宮藤「ふえっ!?新しいウィッチ……ですか!?」
ミーナ「ええ、本日よりこの501統合戦闘航空団に新たなウィッチが加わります」
ルッキーニ「そうそう!急だ急だ!」
坂本「先日急に本部に呼び出されて何かと思えば新しいウィッチの配属指令だったのだからな……」
エーリカ「ふわーっ、どんな人なんだろう?」
バルクホルン「お前みたいな規律のきの字もない人間でないことを祈るしかないな」
エーリカ「む、しっつれーだな」
宮藤(おっぱい大きいといいなぁ……)
リーネ「芳佳ちゃん……(何考えてるか顔に出てるよ……)」
エイラ「ま、ワタシは別にどーでもいいナ……サーニャに手ェ出したら許さねーケド」
ペリーヌ「貴方と言う人は本当にサーニャさんにべったりですこと……」
エイラ「むっ!……で、でもツンツン
メガネ!オマエも人のこと言えねーゾ!いっつも少佐少佐言っちゃってサ!」
ペリーヌ「ぐっ!」
サーニャ「……zZZ」
ミーナ「そ、そろそろ入ってもらいましょうか……少尉、入室を許可します」
<はっ
ぎいっ……
つか…つか…つか…ビシッ!
「本日より、501統合戦闘航空団に配属となりましたーー」
オレ「オレ少尉です」
「「「「「「「「……お」」」」」」」」
「「「「「「「「男ぉ~っ!?!?!?」」」」」」」」
サーニャ「……ふぇ?」
……………………
ミーナ「と、という訳で今日からこの501統合戦闘航空団に所属するオレ少尉です」
オレ「……………………」
宮藤(す、凄いおっきい……身長が)
バルクホルン(190センチはあるな)
坂本(ふむ、鍛え抜かれた見事な肉体だ)
シャーリー(ボサボサの黒い髪。ギラついた……三白眼?って言うのかな?ありゃまるでーー)
エイラ(狼みたいダ……)
リーネ(こ、怖い)
エーリカ(なんと言うか……ワイルド?)
ルッキーニ「ウジューシャーリー怖いよ~っ」
ミーナ「ルッキーニ少尉!失礼ですよ?」
オレ「大丈夫だ…です、慣れていますから」
ミーナ「えっ?」
オレ「この顔は生まれつきだ…ですから、怖がられるのは慣れています」
ミーナ「そ、そう」
エイラ「それで?ミーナ中佐、ソイツ強いのカヨ?」
坂本「はっはっはっ!その目で実力も見抜けないようでは、お前もまだまだだな!」
エイラ「はぁ?……うっ、た、確かに強そうダ……」
オレ「………………」
ミーナ「……それでは、これで解散とします。宮藤さん、基地の案内をお願いできるかしら?」
宮藤「は、はいっ!」
ミーナ「では解散!」
………………………………
オレ「……ふぅ」
オレ(今日からこの部隊か……次はどれ程持つだろうか……)
「よっ!」
オレ「ん?……アン…貴方は確か」
「私か?私はシャーロット・E・イェーガー。シャーリーでいいよ。階級は大尉だ」
シャーリー「あ、それと別に私には敬語使わなくていいぞ?堅苦しいのは苦手だからな」
オレ「そうか、それは有難い」
シャーリー「よろしくな!」スッ
オレ「ああ、よろしく」スッ
ガシッ!
シャーリー「……おーい、ルッキーニお前も怖がってないで挨拶しろよー!」
「……ウ、ウジュー」
オレ・ルッキーニ「「……………………」」
ルッキーニ「う、うぎゃ~っ!」
ダダダダッ!
シャーリー「ありゃりゃ、逃げたかー。あいつ、あんまり人見知りしない方なんだがなぁ」
オレ「子供は好きな方だが……どうも避けられる」
シャーリー「あっはっはっ!そりゃーしょーがないさ。
ギラついた三白眼、でっけぇ体、オオカミみたいな髪型だったらほとんどの奴らは怖がる!」
オレ「先刻も言ったがこの顔は生まれつきだ、体格の方は知らん」
「アイツもマダマダ子供だったってコトサ、ワタシはオトナだからナ。別に怖がったりハ……」
オレ「……アンタは?」ギロリ
「し、シナイゾ?……ワ、ワタシはエイラ・イルマタリ・ユーティライネン。こっちがサーニャ・V・リトヴャクだ」
サーニャ「……zZZ」
オレ「……寝てるんだが」
オレ「ああ、成る程な」
エイラ「……サーニャに手ェ出したら許さないカラナ」
オレ「……………………」
「で、ではっ!私が基地を案内しますねっ!」
オレ「よろしく頼む。えっと……」
「私は宮藤芳佳です!どうぞ好きに呼んでください!あっ、私も敬語はいいですよ?」
「よ、芳佳ちゃん。一人で大丈夫?」ボソボソッ
宮藤「私は大丈夫だよリーネちゃん。安心して……それにこの人、見た目は怖いけど優しそうだよ?」ボソボソッ
オレ「?」ジッ
宮藤「ほ、ほらリーネちゃん!自己紹介!」ボソボソッ!
