~~ルーデル自室~~
さて、ある日のこと。急降下爆撃のエースであるハンナ・U・ルーデルは自室にて
ルーデル「へっくしゅ!!」
俺「・・・8度5分。さらにくしゃみに咳き・・・完全に風邪ですね」
ルーデル「ズズッ・・・く、この私ともあろうものが・・・」
彼女の専属整備師である俺は苦笑いをしながらルーデルの顔を見る。ルーデルはルーデルでズズッと鼻をすすり苦しそうに息をしながら、俺に礼を述べる。
ルーデル「すまないな・・・俺。このようなことにつき合わせてしまって・・・」
俺「いやいや、ぜんぜん問題ないですよ・・・でも、タイミングが悪いですね医師が出掛けているとは・・・」
ルーデルの言葉に俺は手を振りながらそう答えた。そう、今現在この基地には医師がいないのだ。何でも少し買い物に行くとかで出掛けてしまっており、
帰りは夕方ごろになるらしい。ゆえに本来なら医師を見るところを俺が診ているのだ。
俺「さて・・・まずは濡れタオルが必要ですかね・・・風邪薬はあるのかな?」
俺は薬品棚を探る。なにやら見たこともないような薬品等も置いてあり、俺は目的のものを探すが・・・
俺「ないな・・・」
見つからない。どうやらここには置いていないらしい。しょうがないと思いながら俺は洗面器に水を張り、そこにタオルを浸ける・・・そこでふと俺は気づく。
俺「・・・そういやカールスラントでは風邪のときはどうするんだろ?」
俺としては扶桑式の風邪のときの処方をする気だったが、もしかしたらカールスラント特有の治療があるかもしれない・・・そう思った俺はルーデルに聞いてみることにした。
俺「あの大尉・・・カールスラントでは風邪の時はどう治療するのでしょうか?」
ルーデルはもそりと体を動かし、俺に視線を向ける。
ルーデル「ああ・・・私自身・・・風邪を引いたことがないからわからん・・・お前の知ってる方法でしてくれ・・・」
途切れ途切れに答えるルーデルに俺は申し訳なさそうに謝り、
俺「すみません無理させてしまって・・・それじゃあ早速失礼して・・・」
俺はそういうと、手に持った絞ったタオルをルーデルの額に乗せる。ルーデルはタオルが冷たかったのかん・・・と身じろぐも、その冷たさにすぐに心地よさを
感じた。
俺「後は・・・そうですね。ご飯食べれそうですか?」
ルーデル「少しなら・・・」
ここで断らないのはルーデルらしい。俺はうむ・・・と顎に手を当てながら食料庫にあった食材を思い出す。
俺「うむ・・・確かご飯粒とサツマイモがまだ残っていたから・・・芋粥にするかな」
俺はメニューを決め、改めてルーデルに告げる。
俺「私は少し席を外しますが・・・大丈夫ですか大尉?」
ルーデル「・・・ああ、大丈夫・・・だ」
口ではそう言いつつも、ルーデルの言葉にはいつもの覇気がない。俺は大丈夫かなァ?と思いながら早く料理を作ってこようと思い部屋からそっと出て行った。
ルーデル「・・・」
ぽつんと、部屋に残ったルーデルはなにや虚しさを感じる。
ルーデル「(さっきまで・・・あいつがいるだけで気分が安らいでいたのに・・・)」
今はとてつもなく・・・不安である。別に付き合ってるわけでもないが、風邪など引いたことがないルーデルにとっていま現在俺の存在はかなり大きい。
ルーデル「俺ぇ・・・」
つい、不安になり、その名前を呟いてしまった。しかし呟いたら呟いたらで、何時もみたいに帰ってくる笑顔や声が帰ってこない・・・それがさらに不安を
増大させ
ルーデル「俺・・・俺・・・俺・・・」
何度も、何度も何度も俺のことを呼び続ける。不安・・・その思いが溜まるだけなのにその名前を呼び続ける。
