俺「ぶえっくしょン!!」
ガタガタと揺れる機体の中、俺は大きなくしゃみをする。
俺「さむ・・・なんで欧州あたりはこうも寒いんだろ?いくら扶桑が四季の国だからって俺は温暖な鹿児島出身なんだぞもう・・・」
ずずっと鼻をすすりながら俺はぶつぶつと呟く。
ルーデル『俺、大丈夫か?すまないなわざわざこんなことに付き合わせてしまって・・・』
すると、俺の耳に嵌めてあるインカムからルーデルの申し訳なさそうな声が聞こえてきた。
俺「いえいえ、私はあなたの専属整備師ですからね。あなたの行くところ、どこにでも付いていきますよ」
ズズッと鼻をすすりながら、俺はそう答えた。まあ確かに俺ならルーデルのいくところどこにでも行くだろうが・・・
ルーデル『お、俺・・・こんなところでそんな・・・///』
俺「ふふ、どうしましたハンナ?見えなくとも顔が真っ赤になっているのが手に取るようにわかりますよ?」
ルーデル『あう・・・お、俺・・・』
インカム越しだというのに、思いっきり甘い空間を漂わせている二人・・・
アーデルハイド『あ~・・・二人とも、非常にいい雰囲気を壊すのが忍びないですが・・・そろそろ着きますよ?』
ルーデル『あ、ああわかった。それではな俺また後で地上で会おう』
俺「ええわかりましたハンナ。地上で』
ピッとインカムを切り、ん~と背伸びをする。そして俺はそのまま窓で外を眺め・・・
俺「いやはや・・・まさかこんな北の国まで来るとは・・・人生わからないものですね」
真っ白に染まっている大地を眺めながら、俺はそんなことを呟いた・・・そう、ここは地球において北にある国・・・スオムスである。
さて、なぜカールスラントにいたスツーカ中隊がこのスオムスに来ているのか?それは一週間ほど前にまで遡る。
俺「スオムス派遣?」
カチャカチャとルーデルの機体の部品を手入れしながら、俺はそう返した。ルーデルはうむと頷きコーヒーを一啜りする。
ルーデル「ふう・・・ああ、なんでも向こうのスラッセンという町にネウロイの大群が押し寄せて町を占領したらしくてな・・・その陸戦ネウロイを撃退せよ・・・
とのことだ」
ふうとまた一息。俺はなるほどと軽く頷きながらタオルに軽く油を湿らせ部品を磨く。俺の周りにはすでに磨かれたのかピカピカに光る部品が転がっていた。
俺「なるほどなるほど・・・飛行型ネウロイがそこまで活発ではないうちに陸戦型ネウロイを叩こう・・・という考えでしょうね。でもある意味好都合ではありますね」
俺はニコッと笑いながらルーデルに聞く。俺の言葉の意味・・・それは先日考えた37ミリ砲についてだ。さすがに今のカールスラントの空で行うのにはまだ上が渋る
面があり、まだそこまで進行の進んでいないスオムスはちょうどいいとの考えだろう。
ルーデルはああ、と答えコーヒーのカップを机の上に置く。
ルーデル「それでだ俺・・・非常に悪いとは思うんだが・・・」
俺「?」
ルーデルがなにやら言いにくそうに口ごもる。俺ははて?と思いながらルーデルのほうを向き・・・何かいいたいのかわかったのか、すぐにクスリと笑う。
俺「大丈夫ですよハンナ。私はあなたのためならどこにだって付いていきますよ。それがネウロイの巣のど真ん中でもね」
ルーデル「俺・・・」
俺の言葉にルーデルは改めて感動したような面持ちになり、
ルーデル「それじゃあ・・・頼んだぞ俺」
ぎゅっと、俺に抱きつく。その顔は完全に俺を信じきり、すべてをゆだねてもいいと思っている顔をしたルーデル。俺はそれを見て、少しばかり驚いたような
顔つきになりながらも柔らかい笑みを浮かべ、
俺「ええもちろん」
ぎゅっと抱き返した。
整備師1「・・・!!!」
整備師2「(バカお前!!いまこの状況でいったら確実に死ぬぞ!!)」
