『一番初めに書いたSSは何だったけか』
『そうだ、確か無駄に正義感が強い「俺」が主人公のやつだ』
『ウィッチとは最初、あんまり関わりを持とうとしない堅物、しかも非童貞設定だよ』
『あれ、結局完結させなかったな』
『「他人の為」だの「世界を守りたい」だの「目の前の現実(ネウロイ)と戦いたい」だの書いてて、なんか途中で飽きたから』
『なんていうか、虚しくなった』
『俺のリアルと比べた瞬間に』
『だけど、「俺」の台詞を書いてて思ったな』
『現実の『俺』は糞でも、「俺」はそれっぽい台詞を言えるんだもん』
『意外と書けるもんだな、本音は嘘だとしても、まぁ高が物語』
「それとも』
『…それとも?』
『なんだ、それともって』
『……』
「…それとも』
「それとも、本当は「目の前の現実と戦いたい」って本音で『俺さん』は思ってる』
「嘘じゃなくて、本当に』
「だって、その物語は『あなた』の文字として表すことが出来たから…』
『……』
『そんなわけないだろ』
『こんなニートに限って、そんなわけ――』
――白い風景、夢の中――
俺「……」
俺『…は?』
俺「この世界から出て行け」
俺『……え』
目の前にいるのは、軍服を纏う引き締まった体格、耳の奥深くへと響く声、そして、
自分の理想とも言える程に逞しい顔を備え持つ人物。
そして、その男は鋭い目付きで『俺』を凝視している。
え?なにこいつ?は、誰?
俺「…出て行けと言っているのが聞こえないのか」
サーニャを襲おうとした瞬間、唐突に背景が真っ白へと変わり、宙には俺の書いたSSの文章が次々と流れ出した。
そして今、見知らぬ男が背後から歩み寄ってきて、振り返ると『俺』を睨みつけている。
周りを確認しても、この場には男と俺しかいないようだ。
俺『あ……あのぅ…』
思わず俺はびくびくと挙動不審な態度を取った。
俺「聞こえないのか」
俺『……』
こう威圧的な風格を備える人との会話は、俺にとって極力避けたいものだ。
恐喝に近いものも感じる。
自分の弱さを露呈されそう、暴力を振るわれそう、見下されそう、
初対面だというのに俺はそのようなイメージを勝手に連想させ、どこか恐怖に近い、その場から逃げようとする衝動に駆られた。
現実での実体験がそう訴えている為かもしれない。
俺「答えろ」
俺『…あっ…えと……………』
相手の威圧感で言葉が出ず、その場に一時の沈黙が落ちる。
だが、
俺『ど…どうでもいい…お前は消えろ、死ね』
俺「……」
割り切って暴言を吐き捨てた。
俺『サーニャといいところだったのに、邪魔してんじゃねぇよ』
これは俺の見ている夢、体外離脱の世界。
だから目の前にいる人物が勇敢で逞しそうな人間だとしても今は刃向かうことが出来る。
俺『てってか、お前誰だよ?』
――深夜、「ストライクウィッチーズ」基地内、ハンガー――
サーニャは、自らのぼやけた視界が段々と晴れていくことに気が付く。
あれ、ここは?
