俺「・・・また煙草ですか?ルーデル大尉」

アル基地にあるどこにでもあるような喫煙所。そういって俺は目の前にあるベンチに座っている女性に話しかける。女性は俺の言葉に反応してか、ピクリと肩を震わせたあと口に咥えていた煙草を手に持ち振り返る。

ルーデル「・・・なんだ貴官か俺軍曹。どうしてここにいるんだ?」

薄い、北欧系の長い金髪を無造作に纏め縛った女性、ハンナ・ルーデルは声を掛けられそちらに振り向いたそこには、彼女の専用機であるJu87“シュツーカ”の整備にあたっている俺軍曹だった。
俺はポリポリと頭を掻きながらルーデルへと近づいていく。

俺「なんだはないでしょうがなんだは・・・これでも俺はあなたの体の心配を・・・」

ルーデル「ふん、余計なお世話だな俺軍曹。そんな気遣い頼んだ覚えはないぞ?」

俺「ええ、これは俺の個人的名趣味なので・・・本当にとめる気なら意地でも取り上げますよ」

ルーデル「ほう?ならこの私から奪い取れるかやってみるかね?俺軍曹」

俺「ご冗談を。魔法力を使っていない状態とはいえ、まともに正面からやりあってあなたに勝てる気はしませんよルーデル大尉」

よっこいしょとベンチに腰掛ける俺。俺はぶっきらぼうに答えるルーデルの言葉に苦笑いを浮かべながら返す。ルーデルはふふ、と俺の言葉を聞き薄笑いを浮かべる。

ルーデル「ふふ、貴官は相変わらず正直だな」

俺「それが取り柄でもありますので」

そう答えた俺はそのままベンチの前に広がる空軍基地に並べられている戦闘機や爆撃機を眺める。ルーデルも煙草を吸い、吐くを繰り返す。

ルーデル「・・・(スーハー)」

俺「・・・(上手いのかな?)」

互いに無言。別段話がないわけではないが、俺はルーデルが煙草を吸い終わるまでは話しかけないようにと気を回している。これはルーデルに言われたわけでもないが、煙草を吸っている時のルーデルの表情はどことなく楽しそうだからだ。その楽しみを邪魔するわけにもいかないと思い、俺はあえて話しかけないように・・・していたのだが、

俺「(なんでルーデル大尉はあんな煙たいものを普通に吸えんだろうなァ・・・てかなんであんな旨そうに吸えるんだ?)」

そんなことを思っているとルーデルが気付いたのかこちらへと視線を向け、

ルーデル「・・・吸ってみるか?俺軍曹」

ルーデルは吸っていた煙草を手に持ち俺に見せた。俺は慌てたように手を振り、

俺「あ、いえ俺はどうも煙草は苦手で・・・」

ルーデル「そうか・・・だがそういわれると・・・」

そこまで言ってルーデルは俺へと顔を近づけ、

ルーデル「余計、味あわせたくなる」

俺「え?ちょ、どうしたん!!?」

ルーデルは自分の唇で俺の唇を塞いだ。俺はいきなりのことで驚いて混乱状態に陥っていた。

ルーデル「んっふうはぁ、んふぅ」

俺「ん、ちょ・・・ま」

普段、真面目で冷徹な感じがするルーデルがなぜこのような大胆なことを・・・と疑問に思いながら、俺はされるがままになっていた。

ルーデル「ん・・・はぁ・・・どうだ旨かったか?」

俺「はあはあ・・・えっと」

正直、わからなかった。いきなりのことだったということもあったし何より・・・

ルーデル「・・・もしかして、初めてだったのか?」

俺「~~~~~ッ!!!!!」

ルーデルの言葉に俺は声にならないような呻きをあげる。そう、先ほどルーデルにされたキスは俺のファーストキス・・・ルーデルはそれを知ってか、ニヤリと笑い。

ルーデル「なるほどな・・・ふふ、そうかそうか・・・」

うむうむと頷きながら、ルーデルは新しい煙草を取り出しマッチで火をつけスーと吸う。その顔はいつもの嬉しそうな表情の倍は嬉しそうな顔になっている。
俺は顔を紅くして唇を抑えなにやらブツブツと呟いていたが・・・

俺「あ、あの・・・ルーデル大尉。なぜ、このような・・・?」

チラリとルーデルのほうへと俺が向くと、

ルーデル「・・・わからんのか?」

手に煙草を持ちながら俺のほうへと視線を向ける。その顔には真剣な・・・軍人としてのハンナ・ルーデルではなく女としてのハンナ・ルーデルの目をしていた。
俺はそのような真剣な目を向けられ戸惑い、

俺「え、いや・・つまり・・・ということは・・・」

俺はまさかと思いつつも、モゴモゴと口の中で呟く。

ルーデル「ん?なんだ。はっきり言ってみろ俺軍曹」

俺「え、いやだから~~~」

そして俺は最終的に顔を真っ赤にして・・・

俺「だあああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!」

そのままベンチから立ち上がり風の如き速さでピューと走り去ってしまった。

ルーデル「・・・」

ルーデルはその凄まじい速さで走り去っていった俺にぽかんとした顔をしてみていたが、しばらくしてクスリと笑い、

ルーデル「初心だなアイツも・・・」

スーと煙草を吸い、吐く。紫煙がゆらぎ宙へと消える。そして、先ほどの俺の顔をもう一度思い出し、自分の唇をソッと撫でる・・・そして、ボソリと

ルーデル「・・・私も、初めてだったんだからな・・・俺」


      • こっちもこっちで初心な発言をしていた。




後日、この二人は会うたびに顔を紅く染めていたとかどうとか・・・それを見てシュツーカの隊員や整備兵達が微笑ましい笑みを浮かべたり、嫉妬の視線を向けていたとかどうとか・・・。
最終更新:2013年02月15日 12:51