味方が離脱したのを確認した後、俺は手元にアサルトライフルを装備する。
俺の固有魔法はウェポンチェンジ。「指定した範囲内にある武器を手元に召喚する」といったもの。つまり、軍の武器庫なんかを予め指定しておくことでその中にある武器は使いたい放題ってこと。実際は少し違うっちゃ違うけども。
とはいえこの武器を他人に使用させることはできないって制約もあるし、指定範囲から武器がなくなれば何もできないのである。
まぁ今回はカールスラント軍本部武器保管庫を指定させてもらった、許可も得ているし気にする必要はないか。
戦術は一応狙うけれど基本ぶっ放し。いろいろ使って乱射にも近い状態で近場の敵から倒していくものだから味方がいると不都合なのだ。
「おい、俺」
いざ戦闘ってところで背後から声がかかった。第8部隊の部隊長、レグメット中佐だ。
俺「中佐殿、ここは…」
レグメット「お前の魔法のことは把握している、その力量もな」
俺「それでは!」
レグメット「把握した上でここにいると言っているんだ。それにお前のヘッタクソな腕で私に当てられるわけないだろうが」
俺「…堕ちても知りませんからね。でも………ありがとうございます」
レグメット「はっ、私にしてみればお前もひよっこの一人だ!つーかネウロイがお前だけを狙ってくれるとでも思ってんのかよ」
俺「それもそうでした」
レグメット中佐が手にしてるのは扶桑刀というものだ、サイズが尋常じゃないが。
対艦刀といってもいいほどに刀身は長いし太い。特注だとか言ってたけどよほど無理言ったんだろうなこの人は…。てか扶桑刀とは最早別物だろ…。
俺「それじゃ…行きますよ」
レグメット「ああ!」
こちらが接近してくるのを感知したネウロイが一斉に砲撃を行う。
視界を埋め尽く数って…ほんと冗談じゃない。このまま突っ込んでも撃墜は必至…っと。
一気に上昇、通常ではありえないだろう角度でネウロイのレーザーが追尾してくる。左右に回転しながらある程度避けた所でドロップターン。高高度から重力に任せてネウロイに向かい両手のライフルを連射する。
子機の装甲を強引に削りとり的確に核を撃ちぬくとネウロイは白い破片を残して霧散する。
俺「’ウェポンチェンジ’…」
アサルトライフルを換装、またもや両手に大型バズーカを取り出して左右から挟撃してくる中型を爆破。一発で弾切れだが威力は十二分…上出来。
その脇をレグメット中佐が猛スピードで通過して正面の大型ネウロイの下に潜り込んだ。
そのまま刀先を突き刺して駆け抜け本体を引き裂くとコアが露出した。
俺「ったくあの人は化物かよ…」
高度を下げつつ素早くバズーカを換装して長距離射程用のライフルをセット。元は長距離用だからこれだけ近ければ威力は申し分なし、いかに大型のコアといっても破壊可能。
俺「ふぅー……」
一呼吸おいてトリガーを引いた。
命中…よし。
その後を確認する暇もなく換装して迎撃再開。ひとまず大型を減らさないことにはいつまで経っても数は減らんな…。
俺「サブユニット展開、フィールド出力70%パターンデルタで攻撃開始
俺のストライカーユニットには専用の追加武装がある。膝裏から少し上の部分に取り付けられ、足を半円上に巻くようにある10機のサブユニット。
固有魔法’ウェポンチェンジ’はただ単に武器の取替ができるだけの能力ではない。
その真髄は自らの魔法力で武器の操作が可能なことにあるのだ。手元に呼び寄せるのだって範囲固定を利用してその一部を使用しているだけに過ぎない。
命令によって射出されたユニットは円錐状にシールドを出して大型ネウロイへと突っ込んでいく。シールドの形状を変えることで貫通力を上げさせた。
様々な角度からネウロイ本体を貫いて弱らせた所で自分が狙撃する…といったのが基本だが今回は運がよかったらしい、サブユニットがコアごと貫いたようだ。
レグメット「相変わらず無茶苦茶なことやりやがる」
俺「中佐こそ人のこと言えませんよ。自分はもとより乱戦の方が得意です。それより下がってください、あれやります」
魔法力をためて一気に解放、自分の後ろの景色が武器で見えなくなるほどに倉庫からありったけ呼び出す。
俺「いけええええええええええええええええ」
一斉射撃、バズーカだろうが誘導ミサイルだろうが関係なし。とにかく弾幕を張って数を減らした。これで何とか……
リグメット「俺、どうやらそう簡単には終わらせてくれないらしい」
俺「……みたいですね。生きて帰れれば勲章いくつもらえますかね、これ」
ネウロイはたった二人相手に総力戦とも呼べる戦力を投入してくれるらしい。
評価してくれるのはありがたいが…やめてほしいね。
戦いが始まって何時間が経っただろうか。
もしかしたら何時間じゃなくて何十分ぐらいかもしれない。
エーリカやミーナ。そしてトゥルーデやカールスラントの皆は撤退できただろうか。
自分はちゃんと時間を稼ぐことが出来ただろか。
魔法力も飛行するのがやっと、弾もほとんど無くなってしまった。
サブユニットも10機中8機は敵のビームによって落とされている。
傍らにいるリグメット中佐の対艦刀も半ばから折れてところどころ刃毀れし、彼女自身も満身創痍な状態だ。
対してネウロイは俺と中佐を囲むように配列済み。完全に詰んだ。
赤い光が周りを囲むネウロイから出ている…いつでも発射可能か。
俺「俺達ちゃんとやれましたかね…」
レグメット「ああ。あれを見ろ」
視界の先にはロマーニャ空軍のウィッチ達。どうやら援軍…そして防衛ラインの設置が完全に終了したことの報せに違いなかった。
俺「やりきりましたか。中佐、こんな事に付きあわせてすみませんでした」
リグメット「カールスラントは母国、そしてそれを守るための軍人だ。後悔はしていない」
ありがとうございます…
それが彼女に聞こえていたかはわからない。
俺が最後に見たのは真っ赤な光と脳裏に浮かんだ幼馴染だった。
俺「さよならトゥルーデ…約束守れなかった」
最終更新:2013年02月15日 13:29