俺「ここは・・・どこだ・・・?」
なぜか体の節々が痛い。
俺「俺の部屋じゃ・・・ない?」
自分が横たわっているのは見慣れた自室ではなかった。
??「ガチャ おや・・・?気がついたかい?」
俺「えっと・・・誰?」
ドアを開けて部屋に入ってきたのは見知らぬ男性だった。
??「はは、それは私が君にするつもりだった質問なんだがね。とりあえず体は大丈夫かい?」
俺「あ、はい。」
??「それはよかった。」
男性はベッドの近くに椅子を引き寄せて腰掛けた。
??「とりあえず、名前と歳を聞いてもいいかい?」
俺「俺の名前は俺です。歳は今年で10です。」
??「ふむ、では俺君。君はどこから来たんだい?」
俺「どこっていわれても・・・。東京?」
??「トウキョウ・・・聞いたことがないな。」
俺「え!?」
東京を知らない?
小学校の社会の時間で習うのに?現にこの前習ったばかりだし。
俺「えっと・・・ここはどこですか?東京じゃないなら千葉とか?」
??「チバ・・・?ここはウィーンだが・・・。」
ウィーンって、なんかテレビで合唱団とかでてるあのウィーン?
俺「ってことは・・・外国!?」
??「・・・世界地図をもってこよう。世界の地理はわかるかい?」
俺「えっと・・・少しは。けど、日本の場所くらいはわかります。」
??「ニホンか・・・。少し待っててくれ。」
数分後...
??「君の言うニホンとはどこだい?」
俺「えっと・・・一応ココですけど。」
??「ふむ、扶桑か。確かに肌や髪の色は扶桑人にあてはまるね。」
俺「けど、この地図おかしいですよ。そこらじゅう穴だらけだし。それに扶桑って何ですか?」
??「・・・・・・・・・。」
俺「な、なんですか?」
??「キミは・・・本当にこの世界の人間かい?」
俺「え?」
??「キミの認識と私の認識がまったくかみ合わない・・・。まるでまったく別の世界の話をしているようだ。」
俺「ここが・・・違う世界?」
??「・・・いや、この話は止めにしよう。お互いに混乱するだけだ」
俺「はぁ・・・。」
ガチャ
??「お父様?お母様が呼んでる・・・。」
俺「・・・?」
お父様?「ああ、ちょうどよかった。紹介するよ。」
父「この子は私の娘のアレクサンドラ・ウラジミーロヴナ・リトヴャク。・・・サーニャと呼んであげてくれ。」
俺が別世界?に飛ばされてから2週間ほど経った。
あれから時間が経てば経つほど今まで自分がいた世界との決定的な違いが浮き彫りになる。
魔法、ウィッチ、そしてネウロイ。
俺(とんでもないことになったな・・・。)
サーニャ「ガチャ お兄様・・・いる?」
俺「ん?どうかした?」
サーニャは最初の1週間は人見知りのためかなかなか話してくれなかった。
しかし、サーニャのお母さんの「お兄ちゃんができたわね。」の一言から少しずつ打ち解けた。
今では俺を兄と呼んでくれる。
一応向こうの世界でも妹がいたので年下の扱いに離れてるつもりだ。
俺まだ10歳だけど
サーニャ「お母様が呼んでる・・・ご飯だって・・・。」
俺「ん、わかった。一緒に行こうか。」
サーニャ「・・・うん!」
とまあ、こんな具合に仲良くやってます。
ソレカラドーシタ
俺「雨だな・・・。」
一応居候の身なので食後の皿洗いを手伝っていたら、雨音が聞こえ始めた。
俺「これで終わりっと・・・。」
最後の食器を拭いて棚にしまう。
皿洗いだけでも結構大変だ。
・・・・元の世界に帰ったら母さんの手伝いでもしようかな。
さて、やることもなくなったし・・・。
俺「サーニャの相手でもしようかな?」
きっとやることがなくて暇に違いない。
・・・決して俺が手持ち無沙汰だから遊んでほしいわけではない、断じて。
サーニャを探していくつか部屋を回っているとピアノの置いてある部屋でサーニャを発見した。