サーニャ「…ん…っ」
そうだ、私はいきなり俺さんに押し倒されて、服を脱がされて、それで確か。
でも変、俺さんが私の服を脱がした後の記憶が無い、どうして。
だめ、違う。そう、急に「俺さん」が襲ってきたことなんて夢だったんだ。きっと全部、私の悪い夢。
きっと夜間哨戒に向かう途中で寝てしまっ
サーニャ「…!!」
思考が遮られる。視界が元に戻ったサーニャの直ぐ傍には俺が倒れていた。
彼女は驚き、思わず後退りをした。
突如「俺」がサーニャを襲おうとしたこと、あれは夢などではなかった。
サーニャ「はぁ…はぁ…!」
俺「……」
サーニャ「はぁっ」
しかし、先程自らを襲おうとしていた俺は電池が切れたかのようにぴくりともしなくなっている。
床に倒れこみ、うつ伏せの状態で止まっている。
サーニャ「…はぁ…」
俺「……」
サーニャ「…俺…さん?」
サーニャは肌蹴た服を整えながら恐る恐る俺の傍へ近づいていき小さな手で肩を揺すった。
サーニャ「俺さん…俺さんっ」
何度声を掛けても返事は無い。呼吸している音さえも聞こえない。
そうだ、今なら、早く逃げなくちゃ。
サーニャ「…だめ、だめ!…隊長に…ミーナ隊長に伝えなきゃ…!」
基地内だというのに、サーニャは夜間哨戒用のインカムで緊急伝達を行った。
サーニャ「俺さんが…倒れました…!」
乱暴を受けたが、逃げたいという気持を押し殺し、衰弱している「俺」の為に。
――翌日、昼、基地内医務室にて――
ミーナ「先生、俺さんの症状は…」
医者「それが、俺中尉の身体には何処にも異常が見当たりません。手術しようにも、これでは…」
ペリーヌ「異常が無いだなんて…俺さんはずっと昨日から寝たきりのままですのよ?」
リーネ「それなのに、どうして…」
医者「このまま昏睡状態が続くのであれば、意識を取り戻すのは中尉自身の体力次第です。悔しいですが…目が覚めるまで我々は何も手出し出来ません」
昨夜、医務室へと搬送された俺の周りを、11人のウィッチ達が不安そうな顔つきで囲っている。
宮藤「そんな、だって昨日…」
宮藤は昨日会話したばかりの俺が目の前で衰弱している姿を見て、嘆くように言葉を漏らした。
坂本「…なぁサーニャ、昨晩、俺に何があったんだ?」
バルクホルン「そういえば、俺が倒れたことを伝えたのは夜間哨戒前のサーニャだったな。何か心当たりは」
サーニャ「……」
サーニャの肩が一瞬揺らぐ。
サーニャ「ぁ…あの…それが…」
ミーナ「坂本少佐、バルクホルン大尉、ちょっといいかしら」
微かに震えるサーニャの声に、ミーナの声が割って入った。
坂本「?…どうした、ミーナ」
ミーナ「いえ、二人には特別話しておきたいことがあるの。外で話しましょう」
バルクホルン「…この場で話してはならない内容とでも」
ミーナ「そういうことではないわ。ただ、指揮官や副官である貴女達には事前に話すべきだと思っただけで…」
バルクホルン「…そうか、了解した」
ミーナが無理矢理と言って良い程に話を断ち切り、出口のドアが在る方向へと顔を向ける。
突然の提案に若干の疑問を抱えながらも、坂本とバルクホルンは医務室の外へと歩き出す。
同様にミーナも外へ向かうが、サーニャとのすれ違い様、俯いている彼女の耳へとそっと告げ口をした。
ミーナ「――落ち着いて、今は皆へ、無理に話す必要は無いわ」
サーニャ「……ミーナ隊長」
昨晩の緊急伝達後、「俺さんに襲われそうになった」とサーニャは、ミーナだけに状況報告を行った。
そして「俺さんに服を脱がされ始めた瞬間、自分も意識を失った」とも、全て正直に。
ミーナはサーニャや部隊の雰囲気を察し、全員への報告を避けた。
俺の暴動の件が周知すれば事態の収拾も更につかなくなる。
直ぐに対処すべき問題ではあるが、被害を受けた等の本人も恐怖を憶えたままだ。これ以上、心を揺さぶるわけにはいかない。
今無理に言及しては、今後の戦闘や連携に支障が出る可能性がある。今は冷静になって対策を練るべき。
ただ、ミーナは「豹変した俺」についての対処を恐れていたが、サーニャはそれだけではなかった。