「はうっ!?わ、私はリネット・ビジョップですっ!」
オレ「宮藤とリネットか……よし。覚えた」
宮藤「そ、それじゃあ基地を案内しますね!」
―
――
――――
「しかし驚いた。まさか男のウィッチが現れるとはな」
「ええ、私も噂には聞いていたけれどここに入ってくるとは思わなかったわ……それよりも、問題は彼の経歴よ」
「何かあるのか?」
「送られた資料によるとウィッチとして活動し始めたのが今から約2年前……そしてそれ以前の、5年間が全くの空白なの」
「……妙だな」
「ええ、少しは何かしらのことが書かれていてもいいはずなのに、よ……さらに驚くべきことに彼の二年間での撃墜数は――200機以上」
「200機、か……」
「つまり、ハルトマン中尉とバルクホルン大尉に引けを取らないほどの実力を彼は持っている訳」
「そいつはまた凄い奴が来たものだな」
「そして、彼の戦う様から付いた通り名が――――」
――――
――
―
宮藤「このあたりが私達の部屋です……多分家具類は揃っていないので、買い出しの際に申し出れば用意します」
オレ「家具か……別に必要はない。寝床さえあればそれでいいさ」
宮藤「そ、そうですか……オレさんの部屋はどこに?」
オレ「ここから少し離れたところだな」
宮藤「わかりました!……でもなんで離れてるんだろう?」
オレ「そりゃ男と魔女達が関わり合うのは出来るだけ避けた方がいいからじゃねェのか?」
宮藤「うーん……私はあまり気にしないんですけど」
オレ「……考えてもしょうがない」
宮藤「そうですね……」
…………………………
宮藤「ここが食堂です。朝食とかは私とリーネちゃん、バルクホルンさんが持ち回りで作ってますね。あっ、たまにシャーリーさんとルッキーニちゃんも作ってくれますよ?……そうだ、オレさんは料理出来ますか?」
オレ「ああ、人並みには出来る方だ」
宮藤「そうですか!それは良かったです!」
オレ「別に当たり前のことだな」
宮藤「あはは……(それができない人が多いんだけどなぁ)……あっ、ちょっとお願いしたいことがあるんですけど……」
オレ「ん?」
宮藤「ミーナ中佐が料理をしようとしたら全力で止めてください」
オレ「そいつはまた、どうして?」
宮藤「ミーナ中佐、味覚音痴なんですよ……」
オレ「……………………」
宮藤「この前もちょっと目を離した隙にお吸い物が真っ黒に染まったし、消化をよくするために軽く希塩酸で溶かした料理を振舞ってくれましたね」
オレ「もういい、もう何も言うな……」
宮藤「……はい」
―
――
――――
ミーナ「くしゅっ!」
坂本「どうしたミーナ?風邪か?」
ミーナ「た、多分違うと思うわ……(誰か噂でもしてるのかしら……)」
坂本「体調管理には気をつけろよ?」
ミーナ「わかっているわよ……それで、話の続きだけれど」
坂本「ああ、奴の戦闘スタイルの話だったな」
ミーナ「ええ、そうよ。――どうやら彼は射撃戦闘より格闘戦を好むようね。使用する武器も美緒、貴方と同じ扶桑刀ね……しかも二刀流」
坂本「正しくは、私と同じではないんだがな」
ミーナ「えっ?」
坂本「奴が持つ刀。扶桑刀といえば扶桑刀だが、あれは――」
――――
――
―
宮藤「説明する必要はないと思うんですけど……ここがハンガーです」
オレ「……広いな」
宮藤「えっ?」
オレ「オレが今まで居た所の中で一番広いって言ったんだ」
宮藤「そうなんですか?」
オレ「ああ」
宮藤「ふふっ、なんだかちょっと嬉しいです」
オレ「……単純だなオイ」ボソッ
宮藤「?何か言いましたか?」
オレ「別に、気にするな」
宮藤「……あ、そうだ。オレさんはどんな戦い方をするんですか?」
オレ「オレか?……別に、コイツでたたっ斬るだけだ」チャキッ
宮藤「それって扶桑刀ですよね?でもその長さは……脇差?」
オレ「……と、刀の中間の長さだ。小太刀と言う」
宮藤「小太刀?」
オレ「ああ、こいつは扶桑刀に攻撃力こそ劣るが、その分取り回しがし易い……攻撃力も、オレの固有魔法でどうにかなるからな」
宮藤「オレさんも固有魔法を持ってるんですか?」
オレ「ああ、一応な」
宮藤「へえ~っ!どんなのなんですか?」
オレ「それはだな――――」
ウウウウウウウウゥゥ――――――――――
オレ「ッ!!!!!!!」
宮藤「このサイレン……ネウロイ!?」
オレ「……………………」
宮藤「オレさん!皆が来るまで出撃準備をして……オレさん?」
オレ「……来タか……ッ……!!!!」ゾワッ!!
