クリスマス・・・といえば大抵はツリーを想像したりサンタを想像するだろう。暖炉のある暖かい部屋。七面鳥の照り焼き・・・そして子供ならサンタからの
プレゼント・・・だが、若い男女にとってはある意味特別な日でもある。


~~ルーデル自室~~

俺「よっと・・・これでいいかな?」

ルーデル「ああ、こんなものだろう」

雪が降り寒い中・・・付き合い始めて数ヶ月たつ今では基地内で一番のアツアツカップルで有名なハンナ・U・ルーデル大尉とその彼女のストライカーの専属
整備師である俺軍曹はルーデルの自室に居た。

なぜいるか?それは数時間前に遡る。


~~数時間前~~

俺「くりすます・・・ですか?」

ルーデル「ああ、知らないのか?」

ハンガーにて、ルーデルの機体を整備していた俺はその横でその作業を見つめながら俺と話しをしていた。そしてルーデルの問いに申し訳なさそうに顔を顰め、

俺「ええ、すみませんが・・・どういった行事なんですか?」

俺はルーデルにクリスマスとは何かを聞く。

ルーデル「まあ、宗教の小難しいことを省くとだ・・・自分の家族と集まり、祝うというところだ」

俺「はあ・・・なるほど・・・」

俺はぽりぽりと頬を掻きながらそう告げる。そして同時にしかし・・・と思い、

俺「・・・それだと、ルーデル大尉は今年は帰れないのでは・・・?」

俺はルーデルにそう告げる。俺とルーデルは付き合っているものの、やはり公私混合はよくないと思い仕事場では階級や苗字で呼んだりしている・・・ただ、
ルーデルは前からこうだったからという理由で俺のことを呼び捨て階級なしで呼んでいる。
ルーデルは俺の言葉にああ、と頷きながら答える。

ルーデル「確かにな。その日は仕事で家には帰れないのだ。家族には悪いが、今年は我慢してもらわないとな」

ルーデルはそう答える・・・すると、何がどうしたのか、ルーデルは急にそわそわしはじめた。

ルーデル「まあ、なんだ・・・その俺・・・それでだな・・・」

俺「?どうしたんですか?大尉・・・急に」

急に、そわそわし始めたルーデルに怪訝な視線を向ける俺・・・だが数秒後に何かがいいたいのだとわかり、

俺「・・・どうしましたハンナ?」

ニコリと、笑いながら俺はルーデルに話しかける。付き合い始めて数ヶ月、俺はなんとなくではあるがルーデルの動向で何がしたいのかわかるようになってきた。
最初こそ階級で呼んでもなかなか切り出すことがなかったルーデルだが、名前で呼ばれると少し緊張が解けたように話し出すのだ・・・そんなルーデルを見るのも
俺の最近の楽しみである。そして、名前で呼ばれたルーデルは顔を少し赤らませながら話し出す。

ルーデル「あ、あのな俺・・・。お、お前がいやでなければでいいんだが・・・今年のクリスマスは・・・二人で、二人っきりで過ごさないか?」

顔を赤らませ、もじもじとしながらまるで窺うように見るルーデル。もともと女性には基本優しい俺だが、その相手が恋人ともなれば

俺「ええ、もちろん喜んで」

ニコリと、飛びっきりの笑顔を見せるのは当たり前だろう。



      • なおその一部始終を見ていた整備師数人が並んで壁を殴るという奇行を行っていたとかどうとか・・・。



~~現在・夜~~


そして時は冒頭に戻り、俺はルーデルの申し込みを快く引き受けどうせならそれに関した料理でも作ってみようと思い、先ほど調理室で作った料理や菓子を
ルーデルの自室に持ち運び今現在にいたる。

俺「うまくできたかどうかはわかりませんが・・・たぶん大丈夫だと思います」

ルーデル「すまないな・・・本来は女の私の仕事なのに・・・」

俺「いえいえ、かまいませんよ。俺は料理を作るのはある意味好きですからね・・・それにハンナの料理は普通にうまいからね。また今度肉じゃがを作ってください」

ルーデル「あ、ああわかった。ならそうしよう」

ニコニコと微笑む俺と気恥ずかしそうに頬を赤らめるルーデル・・・二人とも、嬉しそうに笑みを浮かべている。俺はワインのコルクを栓抜きで抜き、二つ
用意したグラスにワインを注ぐ。さすがにこの場で芋焼酎を飲もうとは考えないのだろう。

