――1945年2月21日
――スオムス・ヨロイネン観測所近くの森
俺「……」ザック………ザック
早朝、俺は森の中をモシンナガンを手に踏み進んでいた
いつもの黒っぽいジャケットではなく、上下白の冬季野戦服を着込んでいる
周りに目を凝らし、獲物を探す。今の彼は、ソルジャーではなくハンターだ
俺「!」
十数メートル先。鹿二頭を見つけた
音を立てずにその場に伏せ、モシンナガンを構える。初弾が装填されている事を確認する
俺(親鹿と子鹿か……)
両方は同時に狩れない。親鹿に狙いを定める
俺「ふぅ………っ!」
息を吸って少し吐いた後、息を止める
引き金に指をかけ、そして
俺「っ!」
<ダァァン!!
息も白くなる寒い朝。スオムスの森に、銃声が鳴り響いた
短編集:1944 Winter Story編 "Syntymäpäivä onnea!"
<ドサッ……
俺「ハァ……」
頭を撃ち抜かれた親鹿がゆっくりと地面に倒れる
俺は、立ち上がりながらモシンナガンのボルトを引き、初弾排莢、次弾を装填する
俺「ん?」
親鹿は死んでいる。この距離からでも分かる
だが、子鹿が逃げようとしない。目の前で親が倒れ、近くで銃声が鳴ったというのに
<クゥゥン…
子鹿が首を曲げ、鼻先を倒れた親鹿へと向ける
親鹿の近くに寄ろうと、子鹿が足を動かしたとき、こいつがなぜ逃げ出さないか分かった
俺(足を怪我している…)
おそらく骨折だ。脚はプルプル震えており、立っているのがやっとといった感じだ
<クゥゥン?クゥゥン!
動かない親鹿に鳴き掛ける子鹿
俺「……」
見てられなかった
持っていたモシンナガンを一旦置き、腰のバックパックから医療器具一式を取り出す
俺「チチチチ……」
目線を子鹿にあわせ、少しずつ距離をつめる
<クゥゥン…?
俺「動くなよ…」
固定具と包帯を取り出し、骨の折れた鹿の脚に処置を施していく
こんなの、ただの自己満足だ。分かっている…だが、鹿肉を食べるたびにこのことを思い出すのはゴメンだ
俺「これでよし、っと」
キュッ、と包帯を結び、簡単な処置は終わった。歩ける程度のものだが
<クゥゥン
俺「早く行け」
<…クゥン
俺「お前の親はもういない。これからお前は一人だ」
<クゥン
俺「俺はお前をひとりにしちまった。だから、お前が一人で生きていける手助けをした」
<クゥゥン
俺「もう行け…このあたりから出て行ったほうがいい」
<…クゥゥン
子鹿……鹿は、ノソノソと歩き、森の中を進み始めた
俺「……」
なんとも言えない気分になった俺は、この一頭だけで狩りを終わりにし、引き揚げた
観測所 キッチン
<カチャカチャ
サーニャ「~♪」
フリフリのついた黒いエプロンを身に付け、サーニャが鍋をかき回している
鍋の中身はオラーシャ料理のボルシチ。おいしそうな匂いをしている
壁にかけられたカレンダー。今日の日付に赤丸が付けられている
その日付は2月21日。エイラの誕生日だ
ボルシチのほかにも、スオムス料理のリハプラト(ミートボール)などもある
サーニャ「うん、おいしい」
スープをすくい、味見する。どうやらうまくできたようだ
サーニャ「あ」
ふと窓の外を見ると、俺が袋を引きずりながら観測所に戻ってきた
サーニャ(メインの鹿肉も到着。後はケーキだけ)
そのケーキも、スポンジはすでに焼きあがっており、クリーム等でトッピングすれば終わりだ
サーニャ(鹿肉の調理は俺さんがやってくれるから、少し休憩できるね)
コンロの火を止め、エプロンの腰紐をほどく
サーニャ「?」
冬季野戦服姿の俺に駆け寄っていく人影が見えた
サーニャ「……エイラ?」
水色のスオムス軍服と雪色のロングヘア。まごうことなきエイラである
サーニャ「あ、抱きついた」
俺にエイラが抱きつき、俺がちょっとよろける
