―501基地―
坂本「補充要員だと?」
ミーナ「ええ、でもまだ誰が来るのかわからないのよ…。今日から配属で既にこちらに向かっているみたいなんだけど…」
坂本「上がまた厄介ごとでも持ってきたのか…」
ため息がでるのも無理はない。共に戦場に立ち、背中を預ける仲間になるというのにその素性が一切不明のまま今すぐ受け入れろなんておかしな話だ。
しかしながら、指令書がカールスラント空軍元帥から直接下りてきたものに皇帝の直筆サインが記されているともなれば別である。
坂本「まぁ歓迎はするが、怪しい奴なら私が切り捨ててやるから安心しておけ!はっはっは」
ミーナ「それはやめなさい…」
既に魔法力を失いながらも剣の道を続けているこの物騒な扶桑人が言うことは割りと冗談に聞こえないから困る。
ミーナ(誰にせよ、来てみないとわからないわね…)
そこへガタンッと大きな音を立てて勢いよく扉が開かれた。
バルクホルン「ミーナ、監視班が敵を確認した。予測進路も算出したがどうやらこちらの管轄内に入るようだ」
ミーナ「わかりました、至急招集をかけてちょうだい。夜間哨戒組は現在こちらに向かっている輸送艇の護衛に、それ以外は迎撃に回します」
バルクホルン「了解した」
ミーナ(輸送機の到着予定に合わせたようなこのタイミング…ついてないわね)
―輸送艇―
俺「ネウロイだって?」
機長「ええ、今501の管制から無線が。大型1、小型機20が確認されています。護衛を回してくれるみたいですよ」
俺「ふむ…距離は?」
機長「ここからだと…約5000です」
俺「近いな」
エイラ<こちら第501統合戦闘航空団エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉ダ。護衛にツクゾ>
俺「感謝するユーティライネン中尉。機長…この積み荷、しっかり基地まで届けておいてくれ。俺はちょっと加勢に行ってくるよ」
機長「少佐が前線に行かれなくても…。501といえば最強の部隊の1つですよ?」
俺「まぁまぁ、多くて悪いことはないって!」
機長「はぁ…わかりました。2分後にハッチを開けます」
俺「助かるよ」
制御室から銃火器・その他の支援物資が置かれている場所へ向かう。
俺が戦うにあたってこれをしておかなければ存分には力を発揮できない。
固有魔法の武器操作。事前に指定した範囲内に存在する武器を’操作’し’呼び出す’ことが可能。
操作なので戦闘中に操ることが本命ではあるが、この範囲指定による武器召喚が『固有』である由縁だ。
頭の中に武器のリストを作ることが出来き、選択することでそれをイメージした場所へと取り出せる。
前準備は完了。後はストライカーを履いて待機っと。
機長「少佐、準備はよろしいですか?」
俺「いつでも構わない。あ、外部に取り付けてた’アレ’持っていくよ。武器庫に送り返せないから……本国には謝っておいてくれ!」
機長「はぁ…了解しました。それではご武運を」
俺「サンキュ」
久しぶりの実戦だ。張り切っていこうじゃないか。
―海上―
ミーナ「事前通達通りに奥のトゥーパリェフ級に攻撃を集中。子機は広範囲へ拡散させないように適度に抑えるように!」
「「「「「「「了解!!!」」」」」」
バルクホルン「行くぞハルトマン!」ズダダダダダダダダダダダダッ
エーリカ「ほいほーい」ズダダダダダダダダダダダダッ
ニ人が通過した後にはネウロイの白い残骸片の道出来上がっていく。
互いが互いのカバーをしつつポジションを変えながら敵の前衛を砕いていった。
芳佳「ほえー…やっぱり凄いね…」
リーネ「うん…」
シャーリー「よーぅしルッキーニ!私たちも負けてらんないぞ~?」
