派の目的は、ロマーニャの占領と穏健派ネウロイの掃討。私が生き残っていることが急進は上層部に知れれば――
ネウ子(――全力で殺しにくる……そしたら、街に被害が………ウィッチーズの皆が………俺兄さんが……)
とにかく、コアの活動を最小限に抑え、敵機の探知に引っかからないようにする
ネウ子「逃げなきゃ…」
マリア「そうです。ルッキーニさんも、早く逃げましょう」
マリアがルッキーニの手を握る
ルッキーニ「…あたし、行かなきゃ。ウィッチだから!」
マリア「え?」
<キキーーッ!
ネウ子「あ……」
広場にトラックが入ってきた
俺「エフィィィィ!!」
助手席から身を乗り出して俺が叫ぶ
ネウ子「!」パァァ
ルッキーニ「これ、持ってて」スッ
マリア「あ…ウィッチ?」
ルッキーニ「うん!」シュタッ
テラスの手すりを乗り越え、
ルッキーニ「とぅ!」
マリア「!っ危ない!」
広場に停車したトラックへ飛び移る
ネウ子「大丈夫。平気」
マリア「え?」
ネウ子「彼女は、本物の、ウィッチ、だから」
荷台のユニットを装着、垂直の上昇し、敵機迎撃へ向かう
俺『エフィ!?聞こえるか!?』
ネウ子「キュ!?あ、うん、聞こえる」
ポケットに入れっぱなしだったインカムを慌てて装着する
俺『説教は後だ。今はその子を連れて避難しろ。軍の誘導に従うんだ』
ネウ子「わかった」
一方マリアはと言うと、上空で繰り広げられる空戦に目を奪われていた。マリアの腕を取り、
ネウ子「逃げるよ…」タタタ
マリア「あ、はい!」タッタッタ
塔を降り、避難する
塔の階段を駆け降り、広場への出口に出る
ネウ子「建物に、沿って、走る。離れないで」タタタ
マリア「はい!」タッタッタ
彼女の手を取り、必死に走る
上空
俺(あいつ、走れるようになったのか)
高貴な感じの女の子を引っ張るエフィ。どうやら、小走りくらいはできるようになったらしい
ルッキーニ「シャーリー!コアが見えた!」ダダダダ
シャーリー「よし!X攻撃だ!」ダダダ
今回俺は後方支援。空戦はシャッキーニの二人に一任だ
宮藤は街への被害を最小限に抑えるため、放たれたビームをシールドで防ぐ
俺「あとすこし…」テュンテュン!
敵機に外装を徐々に削っていく
防空隊の高射砲攻撃によりあらわになったコアの周りは、徐々に再生していた
その時、
<キィィィン!!バシュゥ!ビィィムビィィム!!
シャーリー「!?」
宮藤「!?」
俺(まずい…!)
敵の左翼から地上に向けビームが放たれる
宮藤が居るのは右翼側。シャッキーニの二人は敵機の上を取っている
放たれたビームの先にいたのは
ルッキーニ「マリアっ!!」
俺「エフィっ!」
地上を走って逃げている二人だった
地上
マリア「!?」
驚きを隠せない、と言った表情。恐怖に満ちている
自分に向け放たれ、向かってくるビーム
ネウ子(マリアは放心状態で走れない…引っ張っても間に合わない……)
私ならともかく、生身の人間があのビームを喰らって無事で済むはずがない
助けなきゃ…マリアを……私が………!!
ネウ子(引っ張るのがダメなら……)
マリア「…あぁ……」
ネウ子(突き飛ばす!!)
ドンッ!!
マリア「きゃっ!?」ドサッ
<ビィィム!!…ジュッ
ネウ子「あぁぁっ!?」
マリア「エフィさんっ!?」
ビームはエフィの左わき腹を貫通した
俺「エフィ…!」
シャーリー「俺!あいつのところに行ってやれ!」ダダダ
俺「すまん!」ブォォン
敵のビームを防ぎながら地上へ降下。エフィの元へ向かう
マリア「エフィさん!しっかり!………――っ!?」
大きな穴の開いたわき腹。血はまったく出ていない
ネウ子「…驚いた?」シュゥゥ
傷口に光の粒子が収束して行き、穴がふさがっていく
そこに俺が到着し、地面スレスレでホバリングする
俺「(ブォォン)エフィ?お前…」
ネウ子「ごめんなさい…こう、するしか、なかった」シュゥゥ
マリア「…」
俺「…あの機体の弱点、わかるか?」
ネウ子「すべての、面において、平均値以下…装甲も、もろい」
傷口の修復を終えたエフィが上体を起こす
俺「縞パフのあれは使えるか?」
ネウ子「使える」
俺「よし。シャーリー!ルッキーニ!いつもの奴をお見舞いしてやれ!」
シャーリー『了解!行くぞ!ルッキーニィ!』
ルッキーニ『あいよー!』
いつものあれ、とどのつまり多重シールド特攻である
俺「良く見て置きなさい」
マリア「え?」
俺「あなたの国のウィッチですよ、殿下」ニッ
マリア「!」
<ドォォン!パリーン!!
