声が聞こえた方角へと泣き顔を向ければ一歩、また一歩と砂利を踏みしめる足音が懐かしい気配を伴って近づいてくる。
――まさか……いや、そんなはずはない
胸中に生じた希望を押し潰さんと膨れ上がる理性。
――だってアイツは……致命傷を負って、ジグラットの崩壊に巻き込まれて……
愛していると自分に告げて、息絶えたはず。だとしたら今自分の耳朶を掠めた声はなんだ? 誰のものだ?
矢継ぎ早に脳裏を飛び交う憶測。それら全てを整理する暇を与えないかのように、陽性を孕んだ声と足音の主は着々と距離を詰める。
そして、
「よぉ。何時間ぶりだ?」
暗がりから迫る来訪者が月明かりの下に、その姿を曝け出した。
淡く儚げな月光に照らし出されたのは、もう二度と目にすることが叶わないと思っていた快活な笑顔。自らの頭上に広がる夜天と同色の髪と瞳。
弾痕が刻まれた上に赤黒く変色した血液がこびり付き、衣服として使い物にならない域にまで変貌を遂げた上着とシャツ。
一張羅を台無しにされたことへの憤りからか、顔を顰める満身創痍の男が頭に手を添えた。
その腕、指の動き。余りにも見慣れた仕草にラルは息を呑んだ。
ラル「おれ……なのか?」
俺「あぁ。俺だけど?」
出血によって青白みが掛かる痩せこけた頬が笑みで歪む。
けれども、その微笑みは明らかに生者のみが持つことを許された温もりを帯びていた。
口許に生じる皺と、それに伴って生み落とされる小さな影。肉体を持たぬ亡霊ならば決して作り出すことの出来ない変化だ。
ラル「本当に……本当に俺、なのか?」
俺「当たり前だろう。こうして生きてるし……足だってちゃんとついてるだろう?」
質問の意図が掴めなかったのか、怪訝そうな表情を作った俺がブーツの踵を砂利の上に軽くぶつけてみせる。
それはかつて彼がペテルブルグ基地に配属となった日、自分とロスマンの前で行ったものと同じ挙措。
扶桑皇国陸軍の公式記録では戦死者として処理されていることに疑問を抱き、訝しげな眼差しを注ぐ自分と彼女に生きた人間であると証明するために見せた動作だった。
ラル「あ……あぁ……あぁぁあ……!!」
ブーツの底部が立てる音は自身の口から漏れ出す震えた声によって掻き消されていた。
疑問が確信に変わると同時に、つい今しがたとは比べ物にならないほどに視界が歪む。
しかし、込み上げて来る涙の量とは裏腹に胸の奥を満たしたのは歓喜の熱。
切なさと寂しさによって凍てついた心が温かく、そして優しく溶け崩れる感覚が胸裏に拡散していく。
俺「ラル?」
ラル「あぁ……おれ。おれぇ……おれぇぇぇぇぇぇ!!!!」
自分の名が呼ばれた瞬間、ラルは俺に向かって駆け出していた。
一気に距離を詰めるなり目を白黒させる男の首に両の腕を回して抱きしめる。
ラル「おれぇ! お、おれっ! えぐっ……っく……おれぇぇぇ!!!