サーニャだけでなくサーニャの父親もいるようだ。
父親のほうはピアノの椅子に腰掛けている。
サーニャ「~♪」
俺「サーニャ?」
サーニャ「あ・・・お兄様。」
父「やあ、俺君。」
俺「こんにちは、サーニャは何してたんだ?」
サーニャ「暇だったから・・・雨音を数えてたの・・・。」
俺「へぇ・・・俺も一緒に数えようかな?」
サーニャ「・・・うん!」ニコッ
笑顔がまぶしい。
向こうの世界の妹にも負けず劣らずかわいいです。
父「ふむ・・・」
~♪~♪♪~♪
俺たちの様子を見ていたサーニャの父親がピアノを弾き始めた。
たしか音楽家なんだっけ。
俺「この曲は?」
父「二人の様子を見ていたら思いついてね。さしずめサーニャと俺君の歌・・・といったところだ。」
サーニャ「私と・・・お兄様の歌・・・。」
俺「なんか照れくさいです。」
幸せな時間が、過ぎていく。
俺がこちらの世界に飛ばされて、1ヶ月が経とうとしていた。
いつものようにサーニャの母親の家事を手伝い自室のドアを開け、中に入ったとき・・・。
俺「・・・っ!?」ズキン
頭が、割れるようにいたい。
俺「ぐっ・・・ああ・・・っ!!」ズキンズキン
あまりの痛みに、立っていられなくなる。
あっという間にバランスを崩し、床に倒れこむ。
俺「あ、あああああああっ!!」
痛みが最高潮に達したとき。
俺の姿は消えていた。
サーニャ「・・・・・?」
サーニャが廊下を歩いていると俺の部屋のドアが開いているのに気づいた。
サーニャ「お兄様・・・?」
部屋をのぞくが誰もいない。
ドアを閉めるのを忘れたのだろうか?
サーニャはドアを閉めると、血のつながらない兄を探し始めた。
大好きな父に作ってもらった曲を、大好きな兄と一緒に歌おうと思って・・・。
8年後・・・
俺「・・・懐かしい夢だな。」
小さいころの不思議な体験。
こっちの世界に戻ったとき、自分は病院のベッドの上だった。
なんでも一ヶ月意識不明だったらしい。
妹と公園のジャングルジムで遊んでいたら天辺から落ちてそのまま病院へ・・・という流れだったそうだ。
目を覚ましたときは妹に泣きつかれたのを覚えている。
妹「お兄ちゃん!!早くしないと遅刻するよ!!」
俺「うわさをすれば何とやらか。」
妹「?」
俺「なんでもないよ。・・・行くか!」
妹「うん!」
今日は3年間通った高校の卒業式だ。
特に変わったところはない普通の学校だ。
しいて言えば進学校と呼ばれているくらいだろうか。
俺「なんというか・・・本当に普通の3年間だったなぁ。」
妹「普通が一番だよ。一ヶ月も意識不明とかそんなハプニング不要だよ!」
俺「まだそれを言うか・・・。」
妹「だって・・・あの時はホントに心配で不安でしょうがなかったんだよ?」
俺「はいはい、悪かったって。もうあんな心配かけないからさ。」ナデナデ
妹「絶対だよ・・・?」
俺「はいはい・・・っと、赤信号だな。」
横断歩道の前でとまる。
1分も経たないうちに信号が変わった。
妹「行こっ!」
俺「はいはい・・・っ!!」
駆け出した妹の後を追おうとした、その視界の端。
トラックが、猛スピードで接近していた。
この距離では、止まることはできないだろう。
横断歩道の真ん中には、妹が・・・。
俺「逃げろっ!!妹ぉっ!!」
妹「へっ?」
声をかけるべきじゃなかった。
驚いた妹は振り返ったまま立ち止まってしまう。
俺「くっ・・・そぉっ!!」ダッ
全速力で走り出す。
そのまま全力で妹を突き飛ばした。
妹「きゃっ!!」
トラックが迫る。
この距離まで近づいてわかった。運転手が居眠りしてやがる。
俺「・・・クソッタレ」
間に合わない。逃げられない。
俺(すまん、妹・・・。早速約束破っちまった・・・。)
そのまま体に大きな衝撃が走る。
俺はそのまま意識を失った・・・。
最終更新:2013年03月30日 00:46