整備師3「(おい、誰かこいつ押さえるのを手伝え!!)」
なお、この二人が抱きしめあっていたのはハンガーの一角でほとんどの整備師の目に晒されていたりする・・・ちなみにこのことに気付きルーデルが顔面真っ赤に
するのはあと数分かかったとか・・・。
俺「・・・まあ寒いのはともかく、37ミリ砲は少しばかり惜しかったですね」
ルーデル『ああそうだな』
俺は紅くなった鼻を擦りながらそう呟く。ルーデルも賛成だといわんばかりにふうとため息を吐く声が聞こえた。
そう、実は今回まだ37ミリ砲は持ってきていないのだ。理由としては色々あるのだが・・・一番の理由としてはこの37ミリ砲はカールスラント陸軍の代物
だということだ。向こうはそのまま置いといたくせに渡すのに渋っててなかなか許可が下りず、残念ながら今回の出征では持ち込めなかったのだ。でも何とか
話はついたので次の支援物資には来るらしい。それがくるまでは今までのように爆弾を急降下で落とすしかないようだ。
俺「まあ整備班長の話だとあと数日でできるから、とのことですからすぐに届くでしょう」
ルーデル『ああ、そうだな・・・とあれが滑走路か。それではな俺。また後でだ』
俺「ええ、了解。また後で」
ブツッとインカムが切れる音が聞こえ、俺はふうと耳からインカムを外す。そして改めて窓の外を見る。
俺「いや~・・・それにしてもまさか本当にねぇ・・・こんな北国来るとは思いもしなかった」
もともと寒いところは苦手な俺だが、愛するルーデルのためにここまできたのだ。ある意味本当にすごい男ではある。俺はまた機内に視線を戻し、自分の工具と、
ルーデル初めとしたスツーカ隊の機体の部品を見る。
俺「・・・よし大丈夫そうだな。こいつも久しぶりに腰にぶら下げるなぁ」
俺はぽんぽんと改めて自分の傍らにおいてある柄の長い軍刀を叩く。これは俺の愛刀だ。無名だがとてもよく切れるし丈夫なため俺はこの刀が大好きである・・・
ちなみに過去に俺がこの刀の手入れをずっとしていてそれに嫉妬したルーデルという話もあるが・・・それはまた次の機会にしよう。
俺「本当は薩摩拵がいいんだけどなぁ・・・軍ってこういうとき融通利かないな」
これだから本州は・・・とぶつくさといいながら刀の柄を軽く叩く。俺は流派の関係上やはり柄が長めのほうがいいと思っており、他の薩摩の人間もそう考える
人間も少なくはない。だからか何人かは俺のように柄をわざわざ新調して作らせる人間もいるのだ。
俺「ま、柄が長くできただけでもいいだろう・・・「俺軍曹そろそろ着陸しますので着陸準備をお願いします」あ、はいはいわかりました」
機長からの言葉を受け、俺は慌てるようにベルトを締める。そしていよいよ機体は直陸する。
俺「おお・・・本当に湖の上なのか・・・これはすごい」
俺は凍った湖面に降り立ち右足でどんどんと地面を踏みつける。だが、氷は壊れることなくそれに耐え、俺はおお~と感動したような顔つきになる。
ルーデル「俺、早くこっちに来い」
するとそこに若干呆れ顔になりながらこちらを見ているルーデルと苦笑いを浮かべこちらを見るスツーカ隊員の姿が・・・俺は慌ててスツーカ隊の後方に行き
並ぶ。すると、明らかに北欧系の顔つきをした肌の白い女井がこちらへと歩いてきた。その女性がスツーカ隊の前に立つと、ルーデルはカールスラント式の
敬礼を行い、
ルーデル「ハンナ・ルーデル大尉以下、カールスラント空軍第二急降下爆撃航空団第十飛行中隊ただいま到着いたしました」
ハッキネン「ようこそスオムスへ歓迎いたします」
二人はしばらくそのまま話し合いをする。俺は若干の寒さに震えそうになるのを押さえてしばらく待つ。すると、