窓越しなので声や音は聞こえない。けれども、二人は楽しそうに見えた
エイラ『オカエリー!』ダキツキ
俺『うぉぅ!?///おい、びっくりするじゃねぇか』
エイラ『暖かい……』ムギュー
俺『人の話を聞け……というか、動けないんだが』
エイラ『別にいいじゃん……ホワー』
俺『まったく……///』ギュッ
エイラ『~♪』
サーニャ(みたいな会話してるんだろうなぁ……)
妄想なう
サーニャ(私も、あんな恋、してみたいな……)
純粋にうらやましいと感じる
男性との接触が極端に少ないウィッチ生活だが、きっといつか……
そんな淡い希望を抱きつつ、
サーニャ(鹿肉早く調理して欲しいな…)
目先の料理のことも考えるサーニャでした
観測所 談話室
暖炉に薪がくべられ、赤々とした炎を燃やし、部屋を暖めている
俺、エイラ、サーニャ、ニパのいつもの四人は、テーブルを囲み談笑していた
四人ともそれぞれラフな格好をしている
俺はカーキのカーゴパンツと深緑のパーカー、エイラはいつもの水色パーカー。サーニャは赤い猫が描かれた黒のパーカー。ニパは無地の空色パーカー
つまりは皆パーカースタイル。洗濯楽チン
パーティー料理は四人の胃の中に納まり、テーブルの上には食後のコーヒーが置かれていた
エイラのマグカップが新しくなっている。今日、俺がプレゼントしたものだ
エイラ「♪」
実にうれしそうだ
俺「あ、降ってきたな」
窓の外では雪がわずかに降っていた。空模様からして、これから強くなるだろう
ニパ「もう二月も終わりなのに…」
俺「寒いのには慣れてるだろう?」
ニパ「そうだけど、そろそろ暖かくなってもいいのに、って話」
俺「ああ……まぁ、な」
俺としては、ちょっと肌寒いぐらいがちょうどいいのだが
というか、戦闘に際しては寒いほうがいい。暑い中装備担いで野戦服で走り回ったら死ねる
ニパ「飲み物のおかわりとってくる」
そういって席を立つ
エイラ「ナァ俺。今まで聞きそびれてたんだけどサ」
俺「ん?どうした?」
飲み終わって空になったカップを置きながらエイラが話しかけてきた
エイラ「お前の誕生日はいつナンダ?」
俺「誕生日?」
サーニャ「そういえば、話した事なかったですね」
エイラ「ダロ?知っておきたくてさ」
誕生日か……
俺「……8月29日だ。だから、今年(1945)で16歳だな」
8月29日……審判の日の日付だ
俺(別段気にはしないがな……)
エイラ「私と同い年…」
俺「ああ、そうだったのか」
今の今まで知らんかったぜ
ニパ「反応薄いな~、恋人と同い年って意外と重要なことだよ?」
両手にコップを持ったニパが戻ってきた
俺「そういうもん?って、何だその黒々とした飲み物は…?」
コップにはまさに黒って感じの液体が入っていた……イカ墨とかじゃねぇよな?
エイラ「オッ!これは…」
サーニャ「スンスン…サルミアッキの匂い…?」
俺「え?…クンクン…ホントだ、塩化アンモニウムの匂い」
匂いというか臭いというか…
ニパ「そう!サルミアッキを細かく砕いて炭酸水に溶かしたジュースだよ」
やけに「ジュース」のところを強調して言った
エイラ「どこで買ったんダ?ニパ?」
こっちはなぜか目を輝かせている。すきなのか?これ?
ニパ「手作りだよ。炭酸水も本場のものだ」ニヤニヤ
エイラ「ほほぅ」ニヤニヤ
サーニャ・俺「……」
ついていけねぇ…つうか炭酸水の本場って何だ
ニパ「まぁまぁ飲みなよ」スッ
俺とサーニャの前にも、同じジュースが差し出される
サーニャ「い、いただきます…」
俺「飲むのは構わんが……ニパは飲まないのか?」
ニパ「私は、ちょっと、苦手でさ」
じゃあ何で作ったんだよ…
エイラ「んぐっ……んぐっ……プハァ!///」
いい飲みっぷりだ…って、そうじゃなくて、エイラの顔、なんか赤くないか?