ネウ子「撃墜数…プラス1」
それからしばらくして 広場
ネウ子「…」シュン
俺「…」ムスッ
お説教の時間です
ネウ子「…ごめんなさい」
俺「…」ギュッ
ネウ子「キュ?」
そっとエフィは抱きしめる
俺「…心配…したんだからな…」
ネウ子「……」
マリア「今日は、ありがとうございました」
ルッキーニ「うん!また遊ぼうね!」
マリア「はい」
俺「…殿下」
小声で話しかける
俺「エフィのことは、どうか内密に。最高級の軍事機密に値しますので」
マリア「分かっています……エフィさん」
ネウ子「キュ?」
マリア「先ほどは、ありがとうございました。あなたは命の恩人です」
ぺこりと頭を下げる
ネウ子「私は、その…ただ、必死で…できることを、しただけ」
俺「いや、胸を張ってもいいぞエフィ。お前が救ったお方は――」
マリア「しー!」
口に人さび指を当て、わずかに微笑む
俺「失礼…」
マリア「では、私はこれで」
ネウ子「うん。バイバイ…」
俺「…スピーチ、がんばってください」
マリア「…ええ」
ちょうどシャーリーがトラックのクラクションを鳴らした
シャーリー「そろそろ行くぞ!」
俺「ああ!今行く!」
俺が先に荷台に乗り、
俺「ほら」スッ
エフィ「うん」ギュッ
エフィの手をとって乗るのを手伝う
ミラー越しに俺たちが乗車したのを確認し、トラックが発進する
ルッキーニ「バイバイ、マリアー!またねー!」ブンブン
ネウ子「また、いつか…」フリフリ
二人が荷台から手を振る。マリアも振り返してくれた
彼女の後ろには、体の各所に包帯を巻いたSPらしき男が立っていた
翌日 談話室
宮藤「はい、エイラさん」
エイラ「言ったのあったカ?」
街で買ってきた各隊員の欲しいものを、宮藤が配り歩いている
サーニャ「欲しいもの見つかったの?良かった」
最近サーニャがエイラの母親みたいになってる気がする
宮藤「サーニャちゃんにはこれ」
つ猫の置物
サーニャ「ありがとう芳佳ちゃん」
俺「エイラの指定が細かすぎてさ~。探すの苦労したよ」ハハ
エイラ「ソ、ソンナコトナイゾ」
サーニャ「エイラ、人にお願いするときは、ちょっとは遠慮するものよ」
エイラ「ウ…」
……やっぱり母親だ
エイラ「そ、それより、あっちの枕はナンダ?」
積み上げられた買ってきたものの中には、もう一つ枕があった
宮藤「あ、私も気になってたんですよ。買い物メモにはなかったし、エイラさんの指定とは違うし」
水色に黄色の星のマーク。雑貨店においてあった枕だ
俺「あ~、あれか。俺が買ってきた」
エイラ「俺が?自分の枕カ?」
俺「いや、俺のじゃないんだ。枕は今ので満足してる」
エイラ「じゃあエフィの?」
ネウ子「キュー」フルフル
サーニャ「違うって」
エイラ「じゃあ、ナンダ?」
………みんなが居る前では言いたくなかったな
俺「えっと…そのぉ…」
一同「?」
俺「エイラ、お前の、分だ」
エイラ「ウェ?私の?でも…」
俺「あぁ、その……俺の部屋に、置いとく…お前の分だ」
エイラ「ウェ!?///」
宮藤「キャー」
サーニャ(やったねエイラ!夜這いOKだって!)
…暗に誘ってるようなモンだよな、これ
エイラ「え?えー?えっと、その…なんで…///」
俺「え、いやー……///」
言いたくない。みんなが居る前じゃ言いたくない
ネウ子「毎回、腕枕は、辛いよね」
俺「バッカ!言うなよっ!///」
エフィ!!
サーニャ「腕…」
宮藤「枕…」
エイラ「サ、サーニャ?ミヤフジ?目が、目が怖い…」
宮藤「詳しく…」
サーニャ「聞かせて…?」
にじり寄る二人
エイラ「ニャー!!///」タッタッタ
逃走する我が想い人
俺(女の子ってやっぱりそういう話好きなのね)
ウィッチといえども年頃(ティーンエイジャー)の女の子です
ネウ子「これ、どうする?」
エフィが水色の枕を持ってきた
俺「…部屋に置いとこう」
ネウ子「わかった」
エイラ、使ってくれるかな
ミーナ「入った!」
机でラジオを弄っていた中佐が声を上げた
『…ザー…さて、本日始めて公務の場である園遊会に出席された、ロマーニャ公国第一公女、
マリア殿下から野のお言葉です』
『昨日、ローマはネウロイの襲撃を受けました。しかし、そのネウロイは、小さなウィッチの活躍で撃退されたのです
その時、私はネウロイの攻撃で、危うく命を落としかけました。それを救ってくれたのは、ウィッチと変わらぬ年頃の女の子でした
私が彼女にお礼をすると、彼女はこう言いました。「自分にできることをしただけ」と
私は、ウィッチと彼女にとても大切なことを教わりました。地位には責任が伴うこと。この世界を守るには、一人一人ができることをすべきだと
私も、私にできることで、この世界を守っていこうと思います
ありがとう、私の大切なお友達。エフィさんとフランチェスカ。ルッキーニ少尉』
一同「ええ~っ!?」
さっきの演説、ルッキーニ本人に聞かせてやりたかったぜ
サーニャ「よかったね」
ネウ子「?」
サーニャ「新しいお友達ができて」ニコッ
ネウ子「…うん」
<ウキャー!ドサドサ
俺「ん?」
滑走路のほうから声が聞こえた
『感謝を込めて、ささやかなお礼を、第501統合戦闘航空団に贈ります』
<オモイー
俺(…これで食料に困らずに済むな)
………ところで、夜に中佐が腹痛を訴えて医務室に行っていたんだが、ありゃなんだったんだ?
俺「あーめが降っても?」テュンテュン!!
エイラ「キニシナイー」ダダダダ
坂本「お前と、エフィの力を借りたい。後で部屋に来てくれ」
エイラ「…ナ、ナンダヨ!ナンカ言えヨ!///」
俺「おかえり、エイラ…」
エイラ「…ただいま」
最終更新:2013年02月15日 12:46