サーニャは「豹変した俺」と同様に、「意識を失っていた自ら」をも恐れていた。
もしかしたら、意識を失っている間に、自分が俺を昏睡させる行動を起こしたのではないかと。
サーニャ「…了解しました」
何故なら最近、彼女も――
ばたんとドアが閉じる音と共に医務室は静まり返り、淀んだ空気がその場に流れた。
サーニャの隣にいたエイラが少し焦ったように口を開く。
エイラ「なっ、なぁサーニャ。さっきミーナ隊長とすれ違った時、隊長はなんて言ってたんだ?」
サーニャ「……いえ、別に…何も…」
エイラ「そ…そうか?」
エイラとサーニャを横目に、ルッキーニは俺が昏睡しているベットに寄りかかった。
シャーリー「…あぁ大丈夫、こいつはこんなことでくたばる奴じゃないはずだ」
ルッキーニ「…俺、がんばれ…」
俺の顔の傍で呟く。そして彼女は以前任務中に突然撫でられた頭を自らの手で撫でた。
それ程普段堅物な俺に撫でられたことが印象に残っているのだろう。
ペリーヌ「それにしても原因は一体…ミーナ中佐も深刻な表情をしていましたし。ハルトマンさん、あなた何か知っているのではなくって?」
エーリカ「んー?別にぃ~」
宮藤「……」
リーネ「…大丈夫?芳佳ちゃん」
先程からずっと俯いている宮藤に、気を掛けたリーネは話しかけた。
宮藤「俺さん…私昨日、皆を頼ってって言ったばかりなのに…」
リーネ「……」
宮藤「……っ!」
リーネ「芳佳ちゃん!?」
エイラ「おっおい宮藤!」
宮藤は突然ベッドの隣に身を乗り出し、俺の胸へ向けて治癒魔法を発動させた。
ベッドが光で包まれる。
ルッキーニ「にゃ!?芳佳?」
ペリーヌ「何をしてますの宮藤さん!」
宮藤「私の魔法なら俺さんの症状を治せるかもしれない!」
ペリーヌ「いくら貴女でも無理ですわ!」
宮藤「無理じゃない!…だって、だってそうしないと俺さんは…」
サーニャ「…芳佳ちゃん」
エイラ「宮藤…」
宮藤「お願いです俺さん!目を開けてくださいっ!」
だって、せっかく皆と仲良くなれそうなのに、501は、此処は今まで辛い思いをした俺さんの居場所になるのに、
こんなのってないよ!
宮藤「はぁあああっ!」
より魔法力を両手に込め、治癒能力を更に高める。
そして段々と周りのウィッチ達も宮藤に希望を託すかの如く、声が小さくなっていった。
宮藤「俺さんっ…目をっ!」
サーニャ「……俺さん』
その時、ふとサーニャは俺を心配する為か、俺の手に自分の手を重ね合わせた。
――白い風景、夢の中――
俺『…あっ…これって…』
俺の頭の中に治療する宮藤と手を握るサーニャのイメージが入り込んできた。
そっか、俺を直そうとしているんだ!やさしい!さすが!
俺「!?……サーニャ、宮藤…」
俺『え?』
目の前にいる「男」が呟いた。こいつ今何て言った、いや確かサーニャと宮藤って。
俺「俺を、助けようとしているのか?」
俺『……は?』
宮藤とサーニャ、助けようとしているって、俺が感じたことと同じじゃん。
俺「…宮藤、サーニャ、みんな…」
なんだ?ん?何か引っかかる、解決しそうでしない感じ。
そういや、セックスしかねる前にサーニャは何か言ってたな。
「いつもの俺さんとは違う」って、それと何か関係が、
俺『…あっ』
そうか、何となく解かった、つまりはそういうことか。
俺『な、なんだ、お前も感じたんだろ?』
俺「……どういうことだ」
俺『だから言葉の通りだよ、お前も宮藤とサーニャのことを感じたんだろって』
俺「…お前」
俺『そうでしょ、そうでしょ?だって感じるはずだよ…だってお前…結局は俺自身だもん』
俺「…何を言っている」
俺『分かっちゃったんだ。更に言うとねぇ』
そっか、さっきから目の前にいるこの「男」が、怖いけど何か「しっくりくる」と思ってたんだよ。
強気で逞しくて理想な姿。俺の妄想に一致するていうか、SS内の「第二の自分自身」ていうか。
その喋り方といい、性格といい、俺が想像したものに、すっごいマッチしてるんだ。
俺『だってお前は、俺が一番最初に書いてて途中で飽きた純愛SSの堅物の主人公だから』