この温もり、この逞しさ。間違いない。
二度と離さない、離すものか。未来永劫、この男は私だけのものだ。
俺「ら、ラル!?」
頭上から降り注ぐのは狼狽した声色。
突然の抱擁に理解が追いついていないのか、抱きとめることも引き離すことも儘ならないのを良いことに拘束する力を更に強めた。
ラル「本当に、俺なんだな!? 幽霊じゃなくて……本当に、おれ……なんだな!?」
俺「…………あぁ、俺だよ。ちゃんと生きてる。ごめんな……心配かけさせて」
嗚咽に遮られながらも懸命に言葉を紡ぎ終えると頭頂部と背中に温もりを帯びた手が回される。
あたかも子供をあやすような優しげな手つきに胸の奥底に溜め込まれていた諸々の感情が一斉に暴発を引き起こした。
ラル「本当だ! この馬鹿!! みんながっ……私がっ! どれ、だけ! 心配したと思っている!!」
幼子のように涙に濡れた顔を胸元に摺り寄せ、片方の手で煤と血で汚れたシャツを握り、空いたもう片方の手で咎めるかの如く胸板を叩く。
俺「……ごめんよ」
シャツを濡らす涙の生温かさ、胸板を叩く拳の感覚。
胸中に突き刺さる悲痛な泣き声に胸元を通して全身へと伝わる震え。
それら全てを一手に受け止め、俺は嗚咽が交じる少女の非難を一言一句聞き逃すことなく、無言で耳を傾ける。
ラル「それだけじゃない! 自分だけ言いたいことを言って……私の返事も聞かずに……えぐっ…………ひっく……か、勝手にいなくなってぇ!!」
俺「……いや、それは……その、だな」
ラル「死んだかと思ったんだぞ……!!」
俺「……あぁ」
ラル「もう、会えないかと思ったんだぞ……!!」
俺「ごめん……」
謝罪と共に自身の頭を撫でる大きな手の平。
その心地よさに、このまま、いつまでも身を預けていたい安寧を断腸の思いで振り払い、一歩後ろへ。
今しかない、この機を逃すな。胸裏で囁くもう一人の己に従い、ラルは意を決する。
そうとも、つい先ほどまで自分はこの機会を欲していたではないか。身を任せるのは何も想いを伝えたあとでも遅くはない。
呼吸を整え、細指で目尻に浮かんだ涙を拭い、
ラル「本当にすまないと思っているなら……私からの返事も聞いて、くれるな?」
無言で頷く俺の表情を捉え、生唾を飲み込んだ。
あえて胸の高鳴りに逆らわず、奥底の情熱を更に燃え上がらせるかの如く深呼吸を繰り返す。
唇まで奪っておいて何をいまさら緊張しているのか。頬に込み上げて来る熱の存在を感じながらも脳裏を掠めていく言葉を受け流し、
「好きだ。おまえのことが……好きなんだ。仲間としてじゃなく、異性として。」
思いの丈を口にした瞬間、頬を覆う熱が一瞬で灼熱へと変化した。
彼を意識し始めたのは随分と前のこと。それも彼がブリタニアの第501統合戦闘航空団へ派遣されるよりも。
サウナで偶然鉢合わせとなり、ガランドから送られた書類に記載されていない彼個人としての来歴を聞かされた時から。
けれども異性として気になり始めたのは風邪をこじらせ、病床に伏したあの日からだろう。
傷痕が残るこの身体を綺麗だと言ってくれた。傷を気にするのは人として当然だとも言ってくれた。
赤の他人から見れば淡白な切欠と言われるかもしれない。それでも彼の言葉で自分は救われたのだ。唯一のわだかまりを包み込み、受け止めて、前を向いて歩くことが出来たのだ。
ラル「正直に言うとな。初めはこの気持ちが何なのか……分からなかったんだ」
それ以来何故、俺のことばかりを目で追いかけてしまっているのか。何故、彼が他の娘たちと仲良く談笑する場面に出くわす度に胸が痛んだのか。
自分の感情に気付くことが出来ず、ただ胸に悩みを抱えた日々が続くなか、クルピンスキーに発破を掛けられる形で俺への想いが恋心なのだと自覚した。
ラル「あぁ……好き、なんだ。私もお前が好きなんだ!! だからっ! もうどこにも行くな! 私を……一人にしないでくれ!!」
誰にも渡したくない。私だけの俺でいて欲しい。
そして……いつまでも、自分の傍にいて欲しい。