ルッキーニ「やっちゃおー!」
リーネ「よ、芳佳ちゃん!私達も!」
芳佳「うんっ!」
ペリーヌ「行きますわよ!」
先行したカールスラント組を追いかけるように大型へと向かう。
ビームを掻い潜りながら前衛の撃ち漏らしたネウロイを落としていくも撃墜王の二人が前を行っているが故に数も相当少量で済んでいた。
20機を簡単に掃討し尽くしメインへの攻撃開始。
坂本が魔眼を使えなくなった以上、手当たり次第に攻撃を加えていってコアを見つけ出すしか手段がない。
バルクホルン「くっ、再生速度が早すぎる!」
ミーナ「外装を剥がし切れないだなんて…。リーネさんの一点射撃もコアに当てなきゃ効果は薄いわね…」
エーリカ「威力と範囲がいるなら!シュトゥルム!」
大気を纏い、小嵐となったエーリカが強襲をかけた。
するとネウロイの装甲が浮き上がり、湧き出るようにして大量の子機が現れる。
エーリカ「押し切る!!」
嵐とネウロイが衝突した。
絶大な破壊力と貫通力を持つエーリカの固有魔法と密集して数で壁を作るネウロイ。削れば削る分だけ追加されていくため均衡が崩れない。
エーリカ「く……き、っつ…!!」
バルクホルン「一旦離脱しろ、囲まれるぞ!」
壁に阻まれている間に別箇所から生成された子機が周囲を取り巻き始めていた。
強引にいくにしてもあと1つ火力が足りない。
シャーリー組や芳佳組も合流して仕掛けるが、相手の自衛力に加え辛うじて通った弾丸もすぐさま再生されていくので有効な打撃を与えることができないでいた。
バルクホルン「このままではジリ貧だ…。突破が出来ない以上、長期戦に持ち込まれたらこちらが不利になる」
エーリカ「でも引くこともできないよ…」
その通りだ。時間を掛ければ掛けるほどに敵の戦力は肥大化していくとなれば一度引くなんて悠長な事も言ってられない。
基地までそう距離がないので補給ができないわけじゃないがそのまま襲撃されるのもまずい。
???<お困りのようだな>
手をこまねいている所へ聞きなれない声が無線に割り込んできた。
ミーナ<!?――どなたかしら、この回線は501の専用ラインのはずですが。所属と名前を言いなさい>
俺<忘れてるなんて酷いじゃないか、ミーナ。今日付けで第501統合戦闘航空団に配属が決定したノイエ・カールスラント軍少佐の俺。久しぶりだな>
ミーナ<少佐!?今は病院に―――>
俺<話は後にしよう。ひとまずこいつを片付ける>
バルクホルン<お、おい!本当に…本当に俺なのか?>
俺<あぁ、正真正銘本物だよトゥルーデ。ま、さっきも言ったが話はこいつらを沈めてからにしよう>
そう言って通信が切られると、突如上空の雲が穴開く。
フェネックのちょっと長い特徴的な耳、真っ黒でストライカーの中にまで及ぶ軍服に身を包み馬鹿でかい銃を両腕で抱えた男が急降下してくる。
反動を度外視したようにしか思えないその武器を難なく操り、先程エーリカが飛び込んだネウロイの上部へと即座に3発打ち込んだ。
手持ち出来る銃の音を遥かに凌駕した爆音と共に放たれた高速の弾丸は反応が遅れ不完全に形成された壁を最初の2発で崩し、最後の弾はネウロイに大きな風穴を開けることが出来たがすぐさま再生が始まる。
俺「ちっ…。ネウロイも昔のままじゃないとは…」
敵の特性はここに向かう途中にインカムからの情報で聞いてはいたが、やはり実際に見るのとでは理解度が違う。
見てから余計に厄介に思えてしまった。
しかし、打つ手がないわけじゃない!
俺<消耗しているなら無理に援護しなくていい。流れたビームとかには気をつけてくれよ!>
そう時間は掛けられない、一気に勝負をつける!