ハッキネン「そういえば一人だけ男性が混じっておりますが・・・あの方は?」
ハッキネンが俺に気付き、俺のほうを見る。俺はまあ無理はないかと苦笑いを浮かべルーデルのほうへと視線を向けると、
ルーデル「うむ、あれは私の専属整備師でな・・・俺こっちにこい」
俺「はい」
ルーデルが嬉しそうにうむと頷き俺を促す。俺はタタタとすぐにルーデルの横へと近づき今度は扶桑式の敬礼をする。
俺「扶桑皇国陸軍鹿児島師団第三飛行中隊所属、俺軍曹であります。今はハンナ・ルーデル大尉の専属整備師として働いております」
ハッキネン「ご丁寧にどうも」
ハッキネンはもの珍しそうに俺のことを見るも、すぐに視線をルーデルに戻す。俺は軽く肩を竦めスッと後ろのほうへと下がる。
ハッキネン「それではわがスオムス飛行大隊をご紹介いたします。あなた方を守る盾です」
ハッキネンはそういうと並んでいるスオムスのウィッチたちを紹介する。すると俺はふとある人物に視線が止まった。
俺「(ありゃあ扶桑陸軍の・・・穴吹智子少尉じゃないか)」
紅白の独特な衣装は扶桑皇国陸軍の航空ウィッチのものだ。そしてその衣装を着ているのはかの『扶桑海の閃光』と呼ばれる穴吹智子少尉その人であった。俺は
久しぶりに見た扶桑人を思わず見てしまうが
ルーデル「・・・」
俺「(あ、やば)」
ほんの一瞬、ルーデルがこちらを向いた。その目はまさにジト目・・・明らかに俺が智子をガン見していると思った目だ。確かに俺は扶桑皇国陸軍の航空ウィッチ
の軍服が好きで、たまにルーデルが着てくれたりもするが、あれはあくまでルーデル限定で見ほれるのであってそれ以外はあまり興味ないのだが・・・たぶん
言い訳にもならないだろう。
ルーデル「(俺・・・後で覚悟しとけ)」
俺「(たぶん弁解の余地はないんだろうなぁ・・・まあ潔く罰をうけましょう)」
とほほという感じに肩を落とす俺に、なんとなく事情を察知したスツーカ隊員たちが周りにわからない程度に顔を微笑ませる。
ルーデル「・・・ほう、久しぶりだな少尉」
俺から視線を外したルーデルはそのまま並んでいるスオムス飛行大隊を見る。すると、懐かしい顔でも見つけたのか、ルーデルは一人のウィッチの前に立ち止まる。
?「お久しぶりです中尉」
ルーデル「今は大尉でね」
?「昇進、おめでとうございます」
俺「?(なんだろなんか硬い挨拶だが・・・)」
はて?と見ながら、俺はその二人を見る。ルーデルと話しているのは銀髪が目立つ・・・ブリタニア人だろうか?なんとなくだがその顔が固く見える。
ルーデル「相変わらずのブルジョワッぷりを見せているのか少尉?」
?「・・・」
ルーデルの言葉に黙り込むウィッチ・・・なんだか雲行きが怪しい。
ハッキネン「お知り合いですか?」
ルーデル「オストマルク監視航空団で共に空を飛び、共に地獄を見た仲です。なあ少尉」
ハッキネンが気になったのか、そう聞くとルーデルはそう返した。それで俺はああとなんとなくだが納得するように軽く頷く。
俺「(そういや前に鼻の傷ができた理由を聞いたら護衛のウィッチが離れて戦闘機型に攻撃されたっていっていたな・・・ということはあの少尉とやらがそうなのか?)」
ちなみにその話しをしてルーデルが『やっぱり俺は顔に傷がある女は嫌なんだ』となぜか勘違いしてしまい、珍しく俺も怒って大喧嘩を繰り広げたこともあった。俺は
若干嫌なことを思い出しながらも、はて?と考える。
俺「(ハンナにしては随分とねちっこく絡みますね・・・なんかあるのでしょうか?)」
ルーデルはもう鼻の傷のことはどうでもいいと考えているし、なによりもそんなねちっこい性格ではない。だが、今のルーデルはなにやら随分とねちっこく絡んでいる・・・何かあるのだろうか?
