ある日のこと。ルーデルは専属整備士である俺軍曹を探しにハンガーにやってきた。

ルーデル「俺、いるか?」

ルーデルがひょこりと顔を出してハンガーの中を除く。いつもなら名前を呼んだ時点で俺がすっ飛んでくるのだが・・・、

ルーデル「?居ないのか?」

ルーデルが辺りを見回していると、そのルーデルの姿に気づいたのか、整備士の一人がルーデルに話しかけた。

整備士「あ、ルーデル大尉。どうしたんですかこんなところで・・・?」

ルーデル「ん?ああ、なにちょっとな・・・俺軍曹を探しているのだが知らないか?」

整備士「俺軍曹ですか・・・ああ、それなら確か休憩室に居るのを見たような気がしますね」

ルーデル「なに?休憩室に・・・?」

ルーデルは意外だな、と思いながら驚く。今まで俺が昼に寝るということはほとんどなかったからだ。
そのとき、ルーデルの後ろから

?「昨日あいつは遅くまで仕事していたらしいからな・・・たぶん寝ているのでしょう」

ルーデル「整備班長か」

ルーデルの後ろに現れたのは、このハンガーを取り仕切る整備班長だ。40代で白髪交じりではあるが、その体は屈強な体つきである。
ルーデルは後ろを振り向き、話す。

ルーデル「遅くまで・・・とは?どういうことだ?」

整備班長「ええ、実はですね。整備士の一人がこの前から風邪を拗らせて寝込んでいるんですよ。
     で、そいつが寝込んでいる間の整備や書類仕事を引き受けたらしくですね・・・」

ルーデル「なるほどな・・・あいつらしい」

ふふ、とルーデルが笑い、同時にもう少し周りを頼りにしてもいいんじゃないか?とも思った。俺がここまでがんばるには果たして
どんな理由があるのか・・・それは誰も知らない。

ルーデル「うむ・・・少し顔だけでも見ておくか」

整備班長「ええ、ただせめて後数分は眠らせてやってくれませんかね?たぶん普段の疲れも残っていると思うんで・・・」

整備班長は申し訳なさそうにルーデルに告げる。おそらく、以前のルーデルならふざけるなというだろうが・・・

ルーデル「そうか・・・なに、あいつのことだから整備は終わっているのだろう?なら出撃がないならそのままにしておこう」

整備班長「ええ、お願いします」

ルーデルはスタスタと歩いて休憩室へと向かう。整備班長と整備士はその後姿を見てポツリと呟いた。

整備士「・・・ルーデル大尉って最近ずいぶんと丸くなりましたね」

整備班長「ああ、そうだな・・・」

この二人は整備士としてはそれなりの年月が経っており、急降下爆撃部隊のウィッチとの交流も深い。
だからルーデルの変化には驚くものがあった。

整備士「・・・あれ?なんだろう。俺軍曹を無性に殴りたくなってきたんですが・・・」

整備班長「ルーデル大尉に37ミリ砲で撃たれてもいいんならやってみな・・・まあそれ以前に俺に殴り返されるのがオチだろうがな。壁でも殴ってろ」

そうします、といって整備士は近くにあった壁をガスガスと殴り始めた。






~~休憩室~~

整備班長たちと別れたルーデルが休憩室に入ると・・・俺は

俺「zzz」

居た。ちょうど休憩室に入った正面に椅子に座り壁に背を預ける形で寝ている俺を見つけた。どうやらだいぶ疲れているのだろう、
ルーデルが入ったてきても気づかないほど寝入っているらしい。ルーデルは俺の近くに近寄る。

ルーデル「・・・本当、寝顔も平凡としているな」

クスリと、ルーデルが笑う。俺はいたって平凡な顔をした、どこにでもいそうな顔立ちをした男だ。普通では気にもならないはずなのに・・・

ルーデル「なぜ私はこいつをこんなに気になって、専属整備士なんかにしているのだろうな・・・」

ルーデルにもよくわからない感情・・・今までに感じたことのない感情を感じながらそんなことを考えた。そんなとき

ルーデル「ん?」

俺の横に椅子が一つ空いていた。ルーデルはいったん辺りをキョロキョロ見回し、ソ~と近寄り

ルーデル「じゃ、邪魔するぞ・・・」

チョコンと、俺の横に座る。若干ドキマギとして落ち着かないルーデル。そして改めて俺の顔を見る。

ルーデル「(隈ができている・・・本当に頑張っているのだな)」

そこを見てクスリと笑う。ルーデルはそれで落ち着いたのか、

ルーデル「ふ・・・む・・・私も少し眠たくなってきたな・・・」

ルーデルも眠たくなってきたのか、ウトウトとしてきた。チラリと時計を見て、

ルーデル「(後十五分ぐらいはあるな・・・少しだけ、仮眠をするか)」

アーデルハイドには申し訳ないが、少しだけ仮眠をしようと思ったルーデルは休憩時間いっぱいまで寝ようと思い、瞼を閉じた。





~~しばらくして~~

アーデルハイド「大尉が休憩時間を越しても帰ってこられないとは珍しいな・・・」

トタトタと歩いているのはルーデルの率いる急降下爆撃部隊の副隊長を務めるアーデルハイドだ。アーデルハイドは休憩時間を過ぎても
帰ってこないルーデルを探しに歩き回っているのだが・・・なかなか見つからない。

アーデルハイド「あとはこのハンガーだけ・・・ん?」

アーデルハイドがハンガーに入ると、

整備士1「うわ・・・」

整備士2「ちきしょう・・・俺さんうらやましいぜ」

整備士3「モゲロ・・・さっさとモゲロ」

整備士「・・・・」←無言で壁を殴っている。

整備士たちがある一室の前で固まっていた。アーデルハイドははて?と思いながらその集団に近づく。

アーデルハイド「おい、お前たち何をしているんだ?」

整備士1「あ、アーデルハイド少尉・・・それがですね」

そっと整備士1が休憩室の開いている扉の中を指差す・・・そこには、

俺「zzz」

ルーデル「zzz」

アーデルハイド「おやおや・・・これは」

アーデルハイドの目に映ったのは、寝ている俺の肩に頭を乗せて寄りかかるように寝ている幸せそうな顔をしたルーデルの姿だった。

整備士1「・・・どうしましょうか?」

アーデルハイド「どうしようもなにも・・・私にこの空間を壊すのは無理だな。どうだ?壊せるものがいたらやってみるか」

ムリムリ、と整備士全員が首を横に振る。下手したら37ミリ砲が飛んでくる可能性があるのだ、そりゃ誰だってしたくない。

アーデルハイド「まあ・・・ルーデル大尉も最近は忙しかったからな・・・もう少しこうしておこう」

整備士2「え?俺たちの休憩は・・・?」

整備士3「油臭ぇハンガーに決まってんだろうが」

整備士1「ああ熱い熱い」

整備士たちがゾロゾロと近場にある椅子や階段に座る。アーデルハイドはもう一度俺とルーデルの姿を見て、

アーデルハイド「ふふ・・・ごゆっくりお休みください大尉」

そう呟き、その場を後にした。





後日、休憩室で目を覚ましたルーデルが長至近距離にいた俺の顔に驚き、顔を真っ赤にして変な叫び声を上げてしまったとかどうとか・・・。
最終更新:2013年02月15日 12:55