サーニャ「…んぐ……!?///」
俺「ど、どうした?」
サーニャ「俺さん!これお酒ですよ!」
俺「なに!?」
驚いて一口飲んでみる……うん、酒だ
俺(アルコール臭がアンモニア臭にかき消されていたのか…)
つうか、
俺「ニパ!未成年に何飲ませてんだ!」
椅子から立ち上がり抗議する
ニパ「こっちの方じゃウォッカは水だよん♪」
そういってどこからか取り出したビンを見せる。ラベルにはコスケンコルヴァと書かれていた
俺「マジもんのウォッカだ…」
ニパ「ちなみにグラスのそれはサルミアッキコッソウ。コスケンコルヴァとサルミアッキのカクテルさ」
俺「シマ(蜂蜜酒)とかラッカ(イチゴ酒)なら分かるけど、ウォッカっておま…」
ニパ「」クイクイ
ビンを持っていないほうの手で、俺の後ろを指差す
俺「ん?」
振り返ると、
サーニャ「チミ……チミ……フゥ……///」
チミチミとだが確実にグラスの中身を減らしているサーニャと、
エイラ「ゴッキュゴッキュプハァ!//////」
いつのまにかグラスがジョッキに変わって、豪快に一気飲みしているエイラがいた
……二人とも顔真っ赤だぞ
俺「……」ハァ
ニパ「言ったでしょ?こっちじゃウォッカは水みたいなもんだって」ニヤニヤ
俺「…誕生日ぐらいハメを外そう、ってか?」
ニパ「そういうこと……飲めるようになる前に、死ぬかもしれないからね」
俺「………ニパ」
ニパ「?」
俺「無理にシリアスにしようとしているのがバレバレだぞ」
ニパ「ですよね~♪」ニヤニヤ
やけに楽しそうだな、おい
俺「で、俺も飲めと?」
ニパ「うん、まぁ、そうなんだけど。俺には、後始末をお願いしたいんだ」
俺「後始末?後片付けじゃなくて?」
ニパ「うん…イッルの後始末」
俺「え?」
エイラの後始末?何のこと?
エイラ「おれ~、もういっぱいついで~///」
そのエイラは、ベロンベロンになって机に突っ伏していた
ニパ「イッルはさ、いつもがお酒に強い分、悪い方向に酔いが回りやすくてさ」
俺「…あ~」
理解した
エイラ「お~れ~///」ダキ
俺「ウェ!?///」
顔がもうなんかトロ~ンとしてるエイラが、俺の腰辺りに抱きついてきた…耐えてくれ俺の理性
ニパ「私はサーニャさんを部屋に寝かせてくるから、お願いな!さ、行くよサーニャさん」
サーニャ「ん…………ステルクサーン…トトリチャーン…」
ニパ「だれ?」
俺「あ、お、おい!」
これまた顔がトローンとしてるサーニャの手を引き、ニパが部屋を出て行く
残されたのは俺と、俺の腰に抱きつくエイラだけ
俺(どうしろというの…?)
エイラ「ふにゃ~…えへへ~///」
完璧に酔ってるナァ…
俺「ほら、立てエイラ。部屋まで行こう」
エイラ「ふにゅ~///」
またたびに当てられた猫のごとくベロンベロンになっているエイラの肩を担いで立ち上がる
俺「酒は飲んでも飲まれるなってか……ヨイショット」
何とか体勢を整え、部屋から廊下に出て、エイラの部屋へ向かう
エイラ「ん~……zzz」
俺「あ、おい!まだ寝るな!」
ちくしょう、何でこんなことに…
俺(ん?)
廊下の前方数メートル先。スオムス人特有の色の薄いブロンドが見え隠れしている
俺(ニパめ、覗き見とはいい趣味してやがる……)
こうなる事を知っていて敢えて飲ませたな……
俺(……まぁ)
エイラ「んにゅ~……」
俺(誕生日の夜に、二人きりにしてくれたのはうれしいけどさ)
ちょっともたつきながらだが、エイラの部屋の前に着いた
足でドアを開け、中に入る。肘で電気のスイッチを押す
壁際のベッドまでエイラを運び、
俺「よっと」
一旦お姫様抱っこの状態に抱えなおしてから、
俺「そぉ~とっと…」
ベッドの上に寝かせる
俺「ふぃぃ…」
エイラは横になるまでの間に寝てしまった
エイラ「zzz……だいひょうふ、このひょは、はっひーへ、へひてひふー………zzz」
………寝言にしては長かったな
俺(それより、だな……)
酒が入ったせいで紅潮している顔
若干熱の入った寝息
ここに来るまでで乱れてしまった服装
パーカーの襟元から覗かせる白い首筋と鎖骨付近
悪いこととは分かっているが、どうしても目が行ってしまう形のいい双丘
俺(なんかもう……イロイロトヤバイデス)
間違いを犯す前に部屋から出よう
電気を消し、ドアノブに手を掛けるが、
<ガチャ………ガチャ?