口にするたび、強まっていく恋慕はいつしか煮詰まった独占欲へと変化していき少女の身体を再び抱擁へと突き動かす。
一世一代の告白劇が幕を閉じ暫しの間、続く沈黙。そして、返事の代わりに伸ばされた両腕が彼女の身体を包み込んだ。
俺「本当に……両想い、だったのか」
夜陰に溶ける、あっけに取られたかのような声音が頭上から零れ落ちてきた。
気の抜けた声色に混ざるのは純粋な驚愕の念。
ラル「……いまさら、気付いたのか? 唇まで奪ったんだぞ?」
信じられないとでも言いたげな口調にラルの柳眉が吊り上る。
唇まで奪った。作戦が終われば話したいことがあるとも伝えた。にも拘わらず俺は自分の好意に対して半信半疑だったのである。
これまで明確に好きだと伝えなかった自分にも非はあるが、いくらなんでも鈍感すぎはしないか。やや冷めた眼差しを注ぐと咳払いをした俺が目つきを変える。
俺「だけど……良いのか? 俺が何してきたか知らないお前でもないだろう」
過去、そして裏で行う汚れ仕事を俺は包み隠さず彼女に告白した。
人から見れば自分が歩んできた道はさぞ許されざるものだろう。他者を殺めることで他者を守る矛盾に満ちた道を走る己が誰かの傍にいても良いのかと考えた時期もあった。
だがそれは積み重ねてきた行為に耐え切れないだとか、罪の意識といった感情からくる考えではない。
ただ自分が傍にいることで愛した者の経歴に泥を塗ってしまうのではないかという思いから生じたものであり、駆け抜けてきた道への後悔は微塵も無い。
ラル「……たしかにお前のやって来たことは、後ろ指を指されることかもしれないな」
無論、ラルとて殺人そのものを肯定するつもりはない。
けれども彼が裏で動いていたことで救われた命があったことも揺らぎようのない事実。
手段はどうあれ、自分たちウィッチの為に影で尽力してきた彼を突き放す考えをどうしても抱けなかった。
ラル「それでも。好きなんだよ……好きになったんだよ……」
それともこれが惚れた弱みというものだろうか。
鍛え上げられた体躯に頬を摺り寄せ、胸の奥底を焦がす感情に見当をつける。
俺「良いんだな?」
ラル「あぁ。お前が誰であれ、何であれ。私は一生お前と添い遂げるよ」
俺に、そして自分自身に対しても誓いの言葉を口にする。
迷わない、迷うものか。
彼を愛することで背負うものが増えたとしても、この愛を命尽き果てる瞬間まで貫き通す。
俺「後悔しないな?」
ラル「くどいぞ」
青の双眸に宿る硬質な決意の光。
鮮烈な輝きを放つ眼光を前に俺はこれ以上の言及を避けた。その光から彼女が如何に自分を愛しているのかを察することができたから。
次第に胸中を満たす幸福感に目頭が熱くなるのを感じながら口許を緩めた。
俺「…………ありがとう。俺も……おまえのこと、愛してるよ」
腰を屈め、愛しい女の両頬に手を添える。
彼女との口付けはこれで二度目になるが面と向かって、それも想いを通じ合わせ、恋人同士となってからは
初めてだ。
それまで時計の如く正確なリズムを刻んでいた心臓の鼓動が一転して、激しいものへと変わっていく。
意図を察したのか小さく頷き、身を委ねるように瞼を閉じた少女の唇に自分のそれを近づける。
吐き出す息が互いの顔を撫でるほどに縮まる距離とは裏腹に俺は自身の唇がラルのそれに触れ合うまでの時間がやけに長く感じた。
まるで時間の流れが鈍くなったかのような感覚に気が狂いそうになる。
俺「っ!?」
そんな俺の考えを見透かしたかのように顔を近づけ始めるラル。彼女もまた同じ感情を抱いていたのだろう。白い頬に差し込む桃色は自分から唇を近づけることに対する羞恥心の表れのようにも見て取れる。
少しずつ、着実に近づく二人の唇。
時の流れが鈍くなった世界のなかで、ついに引き裂かれていた心は重なり合った。
俺「どう……だ?」
ラル「好きな男に唇を捧げることが出来るのはこんなにも、幸せな気持ちに……なれるんだな……」