ルーデル「・・・早く戻って来い・・・俺ぇ」
「呼びました?」
え、とルーデルはそちらを向く。するとそこには先ほどまで隣にいて欲しかった俺が、周りを安心させるようなにっこりとした笑顔を浮かべていた。ルーデルは思わず
目をぱちくりとさせる。
ルーデル「お・・・れ?まさか・・・聞いていた・・・のか?」
俺「?何を聞いたかはわかりませんが・・・少なくとも私を呼んでいたのは聞こえましたよ?」
それを聞き、ルーデルは熱に魘されているにも関わらず、顔をさらに真っ赤にさせてしまう。
俺「た、大尉?大丈夫ですかさらに顔が赤くなってますが・・・」
ルーデル「あ、ああ問題ない・・・それよりも食事を作ってきたのだろう?早くくれないか?」
俺は急に顔を紅くしたルーデルに心配そうに声を掛けるも、ルーデルは恥ずかしそうにそう告げる。俺は若干不思議そうな顔をしながらもルーデルの体を
優先してかええはいと答えながら、手に持った土鍋をすぐ近くにあった机に置く。
俺「米とサツマイモを煮込んで作ったものですので普通のお粥より甘いかもしれませんが、大丈夫ですよね?」
ルーデル「・・・あ、ああ、大丈夫だ問題ない」
聞かれていなかったとは思いたいが・・・先ほどまで自分がしていた言動に思わず頬を紅く染めてしまったルーデル。俺はそんなルーデルを相変わらず不思議
そうに見ながらも、土鍋から手に持った器に中身を少しだけ写し、
俺「アチチ・・・ちょっと熱いですね・・・自分で食べれますか?」
ルーデル「ああ・・・いける・・・くっ・・・」
ルーデルは起き上がろうとしたが、すぐにベッドにまた倒れてしまう。意識はしっかりとしているが、体が言うことを利かないらしい。俺はそんなルーデルを見て
苦笑いを浮かべ、
俺「ほら無理をしないでください・・・はい、あーん」
ルーデル「!?!?!?!?!?!?!?」
俺は手に持ったスプーンで粥を掬い、ルーデルの顔の前まで持っていく。ルーデルはそれを見て頭の中がショートしてしまいそうになった。
ルーデル「(こ、これは以前アーデルハイトが言っていた『恋人同士の食べさせ方』ではないか!?し、しかし私は俺とまだ恋人になったわけでは・・・!!)」
俺「(なんだろう?すごい百面相しているけど・・・)大尉?」
ルーデル「!?あ、ああ、悪いな・・・(こ、ここで食べなければ俺に悪いかもしれんし・・・)あ、あーん」
ルーデルは目を瞑りながらその目の前に差し出されたスプーンを咥える。俺はそのタイミングを見計らい、スプーンを引き抜く。
ルーデル「ん・・・うまいな」
ルーデルは口の中に広がる素朴な芋独特の甘さを感じながら正直に感想を述べる。俺はニコリと笑みを浮かべ、
俺「それはよかったです・・・はい、まだまだたくさんありますからね。食べれるだけ食べましょう」
ルーデル「・・・さっきのように食べさすのか?」
俺「?はい、それ以外まずないでしょうから」
ニコリと微笑む俺に、ルーデルはううと声を上げる。だが恥ずかしいのは確かにあるが心のどこかでは内心嬉しかったりする・・・
ルーデル「(ある意味・・・風邪には感謝・・・か?)」
などそんなことを思わず考えてしまうほどだった。
俺「はい、大尉。あーん」
ルーデル「あ、あーん」
俺「(ふふ、なんだかかわいいなァ)」
内心、俺はルーデルにご飯を与えるのが楽しんでいたりする。
後日、しばらくしてルーデルは完全に回復して原隊復帰した・・・だが、しばらくは俺の顔を見るたびに顔を真っ赤に染めていたとかどうとか・・・。
最終更新:2013年02月15日 12:57