俺「ん?あれ?え?」
ガチャガチャとドアノブを数回回し、押したり引いたりするが開かない
俺「鍵はかけてないし、ノブは壊れてないし…」
<カチッ
その時、ドアの向こうでそんな音が聞こえた気がした
俺「あ~……そうだ。自室禁固の時ように外から南京錠かけられるんだった……」
嗚呼、神よ………じゃない、ニパよ、俺に死ねと申すのか?
しばらくの間呆然と立ち尽くしていたら、
エイラ「お~れ~……」ヌッダキッ
俺「いぃぃっ!?///」
いつの間にかベッドからできたエイラがまた俺の腰辺りにしがみついてきた
俺「え、ええ、え、エイラ!?寝たんじゃなかったのかぁ…!?」
暗闇、密室、酒の匂い、いろいろ相まって緊張し、声が裏返ってしまった
エイラ「えへへ~にひ~…な~おれ~」
俺「にゃ、なんだ?」
まだ酔いが抜けないエイラが、
エイラ「いっしょにねよ~」
俺「!?///」
俺のズボンをぐいぐい引っ張りながら問題発言をした
俺「お、おい?酔ってるんだろう?水飲んで寝たほうが、」
エイラ「おれといっしょがい~い~」グイグイ
駄々っ子のごとく俺のズボンをつかんで引っ張る
それも下に、下に引っ張る
俺「ちょ!///脱げるから!分かった!寝よう!いっしょに寝よう!うん!」
エイラ「えへへ~あんがとー///」
俺「……///」
いつも見せる笑顔とは違う、純粋にかわいいと思える、少女のようなまぶしい笑顔
なんかもう、何されてもいいような気がしてきた
暗闇の中、エイラに引っ張られながらベッドにもぐる
俺が壁側、エイラが逆側だ
エイラ「にひっ……あったかい……」
俺「ああ……そうだな……」
向こうの世界にいた頃、妹分といっしょに毛布に包まったことを思い出した
俺(あの頃は俺もエフィも小さかったからなぁ。一枚の毛布じゃ二人でくるまれなくなったのっていつだっけ)
そんな思い出に浸っていると、
エイラ「……むー」
俺「ん?なんだよ?」
エイラがなにやら不服そうな声を上げた
エイラ「おれ、いま、ほかの女の子のこと、考えてた」
よいがほんの少しだが抜けたのか、だいぶ呂律がまわるようになっていた
俺「え?他の女の子って…」
エイラ「……」ジー
俺「……フフッ、安心しろ、妹のことだから」
エイラ「妹?」
俺「血は繋がってないけど、仲が良くてさ。向こうにいた頃は、いつもいっしょだった」
エイラ「そうか……」
安心したような、それでいてちょっとがっかりしたような、そんな声で返す
俺「ほら、もう寝ろ。明日も早いんだし」
エイラ「うん。じゃあ…」
俺「?」
モゾモゾとエイラがベッドの中を動き、
俺の腕をつかみ、自分の頭の下にひいた
つまりは腕枕だ
エイラ「ふふ~ん」
俺「痺れそうで怖いんだが…」
エイラ「嫌、だった…?」
俺「うっ……嫌では、ないけど…」
そんな色っぽい顔で上目遣いは卑怯だろ…
エイラ「へへ~///じゃあ、このまま…」
仕方がないので、もう片方の腕で毛布をかけなおしてやる
俺「……おやすみ///」
エイラ「おやすみ~…」
……………
俺「……」ドキドキ
エイラ「……」ドキドキ
お互いの鼓動の音のみが聞こえる空間
今聞こえている音が、自分の心音なのか相手の心音なのか分からなくなりそうになったとき
エイラ「…………ムー」
またエイラが不服そうな声を上げた
俺「今度は何だ?」
やっと瞼が重くなってきたというのに…
エイラ「だって、俺……襲ってこないし…」
俺「あ?おそ………はぁっ!?」
おいおい、いくら酔ってるからってそんな事言っちゃ……
エイラ「俺だって、男の子なんだし、こういうのは、人並みに、興味は、あるでしょ?」
そういって、自分のパーカーの襟元に手を掛け、