ゆっくりと唇を離せば、目の前には大粒の涙を零す愛しい女性の笑顔があった。
白く端整な頬を濡らす透明の雫に手を伸ばし、指先で丁寧に拭う俺もまた言葉では言い表せないほどの充足感に全身を満たされる感覚を覚えていた。
大切な人と結ばれるというのは、こんなにも幸せなことだったとは。
ラル「おれ……」
俺「うん?」
ラル「その。も、もっと……良いか?」
気恥ずかしそうに身を捩る愛しい女性。
自ら口付けをねだることに恥じらいを感じているのか瞼は切なげに伏せられており、日頃見せない、しおらしい表情が一層胸を高鳴らせる。
軍人としてでも、魔女としてでもない。一人の少女へと姿を変えた思い人の赤らんだ容貌に、俺は再び唇を近づけた。
晴れて想いを通じ合わせ、恋人同士となったラルと俺の二人は何か喋るわけでもなく、ただ黙々と臨時宿舎である教会へと歩を進めていた。未練がないといえば嘘になる。
引き裂かれていた分、味わった悲しみの分だけ二人だけの逢瀬を楽しみたかったが、現在の状況からそんな悠長なことを言っていられる暇はない。
後ろ髪を引かれる思いを味わいつつ、ひたすらに宿舎への帰路を辿る最中、ラルの脳裏にとある疑問が浮かび上がった。
ラル「なぁ。お前はどうやってあの後生き延びたんだ?」
直接姿を目にしていなくとも、俺が瀕死の重傷を負ったということは先の通信や彼が羽織る血まみれのシャツに刻まれた弾痕から見ても容易に察しがつく。
崩壊するジグラットのなか、彼はどうやって生き延びたのだろうか。
彼の話によれば崩れ落ちたジグラットの破片が、その下水道へと通じる穴を作り出し、俺は最後の力を振り絞って穴へと身を投げたらしい。たしかにこの廃棄都市の真下には都市全域を走るほどの大規模な下水道が存在している。
崩壊するジグラットの内部にいるよりかは、下水道に逃げ込んだ方がまだ生存率は高い。
ラル「だとしたら……どうやって傷を癒した?」
隣を歩く俺へと視線を向ければ弾痕は右肺と脇腹、それに左膝にまで刻まれている。
決して自分の前まで身体を引きずっていけるような軽い負傷ではない。
俺「それなんだけど……どこかで俺の仲間を見かけなかったか?」
ラル「仲間?」
俺「あぁ。扶桑人で……何ていうか、こう。小さい子なんだけど」
問いかけにラルは俺と再会する前に出会った少女の存在を思い出した。
扶桑人、女の子、小さい背。間違いなくあの少女である。
俺「そうか……あいつ行っちまったか」
声をかけた途端に姿を消したことを告げると俺は少し名残惜しそうな表情を浮かべた。
ラル「一瞬で姿が消えたんだが……あれはどういう仕掛けなんだ?」
俺「あいつの固有魔法は確か……護符で囲った空間を自在に改変する能力だったかな。手に持っていたり、地面に貼ってたりしただろう? 大方どこかに通じる“道”でも作ったんだろうよ」
言ってしまえば、限定的ではあるものの世界に干渉し作り変える能力。
護符で囲い込んだ空間をこの世の理から弾き飛ばす異能。それは既に魔女として、いや人としての領域を遥に逸脱した術理であった。他にも囲んだ空間に巨大な稲妻の柱を創り上げることで標的を撃滅するなどと、俺の話を聞く限りだと少女の固有魔法は応用性に富んでいるらしい。
俺「ラルの前から一瞬で姿を消したのも、俺の傷を治したのも固有魔法の副産物に過ぎないよ」
ラル「そうだったのか。感謝しないとな」
俺「あぁ。間違いなくあいつのおかげで俺は生きて……その」
ラル「?」
俺「好きな人と……こうして歩いていられるんだからな」
ラル「っ! そ、そうか……」
頬を赤らめ、俯くラル。
このまま歩けば宿舎に着き、二人だけの蜜時が終わってしまう。立場上それは仕方のないことだが、せめてもう少し彼女の温もりを、優しさを感じていたい。
そんなことを考えていると、自然と手が彼女のそれを握っていた。
ラル「お、おれ!?」
俺「いや、ほら。もう俺たちは……恋人、なんだろう? だったら手くらい繋いでも良いんじゃないか?