俺「ユニット展開、出力最大」
BS-R1からサブユニットが切り離された。
10機をそれぞれ個別にイメージして動かしながら自分も戦うのはなかなか集中力を使う。
前の戦いでは途中で処理が追いつかなくなりユニットのほとんどを落としてしまった。
俺「前のようにいくと思うなよ…!」
一機ずつ単独でネウロイへと向かわせる。
2門ずつ付けられた4.1mmの機関銃からの弾丸も同じく止められるがすぐさま移動して位
置をずらすのに加え、数も多い。
サブユニットの援護を受けつつ本体の俺も初撃に使ったモノを固有魔法で反動制御、照準補正をかけて壁の隙間を抜くように当てていく。
‘武器召喚’で呼び出した機内の武器を両側面と背後に展開して、取り囲んでこようとするラロス級を落としつつメイン砲撃に集中…。
今のところ全14機+メインの同時制御…昔の伝達率じゃこんなことは出来なかった。
目的は相手の隙を、ゼロ距離まで近づけるほどの大きな隙を作ること。
いくら小型の生成が可能でも、いくら数を集めて全方位に壁を展開できるとしても、途切れなく攻撃を続けていればどこかに隙ができる。
見逃すなよ…必ず来る一瞬を。このままならそう遠くないはずだ。
―海上戦闘区域外―
シャーリー「なぁ、『俺』って誰なんだ?どうやら知り合いみたいだけど」
芳佳「なんだか凄い強い人ですね…あの数を一人で相手してますよ」
ペリーヌ「ミーナ中佐…だけじゃありませんわね。カールスラント軍の方は知っているようですが?」
バルクホルン「あ、あいつは…」
ミーナ「元カールスラント軍第7航空戦闘部隊隊長、俺少佐…別名『ウェポンマスター』。あの人のいる戦場に敗北はないとすら言われた若き天才…」
シャーリー「ちょ、ちょっと待てよ!『ウェポンマスター』と言えば超有名な英雄だけどもう死んだはずじゃ!」
ミーナ「ええ…その辺りは基地に戻ってから詳しく話します。そして、最近トゥルーデがそわそわしてたのは彼が理由よ」
バルクホルン「ミーナ!?」
シャーリー「ほっほー……いつもお固いカールスラント軍人様がねぇ…」
バルクホルン「くっ、リベリアンめ…」
エーリカ「あーはいはい、落ち着いて落ち着いて。それにしても相変わらずというか…未だに俺さんには勝てそうにないんだけど…」
ルッキーニ「なんか色々バキューンバキューンってすごいねー!!」
芳佳「でもホントに凄いですよ!色んな武器を持ち替えて周りのも相手しちゃってます!」
リーネ「私の銃よりももっと大きいのに…。あんな場所で動きながら当てるなんて出来ません…」
エーリカ「まぁあの人とリグメット中佐はまさに別格だったから。比べるだけ無駄だよ」
バルクホルン(俺…早く終わらせて戻って来い。お前には言いたいことが山ほどあるのだ…)
俺(そろそろいくか…?)
度重なる弾幕にネウロイの動きが追いつかなくなってきた。
ラロス級生成も無限じゃないらしい、明らかに生成速度も量も減っている。
27mm砲は既に海の底。ユニットを掻い潜ってきたネウロイに砲身をやられたため放棄した。
サブユニットに積まれた弾薬も尽きる寸前…、仕掛けるなら…今だ!
俺「来い!!」
敵に向かって飛びながら拡散させていたユニットを自分の前に集結させる。
シールド形状変更…突貫!
10機のユニットは更に加速して薄くなった敵の守りごと本体を貫通。
武器を多門式ミサイルランチャーに切り替えながらその道を飛びぬけ、再生しきる前に発射口をネウロイ内部へと突き刺した。
俺「フリーガーに比べたら多少威力は劣るが、ゼロ距離だ。これなら吹き飛ばせるだろ?」
トリガーを弾いた。
両手合わせて計18発のミサイルがネウロイ体内で爆発。
俺「復帰戦の相手にしちゃ上出来だった。いい運動になったよ」
光と爆風が引いた後、ネウロイの残片の中に残ったのは浮遊する特殊武器を従えた男の姿だった。
最終更新:2013年02月15日 13:30