―2012年・ドバイ―
俺「おじい様、悪いけど俺にはそんなことをやる気はないよ。しかも半ば騙すように俺を呼んで……」
翁「ほっほっ、その事はすまなかった。ワシが死にそうとでも聞かなければ来てはくれなかったじゃろう?」
俺「この間、ドイツまで会いに行っただろ……。今度はこんなところまで呼び出して……」
翁「ま、可愛い孫に会いたいじじいの気持ちを少しだけでいいから汲んでくれんかのう」
俺「あいよ。でもさっきの話は無しだからな?そんな面倒事はxxxにでも頼んでくれよ。あいつなら喜んでここまでくるぜ?」
翁「xxxじゃ無理じゃな。まあ最初から薄々断られる事位は予想済みじゃった。運よくOKをもらえたらラッキーとしか考えてなかったわい」
俺「」
翁「まあ……仕方ないのう。ドバイ見学はしていくのか?」
俺「しないよ。去年したばかりだし……」
翁「それじゃあすぐにでも帰るつもりか?」
俺「そうなるね」
翁「何から何まで予想通りに事が進んで、じいちゃん少し寂しいぞ」
俺「いつまでも俺を子供扱いしないでよ、おじい様……」
翁「ワシからみたらまだまだ子供じゃ。ほれ、帰りのチケットじゃ。空港まで車も用意しておいた。玄関でまっておる」
俺「thx。、じい様。あ、でも今度俺をどこかに呼ぶ時はもう少しまともな嘘で頼みます。死にそうと聞いてかなり焦ったんですからね」
翁「今度から気をつけよう。じゃがワシもそろそろいつ死んでもおかしくはないからもしかしたら次に死にそうと連絡が入ったら……まァ孫の顔を見るまで死にはせんがな」
俺「」
…
…
俺「空港まで」
運転手「俺様、どうか大旦那様を責めないであげてくださいね」
俺「何をいってるんだよ。責めたりなんてしてないぜ?困ったおじい様だけど俺はそんなおじい様が好きだしな」
運転手「なら、大旦那様のお願いを聞いて……」
俺「だけど、それとこれは別。おじい様には悪いけどね……やっぱり俺は日本が好きなのさ」
運転手「そうでしたか……俺様が大旦那様の跡をついでくれれば安泰なのですが」
俺「俺じゃなくてもお父様やxxxがいる。おじい様はxxxじゃ駄目だと言ってたけど、俺はそんな事無いと思うけどね」
運転手「確かにxxx様も……だけどそれ以上に大旦那様は俺様に期待されてるんですよ」
俺「期待ねぇ……挫折まみれの俺に何を期待するのか」
運転手「そんな事を言って……本当に挫折を味わった者達から恨みを買いますよ?」
俺「……」
…
…
運転手「それでは俺様、早ければ近々。遅くても年末にまたお会いしましょう」
俺「ありがとう○○さん。○○さんもおじい様の我が侭に付き合うの頑張って」
―飛行機内―
俺「日本まで10時間……か。お酒でも飲んでシャワー浴びて寝れば、すぐに日本……か」
「お客様、お飲み物は?」
俺「シャンパンでも貰おうかな」
「かしこまりました」
俺「……挫折ねぇ」
…
…
俺「」ウトウト
ボンッ!
俺「!?」
<何だ?今の音は
俺「爆発音……?」
<おい!何が起こった!テロか!?
「皆様、落ち着いてください。テロではありません」
<なら今の音はなんだ!
「エンジンがトラブルで……」
<エンジンが!?落ちるぞ!?下の連中は良いとして我々は助かるんだろうな!?
俺「……うるさいなぁ。良い大人がぎゃーぎゃー騒ぐなよ」
<君!飛行機が墜落して、我々はしぬかもしれないんだぞ?
俺「といって、ぎゃーぎゃー騒いでも何も変わらないでしょ。大人しくパイロットの腕を信用しましょうよ」
<う、うぬ……
俺「いくらいい席に乗ってもこればかりはどうにもできませんよ」
<……
…
…
ガタガタッ
<うわああもう駄目だ。この揺れじゃもう終わりだ
俺「……俺もここまでの人間だったわけか。やり残した事は……色々あるけど別にいいか」
俺「今さらだけど、おじい様の頼みごとを聞いてれば……往生際が悪いな、俺も」
ピタッ!