ルーデル「ほう・・・珍しいな。お前のことだからまた芋焼酎でも飲むかと思ったのだが・・・」

俺「俺だってさすがにそれぐらいの空気を読みますよ」

ルーデルのからかう様な声に俺は苦笑いしながら答える。そして、片方のグラスをルーデルに渡し、

俺「・・・乾杯の理由どうします?」

俺は首を傾げながらそう聞く。ルーデルは律儀に聞く俺が可愛かったのか少し笑い、

ルーデル「ああ、そうだな・・・俺と私の二人の未来に・・・とかはどうだ?」

ルーデルは若干本気の思いを乗せながら、グラスを見せる。それを聞いた俺は顔を若干赤らませつつも、

俺「ええ、ならそうしましょう」

はにかんだ笑みを浮かべながら俺もグラスを掲げる。

俺/ルーデル「「二人の未来に・・・乾杯」」

チンと、グラス同士のぶつかり合う音を聞き、二人はワインを飲む。飲む際にはいろいろと決まりごとや作法があるだろうが、二人はそんなの気にしないで飲む。
そして俺が作った料理を、菓子を食べる。俺はその出来がよしと頷き、ルーデルは俺の料理に舌鼓を打ちながらもっと料理の勉強をしようと改めて決心する。

ルーデル「(本当・・・夢のようだな)」

ルーデルは飲みながらそのようなことを考えながらまたワインを飲む。

ルーデル「(最初は初めてあったときはただの整備師だと思っていた・・・だが、それがだんだんと引き付けられ・・・今ではこのように恋人として暮らしている
     ・・・ふふ、本当、不思議だ・・・)」

ルーデルは正直に、自分が男を好きになるなどまずないだろうと思っていた。大抵ルーデルに近寄ってくるのはその地位に目がくらんだ資産家の御曹司やその
親・・・戦場に出ず、ただ後ろから金のみを出すだけの情けない男たちばっかりだったのだ。部隊内でのウィッチ同士の恋愛がある意味うらやましいとも思ったこと
だってあった。だが・・・そこに俺が現れたのだ。


平凡な顔つき。だが決して笑みを絶やさず周りを元気にすることができる男。だが、そのじつ剣術をしているため体は屈強な兵士と同じぐらいあり、
かなりの実力がある。だがそれを傘にきて決して威張ったりしない。それどころか常に周りのことを考え気を回している。そして何より

ルーデル「(私にただ普通に・・・大尉としてではなく『ハンナ・U・ルーデル』という一人の女性として見てくれた・・・唯一の男)」

地位としてでなく、ただ一人の女としての自分を見てくれた男・・・それが俺だった。

ルーデル「(そして、私のこの顔の傷も気に留めず愛してくれるといってくれた・・・唯一の男)」

周りの男はこの傷を見ただけで顔を顰め、同情の目で見たりするものばかりだった。しかし、俺はそれをせずむしろ受け入れた。『本当に愛しているのなら
外見は関係ない』という言葉を述べながら・・・その言葉にルーデルはどれほどの衝撃を受けたのかは計り知れなかった。

ルーデル「(・・・もう、私は俺以外の男と一緒に入れる自信がないな)・・・なあ俺」

ルーデルは目の前でワインを飲む俺に話しかける。

俺「はい?なんですかハンナ」

俺はグラスを机に置きながらニコリとルーデルへと向ける。その笑みを見ながら・・・

ルーデル「・・・これからも、私のことを愛してくれるか・・・?」

ありきたりな、恋愛映画の中の女ヒロインが最後の終盤に言いそうな言葉をルーデルは俺に聞く。俺は最初その質問にぽかんとした顔になるが、

俺「・・・何を当たり前なことを」

すぐにクスリと笑う。そして、立ち上がりルーデルの元へと歩き、すっと抱きしめる。そして耳元で

俺「もちろん・・・愛しますよあなたのことを。ハンナ・U・ルーデルという最高の女性を・・・俺は愛しますよ」

ルーデル「ああ・・・そうだったな・・・私もだ。私も俺を・・・愛している」

互いに向き合い、ジッと見つめあい・・・顔を近づけあい、

俺「んっ・・・」

ルーデル「んぁ・・・」

唇を重ねあう。軽い普通のキス・・・だが、それだけでも二人は幸せになれた。

俺「ふう・・・」

ルーデル「ん、ァ・・・」

しばらくして、互いに名残惜しそうに唇を離し・・・互いにクスリと笑い、

俺「・・・ハンナ」

ルーデル「・・・俺」

互いに名前を呼びコツンと額を付け

俺・ルーデル「「愛してる」」

そう、互いに呟いた。



外ではまるで、その二人を祝福するように雪が降り続いていた。まるでこれから先のことも含めて・・・祝福するように。
最終更新:2013年02月15日 12:57