ラル「それは……そうだな」
歯切れの悪い俺の言葉にラルはぎこちない動作で頷いた。
繋いだ手を通して伝わってくるのは体温や感触だけではない。彼の自分を想う愛情が伝播してきているような感覚を覚え、握る力が強まっていく。
ただ手を繋いでいるだけなのに、どうしてこんなにも気が安らぐのだろうか。
俺「あとさ。いい忘れてたことがあった」
ラル「どうした?」
俺「これからもよろしくな。グンドュラ」
――とくん
愛しい男に名を呼ばれた瞬間、ラルは自身の胸が温かなものに包まれた感覚を覚えた。
どうして、この男はこんなにも自分を優しく包み込んでくれるのか。
ラル「あぁ。私の方こそ……よろしく頼むよ」
不意に、耳に届く足音にサーシャはそれまで床に落としていた視線を宿舎の出入り口に向けた。
見渡せば他の隊員たちも気が付いたのか一様に固唾を飲んで来訪者を待ち受ける。
砂利を踏みしめる足音は二つ。池に小石を投じたかのように教会内に緊張が走った。
期待と不安を瞳に同居させる彼女たちの眼差しの先に、独りで教会を出たラルが姿を見せる。
赤らんだ双眸と灯りによって見え隠れする涙の痕の二つから彼女が人知れず涙を流していたことを垣間見たサーシャは次の瞬間、言葉を失った。
ラル「ほら。いい加減出て来たらどうだ」
言いながらラルが入り口の影に腕を伸ばし、その細い腕に何かを掴んだかのような震えが走った。
そして力を込めて影に隠れる人物をブレイブウィッチーズの前に引きずり出した。
定子「あ……」
と、呟いたのは定子だった。黒い瞳に浮かび上がる透明な雫。
片手で口許を覆い、隣でぼろぼろと大粒の涙を零すジョゼを抱き寄せる。
管野「この。ばかやろう……!!」
泣き声だけは決してあげない。
この男の前で情けない姿も弱さも見せないと胸に決め込んでいた管野が頬を引き攣らせ、唇を吊り上げた。
ニパ「遅いよ! どこ、行ってたんだよぉ! ばかぁぁぁ!!!」
泣き笑いのような表情を作る管野の隣でニパがしゃくり声をあげる。
白く決め細やかな頬は緊迫感から解放されたことでだらし無く緩んでいるが、今この場でそれを咎める者はいなかった。
クルピンスキー「やっぱり生きてたね。ほら先生、僕の言った通り……って泣いているのかい?」
子供をあやすかのように頭に置かれたクルピンスキーの手を振り払うロスマン。
露骨に涙を零す定子たちほどではないにしても彼女の双眸は明らかに潤んだ光沢を帯びていた。
かといってクルピンスキーほど落ち着いてはいない。
サーシャ「おかえりなさい!!」
目尻を拭うサーシャがやんわりと微笑んだ。
雨粒を受けてなおも咲き誇る花のような微笑に現れた男の頬も自然と綻んでいった。
ラル「ほら。こんなに心配かけたんだ。何か言うことがあるんじゃないか?」
肘で小突かれた男は何と切り出せば良いか分からず、暫くの間口ごもり、
俺「……なんだ。その……心配かけて悪かった」
「そんで、ただいま」
いつも通りの笑みを浮かべた。
続く
Wikiの容量オーバーを受けてしまったため、前後編に分割
次回でラル√最終話。
最終話のはずなんだけど本編でイチャイチャしてない気がするのは不味いと感じる今日この頃
最終更新:2013年03月09日 23:16