ルーデル「貴官の所属は?」
ハッキネン「義勇独立中隊です」
ルーデル「寄せ集めか貴官にぴったりだな少尉」
ルーデルがそう答えると、智子がムッとした顔で出てきた。
智子「お言葉ですが大尉殿。我々は決して寄せ集めではありません。それぞれが己の持ち味を生かした精鋭無比なるチームです」
ルーデル「精鋭無比?それぞれがばらばらの機体を装備した、外人部隊がか?そして持ち味とはどういう味をしているのだ?そこのビューリングのように、個人の
撃墜数に走り、護衛を忘れてしまうのが、持ち味というのか?」
皮肉るようなルーデルの言葉。智子はついに我慢ができなくなったのか、
智子「なんてこというのよ!!」
一歩踏み出し、ルーデルの胸倉を掴もうとする。
俺「・・・」
俺はそれにピクリと反応して動こうとした・・・が、ルーデルがこちらを軽く制するように小さく手を上げる。俺はルーデルが「動かないでいい」といっているのに、
気付き、渋々ながらも動きを止める。ルーデルはそんな俺に微笑を浮かべ、その微笑を浮べた顔で智子のほうへと視線を移し・・・
ルーデル「東洋人に、機械化航空歩兵が務まるのか?」
智子「なっ!!」
今度は智子がバカにされる・・・そこで俺はなるほどとルーデルが何を考えているのかが理解できた。
俺「(航空ウィッチに必要なのは冷静な判断力・・・たとえ仲間がバカにされようと自分がバカにされようと動じない心・・・それを見ようとしているんでしょうね)」
俺は改めてルーデルの考えによくやるもんだと思う・・・が、すぐにその考えもふっとんでしまった。
智子「・・・!!」
俺「!?」
智子は手に持っていた軍刀の柄に手にかけ、引き抜こうとしたのだ。これには、さすがの俺も黙ってはいない。
ザッ!!
ルーデル「俺・・・?」
ルーデルの前へと躍り出た俺は、腰の刀に手をかけ、鯉口を切る。いつでも抜刀ができる状態だ。
俺「大尉少しばかり後ろへ・・・」
ルーデル「あ、ああわかった」
ルーデルは俺の言葉に素直に従う。以前、本気で喧嘩をしたことがあるルーデルにだからこそわかること・・・それは俺がいまとてつもなく怒っているということだ。
俺はルーデルが後ろに下がったことを確認すると、また智子のほうへと視線を向ける。
俺「・・・穴吹少尉」
智子「・・・何よ」
俺の気配が尋常なものではないと気付いたのか、智子も眉間にさらに皺を寄せる。
俺「仮にも扶桑皇国陸軍軍人が・・・ましてや尉官が上司に、しかも他国の上司に抜刀をするというのは如何なものかと」
智子「そうねそうかもしれないわ・・・でもねあなたの上司は私たちの仲間をバカにしたのよ!?」
俺「そんなものいちいち気にしていたらきりがありませんよ?あのような言葉そのまま受け流すのもまた大事な処世術の一つだと思いますが?」
智子「うっ・・・」
俺「しかもムカついたから抜刀・・・まさかそのままルーデル大尉に切りかかるつもりでしたか?」
智子「い、いやそれは・・・」
智子はだんだんと罰の悪そうな顔つきになり、柄を握ったり離したりと・・・どうやらさすがに自分がやりすぎたような気分になってきたのだろう。
俺は軽くふっと笑い、
俺『こいだから本州の人間ば野蛮じゃ・・・そいでよくおいら薩州の人間を野蛮扱いする』
智子「~~~!!!」
急に薩摩訛りの扶桑語で話した俺に、智子は今度は土壇場を踏むような顔つきなりカチンッと少し乱暴に軍刀を納める。俺はそれを見て刀から手を離す。