あん時は出来るだけかっこ良く、強く、理想の設定にしてから自己投影したよ。しかもさ、
俺『それをベースに、書き直して俺が体外離脱用にしてっから』
今は純愛を破綻した離脱用SSの主役に改変してっから。
――昼、基地内廊下――
ペリーヌ「坂本少佐、ミーナ中佐!」
廊下で話し込んでいるミーナ、坂本、バルクホルンの三人のところへ医務室から抜け出したペリーヌが駆けてきた。
バルクホルン「……」
坂本「ペリーヌ、お前は医務室に残ってい」
ペリーヌ「申し訳ありません!しかし、俺さんの意識が回復しそうなんですっ!」
バルクホルン「何!?」
ミーナ「なんですって!?」
――白い風景、夢の中――
俺「お前は一体何を言っている…!」
俺『だから、あんた媒体なんだよ。あんたが主役で、俺がそれに乗り込む感じ』
俺「…いい加減にしろ」
俺『俺も体外離脱のプロになりすぎたなぁ、主人公の「俺」のことイメージしすぎちゃって目の前に登場させちゃったよ、俺が「俺」になんなくちゃいけないのに』
薄気味悪い笑みを浮かべる。
俺『自分の夢の世界なのに、うまくいかねぇなぁ』
俺「自分の夢…?この世界はお前みたいな奴の夢などではない!」
俺『いやいやいやいや、俺の夢だって。全部俺の妄想、理想の世界』
俺「俺はこの世界で生まれ、そして今まで生きてきたんだ!お前のような悪魔が俺の身体に乗り移っているだけだ!」
俺『その発言もその怒り方も全部俺には予想出来る。そう設定して、お前へ自己投影したから』
俺「訳の解からんことをぶつぶつと、この悪魔め…」
俺『この悪魔め…って、そういやそんな台詞もSSに書き込んでたわ、なつかし』
俺「っ!!!」
怒りを切らした「俺」が『俺』へ向けて駆け出し、そのまま勢いに拳を任せ、顔の左頬へと狙いを定める。
俺「死ね!」
俺『ばかっ、おま!』
すぐさま回避行動をとったが完全には間に合わず、怒涛の拳は左頬をかすめ、余りのすばやさと衝撃により、かすめた程度でも頬に切り傷が出来た。
「俺」は自らのがっしりとした体幹でスピードを緩め、尻餅をついた『俺』へと瞬時に振り返る。
俺『やっやめ!』
俺「貴様が消えれば、俺はっ……!?」
しかし、第二激を繰り出そうとしたが、何かに気が付いて振り上げた拳をそこで止めた。
ぽたっと雫のように「俺」の太腿へ流れ落ちた血。無かった筈の切り傷が、左頬に出来ている。
俺「な…これは…」
俺『はぁっ…だから言っただろ…俺は「お前」と一緒って』
俺「どういう」
俺『ちょちょちょ、それ以上殴ったって自分を傷つけるだけだって、まぁ何で傷が出来んのか、それだけは分からないけどよ』
痛みを感じるほどに体外離脱をしているためか。しかしこの痛みよりも、俺は現実の方が怖い。
だから逃げるんだ、この世界へ。傷なんて関係ない。
俺『ここは俺が唯一浸れる最高の世界、言っちまえば欲の塊だよ』
俺「こっ…この!」
俺『お前のその性格だって強さだって、ウィッチとよりイチャイチャしてぇから、「俺って強い」って主張したいから設定したもんだ』
「俺」は荒く呼吸しながら『俺』の胸倉を掴む。
俺「違うっ…俺はこの世界に生きてきた…今まで戦ってきたんだ!この世界を守るために!」
俺『ばっか、正直になれよ、俺みてぇな汚ったねぇコミュ症童貞糞ニートの妄想の産物なんだよ、お前』
俺「違う、違う違う違う!俺はっ…お前が俺を乗っ取る時以外は、お前の知りえない日常を送っている!」
俺『あぁ…知らないけど、知ってるね…』
俺「意味が」
俺『「『俺』が体外離脱している時以外に「お前」の日常が存在する」かもなんて、一度ぐらい考えたことあるから。離脱用SSの為に元の純愛SSの部分部分を改変してるし。それだけで理由は十分だ』
俺「…ど…どう」
俺『俺ね、体外離脱のためにいろいろ勉強したんだ。つまり、無意識でも頭が勝手に働いてくれるから――』
――
単純な夢や明晰夢、体外離脱時に発揮される無限とも言える信じられない想像力。
それは日々欠かさず体外離脱法を鍛えた為に、無意識でも働くようになってしまっている。
