俺「・・・風呂に入りたいなぁ」

それはある日のことであった・・・。



ルーデル「フロ?」

アムッと俺が作ったサツマイモを使った芋餅を食べながら、ルーデルはそう聞いた。俺は独り言だったらしいのだが、聞こえたのに苦笑いを浮べる。

俺「ええ、扶桑人は風呂・・・つまりお湯に浸かるんですよ」

ルーデル「お湯に・・・そういえば以前あった扶桑のウィッチも似たようなことを言っていたな」

俺の言葉を聴きながらルーデルは思い出すように呟く。随分と前に扶桑のウィッチと任務をしたときに『風呂に入りたいわ・・・』と呟いていたのをルーデルは
思い出す。

俺「まあ欧州とかだとあまり馴染みはないでしょうけど・・・扶桑だと風呂に入るのが常識ですからね。もっと欲を言えば温泉に入りたいものです」

ルーデル「おんせん?」

俺「ええ、風呂と違ってこちらは地熱で暖められた様々な効能を持っているお湯に浸かるんです。鹿児島にいたときは週に三回は入りにいったものです」

ああ懐かしいと言いながらどこか遠くを見る。扶桑自体そうなのだが鹿児島は桜島という活火山の影響で温泉が多く、効能も様々なものがある。中には魔女の魔力回復に効くと
いう温泉もあるぐらいだ。
ルーデルはほほうと興味深そうに呟く。

ルーデル「確かこっちにも色々と効能のあるお湯が吹き出る場所があると聞いたことがあるが・・・それが温泉という奴かもしれないな」

俺「たぶんそうですね・・・でもこっちでは早々沸かないでしょうから、まず入れないでしょう」

ふうとため息を吐く俺。久しく風呂にも温泉にも入っていない俺にとってはある意味こちらに沸いている温泉というのに非常に興味がある。しかし俺は
一軍人であり、一整備師のためそうそうこの基地から離れるわけにもいかない。ルーデルはそんな俺を見てう~むと唸る。

ルーデル「(折角だから、俺のためにどうにかしてやりたい・・・どうしたら・・・)」

普段から世話をしてもらい、恋人として色々なものを物を貰っているルーデルとしても、俺に何とかして恩返ししたいと考えていた・・・そのとき

ルーデル「・・・ん?」

ふと、何かを思い出す。

ルーデル「(そういえば・・・ハンガーの端っこに空になったドラム缶が山積みされてたような・・・)」

それは今朝訓練から帰ったときにたまたま目に入ったもので空になり積まれてるドラム缶の山だった。おそらく飛行機の補給に使われたのだろう・・・
ルーデルはそれを思い出しピンと閃く。

ルーデル「なあ俺」

俺「何ですかハンナ?」

ルーデル「お前の言う・・・風呂というのは用はでかい容器にお湯を貯めて入るというものだよな?」

俺「ん~まあ大雑把に言ってしまえばそうですが・・・どうしましたハンナ」

ルーデル「いやな実は・・・」

いきなりそんな質問をするルーデルに俺は不思議そうな顔になりながら聞く。ルーデルは先ほど思い出したドラム缶のことを俺に話す。

俺「ああ・・・なるほど確かにその手がありましたね!!」

俺は嬉しそうに笑いながら手を叩く。

俺「それじゃあ私は少し整備班長に話して空きのドラム缶貰ってきます!!あ、ここの芋餅全部食べていいですからねハンナ」

ルーデル「あ、待ておれ・・・っていってしまった」

俺はそういい残し急ぐようにその場から去っていった。ルーデルは呼び止めようとしたが、声を掛けようとしたときにはすでに姿が見えなくなっていた。だが、
ルーデルはクスッと笑い先ほどの俺の顔を思い出す。

ルーデル「とても嬉しそうな顔をしていたな・・・ふふ、よかった」

ぱくっとさらに芋餅を食べながら俺の嬉しそうな顔を何度も頭の中で思いだし続けいたとか・・・。




~~しばらくして~~

俺「ふう・・・これでよし、と」

ゴトリと、セメントブロックを地面に置きその上に洗った空のドラム缶を乗せた俺は満足そうな顔をしながら額の汗を拭う。俺が作ったもの・・・
それは俗にいうドラム缶風呂と呼ばれるものであった。

俺「あとはこの中に水を入れて沸騰させて~♪」

俺は鼻歌を歌いながらバケツに汲んだお湯を次々とドラム缶の中に流し込む。最初、このドラム缶はガソリンで変な匂いやら出していたのだが、俺が丁寧に
ふき取り今では匂いはほとんどしない。水を流し込んでいても浮き上がらないため大丈夫だろう。俺はお湯をドラム缶の縁より十五cm程度低いところまで
いれた。