周りのものは俺がなんと言ったかは把握できなかったが、その場がなんとか保たれたのに息をほっと吐く。そして俺はついでという風に智子見て
俺「仲間がバカにされたからといってすぐに熱くなるのはよくないことですよ穴吹少尉?そこからいったい何があるのかをちゃんと理解しなくては」
智子「・・・わかったわ」
よろしいでしょうか?とニコリと笑みをうかべながらさらりと危ないことを述べる俺。智子はムスッとした顔になる。・・・ちなみにすぐ近くにいたスオムス空軍の軍服を着た少女は涙を流していたがそれはスルーの方向で。
俺はルーデルのほうへと向き深く頭を下げる。
俺「申し訳ありません大尉。勝手な行動平にご容赦ください」
ルーデル「ん?あ、ああ大丈夫だ・・・許す。後ろに並んでいろ」
ルーデルは慌てたように俺のほうを向き若干、嬉しそうに頷く。おそらく俺に守られたのが嬉しかったのだろう。スツーカの隊員はふうと息を吐きながらそんな
隊長を見て微笑を浮べる。
ハッキネン「・・・大尉申し訳ありませんでした。穴吹少尉にこちらからきつく言っておきますので、どうかご容赦を」
ルーデル「ん?ああ別にいいさ。私には立派な盾がいるからな。問題は無い・・・それよりもこのような簡単なことで冷静さを欠くような人間に護衛を任せる
のはやはり不安があるな。少佐、彼女らを護衛から外してください」
ルーデルは俺を盾と称した。俺としてもある意味ありがたいことだろう。そしてどうやら智子たちはルーデルの理想とする護衛からかけ離れてるためか、護衛の
任から外そうとする。
ハッキネン「しかし護衛は少しでも多いほうがよいのでは?」
ルーデル「戦場で冷静さを欠く人間は敵よりやっかいだ・・・それに、悪いがこれ以上顔に傷は作りたくないからな」
ルーデルはチラッと先ほどのブリタニア人のほうを向きながら呟く。そのブリタニア人は罰が悪そうな顔をしながら少し顔を背けた。
ルーデル「さてそれではスツーカ中隊の諸君出撃は明日だそうだ。まずはハンガーに集合していったん作戦会議を行う。その後は翌日に向けて鋭意を養ってくれ。
「「「「「了解!!」」」」」
俺「了解」
ルーデルの言葉にスツーカ中隊の全員がハンガーへと向かう。それを確認したルーデルも軽く頷き、ハッキネンに二三話をして敬礼をしてハンガーへと向かう。
俺もその後を若干駆け足気味で追いかける・・・なおその際に智子が睨んでいたのはご愛嬌だ。
俺「・・・なにやらすっごい睨まれてますね」
ルーデル「ああそうだな・・・でもお前はそのほうが嬉しいんじゃないか?ん?扶桑皇国陸軍の航空機動化歩兵の軍服が好きな俺にとっては?」
ルーデルは先ほどの智子を見ていたの俺のことを思い出しながらジロリと睨む。俺は苦笑を浮べ、
俺「あれは違いますってば・・・確かに扶桑陸軍のウィッチの軍服は好きですよ?でもですね、それはハン・・・ルーデル大尉が着ているのが大好きであってですね
他のが着ていても意味はないんですよ」
名前を言いそうになり、俺は慌てて言い直す。そして色々とのろけたことをルーデルに聞こえる範囲で呟く。
ルーデル「ん・・・そうか。私が着ていないと意味がない・・・か。ふふ」
ルーデルは嬉しそうに笑いながら軽い足取りでハンガーへと向かった。俺はその後ろを苦笑いを浮べながら続く。
その後、軽い作戦会議を終えたスツーカ中隊はその場で解散。各自宛がわれた部屋へと向かった。だが、俺とルーデルはその場に残っていた。