俺「っ!?!?///」
胸の谷間を露出させた
暗闇に目が慣れてしまっていたのが災いした
……あ、やべ、鼻血出そう
エイラ「ニヒッ、顔真っ赤…」
俺「そ、そそ、そういうことを軽はずみにやるんじゃないっ!///」
上を向き、エイラ(の胸元)を視界から外す
……意外とデカかったな。着痩せするのか……ゲフンゲフンブシャゲフン
エイラ「こんなことするのは、俺だけだぞ…」
俺「?」
さっきまでの酔いが回って呂律が回っていない口調はどこへやら。かなりはっきりとした口調で話し始めた
エイラ「私は、俺だったら、……」
俺「エイラ……」
エイラが俺の肩に手を当て、体を寄せる
顔をこちらに向け、目を瞑り、唇をわずかに尖らせる
俺「お、おい……」
エイラ「……来て……」
――悪魔「行ってしまえ!男になれ俺!」
――天使「何を言う!ここでキスしたら後には戻れない、途中で止めることもできなくなるぞ!」
――悪魔「それがなんだ!愛しい恋人が求めてきてんだぞ!応えない奴があるかこのヘタレ!」
――天使「応えてしまったらどうなるか分かってるのか!?飛べない体にしてしまうぞ!」
――悪魔「本人も俺なら良いって言ってるだろ?それはつまり、お前になら飛べなくされてもいいってことだろ!?」
――天使「解釈が飛びすぎだ馬鹿者!大体お前は――」
――悪魔「そういうお前だって――」
俺(ああもう!少し黙ってろ!!)
心の中の天使と悪魔を制し、自分の思考と理性で判断を下す
俺(俺にとってエイラは恋人だ。愛してる。それは認める)
だからって、現役バリバリのウィッチの純潔を奪っていい理由にはならない
俺(落ち着け、落ち着いて考えるんだ…以前に似たような状況になったことは無いか?)
……あった。告白した夜。クリスマスの夜
俺(あの時は理性が利いていたというか、お互いどこか遠慮しちゃって、キス止まりだったな)
………よし
結論:大人のキスまで行っちゃう
俺(前回はキスまでで抑えられたんだから、今回も理性が利くはずだ、うん)
自信はあまりない…けど
エイラ「……///」
さっきから待っているエイラにがっかりさせたく無い
俺「エイラ……」
エイラ「ん……///」
エイラのほうに向き直り、目を閉じ、唇を近づける
俺(持ってくれよ俺の理性……)
唇同士が触れ合うまであとほんの数センチというとき
<フワッ
俺「はぅ…」
鼻先に吐息がかかった
驚いて目を開けると、
エイラ「……スゥ……スゥ……」
俺「あ……」
目の前で幸せそうな寝顔で寝るエイラがいた
俺「…………ハハッ」
そうだよなぁ、ベッドの中で目を瞑って待ってたら寝ちゃうよなぁ
俺「………はぁ」
なぜだろう、すごく疲れた
俺(もうこのまま寝ちゃえ)
本来なら自分の部屋に戻るべきなのだが
俺「……」
このまま、はいおやすみなさい、というのは嫌なので、
エイラ「スゥ……スゥ……」
規則正しいリズムで寝息を立てるエイラに、
俺「ん」スッ
<チュッ
軽くキスをした
俺「……誕生日おめでとう、エイラ」
定番の、愛してる、とかは、恥ずかしくて言えなかった
数分後
俺「スゥ……スゥ……ムニャ」
エイラ「……」
俺「……スゥ……スゥ…」
エイラ「……………………起きてるって気づけよバカ///」
※捕捉
タイトルの「Syntymäpäivä onnea!」
「Syntymäpäivä」が「誕生日」。「onnea」が「おめでとう」という意味
在扶スオムス大使館によると、こっちで一般的な「Hyvää syntymäpäivää!」は、書き言葉として使われることが多く、
口語では単に「onnea」などというそうです
最終更新:2013年02月15日 12:50