俺「~~♪」

次に俺はドラム缶とセメントブロックの隙間に枯れ木や枯葉を入れて、持っていたマッチで火をつける。

俺「うし、後はこれでお湯になるのを待つのみっと」

俺は燃える火を見ながら薪をさらにくべたり空気を送ってやったりとしてお湯が沸騰するまで待っていた・・・すると、

ルーデル「ほう・・・これはまた。すごいものを作ったものだな」

後ろから声が掛けられた。その聞き覚えのある声に俺は微笑を浮べつつ振り向く。

俺「ああ、ハンナ。ええこれはドラム缶風呂と言いましてね、ぱっと見は微妙ですが十分風呂としては機能してくれるものです」

いや~すっかり忘れてましたよ。といいながら俺は苦笑を浮べながら頭を掻く。ルーデルはそんな俺を見てフフッと微笑みそうかと呟く。

俺「ん、そろそろいいかな?」

ルーデルと話しているうちにお湯が沸いたのか湯気が上がっていた。俺は試しに指をお湯の中に入れてみたところ程よい暖かさになっていた。うむと俺は頷き

俺「よし、それじゃあ早速入るとしようかな」

持ってきたタオルで手を拭きながら俺はそう呟いた。そこでふと、ルーデルは疑問に思うことがあった。

ルーデル「(ん?入る・・・ということはまさか・・・!?)」

俺「よっ・・・と」

ルーデル「ぶっ!!」

カチャカチャといきなりベルトを緩めズボンを脱いだ俺。いきなりの俺のその行動に、ルーデルは顔を真っ赤にして勢いよく後ろを振り向く。

ルーデル「ば、ばか者!!ぬ、脱ぐなら脱ぐと先に・・・!!」

俺「え、でももう見慣れてるから大丈夫かなと・・・すみません」

たははとまたもや苦笑いを浮べる俺。確かに毎晩見てるようなものだが、それでもルーデルにとっては恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。ルーデルは後ろから
見てもわかるぐらい耳まで真っ赤にしている。俺はそんなルーデルを見てふふふと笑いながら服をさらに脱ぐ。

ルーデル「(ううう・・・俺の奴・・・た、確かに何度も見ているとはいえ・・・恥ずかしいものは恥ずかしいのだぞ・・・)」

ルーデルは俺の裸を思い出しながらさらに顔を真っ赤にする。後ろからは体でも拭いているのかゴシゴシという布で体を拭く音が聞こえてくる。

俺「ふう・・・よしっと」

俺は一通り体を拭き終えた後、ドラム缶のすぐ横に木箱を置いて作った階段でドラム缶の中へと入った。

俺「ほう・・・」

久しぶりに感じる湯の温かさ・・・体の心まで来るそれに俺は嬉しそうに口の端を緩める。そして、目の端でいまだ後ろを向いたままのルーデルに気がついた俺。

俺「(せっかくこのドラム缶のことを教えてくれたんだし・・・ハンナにも入ってもらうのもいいかもしれませんね)・・・ハンナどうです?一緒に入りませんか?)」

ルーデル「!?」

ルーデルはビクリと、肩を震わせる。

ルーデル「ば、ばか者!!いきなり何を・・・!!」

俺「いや、このドラム缶のこともハンナが教えてくれましたし・・・いつも一緒にシャワーを浴びてますからどうせなら一緒に風呂もどうかと思いまして・・・
  それにほら、ちょうど一人分ぐらいはあるから」

ルーデル「だ、だからといってそんな・・・」

うぅ・・・と呻きながらチラリと俺のほうを見るルーデル。俺はドラム缶の中でこちらにニコリとした笑顔を向けたまま入っており、確かに気持ちよさそうだ。
入ってみたい・・・とは思うものの・・・やはり恥ずかしいという気持ちもなくもないが・・・。

俺「ハンナ?」

ルーデル「・・・わ、わかった入る」

俺のその笑顔に負けてしまい、ルーデルは上着のボタンをはずしていった。






俺「ふう・・・気持ちいいですねハンナ」

ルーデル「あ、ああそうだな」

俺とルーデルの二人は狭いドラム缶風呂の中に入りながら夜空を眺めていた。後から入ったルーデルは背中を俺の胸に預けるようにしながら入っていた。

ルーデル「(くぅ・・・お、俺の体が・・・み、密着して・・・)」

俺「(うむ・・・やはりハンナの体は最高ですね・・・抱き心地がとてもいい)」

ぎゅっと、引き締まったルーデルの腹部を抱きしめながら、俺はそんなことを考える。そこで俺はふと思いついたように話しかけた。

俺「ねえハンナ」

ルーデル「な、なんだ・・・俺」

俺の言葉に恥ずかしそうに返すルーデル。俺はそんなルーデルに嬉しそうにクスと笑い、夜空を眺めながら話す。

俺「もし・・・この戦争が終わったら私の故郷の鹿児島にきませんか?」

ルーデル「俺の故郷にか?」

ええ、と俺は答え続ける。

俺「こんな小さいドラム缶風呂とは違って、もっと広いところもありますし・・・桜島を一緒に眺めても見たいですしね」

ルーデル「桜島・・・確か活火山だったか?」

ルーデルは過去に俺に教えてもらったことを思い出しながらそう答える。俺はええ、と笑みを浮べながら答える。

俺「灰なんかも降ったりしますが・・・雄大で美しい島です。他にもいろんなところを見て回りたいので・・・どうですか?」

ニコリと微笑む俺に聞かれたルーデルは・・・ふふっと微笑み

ルーデル「ああ・・・そうだな。それも悪くないかもしれないな」

トンッと体をさらに俺に預けながらルーデルは微笑む。その言葉に俺も嬉しそうに笑いながらさらに抱きしめる力を強める。

俺「約束ですよハンナ」

ルーデル「ああ、約束だ」




これから先の未来を約束しながら・・・二人の夜は静かに過ぎて行った。



ルーデル「ああ、なんだ俺・・・少し言いたいことがあるんだが・・・」

俺「はい、なんですか?ハンナ」

ルーデル「・・・爽やかな笑顔ですまないが・・・当たってる」

俺「・・・」

ルーデル「・・・しかもたってる」

俺「・・・」

ルーデル「・・・」

俺「まあハンナ・・・後で色々とお世話になります」

ルーデル「・・・ああ、任せとけ」

さすがに場が場なので自重した俺であった・・・なお、その後ルーデルは俺においしく頂かれたのは・・・また別の話しである。
最終更新:2013年02月15日 13:00