俺「・・・」
ルーデル「・・・」
二人は話さずただジッとたっているだけだった。
俺「・・・大尉は行かないでよろしいのですか?いかなくても?」
ルーデル「ああ、ちょっと用事があるからな・・・それに貴官もいいのか俺軍曹」
俺「私はまだ機体の整備がございますので」
チラリと互いに向き合い・・・ふふと微笑みあう。
ルーデル「なら私はそれを眺めるとしよう」
俺「ふふ、どうぞお好きに」
俺は早速といわんばかりにルーデルの機体に駆け寄り整備を開始する。まずは分解、そして消耗している部品がないか確認・・・といっても一日二回は必ず
整備しているのでそこまで汚れている部品はないため軽く点検するだけで済んだ。
俺「ふう・・・まあ、こんなもんでしょう」
ルーデル「ん?もう終わったのか?」
俺「ええ、点検するだけでしたから」
そうかと答えるルーデル。そしてジッと俺を見つめる。
俺「?」どうしましたハンナ」
ルーデル「いやなに・・・本当にお前は無茶をする奴だと思ってな」
俺が不思議そうに聞くと、ルーデルは若干呆れ気味に呟く。
ルーデル「前は私を助けにバイクで走ってきて・・・そのまえは空挺隊員と喧嘩して・・・本当お前は無茶をする奴だよお前は」
俺「ははは・・・申し訳ないです」
罰が悪そうに顔を背けながら、俺は頭を掻く。だがそのとき、俺はふと先ほどのことを思い出す。
俺「そういえば先ほどのブリタニア人といささか硬い空気でしたが・・・あれはいったい?」
ルーデル「ああ・・・あいつか」
ルーデルはうむむと少し難しい顔になり、話すか話すまいかを悩むような顔になる。
ルーデル「・・・まああれだな。オストマルク時代に・・・な。あいつは私の爆撃部隊を護衛だったんだ・・・この鼻の傷をつけた張本人でもあるがな」
ざらッとルーデルは自分の鼻を撫でる。俺はなるほどと納得する。ルーデルからしたら自分の顔に傷をつけた張本人・・・今はそこまで気にしていないとはいえ、やはり、
多少は憎いのだろう。だが、ルーデルはふっと笑い、
ルーデル「まあ、今では・・・俺と付き合うきっかけを作ってくれたようなものだからな・・・多少の感謝はしている」
と答えた。俺はうんうんと頷き・・・
俺「・・・それもそうですね。まあ喧嘩する原因でもありましたが・・・」
ルーデル「う・・・あれは本当すまないと思っている」
さっきの仕返しとばかりにジトッと珍しい目をしながら俺はルーデルを見る。ルーデルはそんなめったに見ない俺の表情に身を竦める。が、その姿がいささか
不釣合いで俺は思わずフフッと笑ってしまう。
俺「まあそれはいいですよ。もう私は気にしていません。それにむしろあれであなたともっと仲良くなれたと思いますからね」
ルーデル「そ、そうか・・・」
ルーデルは喧嘩をして仲直りした後のことを思い出し・・・赤面する。あの後は二人で仲良くベッドに・・・まあこれはいいだろう。俺はいつもの微笑を浮べながら
ルーデルのほうへと向き、
俺「それではハンナ・・・いや、ルーデル大尉。明日の爆撃任務ご武運をお祈りいたします」
ルーデル「ああ、わかった。そのためには機体を最高の状態にしといてくれよ。俺軍曹」
ビシッと敬礼をする俺に、ルーデルも敬礼し返す。二人はその後、その場から離れ翌日のために睡眠をとることにした。
最終更新:2013年02月15日 13:00