俺「お?揺れが収まった……?」
<……
俺「おかしい。揺れが収まったならもっと騒々しくなると思ったんだけど……」
<……
俺「揺れだけじゃない。音も聞こえない……?あれか、死ぬ前は時間がゆっくり進むって言われるっけ?」
<……
俺「いや、ゆっくりどころじゃない、周りが止まってる?」トコトコ
俺「あの、すみません」ユサユサ
<……
俺「やっぱり。どういうことだ?もしかしてもう俺は死んでるのに気付かずに、まだ飛行機に乗ってると思ってるのかな?」
<……
俺「でも、感触もリアルだし痛みもある……どういうことだ」
俺「!?」
???「このまま、飛行機が落ちて死んじゃうのと。助かって、別の場所で君の力を発揮する。どっちがいい?」
俺「誰だ?さっきまであなたはここには居なかったはずだ」
???「いまさっきここに来たばかりだからねー。そんな事はどうでもいいんだよ。どうする?まだ生きたい?死にたい?」
俺「それは……」
???「時間はいっぱいあるからゆっくり考えてもいいよ。でもボクも帰りたいからなるべく早く決めて欲しいな」
俺「時間なんてないだろう!飛行機が落ちそうなんだぞ?」
???「時間ならあるよ?ボクが止めてるからね。もし生きる事を決めたなら、君も向こうについたらボクみたいに何らかの力を発揮できるんじゃないかな?」
俺「何をわけがわからないことを……」
???「でも、現に君は体感してるでしょ?」
俺「……」
???「さあ、君はここで死ぬか。生きて何かを成し遂げるかどっちを選ぶ?」
俺「俺は……まだ生きていたい」
???「それじゃあ……一名様ごあんなーい」パチン!
俺「!?」
???「さあさあ、早く入った入った」
俺「その……明らかに怪しい渦の中に飛び込めと……?」
???「そうだよ。さあ入った入った」
俺「……やっぱり死ぬ方がいいかも。そんな気がしてきた」
???「何をそんな事を言ってるの?死ぬ方がいいなんて軽々しく口にするもんじゃないよ。生きたくても生きられない人だって沢山いるんだから」
俺「……」
???「何をためらってるの!しかたないなぁ。こうなったら強行手段だ」パチン!
俺「あれっ!?体が動かなく……」
???「ここに入った後に動けるようになるからね」ポイッ
俺「ちょっと、待って……うわああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
???「これで、よし。きっとあの人ならうまくやれるんじゃないかな。そんな気がするよ」
…
…
―上空―
俺「うわあああああああああああ……ここどこだよ。俺、生身で落ちてるよな……もしかして、飛行機の外に放りだされた!?」
俺「でも、違う?あの時は外は明るくなりかけてた。でも今は……真っ暗。夜だ」
ひゅるるる~……
俺「どっちにしろ、このままじゃ俺って死よな……騙された。でも、このまま地面にたたきつけられたら即死できるから、中途半端に生き残る可能性があるよりはマシか……」
俺「……はぁ。腹くくる……か」
…
…
『ネウロイの反応はありますか?』
ハイデマリー「ネウロイの反応なし。今日は静かなよるだわ」
ひゅるるるる~……
ハイデマリー「えっ!?」ゴシゴシ
『どうしました、ハイデマリー少佐』
ハイデマリー「幻覚なんかじゃない。人が空から落ちて来てる……」
『人が空から!?一体どんな状況ですか』
ハイデマリー「私にもわからない。助けた方が……いいですよね」
『そんな事言っている場合じゃありませんよ。急いで助けてあげてください』
ハイデマリー「……了解」
俺「……」
ブーン……
俺「プロペラ音……?このご時世に、こんな場所でレシプロ機なんて珍しいな」
ハイデマリー「……つかまって」
俺「は?女の子が飛んでる……?」
ハイデマリー「……早く。あなた、このまま落ちて死にたいの?」
俺「……(落ち着け……今は落ち着け)」
ハイデマリー「早く!」
俺「……まだ死にたくないな、頼む。助けてくれ」スッ
ハイデマリー「……ええ」ハシッ
…
…
―室内―
俺「……あれ?ここはどこだ?」キョロキョロ
俺「確か俺って、飛行機の事故に会って、いきなり知らない奴にびっくり体験をさせられて、気づいたら空を落下中で、空飛ぶ女の子に助けて貰って……
でもここってどう見ても病室だよなぁ。あれは途中から全部夢で、奇跡的に俺はほぼ無傷で助かって、病院に担ぎこまれた。きっとこうだろう」
ハイデマリー「……気がついてよかった。途中から返事すらなくなって死んでしまったのかと思ってたわ」
俺「……」
ハイデマリー「……どうしたの?」
俺「えーと……あれ?夢じゃない」
どうやら、俺はまだ色々と錯乱しているようだ……
最終更新:2013年02月15日 13:37