俺『夢とか人間の頭ん中ってすげぇよな、無意識でも勝手に妄想の世界をどんどん作り上げちゃう』
少しの妄想は、たとえ意識の中に現れないとしても、脳は想像し続け、自然に創り上げられ大きくなる。それが精神の奥底へ隠れる無意識的妄想、そこから生まれたのが「俺中尉」の世界。
俺『言っちまえば、俺が「俺ストSS」を書けるのは意識の中の妄想だけじゃなくて、無意識で蓄えられて脳が勝手に形成した妄想も掘り起こしてるんよ』
物語を書くことが可能なのは「その場で想像している」だけではなく、無意識から「掘り返している」ためでもある。
つまり、「俺中尉」が存在する「ストライクウィッチーズ」の世界とは、実在するものではない。
図りしえない想像力を秘める脳の奥底で無意識に形成されていた世界。
「『俺』が現実で起きている瞬間にも、常に「俺」と「ストライクウィッチーズ」は存在している」という妄想が、無意識を極限に掘り起こす体外離脱によって具現化、明細化された世界。
俺の『意識』内ではなく「無意識」内で勝手に妄想された世界。
「俺中尉」が悩んでいたことも、平和のために戦う決意をしたことも、存在していたことも、全ては『俺』の脳内に隠されていた世界の出来事だった。
その忠実なる妄想の世界が生まれた理由は、二次元へリアルを求めすぎたため、或いは、精神疾患、適応障害の弊害――
――
俺「……」
俺『怖くなっちゃうよ、お前の確立した存在のワケが、俺の精神病の所為かもしれないって」
俺「……」
俺『もう何にも口答え出来ないよね、なんたって結局お前は俺だし。分かった?』
俺「……」
――宮藤「俺っ…さん…俺っ…さん…」
俺『ほら、聞こえてきた。宮藤やサーニャが俺を待ってる、早く起きてイチャイチャしなくちゃ』
俺「オ…俺の居場所…?」
俺『あぁ、『俺』の居場所だ。そろそろ起きるよ』
――サーニャ「俺さん……目を…開けて…」
俺「……モ…う…妄想でも…カ?」
俺『…彼女達が妄想でも、俺は満足してるからそれでいい。俺ストパン大好きだから』
――サーニャ「……俺……さん…目を…あけ…ち…だ…め』
俺『…よし、これからも頼むよ、アバター君』
俺「い……イや…だ…」
俺『おいおい…俺の概念形成も恐ろしいな、まだ口答えすんのかい、とんだキャラ作りだ』
――サーニャ「』
俺『あーもう、ずっと頼むよ、「俺」――』
――
――昼、基地内医務室にて――
ノックの音も聞こえず、ばんっとドアが勢いよく開く。
坂本「俺っ!意識は戻ったのか?」
リーネ「坂本少佐!」
ミーナと坂本、バルクホルンの3人が部屋に戻ってきた。
宮藤「はぁっ…はぁっ…」
バルクホルン「宮藤…!」
宮藤は目が虚ろになるほどに治癒魔法を続けていた。
宮藤「はぁっ…はぁっ…俺っ…さん…――」
俺「――んっ…――
宮藤「……!!」
サーニャ「俺さん!」
俺「……おっ…おおお――
サーニャ「……目が覚めた…っ…よかった……」
目が覚めた俺の目の前に、涙を浮かべたサーニャの顔が映る。
宮藤「……」
魔法力を消費し過ぎた宮藤はそのまま俺へと倒れこんだ。
俺「おおおっ!おいおいおい――
俺は宮藤を支え、そしてそのまま、嬉しさの余り彼女を抱きしめた。
俺「ありがとう、宮藤…――
そして、「俺」。
勿論、この世界に帰れたことの嬉しさに対しても。
俺「は…はは…みんな…本当に心配をかけてすまなかったな――
俺の言葉を聞き、周りのウィッチ達も安堵し始めた。
サーニャ「あの…俺さん?」
俺「?…どうした――
サーニャ「あっあの…本当に、大丈夫ですか…?」
俺「…あぁ――
この世界も結局は俺の妄想だ。
でもいいんだ。だってこの娘達がいるから。
俺「本当に大丈夫だよ』
―つづく―
「俺」の世界も「ストライクウィッチーズ」の世界も、全ては『俺』の世界に収まっていた。
全て、現実から逃げた為によって蓄えた妄想や想像力によって。
『俺』のリアルを求めすぎたイチャイチャの世界は加速し始める。
だが、全ては『俺』の夢、俺しかいない世界で起きていること。
やがて、『俺』は知ることとなる。
最終更新:2013年02月15日 13:33