宮藤「……っ!」ビクッ
―
――
――――
ウウウウゥゥゥゥ――――――
バルクホルン「敵かっ!」
エーリカ「そうみたいだねー……何日ぶりだろ?」
バルクホルン「よし!ハルトマン!ハンガーに急ぐぞ!部屋の片付けの続きは帰ってからだ!」
エーリカ「うげぇ~っ」
『観測班がネウロイの出現を確認しました。出現地点は――――』
エーリカ「……オレも着任早々出撃とはついてないねー」
バルクホルン「だが、やつの実力を知るいい機会だ……ほら、行くぞ!」
エーリカ「はーい」
――――
――
―
坂本「全員揃ってるか!これよりブリーフィングを――」
宮藤「たたたたたた大変です!坂本さん!」
ミーナ「落ち着いてください、宮藤さん。一体どうし――あら?オレ少尉は?」
宮藤「そうなんです!オレさんが、オレさんが――!」
坂本「落ち着け宮藤。俺がどうした?」
宮藤「た、単独出撃しました!」
坂本「……なにっ!?」
……………………………………
空を翔けるオレの視線の先にはすでに、件のネウロイ達が飛行していた
数は四。大きさはいずれも中型と言ったところで、四角形の小さな陣形を組んでいる
おそらく目の前の異形の怪物を倒して基地に帰っても――自室禁固がオレを待っている……だが、彼にとってそんなことなどどうでもいいことだった
オレ「……は……す……」
腰に括り付けられた鞘から二振りの小太刀を抜刀する――
その瞳はただ、ネウロイを見据えていた
オレ「……イは……て……す……」
オレは目標を定め――その一体に向けて機体を加速し……突撃する
ネウロイ「」aaaaa!!!!!!
オレの動きに反応し、ネウロイ達は一斉に彼に向けてビームを放つ――が
オレ「ッ!!!」
その全てを――まるで赤い雨とも言えるような全てを――紙一重で避けた
オレ「う……オオオオオッ!!!!」
超絶的な回避と同時に、オレはネウロイの懐へと潜り込み……
そして二つの刀身が――――煌めく!
ネウロイ「a……」
次の瞬間には――ネウロイの装甲に幾つもの線が走っていた
やがてどこからかパキンと渇いた音が響き――海面に、白い雪が降り注ぐ
オレ「あと……三体……ッ!」
……先程、彼の持つ二振りの小太刀が煌めいたと隠喩したが――今まさに、彼の持つ小太刀は、煌めいていた
その刀身に青白い電光を纏わせ――煌めいていた
――――――――オレ少尉の固有魔法は、ペリーヌ中尉と同じく、電撃を使うわ
――――――――電撃?
――――――――ええ、でも彼の場合は……
ネウロイ達「」Gayaaaaa!!!!!!
ビシュビシュッ!!!!
数秒もしないうちに破壊された仲間に戸惑ったのか、三体のネウロイがすぐさま彼に対して攻撃をする
先程と違い、ネウロイとの距離は十分に狭まっている
常人のウィッチならばシールドを張る他に手は無い――だが、彼は常人では無かった
オレ「ふっ!」
……襲いくる全ての光線を、先程と同じように回避したのだ
――――――――体内に電流を流し、神経の代わりにするの
――――――――それによって、彼の反射神経は異常なほどの反射速度と処理能力を持っているわ
――――――――それと同時に……
オレはすぐさま近くの一体に急接近、そして、右手に握る小太刀を力任せに突き刺した
……直後、漆黒のネウロイの装甲が、その表面が、刺突の衝撃で――砕け散った
――――――――運動神経すら強化することで、普通のウィッチには無い攻撃力を生み出すのよ……極め付けに……
当然、ネウロイは再生を行うが――それよりも早く
オレ「……ロイは……べて……おすッ!」バチバチバチッ!!!
彼の持つ小太刀に、青白い電流が流れ――そのままいとも容易くネウロイへと流れ込んだ
――――――――膨大な魔力によって生み出された電流は、彼の体だけでなく、体外にも、その武器にも伝わって……
――――――――例えば錆び付いた刀で大木を斬るほどの、圧倒的な攻撃力を生み出すわ
……当然、内部に直接流し込まれた激流に抗えるはずも無く
その体躯は瞬く間に雪片へと変貌していった
そして……彼は一秒とて同じ場所にとどまりはしない
最初の一体目の成れの果てがすべて海面へと没する頃には――
三体目のネウロイの装甲に、一匹の狼の影が映っていた
オレ「お゛お゛お゛お゛ッ!!!!!」
残酷なまでに強化された運動神経が、凶悪なまでに研ぎ澄まされた刀身が、人外とも言えるその肉体が合わさって――――
神速の六連撃が、ネウロイを抉った
ネウロイ「」ga……
パキ……ン
オーバーキルとも言える剣閃をその体に刻んだネウロイは、当然とも言える終焉を迎える
……彼の目の前には、もはや風前の灯火とも言えるネウロイが一体、残るだけだ
――――――――そして、彼の戦う様から付いた通り名が……
倒すべき敵を眼前にして――彼は、『吠える』
オレ「ネウロイは全て倒すッ!!!!!!!」
その姿は――獣を喰らう、獣――雷を纏う、狼――故に……
――――――――『喰狼』
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最終更新:2013年02月15日 13:26